いざ机に向かってもなかなか勉強に集中できない……。
勉強を始めても集中力がすぐになくなってしまう……。
このような「勉強における集中力」の問題でお悩みの方は、多いのではないでしょうか。そこで今回は、あなたにピッタリの集中法をチャート形式でご紹介します。
上のチャートでたどり着いたものが、いまのあなたがやってみるべき勉強への集中方法! それぞれ詳しく解説していきましょう。
1. デスクを整理整頓する
「最初から勉強に集中できない」タイプで「そもそも勉強する気がしない」という人は、勉強前にデスクの簡単な整理整頓をしてみてください。
勉強のやる気を出すには、意欲や学習能力に深く関わるホルモン「ドーパミン」の活性化が欠かせません。そこで、脳神経外科医の築山節氏がすすめる最も簡単な方法が、勉強前にデスク周りの整理整頓をすること。簡単な掃除や片づけを行なうと、やる気に関わる脳の「側坐核」が刺激され、ドーパミン分泌が促されてやる気が起こるのだそう。この状態のことを「作業興奮」と呼びます。
注意点は、「気づいたら勉強そっちのけで掃除をしてしまった」という、ありがちな失敗パターンに陥らないよう、計画的に整理整頓すること。「引き出しの1段目だけ整理する」「書類ケースのみ整理する」という具合に、小規模なデスク整理を勉強前のルーティンにしてみてください。
2. 一点を5秒間見つめる
「最初から勉強に集中できない」タイプで「勉強する気はあるけど集中モードに入りにくい」人には、「一点を5秒間見つめる」という集中法をおすすめしましょう。
これを提案するのは、一流アスリートが実践する集中法をもとに、ビジネスや学習での集中力発揮法を指導する森健次朗氏(株式会社集中力代表取締役)。森氏によると、集中状態をつくりだすには、目線を一点に集めることが効果的なのだそうです。
たとえば、手のホクロ、手や紙にペンで描いた小さな点などを、勉強前に5秒間見つめる――これだけで集中モードに入ることが可能。これ以上ないぐらい簡単な方法ですよね。
また、勉強で最初に目にする5文字に、1文字1秒ずつピントを合わせるのも効果的だとか。たとえば本記事であれば「い」「ざ」「机」「に」「向」の5文字に1秒ずつピントを合わせるということです。たとえば、電車移動中といったスキマ時間に本を開いて勉強する際のスタートダッシュとして、取り入れてみてはいかがでしょう。
3. 考えを紙に書き出す
「途中で集中力が切れる」タイプで「最近、悩みが多い」と感じている人は、「考えを紙に書き出す」という方法を試してみてください。
習慣化コンサルタントの古川武士氏によると、頭のなかで多くのことを同時に考えていると、雑念が増え、目の前のことに集中できなくなるそう。そこで古川氏がすすめるのが、以下の3つのリストを書き出すこと。雑念を切り離すことができて脳の容量が解放され、目の前のことに集中しやすくなると言います。
- やるべきリスト
「やるべきことだとわかっているが、まだ完了していないこと」のリスト。全部洗いざらい書き出すことがポイント。
(例)
請求書の作成
顧客へのアポイントメールの返信
領収書の計算 - 気がかりリスト
「心配事、気がかりなこと」のリスト。疑問形で書き出すとよいそう。
(例)
友人との約束を仕事ですっぽかしてしまった。怒っていないだろうか?
上司に提出した資料のフィードバックが来ない。明日はもらえるだろうか? - やりたいことリスト
「時間があればやりたいこと・本当は優先したいこと」のリスト。「~したい」という願望形で。
(例)
毎日19時には帰宅して家で映画を観たい
苦手な上司をできるだけうまくかわしたい
勉強の最中に、「勉強が終わったら○○をやりたいなぁ」「そういえば昨日○○さんが教えてくれた本の名前、なんだっけ」など、余計なことが頭に浮かびがちな人は、ぜひ勉強前に3つのリストをつくって頭をスッキリさせてみてください。集中を邪魔する雑念を手放せることでしょう。
なお、リストをバラバラに保管すると思考が散漫になるとのこと。3つのリストは1冊のノートにまとめるといいそうですよ。ちなみに古川氏は、B5サイズの方眼ノートを推奨しています。
4. 中途半端なところで切り上げる
「途中で集中力が切れる」タイプで「休憩後に集中力が戻らなくなる」人は、中途半端なところで切り上げて休憩に入るようにしてみましょう。
というのも、脳には「達成したことよりも、達成していないことのほうが、より印象に残りやすい」という特徴があるからです。
脳科学者の中野信子氏は、この「ツァイガルニク効果」を利用するべく、あえてキリの悪いところで作業を中断し休憩に入ることをすすめています。そうすれば、休憩中も頭の片隅で無意識に勉強のことが気になり続けるので、休憩後スムーズに勉強を再開でき、すんなり集中状態にも戻れるのだとか。逆にキリのいいところで休憩に入ると、勉強のことは頭から離れ、集中力もそこで途切れてしまいます。
たとえば、参考書を読み進めている場合なら、思いきって文章の途中で読むのをやめてしまう。問題集に取り組んでいるのであれば、問題を解いている途中でストップ。キリがいいところまで終わらせたくなるのを少しこらえて、ページや文章、問題の途中で休憩に入ることを心がけてみてください。
5. かわいいものを見る
「途中で集中力が切れる」タイプで「勉強がはかどらなくてイライラする」ことが多い人は、「かわいいものを見る」という方法で集中力を回復させてみてください。
大阪大学大学院教授の入戸野宏氏によると、赤ちゃんや動物の写真など「かわいい」と感じるものを見ると、細かい部分に集中しようとする心理状態が生まれるそう。その状態は、かわいいものを見たあとで別の作業をするときにまで継続するとのこと。「かわいい」と感じることは集中力を高める要因になる、と入戸野氏は断言しています。
ポイントは、あくまで1分〜1分半の短い時間で見るのをやめること。あまりのめり込んで見続けていると、今度は集中モードに戻れなくなってしまうそうです。
たとえば、スマートフォンの待受画面やロック画面に、かわいい動物やキャラクターを設定しておく程度なら、ハマるほど見てしまうことはないはず。「勉強がはかどらなくてイライラするな、集中できなくなってきたな」と思ったら、ほんの1分程度かわいいものを見て、集中力を回復させましょう。
***
自分のタイプやシチュエーション、その日のコンディションに合わせて、ぜひ自分に合った勉強への集中法を取り入れてみてください!
(参考)
築山節(2012),『脳が冴える勉強法 覚醒を高め、思考を整える』, NHK出版.
森健次朗(2016),『机に向かってすぐに集中する技術』, フォレスト出版.
古川武士(2018),『こころが片づく「書く」習慣』, 日本実業出版社.
PRESIDENT Online|脳のメモリをやたらに食う「雑念」吐き出し習慣3
ダイヤモンド・オンライン|集中力が高い人ほど「キリが悪いところでやめる」を実行している
新R25|眺めていいのは1分半まで。「かわいいもの」を見て集中力をアップさせる方法があった
【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。