「読んで覚えるのは得意だけど、耳で聞いたことは頭に残らなくて……」
そう困ったことはありませんか?
口頭でレクチャーを受けたり、自己紹介されたりする機会は多いもの。「耳で覚える」ことが苦手だと、苦労しますよね。
この記事では、「聴覚情報を記憶しにくいのはなぜか」「どうすれば覚えられるようになるのか」を考えていきます。
「セミナーや講演会では集中して聴いているつもりなのに、内容をほとんど覚えてない……」
そんなあなたの助けになれば幸いです。
聞いて覚えるのが苦手な理由
耳で覚えるのが苦手である理由としては「認知特性」が挙げられます。『医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン』(光文社、2016年)を著した医学博士の本田真美氏は、認知特性をこう説明しています。
人がそれぞれもっている記憶や思考の仕方の“好み”
(引用元:Cosmopolitan|学習やコミュニケーションに活かす!自分の「認知特性」を知る重要性)
認知特性の考えでは、「得意な感覚」が大きく3つに分けられるそう。
- 視覚
- 言語
- 聴覚
「聞いて覚えるのが苦手」という人は、聴覚系の認知特性ではないと考えられるのです。
本多氏によると、認知特性は「生まれもったものと過ごす環境の両方から形成される」のだそう。つまり、いまのあなたの認知特性が聴覚系でなくても、環境を変えれば聴覚からの記憶がやりやすくなるかもしれないのです。
聴覚記憶のトレーニング
では、どうしたら耳で聞いたことを記憶に残しやすくなるのでしょうか?
脳科学者として知られる加藤俊徳氏は、脳の機能を8つに分け、「脳番地」と呼んでいます。
聴覚記憶に関係しているのは「聴覚系脳番地」。加藤氏は次のように説明しています。
聴覚系脳番地は左右の耳の深部にあり、音声を捉えるだけでなく、音声を情報として理解し、記憶として定着させるための橋渡しをします。聴覚系脳番地が衰えると、音や言葉が情報として脳にインプットされず、聞き間違いが増えたり、人との会話を煩わしく感じたりします。
(引用元:ゆほびかweb|80歳からでも脳は育つ! 効率よく脳を刺激し一生成長させる「脳番地別5分脳トレ」(後編) 太字による強調は編集部が施した)
耳からの記憶力を高めるには、聴覚系脳番地を鍛えるのがよさそうですね。
加藤氏によると、聴覚系脳番地は「音声を意識的に聞こうとすること」で鍛えられるそう。同氏が具体的に推奨するのは、ラジオを聴くことです。
ラジオを聴く習慣がない人も多いのではないでしょうか。聴覚記憶が苦手な自覚がある人は、インターネットでラジオを聴けるサービス「radiko」などを利用して、ラジオに触れてみてください。
おすすめのラジオ番組は、「ラジオを聞きながら勉強しても大丈夫?」で紹介しています。
ラジオ以外にも、次の方法で聴覚系脳番地を鍛えられそうです。
- ポッドキャスト
- オーディオブック
- オーディオドラマ
「聞いて覚えるのが苦手……」という方は、こういった媒体に触れる機会が少ないのではないでしょうか。
書籍やWebサイトといった「視覚」で情報収集することが多いかたも、ぜひ上記のような聴覚系のメディアに挑戦してみてください。聴覚記憶が徐々に鍛えられ、耳で聞いたことが覚えやすくなっていくかもしれません。
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聴覚による情報収集が苦手な方向けに、背景にある「認知特性」と、改善策をお伝えしました。
認知特性は人によって異なります。苦手な領域を伸ばすことで、情報を吸収しやすくなり、仕事や勉強でさらに力を発揮できるようになるはず。
ラジオ、ポッドキャスト、オーディオブック、オーディオドラマといった聴覚系メディアは、楽しみながら聴覚記憶を鍛える手段として有効です。試してみることで、あなたの認知特性が進化していくかもしれません。
挑戦を恐れず、ぜひ一歩を踏み出してみてくださいね。
(参考)
Cosmopolitan|学習やコミュニケーションに活かす!自分の「認知特性」を知る重要性
ゆほびかweb|80歳からでも脳は育つ! 効率よく脳を刺激し一生成長させる「脳番地別5分脳トレ」(前編)
ゆほびかweb|80歳からでも脳は育つ! 効率よく脳を刺激し一生成長させる「脳番地別5分脳トレ」(後編)
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STUDY HACKER 編集部
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