リスキリングはお試しから|無料で始める3大学習プラットフォーム比較

勉強をする人

「リスキリングは必要かもしれないけど、いきなり高額なスクールに通うのは不安だな……」

デジタル化の波が押し寄せる中、こんな風に考えている方もいるのではないでしょうか。新しい分野への興味はあるけれど、自分に合っているかどうかもわからないまま、いきなり費用をかけるのは躊躇してしまいます。

じつは、リスキリングは無理なくスタートできます。無料、安価で利用できるオンライン講座や給付金制度を活用すれば、まずは低コストで試してみることが可能です。
今回は、気軽に始められる、賢いリスキリングの方法を紹介します。

「リスキリング」とは?

「リスキリング」という言葉を最近よく目にしますが、具体的にはどういうことなのでしょうか。シンプルに言えば、リスキリングとは、新しい知識やスキルを学んで実践し、キャリアアップやキャリアチェンジにつなげることを指します。

たとえば、営業職の方がデータ分析を学んでマーケティング部門へ異動したり、経理担当者がクラウド会計のスキルを身につけてDX推進担当になったりするケースが、具体的なリスキリングの例といえます。

株式会社第一生命の白石香織氏は、政府がリスキリングに注力する目的について「政府は労働者を新しい成長分野に移動させることで産業構造の転換を後押しし、労働生産性の向上および持続的な賃上げにつなげたいと考えている」と述べています。*1

社会全体の大きな流れとは別に、個人レベルで見ても自分のキャリアの可能性を広げたいと考えているなら、リスキリングという選択肢を検討してみる価値はあるでしょう。特に、安価なオンライン講座や給付金制度を利用すれば、リスキリングを低コストで始める方法がいくつもあるのです。

それでは具体的に、あなたの状況に合った学び方を見ていきましょう。次項では、タイプ別におすすめのリスキリング方法を紹介します。

タイプ別! ぴったりのリスキリング方法

では、自分にぴったりのリスキリング方法を見つけてみましょう。

  • まだ、なにを学ぶか決めていない。いろいろな分野にふれながら、合うものをじっくり検討したい→オンライン学習プラットフォーム
    • 体系的に学びたい→Umedy
    • ひとりでマイペースに学びたい→JMOOC
    • 仲間と双方向で学びたい→Schoo
  • お金のかかる講座の受講・資格取得を目指している→学び直し制度の活用

迷う女性

1. オンライン学習プラットフォーム

Udemy(ユーデミー)

Udemyとは、世界中の講師と受講者をつなぐオンラインの学習プラットフォームです。2024年12月現在、25万を超える講座が開講されており、プログラミングやデジタルマーケティングといったビジネススキルから、写真や音楽などの芸術分野まで、幅広い分野をカバーしています。

Udemyの最大の魅力は、体系的なカリキュラム設計にあります。後述のJMOOCやSchooが単発の講座として完結するのに対し、Udemyは学習の全体像を見据えたカリキュラムを組み、それに沿って動画コンテンツが制作されています。そのため、まるで専門書を一冊読み通すように、基礎から応用まで段階的に学習を進められるのが特徴です。

料金体系は講座ごとの買い切り制で、一般的に1~3万円台の価格設定になっています。ただし、定期的に90%オフなどの大幅割引セールを実施しているので、お目当ての講座は「ウィッシュリスト」に入れておき、セール時に購入するのがおすすめです。なお、一部無料講座も用意されており、各講座のプレビュー動画も無料で視聴できます。

「プログラミングを基礎から本格的に学びたい」「デジタルマーケティングのスキルを着実に身につけたい」といった明確な目標がある場合は、体系的に学べるUdemyの講座を選ぶのが効率的です。

JMOOC(ジェイムーク)

JMOOCは、「誰でも、無料で、一流の学びにアクセスできる」をコンセプトにした日本の学習プラットフォームです。

2012年にアメリカで始まった「MOOC(Massive Open Online Courses=大規模公開オンライン講座)」の日本版として展開されており、大学や一流企業が提供する本格的なオンライン講座を、インターネット環境があれば無料で受講できるのが特徴です。*2

講座のラインナップは驚くほど多彩です。デジタルトランスフォーメーション(DX)やデータサイエンスといった最新のビジネススキルから、AI・プログラミングなどのテック系スキル、さらには教養を深める人文科学まで、幅広い分野をカバーしています。

特に「ビジネスと経営」カテゴリが充実しています。マネジメント層向けにはビジネスプラン作成や組織マネジメント、戦略立案などの講座が用意され、実務者向けには営業力強化、ビジネス会計、DXリテラシーといった実践的な内容が提供されています。

学習スタイルは、働きながらでも無理なく続けられる設計になっています。標準的な講座は1か月で完結し、週単位でコンパクトに学習を進められます。

具体的な進め方としては、週始めに10分程度の講義動画が5~10本配信され、専用テキストでの予習・復習を行います。週末には理解度確認の課題が提示され、それを期限内に提出。これを4週間繰り返し、最終課題で修了となります。修了するとデジタル修了証が発行されるため、キャリアの証明としても活用できます。

Schoo(スクー)

Schooは、「学びをもっと気軽に、もっとインタラクティブに」をコンセプトにしたオンライン学習プラットフォームです。*3

最大の特長は、講座が生放送で配信されることです。平日の20時~22時を中心とした時間帯に、1時間程度のライブ講義が行われ、視聴しながらチャットで講師に質問したり、ほかの受講生と意見を交換したりできます。この双方向のコミュニケーションにより、オンラインでありながら教室で学んでいるような一体感が生まれるのが特徴です。

講師陣もほかのプラットフォームとは一味違います。IT企業の第一線で活躍するエンジニアや、急成長するスタートアップの経営者など、現場のプロフェッショナルが登壇することが多く、実践的な知見を得られると評価されています。

料金体系はシンプルで、生放送をリアルタイムで視聴する場合は無料です。過去の講義をアーカイブで視聴したい場合は月額980円のプランに加入する必要があります。JMOOCのような課題提出や修了証発行はありませんが、その分、気軽に学習を始められる点が魅力といえるでしょう。

2. 学び直し制度の活用

教育訓練給付金を利用する

種類 対象者 主な対象資格例 支給額
一般教育訓練
基礎的なビジネススキル向け
雇用保険加入期間1年以上 ・ITパスポート
・TOEIC
・ファイナンシャルプランナー
費用の20%
上限10万円
特定一般教育訓練
専門的なIT・DXスキル向け
雇用保険加入期間3年以上 ・AWS認定資格
・データ分析スキル
・プロジェクトマネジメント
費用の40%
上限20万円
専門実践教育訓練
高度専門職種向け
雇用保険加入期間2年以上 ・AI技術者認定
・ITSSレベル3以上
・中小企業診断士
費用の50%
上限年間40万円
※資格取得・就職で
追加支給あり

※ 離職者の場合は、離職日から1年以内に受講開始することが条件です

教育訓練給付金を利用するには、まず厚生労働大臣指定の講座に申し込み、受講を修了。その後、必要書類を提出して支給申請を行います。特にIT・デジタル分野の資格取得を検討している場合は、給付金制度を利用することで、大幅に費用を抑えることができます。

授業を受ける人たち

職業訓練を受ける

じつは職業訓練は、離職者向けのものだけではありません。中小企業で働く社会人を対象に、キャリアアップやキャリアチェンジを支援する短期の職業訓練プログラムも数多く用意されています。

これらのプログラムは、現役のビジネスパーソンでも参加しやすいよう、夜間や休日に開催されることが多く、比較的短期間で修了できるのが特徴です。

費用面でも、先ほど紹介した教育訓練給付金や各種助成金の対象となるケースが多いため、経済的な負担を抑えることができます。

「でも、自分の学びたい分野に給付金が使えるのか、 ひとつひとつ確認するのは大変そう...」

そんな方には、リスキリング専用のポータルサイトの活用がおすすめです。たとえば「マナパス」では、大学などが提供する学び直し講座の情報から各種支援制度まで、幅広い情報を効率的に探すことができます。

費用や教育訓練給付制度の対象であるかなど、条件を絞って検索できるため、自分に合った学びの選択肢を見つけやすいでしょう。

***
必ずしもリスキリングに高額な費用が必要なわけではありません。

身のまわりのサービスや制度をうまく活用して、できる範囲ではじめの一歩を踏み出してみませんか?

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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