ロジカルシンキングはビジネスパーソンの必須スキルといわれています。しかし、なかには物事を論理的に考え、他者に分かりやすく説明することが苦手な人もいるでしょう。

難しく考えられがちな「論理的思考」ですが、シンプルに考えてみると意外に身につきやすくなります。今回は、筆者も実際に試してみた、思考のぜい肉をそぎ落とすようなロジカルシンキングの鍛え方を説明します。

「ロジカルシンキング」とは

「ロジカルシンキング」とは、その言葉どおり論理的思考のこと。物事を整理・分析・構成して結論を導き出し、筋道を立てて説明するスキルです。その手法は以下のとおり。

◆【演繹法と帰納法】
「演繹法(三段論法)」は前提から結論を導き出す方法です。古典的な例ですが、「すべての人間は死すべきもの」と「ソクラテスは人間である」という前提から、「ゆえにソクラテスは死すべきもの」という結論を導いたアリストテレスの三段論法が有名です。

「帰納法」は、さまざまな傾向を結論につなげる方法。例えば「ウォーキングは健康にいいとよく耳にする」「近所のおばあちゃんはウォーキングを始めてから元気になった」「ウォーキングが記憶力低下を防ぐと発表された」という複数の事実や事例をまとめて、「ウォーキングは介護予防にいい」という結論につなげます。

◆【ロジックツリーと、ピラミッドストラクチャー】
いずれも、ツリー状に論点の構造を明らかにしていく方法です。「ロジックツリー」はツリーを下に広げます。例えば「売り上げが伸びない」という1つの論点をツリーの上に置き、「新商品が少ない」「類似品が多い」「顧客数が伸びていない」といった3つの要素に枝分かれさせツリーの下に配列し、問題の原因を探り出します。

一方、ピラミッドストラクチャーは、例えば「新たな顧客を獲得するため、今までとは全く違う新商品をつくりあげる」という、ツリーの1番上にある主張を導くため、「ここ数年間は新商品が少ない」「競合商品との違いが分かりにくい」「あまり顧客数が伸びていない」という理由づけをツリーの下に配列します。これにより主張に説得力が備わります。

◆【MECE(Mutually Exclusive, Collectly Exhaustive・ミーシー)】
「ダブリがなく・モレがないように」を意味します。例えば顧客について考えるとき、年齢層やライフスタイル、購買パターンなど、切り口を変えて整理していけば全体構造を把握でき、重複や抜けモレをなくしていけます。

このほか、強みと弱みを認識・分析し、戦略を立てるためのフレームワーク【SWOT分析】といったものもあります。

ロジカルシンキングが日本で広まったのは、元マッキンゼー・アンド・カンパニー照屋華子氏と岡田恵子氏の共著『ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル(2001)』がきっかけといわれています。ではロジカルシンキングを活かすと、どんないいことがあるのでしょう。

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ロジカルシンキングがもたらすもの

仕事でもプライベートでも、ロジカルシンキングを活かす最大のメリットは説得力のあるコミュニケーションが可能になることです。論理的な思考で相手の伝えたいことを引き出し、自分が伝えたいことを分かりやすく伝えられるため、コミュニケーションを円滑にしてくれるのです。

また、複雑に絡み合ったものを整理整頓して明快にしたり、問題に直面しても有効な解決策を導き出したりできます。理解能力が高まるため、情報の吸収が早くなることも大きなメリットです。だからこそ、合理的な意思決定、論理的な解釈と説明、説得力のある商談やプレゼンテーションを必要とするビジネスパーソンの必須スキルなのです。

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しかし、ロジカルシンキングは手法を学ぶだけではなく、繰り返し実践しないと身につかないとされています。それは語学の勉強と変わりません。そこで次に、日常生活にも取り入れやすいシンプルなロジカルシンキングの鍛え方をご紹介します。

シンプルなロジカルシンキングの鍛え方

ロジカルシンキングを身につけるということは、考えを整理するスキルと、分かりやすく説明できるスキルを身につけるということ。それに必要なのは「アウトプット、整理、まとめ」です。何か問題や論点が生じたらすぐ実践してみましょう。「今日のランチ何食べよう?」でも構いません。

では例えば「パソコンを買いたいが何を買っていいのかわからない。パソコンに詳しい誰かに聞こうにも、どう説明していいのか分からない」といった事態が起こったとします。

【アウトプット】
→まず、頭に浮かぶことを箇条書きにします。こうすることで頭がスッキリします。
・ノートパソコンが欲しい
・仕事で使えるスペック
・使いやすい
・あまり価格が高くないもの
・今と同じようなサイズでいい
・軽いほうがいい
・シルバーがいい
・カッコいいデザインがいい

【整理】
→次にカテゴリーなどでまとめ、重要度が低いものを省きます。
・ノートパソコン/シルバー/カッコいいデザイン
・仕事で使えるスペック/今と同じサイズ/希望価格

→掘り下げられるものを掘り下げます。
・カッコいいデザイン→クリエイターに人気
・今と同じサイズ→15.6型ワイド
・使いやすい→ワードやエクセル、仕事、サイト運営、文字を書く、画像を加工する
・仕事で使えるスペック→最低現在のOS、CPU、メモリー、ハードディスク容量等
・希望価格→7万円~10万円

だいぶ自分の頭のなかが整理されてきました。ここから他者を意識してまとめます。「結論からいうと」「なぜならば」「そこで」を文頭に置くといいですよ。

【まとめる】
→「結論からいうと」ノートパソコンを買いたいので、Aさんからのアドバイスが欲しい。
→「なぜならば」自分がどのパソコンを買うべきか分からないから。
→「そこで」私の希望はこれ(カラー・サイズ・スペック・価格・クリエイターに人気など)です。

トレーニングは以上です。

ふたを開けてみたらビックリするほど簡単な話でした。しかし、これを行わなければ要を得ない会話でAさんをイライラさせてしまったかもしれません。頭に浮かんだものをアウトプットして、整理して、まとめる。これだけでも論理的思考が成立するのです。

(※特定非営利活動法人「しごとのみらい」が提唱している方法を参考にしています)

***
筆者はこのトレーニングを始めてから3ヶ月以上経ちますが、論点が生じる度に余分な思考をそぎ落とせるのでイライラのコントロールもしやすくなりました。アンガーマネジメントにもなるトレーニングをぜひお試しください。

(参考)
日本の人事部|「ロジカル・シンキング」とは?
トーマツ イノベーション|人材育成・教育研修|職場におけるロジカルシンキングの必要性
リクナビNEXTジャーナル|帰納法、演繹法【今更聞けない問題解決のための推論】
フリーコンサルタント.jp|“ロジカルシンキング”はビジネスシーンに必須の思考法
しごとのみらい|ロジカルシンキングとは―論理的思考能力を成長の力に変えよう
All About|ロジカルシンキング、知っておきたい3つの手法
照屋華子著,岡田恵子著(2001),『ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル』,東洋経済新報社.