脳科学が証明した、緊張がほぐれる “意外すぎる” 行動

プレゼンの緊張を和らげる-01

プレゼンなどの際に緊張しても、普段通りのパフォーマンスを発揮できる人がいる一方で、緊張とプレッシャーでパフォーマンスが低下してしまう人がいます。

後者かもしれないと感じている方に、その差を明らかにした最新の研究と、興奮や緊張を制御してくれる可能性を秘めた、意外な行動を紹介します。

興奮と緊張を防ぐ脳内メカニズム

2019年8月27日にオンライン公開(学術誌『NeuroImage』202巻に掲載)された、米ラトガース大学、高知工科大学、名古屋大学、情報通信研究機構ら共同グループの研究は、興奮状態(緊張やプレッシャー)を抑制して、パフォーマンスを向上させる人間の脳内メカニズムを解明したそうです。

その脳内メカニズムとは、脳の「腹内側前頭前野」「扁桃体」抑制的にコントロールすること(※後述)。また、「腹内側前頭前野」から「扁桃体」への情報伝達がより強い人のほうが、課題の成績が良かったのだそう。

これらを受け、研究者らは、強いストレスやプレッシャーがあっても最大限に力を発揮できるよう鍛える、トレーニングの開発に活かせると述べています。

プレゼンの緊張を和らげる-02

「腹内側前頭前野」と「扁桃体」について

脳の「扁桃体」は、わたしたちの感情の中枢。怒り・恐怖・不安といった情動の基盤となる神経回路のひとつです。何かの刺激を受けると、その時々ですぐに反応することが特徴です。

その一方で「腹内側前頭前野」は、物事の価値を判断して、中長期的な利益をはかり、衝動や欲求を抑える工程にかかわるとのこと。

この2つを説明する際によく挙げられるのは、鉄道工事の現場監督であったフィネアス・ゲイジ氏に起こった出来事です。

周囲に尊敬される人物であったゲイジ氏は、ある爆発事故で脳を損傷してしまったそうです。 すると、事故後は人が変わってしまったかのごとく、衝動的で計画性のない性格になり、場当たり的な生活を送るようになったのだとか。

その損傷した領域こそが、先述の「腹内側前頭前野」です。

この出来事は「腹内側前頭前野」が、わたしたちの社会性に欠かせないことを象徴しています。前出の研究で示された内容も納得ですね。

では、その「腹内側前頭前野」は鍛えられるのでしょうか?

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「腹内側前頭前野」を元気にする方法

東北学院大学教養学部 准教授の金井嘉宏氏は、日本心理学会の機関誌で、社交不安症について説明しています。社交不安症患者は、自分のネガティブな思考やイメージに注意を向ける「自己注目」によって、不安を維持してしまうのだとか。

しかし、向社会的・利他的な行動や考え方をすると、他者に注意が向き、この「自己注目」を減らしてくれるそうです。人間関係を築いていくための社会的行動に関与するホルモンで、抗ストレス作用がある「オキシトシン」の発生にもつながるといいます。

それに、向社会的・利他的な行動や考え方は、脳の「腹内側前頭前野」までも活性化してくれるのだとか。

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緊張に負けないための心がけとは?

向社会的な行動は、「他者の利益となるような自発的な行動」と定義されています。利他的な行動とは、「自己の損失をかえりみず他者の利益を図ること」です。

京都大学大学院教授で社会工学者の藤井聡氏は、心の奥底で何に焦点を当てているかに着目した理論を主張し、そこから利他的な人ほど「得」が増えると導き出しました。

これまでの内容をまとめると、他者のために行動しようと心がける・実際に行動することで、

  1. 脳の「腹内側前頭前野」が活性化する
  2. 緊張やプレッシャーを抑制しやすくなる
  3. 緊張する場でもパフォーマンスを維持できる
  4. ストレスに強くなる
  5. 「得」が増える

と、驚くほどメリットがあるとわかります。

したがって、プレゼンなどビジネスシーンにおける緊張を和らげるのは、「よーし、緊張するな自分、大丈夫だ!」と自分に注目することではなく、他者の利益を考えることなのですね。

もしも、「今日のプレゼン緊張しそうだなぁ……」と思ったら、「大丈夫ですか?」「何か手伝えることがあれば言ってください」などと、ちょっとした向社会的・利他的な行動をしてみてはいかがでしょう。

***
こちらの記事『自分勝手なあの人” が結局損してる科学的理由。「他人に優しい人」が最後には得する。』では、利他的な人ほど「得」が増える理由などを説明しています。 よろしければ併せてご覧ください。

(参考)
ScienceDirect|Ventromedial prefrontal cortex contributes to performance success by controlling reward-driven arousal representation in amygdala  
大学ジャーナルオンライン|興奮や緊張を制御してパフォーマンス向上 脳内メカニズムを解明  
名古屋大学|研究教育成果情報|緊張を乗り越える脳内メカニズムを解明  
金井嘉宏(2017),「社交不安症の認知行動療法と 神経科学」,[小特集]基礎心理学と臨床心理学の架け橋,心理学ワールド,日本心理学会,pp.25-26.  
中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室|シリーズ2 第11回 | フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」 
国立研究開発法人日本医療研究開発機構|思春期早期における向社会性の発達に脳帯状回の神経代謝と機能的ネットワークが関連することを発見 
脳科学辞典|情動

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