今日も遅くに帰宅——。玄関には積み重なった未読のタスク管理本。GTDやポモドーロ・テクニック、どの方法も実践しきれずに挫折してきた。画面を開けば広がる無限のToDoリスト。家族との約束も、友人とのランチも、ジムにも行けない。「タスク管理がうまくいかない」「時間管理ができない」という悩みを抱える方は少なくないでしょう。
実は、ITの世界には「スクラム」という効率的なプロジェクト管理手法があります。短い期間で計画と実行を繰り返し、チーム全体でゴールを目指していく——。アメリカを中心に注目を集め、アメリカ国内の企業の約58%が採用しているというこの手法を個人の時間管理に応用できないか?
『「いつも時間がない人」のための タスク管理の結論』は、工学博士の北村拓也氏が提案する、画期的な新メソッドの書籍です。プログラミングスクールの全国展開など複数の事業を成功させ、現在は広島大学特任助教として活躍する著者が、スクラムの考え方を個人向けにカスタマイズ。さらに「ウェルビーイング(心身の健康)」の視点を組み込んで開発したのが、本書で紹介される新しいタスク管理術です。
本書では、タスクをこなすだけの生産性向上ではなく、仕事もプライベートも充実させる「ウェルビーイングスクラム」という新発想のタスク管理術を紹介。さらに、実践に役立つNotionテンプレートも特典として提供されています。教育者としての経験も持つ著者だからこそ実現できた、わかりやすい説明と実践的なアプローチで、時間管理に悩むビジネスパーソンの働き方を変える一冊です。
なぜ、今この本なのか
タスク管理の方法論は、ビジネス書の王道として数多く出版されてきました。GTD(Getting Things Done)やポモドーロ・テクニックなど、それぞれに優れた特徴を持つ手法が広く実践されています。
しかし、こうした従来型のタスク管理には、ある本質的な課題がありました。「効率的にタスクをこなせるようになっても、心が満たされない」「生産性は上がったのに、家族との時間も自分の時間も削られていく」。多くのビジネスパーソンが、こうした矛盾した状況に直面しているのではないでしょうか。
そんな中で注目したいのが、本書が提案する「ウェルビーイングスクラム」です。著者の北村拓也氏は、IT業界での経験を活かし、単なる生産性向上ではない、新しいタスク管理の形を提示します。それは「ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)を持続させるためのライフデザイン術」。時間に追われる日々から、自分の人生において大切なことに集中できる働き方への転換を可能にします。
本書の特徴は、具体的なステップや実践例を通じて、誰でも簡単に始められる方法を示している点です。締切に追われ、タスクをこなすことに精一杯な毎日から、心に余裕を持って生きる術を、実践的に学ぶことができます。
従来型のタスク管理術の”いいとこどり”
タスク管理の手法は、それぞれに優れた特徴があります。GTDは頭の中のタスクを整理し、ポモドーロ・テクニックは集中力を高め、アイゼンハワー・マトリクスは優先順位づけを支援します。しかし、これらを単独で実践しようとすると、継続の難しさやストレスを感じる方も少なくありません。
以下が、代表的なタスク管理手法の特徴です。
手法 | 特徴 | 主なメリット |
---|---|---|
GTD | タスクの書き出しと整理 | 頭の中のモヤモヤを整理できる |
ポモドーロ・テクニック | 25分作業+5分休憩 | 集中力の維持と向上 |
アイゼンハワー・マトリクス | 緊急度と重要度による分類 | 優先順位の明確化 |
IF-THENプランニング | 条件と行動のセット化 | 習慣形成のサポート |
スクラム | 短期計画の繰り返し | チーム全体の効率化 |
「ウェルビーイングスクラム」は、これらの手法の「いいとこ取り」をしながら、1日わずか15分で実践できる新しいフレームワークを提案します。著者の北村拓也氏自身も、この手法を実践することで、5社の役員を務めながら広島大学大学院を飛び級で卒業し博士号を取得。その間にも、創業したプログラミングスクールを20店舗以上に展開するなど、仕事と生活の充実を両立してきました。
さらに本書の特徴は、その学術的な裏付けにもあります。ハーバード大学、コーネル大学、東京大学などの研究論文を含む50以上の文献に基づき、精神科医の監修も受けているのです。既存のタスク管理手法の良さを活かしながら、より持続可能な形で成果を出していく——それが「ウェルビーイングスクラム」の目指すところです。
シンプルに始めるウェルビーイングスクラム:1日15分からの習慣づくり
タスク管理の新手法を導入するとき、多くの人が「難しそう」「続けられるだろうか」という不安を感じます。本書では、そんな不安に応えるため、「最小限の導入ステップ」を提案しています。導入ステップのうち、最初の3つを見ていきましょう。
- 日次ゴール
「今日、最も重要なアクションを決めて、家族や友人、SNS上で宣言」します。
たとえば、「新規営業を10社する」ことを日次ゴールで設定したとしましょう。普段なら午前中はメールチェックに時間を取られる1日ですが、思い切ってメール対応は午後に回し、朝一番から営業回りに集中。「この企業だけは外せない」というターゲット企業を優先的に訪問することで、午後4時には目標を達成……という具合です。 - ポモドーロ・テクニック
15分の作業と5分の休憩を1セットとし、これを4回繰り返します。4セット(計80分)が終わったら、長めの休憩を取ります。
15分という手の届きやすい目標なら「とりあえずこの15分だけ」と集中して作業を進めやすくなるのではないでしょうか。さらに、休憩をしっかりとることで、次の15分により集中して取り組めるようになります。
- やりたいことリスト
日次ゴールのストックとなる「やりたいことリスト」の作成をします。やりたいことを書き出すことで、毎日の日次ゴールを考える負担が減るそうです。
本書では、これらのステップを実践するためのツールとしてNotionを推奨しており、読者特典として専用のテンプレートも提供されています。優先順位づけや人生計画への展開まで、段階的に実践の範囲を広げていける構成となっているのです。
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ウェルビーイングスクラムを実践することで単にタスクをこなすだけの忙しい毎日ではなく、時間にも心にもゆとりを取り戻し、より充実した人生を送れるでしょう。ぜひ、本書を読んで実践してみてくださいね。
北村拓也(2024),『「いつも時間がない人」のための タスク管理の結論』, 総合法令出版.
PR TIMES|タスク管理とウェルビーイングを両立した最強のフレームワークを提案 ビジネスで日常生活ですぐ始められる 新刊『「いつも時間がない人」のためのタスク管理の結論』発売
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。