根気にはセロトニンを、記憶力にはイリシンを。仕事力に直結する「4つの脳内物質」を増やす方法。

生理活性物質-01

わたしたちの心と身体のパフォーマンスを左右しているのは「生理活性物質」です。ビタミンやミネラルのほか、脳内物質と呼ばれている「ホルモン」や「神経伝達物質」も生理活性物質のひとつ。

今回は、自分に足りない力を補うには、どのような生理活性物質(脳内物質)が大切なのか、生理活性物質を増やすにはどう行動すればいいのか、ちょっとしたヒントを紹介します。

生理活性物質1.「根気」にはセロトニンが大切

――我慢強さが足りないならセロトニンを増やそう!

慶應義塾大学の研究グループは、マウスを用いた実験で、根気強さには脳の「腹側海馬」の活動低下が必要だと明らかにしました。マウスの腹側海馬はヒトの「海馬前部」にあたります。同時に、セロトニン神経の活動増加が、海馬の活動を抑制することも見出されました(2019年4月に神経科学分野の専門誌『Nature Neuroscience』オンライン版に掲載)。

つまり、根気強さはセロトニン神経の活性化でもたらされるのです。癒し物質として有名なセロトニンを増やす方法は以下のとおり。

  • トリプトファンとビタミンB6を摂取する 
  • リズムに合わせて身体を動かす 
  • 映画やドラマで感動の涙を流す 
  • 朝日を浴びて目を覚ます 
  • しっかりと朝食をとる 
  • しっかりと咀嚼する 

※トリプトファン:大豆・豆製品、乳製品など。
※ビタミンB6:玄米や小麦胚芽、牛、豚、鶏のレバー、マグロや鰹の赤身など。

生理活性物質-02

生理活性物質2.「ひらめき」にはアセチルコリンが大切

――ひらめかないならアセチルコリンを増やそう!

『Nature Communications』で2013年に公開された、山口大学・美津島大教授の研究によって、学習が成立するきっかけはアセチルコリンだと明らかになりました。アセチルコリンの分泌量は学習中に増加し、学習後にも維持されるそうです。

また、精神科医の樺沢紫苑氏によれば、アセチルコリンはシータ波(脳波)をつくり出し、シータ波はシナプス(神経と神経の接合部)を活性化させるそう。結果として、記憶や学習、理解や判断といった「認知機能」のほか、「ひらめき力」も高まり、クリエイティビティが向上するとのこと。アセチルコリンを増やす方法は以下のとおりです。

  • 座ったまま手足を動かす
  • 26分間の昼寝 
  • 好奇心を持ち続ける 
  • 外に出かける 
  • レシチンを摂取する

※26分が理想的な昼寝時間と見出したのはNASAの研究者。
※アセチルコリンの原料となるレシチンは卵黄や大豆製品に含まれる。

生理活性物質-03

生理活性物質3.「記憶力」にはイリシンが大切

――覚えが悪いならイリシンを増やそう!

イリシンは、筋肉が収縮することで骨格筋から分泌されるホルモン。エネルギー代謝が主な役目だと考えられていましたが、脳の海馬の神経発達に一役買っていることもわかったそうです。

2019年1月に国際学術誌の『Nature Medicine』に公開された、米コロンビア大学やリオデジャネイロ連邦大学などの研究では、イリシンがヒトの海馬に存在しており、アルツハイマー病患者の脳ではイリシンの濃度が低下しているとわかりました。マウスを用いた実験では、イリシンが脳のシナプスを保護し、記憶力を守ることが明らかになったとのこと。

筑波大学大学院スポーツ医学専攻教授の久野譜也氏によると、血流に乗って脳に運ばれたイリシンは、脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌を促し、脳の神経細胞の働きを活発にするそうです。認知症予防につながることも示唆されている、イリシンを増やす方法は以下のとおり。

  • 運動で体を動かす
  • 貧乏ゆすり(震える)
  • 手足ブルブル(震える)

※バージニアコモンウェルス大学医学部で代謝・内分泌学部長を務める Francesco Celi 博士らが実験を行ったところ、震えるくらい寒い部屋で横になって過ごすだけでも、運動と同じように筋肉が収縮し、イリシンが分泌したとのこと。とはいえ、寒い部屋で震える方法はおすすめできないので、周囲に配慮しながらの「貧乏ゆすり」や「手足ブルブル」をおすすめします。

生理活性物質-04

生理活性物質4.「安心感」にはエンドルフィンが大切

――不安ばかりで集中できないならエンドルフィンを増やそう!

多幸感をもたらすことから、エンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれています。樺沢紫苑氏によれば、エンドルフィンが分泌されると集中力・想像力・記憶力が高まるとのこと。また、神経科学者のJaak Panksepp氏は、エンドルフィンが社会的安心感に関与すると発見しました。

ウィスコンシン・スクール・オブ・メディスン・アンド・パブリック・ヘルス大学教授のJohn H. Greist氏は、不安は最初のうちこそパフォーマンスを高めるものの、あるピークを越えるとパフォーマンスを下げてしまうと説明しています。そのため、エンドルフィンを分泌させて不安を取り除くのが効果的です。モルヒネの6.5倍もの鎮痛作用を持つとされ、安心感を与えて集中力を高め、パフォーマンスを上げてくれるエンドルフィンを増やす方法は以下のとおりです。

  • 15分以上のエアロバイク
  • 人に感謝されるような行動を起こす 
  • 脂っこいものを適度に食べる
  • 辛いものを適度に食べる 
  • チョコレートを適度に食べる 
  • 大いに笑う

※ちなみに、人に感謝するとオキシトシン(幸せホルモン)が分泌され、人に感謝されるとエンドルフィンが分泌されます。

***
「根気が全然ない人」に足りないのは “あの脳内物質” だった。5つの朝習慣で執念深さが手に入る。』では、根気とセロトニンについてより詳しく説明しています。ぜひ一緒にご覧ください!

(参考)
慶應義塾|プレスリリース一覧:[慶應義塾]|「根気」(こんき)を生み出す脳内メカニズムの発見-粘り強さは海馬とセロトニンが制御する-
東邦大学医療センター大森病院 臨床検査部|幸せホルモン「セロトニン」 
神経科学学会|【神経科学トピックス】アセチルコリンを引き金として海馬シナプスに多様性が生じ、学習が成立する 
リクナビNEXTジャーナル|幸せホルモン「オキシトシン」で仕事のイライラを改善する5つの方法 
MSDマニュアル家庭版|不安症の概要 - 10. 心の健康問題 
リンクDEダイエット:世界の最新健康・栄養ニュース|運動がアルツハイマー病を予防する新たな原因を発見! 
Nature Medicine|Exercise-linked FNDC5/irisin rescues synaptic plasticity and memory defects in Alzheimer’s models 
NIKKEI STYLE|ヘルスUP|「筋トレは認知症予防に役立つ」ってウソ?ホント? 
ナショナルジオグラフィック日本版サイト|震えるだけで脂肪が燃焼? 
Career Supli|脳内物質の働きを利用してパフォーマンスを高めよう 
戸田酵素のティーエフケイ株式会社|生理活性物質のはたらき 
Wikipedia|エンドルフィン  
高柳和江(2007),「補完代替医療としての笑い」,日本補完代替医療学会誌, 4巻, 2号, pp.51-57.  
樺沢紫苑著(2010),『脳内物質仕事術』, マガジンハウス.

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