デジタル化が進む一方で、「手書き」は脳に刺激を与えて血流をよくするとされ、その価値が見直されています。さらに、ひときわ濃くて黒いペンで手書きすると、記憶に残りやすくなるのだとか。そこで筆者も、よりいっそう黒いボールペンで記憶力向上を図ってみました。
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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濃い黒ペンは記憶力の向上に役立つ?
次の【画像1】は、以下に示した順番で書いたものです。濃さの違いがわかりますでしょうか。
- 油性インクのボールペン(0.7㎜)
- 一般的なゲルインクのボールペン(0.5㎜)
- ひときわ濃くて黒いインクのボールペン(0.5㎜)
2のボールペンでは水性インクにゲル化剤を添加したものが、3のボールペンでは特殊なゲルインクが使われています。
三菱鉛筆株式会社は、立命館大学総合心理学部教授の服部雅史氏監修のもと、上の画像のような濃さの違うボールペンを用いて、高校生に手書き文字の「記憶再生課題※」を行なってもらったそうです。
その結果、一般的なゲルインクのボールペンに比べて、上の画像の3番めにあたる、濃くて黒いインクのボールペンで書いた文字は、正答率(正しい答えを出している人の割合)が高く、単語再生率(思い出しやすさ)が高いという結果が出たのだとか。
つまり、より濃くて黒いボールペンが、記憶に残りやすいと証明されたわけです。そのボールペンとは、三菱鉛筆株式会社の『uni-ball one(ユニボール ワン)』(Amazon、ヨドバシ.com)のことです。
※再生課題は「“さっき覚えたものを言ってください” という具合に、覚えた内容を思い出し、再現してもらう方法」と説明されている(カギカッコ内参考元:比治山大学 社会臨床心理学科|知覚・認知心理学|8: 記憶の分類)。
『uni-ball one(ユニボール ワン)』の特徴を検証
三菱鉛筆株式会社の『uni-ball one』のインクは、色の原料を粒子のなかに閉じ込めたビーズパック(BEADSPACK)顔料なので、一般的なゲルインクと違って紙に浸透しにくいそうです。原料を閉じ込め、粒子のサイズを大きくすることで、紙面への浸透を極力抑えているのだとか。
次の画像は、その特徴を図で示したものです。三菱鉛筆株式会社サイトの『uni-ball one』ページにある図と説明を参考に、筆者が『uni-ball one』を使って書いてみました。
実際に使ってみたら、たしかに黒がより濃く、艶やに、鮮やかに発色している印象です。
ちなみに、一般的な速乾性インクは、紙に速く浸透するため乾きが速いのですが、そのぶんインクのにじみや、裏抜け(紙の裏まで描線がにじみ、裏から見えてしまう状態)が起こることもあったそうです。
しかし、『uni-ball one』インクの場合、液体成分は素早く浸透し、固形分は紙面に残るよう成分比を変えているので、速く乾くのに、にじまず裏抜けもしないのだとか。実際に、手元にあった速乾性ゲルインクのボールペンと、『uni-ball one』を比較してみると……、
ホントだ。筆者の強靭な筆圧のせいで、いずれも裏面がボコボコになっていますが、たしかに『uni-ball one』はインクが裏抜けしていません。もちろん、書いた際の “にじみ” もなし。
ちなみに上の画像では一見すると同じような濃さに見えますが、それは速乾性ゲルインクのボールペンが0.7㎜で、『uni-ball one』が0.5㎜であるためです(【図1】で使った0.5 ㎜ゲルインクペンが速乾性ではないために、やむをえず上の試行では0.7㎜を使用した)。つまり、濃く発色がいいので、太い文字と比べても同じように濃く見えるということ。
もしも同じボール径であれば、先の【図1】のように『uni-ball one』のほうが濃く見えるでしょう。ボール径に差があっても、次のように実際に塗りつぶしてみると、濃度の差が表れます。
じつは筆者、にじみや裏抜けがイヤで、それがない油性ボールペンを好んで使っていますが、発色の悪さだけが少々不満でした。その欠点をなくし、いいとこどり(にじまず、濃い、しかも記憶に残りやすい)なら、『uni-ball one』を使わない手はありませんね。
(ここまでの参考元:三菱鉛筆株式会社|ユニボール ワン)
より濃くて黒いボールペンで勉強してみた
そこでさっそく、『uni-ball one』と普通のノートを使い、仕事に役立つ心理学系の専門用語を学びながら、記憶力向上を図ってみることにしました。
具体的には、公認心理師・臨床心理士をはじめ、心理支援や心理臨床に関わりのある職種の方々が発信するオンライン・マガジン「シンリンラボ」内にある、学習を軸にした心理学用語を中心に、必要に応じてリサーチしながら自分なりに解釈し、自分の言葉で要約しつつ、学んでいきます。
そうして、実際にやってみたところ――
(ノートの中身参考元:シンリンラボ|24:学習)
細かい文字を書いたので、一見つぶれているようにも見えますが、よく見るとイヤな “にじみ” はいっさいありません。また、相変わらず筆者の強い筆圧のせいで、ノートの裏面はボコボコですが、インクの裏抜けはまったくなし。
そして、適度な摩擦があって書きやすく、本当に、“濃くて黒い” と感じるボールペンでした。その黒く鮮やかな発色ゆえ、読み返しやすく、なんだか書いた内容も、グイグイ頭のなかに入ってくる感覚があります。
ただ、そのせいでしょうか、書き進めていくと、なんだか頭のなかがいっぱいいっぱいになってしまう気が……。
いつもは『uni-ball one』の7割ぐらいの濃さにしか見えない油性のボールペンを使っているので、濃い黒色がひっきりなしに目に飛び込んでくると、頭が渋滞した状態になってしまうのかもしれません。
そこで今度は、すべてではなく、特に頭に入れたい部分のみを濃い黒色で書くことにしました。覚えたい用語と、自分の言葉による解釈だけを『uni-ball one』で書き、それ以外(専門家による説明を書き写した部分)は、いつも使っている油性のボールペンで書いてみたのです。すると――
(ノートの中身参考元:同上)
かなりいい感じです!
黒だけで書いているのに、メリハリが利いているので脳が飽きません。また、薄めの文字の文章(油性のボールペン)と、濃いめの文字の文章(uni-ball one)を見比べて、視線を行ったり来たりさせても混乱しないのです。
なおかつ自分の言葉を濃い色で書くと、いつもより印象深く、理解が深まりそうな感じがしました。記憶力の向上は、大いに期待できそうです。
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学び続けるビジネスパーソンの方々が勉強用のツールを選ぶ際に、ちょっとしたヒントになれば幸いです。