【机が汚い人に朗報】「片づけられない」は脳を鍛えれば克服可能。あなたはどの脳部位を鍛えるべき?

オフィスの散らかった机

散らかったデスクまわりを目の前に、「いまは片づける意欲が湧かないから無理」「整理整頓の能力がないから無理」などと逃げてはいませんか?

あなたの片づけられない脳を、片づけられる脳=「片づけ脳」にしてしまえば問題は解決です。脳内科医が提唱する「片づけ脳トレーニング」の要点を、キュッとまとめて紹介しましょう。

机の上が散らかっていると何が起こるのか?

まずは、散らかった机の上を放置していると、何が起こるか説明します。

1. 集中力の低下

プリンストン大学神経科学研究所の科学者たちが2011年に「Journal of Neuroscience」で発表した、機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いた研究では、無秩序な環境が人の認知資源(脳活動の資源)をすり減らし、集中力を低下させると明らかにしています。

同科学者らの実験では、作業環境を整理することで集中力と情報処理能力が改善し、それに応じて仕事の生産性が向上したという結果も出ているそう。

集中できないビジネスパーソン

2. 人間関係がギクシャク

立正大学心理学部 名誉教授の齊藤勇氏によると、机まわりが汚い人は自己愛が強い傾向があるのだとか。 たしかに、他人が見て不快なほど、あるいは他人のスペースを脅かすほど、散らかった机の上を片づけようとしない人が、周囲のことを考えているとは思えません。

ボンド大学ビジネス・スクール助教授のリビー・サンダー氏らが、2019年に「Building and Environment」で発表した研究ほか、複数の研究では、「物理的な環境」が、認知(理解・判断・論理といった知的機能)や行動のほか、他者との関係にまで影響を与えると明らかにしているそう。

机が散らかっている人は、仕事と人間関係がうまくいかなくなる」と齊藤氏は警鐘を鳴らします。

職場の人との間に溝ができている様子

3. 探し物に時間を奪われる

また、ソリューションプロバイダーの大塚商会が行なった調査によれば、ビジネスパーソンは年間150時間も探し物をしているそうです。 年間の勤務日数が250日だとすると、1日に平均36分のロス時間があることになります。

なおさらデスクまわりが散らかっていたら、ますますロス時間が増えてしまいますよね。

乱雑な机で仕事をするビジネスパーソン

乱雑な机をかき回しながら「あれがない」「これがない」を日々繰り返し、集中力が続かずどんどん生産性が下がり、職場の人たちに「机が汚い」「物がこっちに転がってきて迷惑」などと眉をひそめられているなら、今日からさっそく「片づけ脳トレーニング」を始めましょう。

「片づけられない脳」と「片づけ脳」

1万人以上におよぶ脳画像診断を行なってきた脳内科医の加藤俊徳氏は、脳の神経細胞がそれぞれに集まり、基地のようになっている場所を「脳番地」と表現します。

加藤氏によれば、片づけられないのは、弱い脳番地があるせいなのだとか。ただし、脳番地のどこが弱いかは人それぞれとのこと。つまり、自分の脳番地の弱い部分を見極め、それを鍛えることが、片づけられない脳を「片づけ脳」にする方法です。加藤氏が示してくれた3つのパターンに自分を当てはめ、どの脳番地が弱いのか調べてみましょう。

  1. 片づけようと思いつつ、重い腰が上がらない:運動系・思考系・伝達系が弱い
  2. 途中までは片づけるが、そのあと進まない:視覚系・理解系・聴覚系が弱い
  3. とりあえず片づけるが、すぐに散らかる:記憶系・感情系が弱い

片づけてもすぐに散らかるデスクにウンザリしている女性

「片づけ脳」トレーニングの方法

自分が片づけられない原因になっている、脳番地の弱いところは特定できましたか? 次に、それぞれの脳番地の鍛え方をかいつまんで紹介します。

■ 運動系 脳番地の鍛え方(小脳、大脳基底核)

  • 利き手ではない手で、床に落ちているものを数えながら拾う
  • いつもより、大きく歩幅を広げてスタスタ歩く
  • たくさんしゃべって口のまわりの筋肉を動かす

■ 思考系 脳番地の鍛え方(前頭葉)

  • 食べ物のメニューを選ぶときは、瞬時に決める
  • 物を処分する基準を決め、それに従い捨てるときは瞬時に判断

■ 伝達系 脳番地の鍛え方(前頭葉周辺:言語は左脳、非言語は右脳)

  • 他人の家の片づけをまねて、自分も片づけてみる
  • 人に伝えたいことが、ちゃんと伝わるよう工夫しながら話す

■ 視覚系 脳番地の鍛え方(主に後頭葉)

  • よく眼球を動かしながらアングルを探し、風景写真を撮影する
  • 人の表情を観察し、ちょっとした変化に気づけるようにする

■ 理解系 脳番地の鍛え方(頭頂葉)

  • 自分の部屋や職場のレイアウト図を書く
  • 好奇心をもって趣味や立場が違う人と交流する

■ 聴覚系の鍛え方(側頭葉:言語は左脳、周囲の音は右脳)

  • ラジオを聴きながら(内容を聞きとろうとしながら)家事をする
  • 人の話を聞く時間を増やす

■ 記憶系(側頭葉下部、内側部、小脳、海馬)の鍛え方

  • いろいろ思い出しながらアルバムを作成してみる

■ 感情系の鍛え方(主に扁桃体、前頭葉や頭頂葉の一部)

  • 昔の写真を部屋に飾り、当時を思い出して自身の感情を揺さぶる
  • アルバムを眺めながら懐かしむ

詳しい内容は、加藤俊徳氏の著書『片づけ脳 部屋も頭もスッキリする!』(自由国民社)でお確かめください。ためになる情報が満載ですよ!

***
「片づけ脳トレーニング」は気軽にチャレンジできることばかり。ぜひお試しくださいね。

(参考)
東洋経済オンライン|会話が弾まない原因は「脳の使い方」にある!
加藤俊徳著(2020),『アタマがみるみるシャープになる! 脳の強化書』, あさ出版.
ダイヤモンド・オンライン|片づけられないのは脳のせい!?医師が語る「片づけ脳」の鍛え方
STUDY HACKER|「散らかった勉強机」は脳に最悪。まず排除するべき5つのもの
STUDY HACKER|これをやれば年間「463時間」もお得!? ムダな時間の節約術。
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|デスクが散らかっていると集中力も生産性も低下する 書類を積み上げたくなる誘惑に打ち勝つ方法
エプソン|心理学者に聞いた!机周りが汚い人の4つの特徴と解決法
ScienceDirect|Psychological perceptions matter: Developing the reactions to the physical work environment scale
PubMed|Interactions of top-down and bottom-up mechanisms in human visual cortex
e-ヘルスネット(厚生労働省)|認知機能

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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