集中力がアップし、記憶にも定着しやすい『インターリーブ学習法』を知っていますか?

両手を頭に当て辛そうな表情をする女性

「最近、勉強してもなかなか覚えられない……」

「同じような勉強の繰り返しで、飽きてきてしまった」

このような悩みを抱えていませんか? 毎日繰り返し勉強しているのに、成績が上がらないと感じているならば、それは同じ種類の科目や問題に集中し過ぎているからかもしれません。

この記事では、異なる学習を混ぜる「インターリーブ学習法」の具体的なメリットや取り入れ方について詳しく解説します。成績向上を目指すみなさんの悩みを解消する助けになれば幸いです。

インターリーブ学習法とは

インターリーブ学習法とは、異なる種類の問題やトピックを交互に学習する方法です。

この学習法の特徴は、ひとつのトピックを集中して学ぶのではなく、複数のトピックを混ぜて学ぶことで、記憶や理解の定着を促進する点にあります。たとえば数学の勉強であれば、代数を学んだあとに図形、そのあとに積分へと順番に進めていくのが一般的ですよね。しかし、インターリーブ学習法では、これらのトピックを順番に学ぶのではなく、混ぜて学習していくのです。ひとつひとつのトピックについて順に習得するよりも、大きな成果が得られます。

UCLAの心理学者、ロバート・ビョーク氏は、インターリーブ学習法を次のように紹介しています。

ある情報を他の事柄と関連付ける形で習得すると、はるかに大きな学習効果がある *1

つまり、順番をごちゃ混ぜにして情報を関連づけて学ぶことで大きな成果を得られるのです。これは異なるトピックを繰り返し切り替えることで、脳がそのつど異なる情報を処理し、情報同士の結びつきが強化されるためだと考えられます。

さらに、異なるジャンルを混ぜて学ぶことで、それぞれの違いをより深く理解することができます。

たとえば、ビョーク氏が行ったインターリーブ学習法の効果を図る実験があります。この実験では、2つのグループに「どの画家の絵か」を学ばせるという内容で行われました。グループAには、画家Aの作品6つ、画家Bの作品6つ……と、順番に学習させました。一方、グループBには、画家の作品をランダムに見せて学習させました。その結果、ランダムに学習したグループBのほうがよい成績を収めたのです。
*2を参考に筆者がまとめた

一見するとトピックを混ぜて学習する方法はなじみがなく、記憶の妨げになるように感じられます。しかし実際には、情報同士の結びつきが強化されることで、記憶の定着に効果的であることが明らかになっているのです。

黒の背景に電球を置き、それは白い枠で囲んである

インターリーブ学習法に変えてみた

筆者は弁理士試験に向けて勉強をしています。しかし、暗記したはずの内容がすぐに抜け落ちてしまうことが多く、どうにかして効果的に学べないものかと悩んでいました。特に特許法には覚えにくさを感じていたので、インターリーブ学習法を試してみることにしました。

まず、弁理士試験を次のようにジャンル分けしました。

  • 特許法
  • 実用新案法
  • 意匠法
  • 商標法

普段は、これらのうちひとつのジャンルが終了したら次のジャンルに進むやり方で、それぞれ集中して勉強していました。「最初の1週間で特許法を学び、次の1週間で練習問題に取り組み、その後実用新案法の勉強を始める」という流れで勉強していたわけです。

対してインターリーブ学習法では、1回の勉強時間にジャンルを混ぜて学習していきました。1回の勉強の中で特許法、実用新案法、意匠法、商標法の練習問題をランダムに解くことを繰り返したのです。

こちらは筆者が実際にインターリーブ学習法で勉強したときのノートを、見やすいように画像化したものです。

筆者がインターリーブ学習法で勉強したときのノートの文字を起こした画像

画像は筆者が作成した

このように、複数のジャンルの練習問題を、ポイントを確認しながらランダムに解いていきました。

記憶に残り、集中力が持続した!

ここからは、インターリーブ学習法を実践してみての感想をお伝えします。

記憶の定着を実感

取り入れた最初の頃は混乱することが多く、学習がうまく進まないように感じました。しかし、数日続けてみると、次第に記憶の定着率が向上していることを実感できました。勉強した内容が長期間にわたって記憶に残りやすくなり、以前はすぐに忘れてしまっていた情報も、よりしっかりと頭に入っている手ごたえがあったのです。

覚えにくさを感じていた特許法についても、ジャンルを混ぜて勉強していくうちに正答率が上がり、少し得意になった感じさえします。

さらに、単に暗記するだけでなく、異なるトピック間の違いを意識しながら勉強することができました。特に、問題を解くときに「あ、これはさっき解いた問題と対照的な内容のものだ」といった気づきが生まれることが多く、これが記憶の定着にも役立ったと感じています。

積んだ冊子の上に、開かれた本が置かれている

「飽き」が回避でき、集中力が持続

また、この学習法を取り入れたことで、勉強に飽きてしまうことを防ぐ効果がありました。単調な学習が続くと飽きてしまうことがありましたが、異なるトピックを混ぜて学ぶことで、集中力を保ったまま勉強に取り組むことができました。同じような勉強に飽きがきている人は、インターリーブ学習法を取り入れてみると刺激になるはずです。

また、勉強内容により、「ここは同じような問題を集中して勉強しよう」「ここは気分転換にインターリーブ学習法を取り入れよう」とご自身で使い分けるのも気分転換になっていいですよ。

注意点として、インターリーブ学習の効果が確認されているのは、あくまで近いジャンルでの勉強です。 “数学と英語” のように、大きく離れたトピックでは効果を期待できません。たとえば数学の勉強だったら “因数分解と代数” など、関連する内容を勉強をするときに試してみてくださいね。

デスクにて、ノートパソコンを見ながらガッツポーズをするビジネスパーソン

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インターリーブ学習法は、学習効率を上げるための方法です。もし今の勉強法に限界を感じているのなら、一度試してみる価値がありますよ。気になった方はこちらの記事も参考にして、ぜひ挑戦してみてくださいね。

【ライタープロフィール】
髙橋瞳

大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。

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