成功と高年収をつかみ取るために必要な、知性 “以外” の大切なもの。

成功と高年収をつかみ取るために必要な、知性 “以外” の大切なもの。

成功するには「知性」だけではなく、「非認知能力」も重要だといいます。AI社会を生き抜くためにも必要なのだとか。それを示す最新の研究や、数十年にわたる追跡調査、「非認知能力」を鍛える方法などをご紹介します。

「非認知能力」とは?

非認知能力」は、経済学や心理学、教育学で使われる言葉です。IQや学力テストで測定できる認知能力(知性)以外の、“内面の力“を指します。目標に向かって頑張る力忍耐力コミュニケーション能力感情をコントロールする力誠実さなどのことです。

2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン氏は、幼少期に「非認知的」な能力を身につけておくことが、大人になってからの幸せや経済力につながると主張しています。

同氏が貧困世帯の3~4歳の子どもたち123人に行った追跡調査では、プリスクールに通い「非認知能力」を身につけた子供たちは、そうでない子供たちに比べ、40歳になった時点で収入が多い、持ち家率が高い、学歴が高いなどの違いを示したそう。

知性以外のものも大切である

最新の研究では、アデレード大学とブリストル大学が、学校とキャリアにおける成功には、知性以外のものも必要であるという長年の信念を検証しました。

Nature Human Behavior 誌に掲載(2018年11月)された両大学の研究は、12歳以下の子供における「非認知能力」の影響について、9,553の出版物をスクリーニングし、554の適格な出版物をレビューし、222のより高品質な出版物の結果を解釈するという、文献全体を体系的に見なおした初めての調査なのだそう。

研究および出版に偏りがある可能性も示唆されていますが、この研究によって、成功には知性だけではなく、「非認知能力」も重要であるという仮説的証拠が示されました

AI社会を生き抜くには「非認知能力」が必要

産業医で文筆家の辻秀一氏も、複雑化し、著しくAIが発展していく社会では、知性以外の「非認知能力」も必要だと述べています。AIにはまだ実現できない「心のマネジメント(=非認知能力)」こそが人間らしさであり、それがビジネスパーソンにとって成功のカギになるとのこと。

「非認知能力」は、大人になってから鍛えることが難しいという見解もありますが、辻氏は大人であるビジネスパーソンやアスリートたちに、「非認知的能力」を身につけるためのトレーニングを行っているそうです。

また、教育経済学を研究する慶応大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の中室牧子准教授も、著書『「学力」の経済学』のなかで、「非認知能力は大人になっても可鍛性のある(変化する)ものが少なくない」と伝えています。

「非認知能力」を鍛える方法

ではここで、中室牧子氏や辻秀一氏、社会学者の古市憲寿氏のアドバイスを参考にした、「非認知能力」を鍛える方法をご紹介します。

方法1【継続と反復で「自制心」を鍛える】

中室牧子氏は、人生を成功に導くうえで重要だと考えられている「非認知能力」のひとつに、「自制心」を挙げています。「自制心」は「筋肉」のように鍛えるといいのだとか。つまり、腹筋運動やスクワットを毎日繰り返し行って筋肉を鍛えるように、何かを繰り返し継続的に行うことで、自制心を鍛えるわけです。

心理学の分野でも、「計画・記録・達成度の管理」が自制心を鍛えるのに有効であると、多数の研究で報告されているそう。たとえば、こういった具合です。

<ウォーキング>

  1. 「ウォーキングを始めよう」と決め
  2. 「1日の歩数を記録」して
  3. 1ヵ月で「ベストの歩数(快適さ、体重維持など)」を決め、
  4. それを継続する(ベスト歩数は時折更新)

<読書>

  1. 「毎日30分読書しよう」と決め
  2. 「読み終わったら読書時間を通算」して
  3. 「読んだ本」と「読書時間」を「記録」し
  4. それを継続して、より速く読めるようにする

方法2【普段から「気づき」を意識する】

辻秀一氏は、心の状態をセルフマネジメントする「非認知脳力」こそがライフスキルだといいます。ライフスキルとは、WHO(世界保健機関)が「日常の様々な問題や要求に対し、より建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」と定義している言葉。

そして、そのライフスキルを身につけるには、思考や意識のトレーニングをひたすら繰り返すしかないそう。そうしたことから、同氏が「非認知脳力」トレーニングを行う際に、伝えるのは以下の3つだといいます。

  1. 自分の機嫌、感情に気づく
  2. 過去や結果にとらわれている自分に気づく
  3. 未来に揺らぐ自分に気づく

たとえば「うまく仕事が進まない」とき、その理由が「仕事量の多さや、複雑さ」だと思い込んでしまいそうなところを――

  1. イライラしている自分に気づき(機嫌・感情)
  2. 前回も同じだったこと、早くしないと評価にひびくと焦る自分に気づき(過去・結果)
  3. 「きっとまたうまくいかない」と思い込む自分に気づく(未来に揺らぐ)

――という具合です。もちろん1~3というステップではなく、個別に気づくかたちでもOK。大切なのは、“気づき”で「心が整い、パフォーマンスの質が高まる」こと。

自分のイライラが、根拠のないものだと気づけば、感情をコントロールでき、平常心を保って物事をコツコツ行う忍耐が生まれ、その繰り返しが成功体験となり、頑張る意欲がわきあがるはずです。

方法3【自分に合う「コミュニケーションの型」を見つける】

古市憲寿氏は、「非認知能力」のひとつであるコミュニケーション能力について、その人なりの「コミュニケーションの型」の最適解はあるとし、自分に合った「コミュニケーションの型」を見つけることが大事だと述べています。つまり、「自分はコミュニケーション力を育まずに大人になってしまったからもう無理」、あるいは「社交的に振る舞い、笑顔で快活に人と接することなんて無理」と落ち込む必要はないということ。

たとえば喋ることが苦手で書くことが得意なら、「あの人のメールは、とてもわかりやすくて気づかいがある」というのも自分らしい「コミュニケーションの型」のひとつ。あるいは、社交的に振る舞えなくても、最初と最後の挨拶はきっちりと丁寧に行い、アフターフォローのメールを大切にすることも、自分らしい「コミュニケーションの型」のひとつです。

世間一般の「コミュニケーションらしいコミュニケーション」にとらわれることなく、大人になっても、自分が無理せず苦労なくできる「コミュニケーションの型」を見つければいいとのことです。

***
多くを学んで知性を高めつつ、「継続・気づき・自分なりのコミュニケーション」で、「非認知能力」を鍛えましょう!

(参考)
The University of Adelaide|More than intelligence needed for success in life
Nature Human Behaviour|A systematic review and meta-analysis of effects of early life non-cognitive skills on academic, psychosocial, cognitive and health outcomes
NHKエデュケーショナル|子育てに役立つ情報満載【すくコム】|世界で注目される非認知的能力って?
Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)|これからの時代を生き抜く「ご機嫌マネジメント」スキルの重要性
BEST TIMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ| 【4月毎日更新!】一流の秘密、30問30答・古市憲寿さん|「30代からコミュニケーション能力をあげるには?」古市憲寿さんに聞く!(30)
『日本の人事部』|「非認知能力」とは?
コトバンク|ライフスキルとは
中室牧子著(2015),『「学力」の経済学』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.

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