「ストレスたまる……でも頑張る」は超危険。8つの変化をもたらす最良のストレス解消習慣

堀田秀吾先生インタビュー「正しくストレスに対処する方法」01

仕事とストレスは切っても切れない関係にありますから、まったくストレスを感じず仕事を続けられる人はいないでしょう。そう考えると、正しくストレスに対処する方法を知っておくことも、ビジネスパーソンとしては重要だということが見えてきます。

アドバイスをお願いしたのは、『図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)が話題となっている明治大学教授の堀田秀吾(ほった・しゅうご)先生。まず、ビジネスパーソンがやりがちな「NGストレス対処法」の話から始めてもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「やけ酒」「ふて寝」「クッションを殴る」が3大NG

仕事でストレスをため込んでいるからといって、ついやけ酒をしてしまっている人はいないでしょうか? これは完全なNGの行為です。また、ふて寝や、サンドバッグとまで言わずともクッションを殴るといった攻撃的な方法でストレスを解消しようとすることもよくありません。これらは、私からすれば3大NGと言っていいですね。

理化学研究所の研究によって、やけ酒をすると嫌な記憶が定着しやすいことがわかっています。ストレスとなる出来事があって、その気持ちのままやけ酒をすると、そのストレスフルな記憶がそのまま残るというわけです。

同じような仕組みでNGと言えるのがふて寝。ご存じの人も多いと思いますが、長期記憶は寝ているときに脳に定着します。そのため、嫌な気持ちのまま寝てしまうと、その嫌な気持ちがむしろ強化されて脳に残ってしまうのです。

また、ものにあたるのも厳禁。たとえば、サンドバッグなど、ものを殴るような攻撃的な行為をすると、「アドレナリン」というホルモンが分泌されます。スポーツ選手が勝敗を決するような場面で発奮しているようなときには「アドレナリンが出る」なんて言い方をしますが、アドレナリンが過剰に分泌されると攻撃的になったりキレやすくなったりします。そのため、周囲の人に八つあたりをして人間関係を悪くするようなことにもなりかねません。

堀田秀吾先生インタビュー「正しくストレスに対処する方法」02

人間の身体の進化は、文明の発達に追いついていない

そうはいっても、私たちは誰でも多かれ少なかれストレスを感じるものです。ビジネスパーソンなら、「仕事だから仕方ない……」と、ストレスを抱えたまま頑張り続けるという人もいるでしょう。

でも、それはとても危険なことです。特に自分自身で気づいていないようなステルス性と呼ばれるストレスは、知らないあいだにどんどん蓄積されていきます。そうして、ある日突然、心が壊れ、うつを発症してしまうのです。

だとするなら、日々のストレスを正しく解消する方法を知りたいところでしょう。私からは、ジムに通うなど運動を習慣化することを強くおすすめします。なぜなら、運動をすることが人間にとって自然なことだからです。

私たちの身体は、太古のむかし、石器時代からほとんど変わっていません。文明が発達したといっても、せいぜいここ数千年の話。長い人類の歴史から見れば、ほんのわずかな時間です。その短い時間に、文明の発達に合わせて身体が進化することなどありえません。ですから、職種にもよりますが、じっと机にかじりついて仕事をするといった現代型の生活は、われわれの身体には合っていないということです。

では、石器時代の人間はなにをしていたかを考えてみましょう。太陽が昇れば狩猟に出かけていましたよね。つまり、それは運動をしていたということです。それが、人間にとって自然なことなのです。現代人には運動が決定的に欠けています。そこで、ジムに通うといった運動を習慣化することを考えてほしいのです。

堀田秀吾先生インタビュー「正しくストレスに対処する方法」03

ジムに通うことによる8つの劇的変化

ストレス解消はもちろん、ジムに通うことがどれだけ多くのメリットをもたらしてくれるかということについては、オーストラリアのマッコーリー大学の研究が証明しています。その研究では、ジムにまったく通わなかった人がジムに通うようになったことで起きた8つの劇的変化が報告されています。

ジムに通うことによる8つの劇的変化

  1. ストレスが減少する
  2. よりよい学習習慣が身につく
  3. アルコール、カフェインの摂取量、喫煙量が減少する
  4. 感情をコントロールできるようになる
  5. 家事を進んでやるようになる
  6. 約束を守るようになる
  7. 健康的な食生活になる
  8. お金の無駄遣いが減る

いいことずくめですが、「ストレスが減少する」「よりよい学習習慣が身につく」などは特に読者のみなさんに響くのではないですか? ただ、コロナ禍のいまはジム通いをためらう人もいるでしょう。それでも、自宅や近くの公園などで日常的にできる運動を習慣化することを考えてみてはどうでしょうか。

運動の有用性は、私自身が実感したことでもあります。かつてハワイに住んでいたときがあったのですが、その頃の私の生活は朝5時に起きて2時間ほどサーフィンをしてから仕事をするというものでした。まさに、狩猟民族だったわれわれの祖先と同じように、日の出とともに身体を動かしていたわけです。もちろん、サーフィンのあとはすっきりした気持ちで仕事にも身が入りますし、生産性も確実に上がっていました。

地理的条件などから朝5時からサーフィンをするような生活をするのは難しいとしても、私が経験したようなすがすがしくもやる気に満ちて仕事においても効率的で充実した毎日を送れるように、みなさんもぜひ運動を日々のルーティンに組み込んでみてください。

堀田秀吾先生インタビュー「正しくストレスに対処する方法」04

【堀田秀吾先生 ほかのインタビュー記事はこちら】
“勉強の大敵” ストレスを解消する「勉強前・勉強中・勉強後」の最強ルーティン
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【プロフィール】
堀田秀吾(ほった・しゅうご)
1968年6月15日生まれ、熊本県出身。言語学者。明治大学教授。1991年、東洋大学文学部英米文学科卒業。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D.in Linguistics、言語学博士)。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。2008年、同博士課程単位取得退学。2008年、明治大学法学部准教授。2010年より現職。企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。『絶対忘れない勉強法』(アスコム)、『最先端研究で導きだされた 「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『科学的に証明された 心が強くなるストレッチ』(アスコム)、『いじめのことばから子どもの心を守るレッスン』(河出書房新社)、『科学的に自分を変える39の方法』(クロスメディア・パブリッシング)、『このことわざ、科学的に立証されているんです』(主婦と生活社)、『もしも崖っぷちアイドルが心理学を学んだら』(アスコム)、『言葉通りすぎる男 深読みしすぎる女』(大和書房)、『科学的に人間関係をよくする方法』(KADOKAWA)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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