社会人が「なんかおかしい、ちょっと違う……」という感覚を、絶対にスルーしてはいけない理由

狩野みき先生インタビュー「なんかおかしいという感覚」01

ビジネスパーソンは、社内外問わず多くの人と関わりながら仕事を進めることが求められます。そのため、人の意見に対して「なんかおかしい」「それはちょっと違うだろう」と感じることもあるはずです。

多忙ななかでは、「言っても仕方ないか……」というふうに考え、「なんかおかしい」という感覚をスルーしがちなのではないでしょうか。でも、そうすることは「ビジネスパーソンにとって損」と言うのは慶應義塾大学や東京藝術大学の講師である狩野(かの)みき先生。その真意をお聞きしました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹

「なんかおかしい」という感覚は、スルーせず「一度、寝かせる」

ビジネスパーソンのみなさんに私からお伝えしたいことのひとつに、「なんかおかしい」という感覚を放置しないでほしいということがあります。なぜなら、そうすることはビジネスパーソンにとって損だからです。

たとえば、チームで仕事を進めているなかで、メンバーの意見に対して「それはちょっとおかしいな」と思いつつも、「わかりました」「それでいきましょう」と折れてしまうことはないでしょうか。でも、そういったストレスをため続けてしまうと、いずれなんらかのよくないかたちで蓄積されたストレスが爆発することも多いと思います。

そもそも、複数のメンバーによるチームで仕事をする理由は、メンバーそれぞれが成果に対して貢献できると考えられているからこそですよね。それなのに、Aさんの意見に対してBさんがなんでもかんでも「わかりました」という姿勢だとしたら、Bさんの存在意義はほとんどなくなってしまいます。

もちろん、喧嘩のようなかたちでその場で激しく反論してほしいと言いたいわけではありません。それこそ、和を大切にする大半の日本人には難しいことでしょう。そうではなく、「なんかおかしい」と感じたときには、その感覚をスルーするのではなく、「一度、自分のなかで寝かせる」ことを考えてほしい。

そうして寝かせているうち、その「なんかおかしい」の感覚について考えることも出てくるはずです。そうして、「なぜおかしいと感じるのか」という「根拠」を考えてみる。何か自分の考えを意見するには、根拠が欠かせないからです(『「自分の意見をもてない人」に決定的に足りないもの。“これ” がなければ意見とは言えない』『「いい意見」の2つの条件。満たすためには、自分の主張に○○してみて』参照)。

そのうえで、「やっぱりこのことは相手に伝えたほうがいいな」と思えるなら、根拠も含めて相手にきちんと提案してみましょう。そうすることで、チームの仕事の進め方がよりよくなることもあると思います。また、自分の提案が通れば自信をもつことにもなるし、チームにおけるプレゼンスが高まっていくことにもなるでしょう。

狩野みき先生インタビュー「なんかおかしいという感覚」02

「なんかおかしい」に限らず「なんか〜」がブレイクスルーを生む

少し話はそれますが、「なんかおかしい」という感覚と同じように、「なんかいいな」「なんか気になるな」といった感覚をスルーしないことも大切です。

私にも、何気なく見ていたテレビの内容や子どもとのたわいない会話のなかに「なんかいいな」「なんか気になるな」と感じることがあります。そういうときにスルーするのではなく、「頭のなかのフックに掛けておく」イメージで記憶するのです。それでも忘れてしまいそうなときにはメモをとります。

すると何が起きるか? 頭のなかのフックに掛けたこととはまったく関係ないようなところで、「これは仕事に使えるかもしれないぞ!」といったふうに、いいかたちで仕事につながるということが起こるのです。

そのように記憶するのは、「なんかいいな」「なんか気になるな」ということに限らず、「なんか嫌だな」といったことでもいいでしょう。「なんか〜」と感じるということは、自分がこれまでの経験から培ってきたアンテナになんらかの理由があって引っかかったということ。だからこそ、自分の仕事におけるブレイクスルーのヒントにもなる可能性を秘めているのだと思うのです。

狩野みき先生インタビュー「なんかおかしいという感覚」03

「なんかおかしい」をスルーしないために「自分を認めてあげる」

話を「なんかおかしい」という感覚のことに戻しましょう。「なんかおかしい」という感覚をスルーしないことのメリットはすでにお伝えしたとおりです。でも残念ながら、その気持ちをスルーしている人が多いようです。おそらく我慢強い人が多いという日本人の特性によるものなのかもしれませんね。

「なんかおかしい」と感じるような意見を上司からぶつけられたとき、「それはちょっと違うだろう」と思うようなことがあったとしても、次の瞬間には「そう思ってしまうのは自分が未熟だからだ」「もうちょっと我慢することも必要だ」なんて考えるのかもしれません。でも、そういうことを繰り返せば、ストレスがどこかで爆発してしまう。感情的になってしまったり、精神を病んでしまったりということになるのは避けたいですよね。

そうならないために、自分を認めてあげることを意識してください。我慢強い人は、自分を卑下する傾向も強いものです。そのため、「『なんかおかしい』『それはちょっと違うだろう』と思ってしまう私は駄目な人間だ……」といったふうに考えてしまうのです。

そうなると、その時点で思考は停止してしまいます。そんな思考停止状態は、ビジネスパーソンが絶対に陥ってはいけない状態でしょう。だからこそ、自分を可能な限り認めてください。自分を甘やかすのではなく、いい意味で自分に優しくすることを心がけてほしいと思います。

狩野みき先生インタビュー「なんかおかしいという感覚」04

【狩野みき先生 ほかのインタビュー記事はこちら】
 「自分の意見をもてない人」に決定的に足りないもの。“これ” がなければ意見とは言えない 
「いい意見」の2つの条件。満たすためには、自分の主張に○○してみて

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【プロフィール】
狩野みき(かの・みき)
慶應義塾大学、東京藝術大学、ビジネス・ブレークスルー大学講師。「自分で考える力」イニシアティブ、THINK-AID主宰、子どもの考える力教育推進委員会代表。慶應義塾大学大学院博士課程修了。20年以上にわたって大学等で考える力・伝える力、英語を教える。『ハーバード・スタンフォード流 子どもの「自分で考える力」を引き出す練習帳』(PHP研究所)、『ハーバード・スタンフォード流「自分で考える力」が身につく へんな問題』(SBクリエイティブ)、『超一流の「自信思考」 世界のエリートにも負けない自分のつくり方』(大和書房)、『「自分で考える力」が身につく親子の対話術』(朝日新聞出版)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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