勉強中の「音楽」について徹底考察。集中力が手に入る、音楽の聞き方と選び方。

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勉強中に音楽を聞いてよいのか、悪いのか。よいとしたら、どのような音楽なら勉強の妨げにならないのか……。「効率のよい勉強」を日々追求している皆さんなら、何度も気になっているかもしれませんね。

この記事で解説するのは、勉強する際の音楽についてです。皆さんの耳には普段、勉強中にどのような音が聞こえていますか?

音が一切聞こえないよう、耳栓をして集中している。 イヤホンでお気に入りのアーティストの曲を聞きながら、ノリノリで勉強している。 いつもカフェで勉強しているから、勉強中はいつもジャズが聞こえている。

このように、勉強中に聞こえてくる音は人によって様々なものがありますよね。一方で、勉強中は気分次第で音楽を聞いたり聞かなかったりする人もいるでしょうし、勉強中の音環境なんてあまりこだわったことない、という人もいることでしょう。

この記事では、そもそも勉強は音楽を聞きながらすべきなのか音楽を聞きながら勉強するとどのような効果が得られるのか。また、勉強中のBGMはどのような音楽を選べばよいかについて、詳しくお伝えしていきたいと思います。

勉強中に音楽を聞くメリット

勉強中に音楽を聞くことにはメリットがあります。「勉強にあまり集中できない」「なかなか勉強モードに入れない」「もっと効率よく勉強したい」といった悩みも、音楽を聞きながら勉強することで解決できるかもしれませんよ。

ここからは、勉強中に音楽を聞くと良い理由についてご説明しましょう。

無音より集中できる

勉強中に音楽を聞くことのメリットは、集中力が高まりやすいことです。いくつかの研究から、静かな環境よりも、ある程度の音が聞こえる環境にいるほうが、集中力や創造性が高まることが分かっています。

2012年に英オックスフォード大学の『Journal of Consumer Research』に掲載された研究結果によると、音の大きさが50デシベル程度の静かな環境(例えば図書館)よりも、70デシベル程度の適度な雑音が聞こえる環境(カフェなど)で作業をしたほうが、クリエイティブな成果を発揮できるのだそうです。雑音によって注意が散漫になると、脳は、雑音に負けないようにより注意深く考えようと働くからだといいます(ただし、周囲の音がカフェよりも騒がしい85デシベルだと、創造的な成果は出せなくなります)。

また、適度な雑音は、集中することが特に苦手な人にとって、集中力アップの助けになることが分かっています。

これは、2010年にスウェーデン・ストックホルム大学の研究者らが発表した研究結果で明らかになったもの。実験では、ノルウェーの学校に通う11~12歳の子どもたちを対象に、耳で聞いた文章を記憶するテストが行われました。すると、日頃から注意力が散漫な子どもの場合、読み上げられた文章の背後にホワイトノイズ(「シャー」と聞こえるような雑音)があった時のほうが、ノイズが無かった時に比べて、成績が上がったというのです。

なかなか勉強に集中できない人や、勉強効率をもっと上げたい人にとっては、適度に雑音があると良いことが分かりますね。

(※ただし上記の実験では、普段から注意力が高い子どもの場合は、ホワイトノイズが無かった時のほうが好成績をおさめたとのこと。日頃から集中しやすいタイプの人にとっては、ノイズは勉強の邪魔になりかねないので注意が必要です)

ドーパミンが出てやる気が高まる

勉強中に音楽を聞くと脳が活性化するため、勉強に集中しやすくなります。カナダ・マギル大学の研究チームが2011年に発表したところによると、好きな音楽を聞いて良い気分になっている時、脳内ではドーパミンという神経伝達物質が分泌されるのだとか。また、好きな音楽を聞く前の期待感だけでも同様の反応が見られるのだそう。反対に、好きではない音楽の場合には、ドーパミン分泌は活性化しないとのことです。

好きな音楽を聞いて気持ちが盛り上がると、脳の側坐核(そくざかく)という部分が活性化し、ドーパミンが分泌されます。ドーパミンは、やる気を導いて行動を起こさせようとするもの。好きな音楽を聞けば、勉強のやる気がアップするというわけなのです。

セロトニンが出てリラックスできる

勉強中に音楽を聞くと、リラックスでき、集中力が高まる場合があります。クラシック音楽と脳との関係を研究し、音楽療法CDの監修も手掛ける医師・医学博士の藤本幸弘氏によれば、クラシック音楽を聞くと、神経伝達物質のセロトニンやアセチルコリンが活発に分泌されるそう。

セロトニンは、心の安定や自信をもたらす物質。アセチルコリンは、学習や記憶に深く関係するほか、副交感神経の末端から放出され身体をリラックスさせる働きをします。クラシック音楽を聞くと、安定した心の状態が作れるので、物事に集中しやすくなるのです。勉強にも自信をもって集中して取り組めるというわけですね。

また、クラシック音楽の中には「1/fゆらぎ」というものが潜在していることが分かっています。1/fゆらぎとは、小川のせせらぎやそよ風など自然界の現象に多くみられるもので、不安定な揺らぎの現象のこと。

1/fゆらぎ研究の第一人者である武者利光氏が明らかにしたところによれば、この1/fゆらぎの音を聞くと、脳内がα波の状態になり、リラックスできるようになります。1/fゆらぎを含むクラシック音楽を聞くことで、緊張状態から解き放たれ、集中力を高めることができるのです。音楽のなかでも特にクラシック音楽が勉強に効果的ということですね。

記憶が定着しやすい 勉強中に音楽を聞くメリットとしては、「音楽と記憶が連動する」こともあります。皆さんは、昔のヒットソングを聞くと当時の出来事を思い出す……といった経験はありませんか。同じことを、勉強にも活用してみましょう。

懐かしい音楽、聞いたことのある音楽を聞くと、脳の中の「海馬」が刺激されます。海馬とは、記憶を司る部位のこと。音楽によって海馬が刺激されると、脳は、その音楽を聞いていた時に起きた出来事や関連した情報を引き出そうと働くのです。

参考書をひたすら読んだり単語を一心不乱に覚え続けたりするよりも、音楽という刺激を与えれば、勉強中の記憶をより強固なものにすることができるでしょう。

勉強「前」の音楽の役割

ここまで、音楽を聞きながら勉強することのメリットを科学的に説明してきましたが、今度は少し視点を変えてみましょう。音楽は、勉強を始めるときのルーティンとしても大いに活用できるのです。

勉強や目標達成を効率化させるためのルーティンとして、音楽を活用することを推奨しているのは、眼科医の猪俣武範氏。猪俣氏は、医師として勤務しながら英語を勉強し、ハーバード大学へ留学。そこで医学を学びながら、ボストン大学でエグゼクティブMBAの取得まで成し遂げたという人物です。

どんなに忙しくともキャリアアップの方法があることを自ら証明してみせた猪俣氏は、そのテクニックを綴った書籍で、次のように述べています。

私は音楽が好きなので、仕事によってBGMを使い分けています。テンションやモチベーションを高めたいときはクラブミュージックを、集中したいときはカフェで流れるようなジャズやクラシックを、リラックスしたいときは懐かしい邦楽を聴くようにしています。特に昔からファンのミスターチルドレンを聴くと、リラックスして、いいアイデアが浮かびます。

このように、自分の集中力が高まるルーティンを意識して導入することが大切です。

(引用元:Googleブックス|ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法 プレビュー

音楽は、勉強に集中するためのトリガーとしても役に立つのです。

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勉強におすすめの音楽の選び方

勉強する際にはどんな音楽を用意するとよいか、いくつか紹介しましょう。

まず大前提として、勉強しながら聞く音楽は、好きな音楽であることが大事です。その音楽を聞くと、良い気分になれて、前向きな気持ちになることが大切。そうでないとドーパミンが分泌されず、やる気が出てきません。次に紹介するものの中から、自分に合った音楽を見つけてみてくださいね。

クラシック、ヒーリングミュージック

上で述べたように、1/fゆらぎには、脳内をα波の状態にし、リラックスさせる働きがあります。勉強に集中するには、リラックスしていることが大事ですから、1/fゆらぎを持つクラシック音楽やヒーリングミュージック(癒し音楽)を選びましょう。

クラシック音楽としては、モーツァルトやベートーヴェン、ショパンなどの曲の中に、1/fゆらぎがあるそうです。

また、1/fゆらぎを持つヒーリングミュージックは、YouTubeで手軽に探すことができます。自然の音(雨や波の音、小鳥のさえずり、風がそよぐ音など)とピアノを組み合わせた、しっとりとした音楽が多くアップされているので、好きなものを見つけてみてください。

歌詞のない曲(ジャズやインストゥルメンタル)、あるいは洋楽

カフェで流れているようなジャズや、歌のないインストゥルメンタルもおすすめです。聞いていて気分が良くなれる、お気に入りのテイストのものを選びましょう。

大事なのは、歌詞が入っていない曲を選ぶということ。藤本医師によれば、歌詞が入っていると言語中枢が刺激され、歌に気を取られてしまうことがあるので、避けたほうがよいとのこと。ただし、歌詞がある場合でも母国語以外のものを選べば、そのリスクは回避できます。また、全く聞いたことのない曲だと、曲を意識してしまいがちなので、なるべく親しみのある曲のほうが良いでしょう。

環境音

前半で述べたように、適度な雑音は集中力や創造性を高めるのに役立ちます。音楽とは違いますが、環境音を聞きながら勉強してみるのも良いでしょう。環境音を聞くために、わざわざその環境まで足を運ぶ必要はありません。いろいろなものがWeb上で公開されていますので、積極的に活用してください。ここでは、その中のひとつをご紹介します。

おと風景

コーヒーカップがカチャカチャ鳴る音や、少しざわざわとした人々の話し声など、まるでカフェにいるかのような雰囲気が味わえる「カフェの音」のほか、「水の音」「虫の声」など、さまざまな自然音も公開されています。自然音に含まれる1/fゆらぎの効果も期待でき、勉強がはかどるでしょう。

勉強中の音楽03

音楽を聞いて勉強するときの注意

音楽を聞きながら勉強するときに、おさえておくべき注意点がいくつかあります。

試験本番で音楽は流れない

もし、入試や資格試験のようにテストを受けることを前提に勉強をしている場合、テスト本番においては、当然音楽は流れません。音楽を聞けるのは、試験会場に入る前まで。音楽に期待できるのは、テストを受ける前に集中やモチベーションを高めたり、記憶を引き出したりする効果です。

勉強中の音楽に慣れ過ぎてしまうと、音楽なしで勉強するのが辛くなってしまうかもしれません。そうならないためにも、テストが前提の場合は「勉強に音楽を聞く」という習慣をつけると良いでしょう。

音楽の選び方・聞くタイミング

上で述べたように、言葉に気を取られてしまう可能性があるので、歌詞がある曲は勉強中のBGMとしては良くありません。また、いくらお気に入りの曲が良いとは言っても、好きすぎる音楽では、いつの間にか音楽に没頭してしまう可能性も。

また、日頃から「音楽なんてかけなくても集中できる!」という人の場合は、勉強中に音楽を聞くことは負担になりかねません。

このように勉強中に音楽を聞くことが適切ではない場合は、休憩中に音楽を聞くようにしましょう。勉強と勉強の合間に好きな音楽を聞けば、気持ちが奮い立って、いっそうやる気が高まるはず。また、静かな環境で勉強している人にとっては、音楽が良い気分転換になりますよ。

***
勉強への集中モードに入ったり、創造性を高めたりするのには、音楽が大いに役立ちます。 音楽の聞き方、選び方次第で、勉強効率は大きく変わってきます。皆さんも、勉強中の音環境づくりにちょっとこだわってみてはいかがでしょうか。

なお、集中力を保つ方法については、「勉強に集中する方法まとめ。音楽・場所・食べ物を利用しよう」でも詳しく紹介しています。ぜひご参照ください。

(参考)
The Atlantic|Study of the Day: Why Crowded Coffee Shops Fire Up Your Creativity
MEN-ZINE|環境音にこだわって仕事をクリエイティブに!環境音の意外な役割とは
Wikipedia|ホワイトノイズ
AFPBB News|好きな音楽にワクワクする原因はドーパミン、カナダ研究
StudyHacker|「やる気」なんか甘え。東大生が教える、やる気がなくても勉強をスタートする方法。
タウンワークマガジン|集中力アップや暗記力向上に効果的!? 勉強にオススメのクラシック音楽
StudyHacker|“心地よさ” でパフォーマンス向上を。身近にある「1 / f ゆらぎ」で集中力をアップさせる。
Wikipedia|1/fゆらぎ
FUTURUS|人間を生かし、 名曲をも生み出す 「1/fゆらぎ」の謎【前編】
Googleブックス|脳が目覚めるたった1つの習慣 プレビュー
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