マッキンゼー式「問題解決1枚シート」で、圧倒的に仕事がしやすくなる納得の理由。

マッキンゼー式「問題解決1枚シート」で、仕事のしやすさが劇的に変わる。01

「商品の売上が減っている」
「チーム内でミスや不手際が多い」
「コンプライアンスが徹底されていない」

こんなビジネス課題の解決を任されたら、あなたならどうしますか? どこからどう手をつけていいかわからず、途方に暮れてしまう……なんて事態に陥らないためにぜひ知っておきたいのが、“問題解決のノウハウ”。

今回は、かの有名コンサルティング会社 マッキンゼー・アンド・カンパニー出身者が開発した「問題解決1枚シート」というフレームワークをご紹介します。マッキンゼー流の仕事術を学び、仕事で課題にぶつかった際にぜひお役立てください。

元マッキンゼーの識者が提唱「問題解決1枚シート」とは?

「問題解決1枚シート」は、ビジネス課題を詳細に分析し、解決に導くためのフレームワークです。A4用紙を十字型に四分割したシンプルなシートに書き込みをしながら、問題の解決策を考えていきます。マッキンゼー出身の人材戦略コンサルタント・大嶋祥誉氏が、マッキンゼーで学んだ問題解決法をベースに独自に開発しました。

大嶋氏は、このシートを開発した背景について、次のように解説しています。

人間の心理として、問題に出くわすとストレスを感じ、誰もがすぐ解決したいと思うものです。でも、その気持ちをグッと抑えて一旦わきに置き、視野を広くもって問題を見据えてみる。こうして真の問題が特定できれば、適切な解決策が導き出せるのです。
(中略)
この作業がラクラクできるフレームワークとして、独自に開発したのが、「問題解決1枚シート」です。

(引用元:マイナビニュース|マッキンゼーで叩き込まれた、新人が気をつけたいワナと「使える」フレームワーク /人材戦略コンサルタント・大嶋祥誉

つまり、問題解決1枚シートを使えば、目の前の課題を冷静に分析して “真の問題” を特定し、合理的な解決策を導くことができるのです。

「とにかくうまく行っていないことは確かだけど、何をどうしたらうまく行くようになるか、全然わからない……!」などと混乱してしまうときに、この方法は役立つはず。ぜひこの機会に覚えてみましょう。

詳しくは次章で解説しますが、問題解決1枚シートを作成する流れは以下の通りです。

マッキンゼー式「問題解決1枚シート」で、仕事のしやすさが劇的に変わる。02

(画像は「マイナビニュース」の記事を参考に筆者が作成した)

「問題解決シート」を取り入れてみるとこうなる

問題解決1枚シートを使ってビジネス課題を分析・解決する手順を、具体例とともにご紹介しましょう。

ここでは、あるお菓子メーカーのマーケティング担当者が、「チョコレート商品の売上が落ちている」という問題を解決する場合をシミュレーションしてみます。(以下手順は「マイナビニュース」記事よりまとめた。各Step説明のカギカッコ内は同資料より引用)

(Step0)A4用紙を十字に4分割し、シートを作成する

まずは、「A4用紙に十字を書いて4つに分け」ます。問題解決1枚シートのフォーマットを準備しましょう。

マッキンゼー式「問題解決1枚シート」で、仕事のしやすさが劇的に変わる。03

(Step1)左上スペースに「解決したいビジネス課題」を書く

次は「左上スペースの上部に、気になっている問題を1行で書きます」

今回は “チョコレートの売上が落ちている” と記入。書いていいのは「1行」とのことなので、問題が明確になるよう、簡潔かつ過不足のない表現が求められますね。

マッキンゼー式「問題解決1枚シート」で、仕事のしやすさが劇的に変わる。04

(Step2)左下スペースに、問題の分析結果を箇条書きする

Step1で提起した問題について、左下のスペースで分析します。「いま書いた問題のどこが気になっているのか、なぜ気になっているのかなど、『なぜ?』という問いかけに対する答えを、ガーっと箇条書き」するといいとのこと。

今回の例であれば、次のような分析が考えられます。

  • 問題のどこが気になる?(Where、What)
    →通販サイトの台頭により、店舗での売上が下がっていること
  • なぜ問題が起きている?(Why)
    →コロナ禍で、店舗への客足が減っているから

この箇条書きの作業によって、「問題に対する視点が自然と広がり、さまざまなアイデアが浮かんで」くるそうですよ。

マッキンゼー式「問題解決1枚シート」で、仕事のしやすさが劇的に変わる。05

(Step3)問題を再定義し、右上スペースに書く

Step2の分析結果をふまえて、「問題を再定義」します。問題の本質はなんなのか、考えるのです。

たとえば、“売上が落ちている原因は、通販サイトの台頭やコロナ禍により、店舗での購買が減ったことにありそうだ” と推測できたとしましょう。そうすると、売上を増やすには “通販経由での売上アップを狙う” のが近道と考えられそうです。以上をふまえると、「真の問題」は、“通販経由での売上を伸ばすにはどうすればいいか?” になるでしょう。

こうして再定義した問題を、シートの「右上スペースの上部に書き、同じスペースの空いた部分に、再定義した問題が解決されたときのゴールイメージを書いていきます」。

マッキンゼー式「問題解決1枚シート」で、仕事のしやすさが劇的に変わる。06

(Step4)再定義した問題の解決策を考え、右下スペースに書き出す

最後に、「ゴールイメージに向かってやること」をリストアップしていきます。

“通販経由での売上5%向上” というゴールを達成したいのであれば、

  • インターネットでの販促を強化する
  • SNS映えする新商品を開発する
  • インフルエンサーに商品をPRしてもらう

といった手が考えられますよね。これらが問題の解決策だというわけです。

マッキンゼー式「問題解決1枚シート」で、仕事のしやすさが劇的に変わる。07

「問題解決1枚シート」を使えば “本当の解決策” が見えてくる

上記のように、問題解決1枚シートを作成することで、「チョコレートの売上が落ちている」という課題の解決策を導き出すことができました。

単に問題を分析するだけでなく、分析結果をふまえて「問題を再定義する」というワンクッションを挟むことが、本シートならではのユニークな点だと感じました。再定義というプロセスがあることにより、直観的な判断に流されず、本質的な問題を見極めることができるというメリットは大きいと思います。

実践するうえで、特に力を注ぐべき難所だと感じたのは、Step2の問題分析です。ここをおそろかにすれば、後に続く「問題の再定義」も誤ることになり、すべてが台無しになってしまう恐れがあるからです。

Where(どこが問題か?)、What(何が問題か?)、Why(なぜ問題か?)という3つの問いを念頭に置いてじっくり問題に向き合い、要素をなるべくたくさん書き出すとよいのではないでしょうか。

なお、今回はたまたまマーケティングの事例を取り上げましたが、サービス内容の改善、企画立案、業務フローの改善、クレーム対策など、ビジネス上のあらゆる問題の解決に本シートを役立てられそうです。人間関係やキャリアプランの悩みなど、プライベート上の問題を解決するヒントを得るのにも使えると思います。

***
大嶋氏によると、マッキンゼーの新入社員は「新人研修プログラムによるトレーニングで、マッキンゼー式の『問題解決』のスキルを徹底して叩き込まれる」そう。ただ、マッキンゼー式とはいっても、これは広くビジネスパーソンに役立つスキル。大嶋氏はこう述べています。

マッキンゼーで入社1年目に叩き込まれる「問題解決」のスキルは、マッキンゼーの新入社員にしか使えないものではなく、本来はもっと多くのビジネスパーソンの“秘密道具”になるのではないかと思うのです。

(上記カギカッコ内・枠内引用元:ITmediaエンタープライズ|マッキンゼー卒業生が、入社1年で「一生使える」仕事の技術を持てるワケ

問題解決1枚シートを活用すれば、あなたが抱えるあらゆる問題の本質を明らかにし、解決策を論理的に導き出していけるはずです。ビジネス、またはプライベートで壁にぶつかったときは、ぜひ本シートを試してみてください。

マッキンゼー流の仕事術としては、情報伝達に役立つ「ソラ・アメ・カサ」や、論理的に考えるための「ピラミッド・ストラクチャー」も有名です。以下の記事で詳しく紹介していますので、よろしければご覧ください。

>>『「報・連・相」のしすぎは時代遅れ。マッキンゼー式「ソラ・アメ・カサ」で仕事がデキる人になれる理由。
>>『思考がぐんぐん磨かれる「ピラミッド・ストラクチャ―」がすごい。続ければ絶対に “説得上手” になれる!

(参考)
マイナビニュース|マッキンゼーで叩き込まれた、新人が気をつけたいワナと「使える」フレームワーク /人材戦略コンサルタント・大嶋祥誉
ITmediaエンタープライズ|マッキンゼー卒業生が、入社1年で「一生使える」仕事の技術を持てるワケ
ダイヤモンド・オンライン|報連相ではなく、「ソラ・アメ・カサ」で確認する

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト