音楽で勉強に集中できる4つの理由。「ながら勉強」に効果はあるのか?

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「音楽を聞きながらでないと、なかなか勉強に集中できない。でも、本当にこれでいいのかな?」と迷っていませんか。「ながら勉強」はよくないと言われていますし、資格試験への準備やテスト勉強に悪影響が出ないか気になりますよね。

勉強に集中できるかどうかは、勉強や音楽の種類によって異なります。今回は、音楽が勉強への集中力に及ぼす効果を詳しく解説しましょう。勉強におすすめの音楽やアプリも紹介します。

音楽で勉強に集中できる理由

勉強時の音楽は、集中力を高めてくれる場合があります。まずは、音楽が勉強への集中を助けてくれる理由を4つ説明しましょう。

無音だと作業効率が落ちるから

音楽が勉強への集中に役立つ理由のひとつは、人間には無音だと作業の効率が落ちる傾向があるからです。

社会システム工学などを研究する五藤寿樹教授(九州産業大学)によれば、90人のオフィス労働者を対象に、音と作業効率の関係を調べた実験があります。それによると、被験者は「環境音楽を聞きながら」「ラジオを聞きながら」「無音で」という3つのグループに分けられました。そして、それぞれの環境下で「文書編集作業」に従事したところ、作業の正確さに以下の違いが現れたそうです。

  • 環境音楽:20%改善
  • ラジオ:ほぼ変化なし
  • 無音:マイナス

上述の実験の結論は、「ラジオまたは無音状態は作業の妨げになる」というものでした。

もちろん、音楽の種類や取り組む作業によって結果は変わるでしょう。しかし、「無音状態だと作業効率が落ちた」という研究結果があることは無視できません。勉強する環境が無音であるよりも、音楽が流れているほうが、集中できる可能性があります。

ドーパミンが分泌されるから

音楽が勉強への集中に役立つ理由としては、音楽は「ドーパミン」の分泌を促してくれることも挙げられます。

ドーパミンとは脳内物質の一種です。公益財団法人・東京都医学総合研究所の客員研究員である渡邊正孝氏によれば、前頭前野(思考や創造性を担う脳の部位)が効率的に働くには適量のドーパミンが必要とのこと。ドーパミンが過剰に分泌された状態では落ち着きを失ってしまいますが、ドーパミンが少なめの人であれば、ドーパミンの分泌量を増やすことで前頭前野がうまく働き、頭がさえて勉強に集中しやすくなるというわけなのです。

カナダ・マギル大学の研究チームは2011年、音楽とドーパミンの関係についての論文を発表しました。それによると、被験者たちに自分の好きな器楽曲(クラシック、ジャズ、ロックなど)を10曲ずつ用意させ、曲を聞いている被験者の脳を観察したところ、ドーパミンの分泌が確認されたそうです。

あまりやる気が出ないというときであれば、大好きな音楽を聞いてドーパミンの分泌を促すことで、意欲がわいて勉強に集中できそうですね。

セロトニンが分泌されるから

音楽が勉強への集中に寄与する理由としては、音楽によって脳内物質「セロトニン」が分泌されることも挙げられます。マギル大学の名誉教授で、音楽が心理に及ぼす影響を研究しているダニエル・リーバイティン氏によると、音楽はドーパミンだけでなくセロトニンも分泌させるそうです。

公益財団法人・テルモ生命科学振興財団によると、セロトニンには「人に安心感を与え、気持ちをリラックスさせる」という機能があります。興奮した神経を鎮めてくれるのです。

不安にとらわれたり、気持ちがムズムズして落ち着かなかったりする状態では、勉強に集中するのは難しいでしょう。そんなときはリラックスできる音楽を聞いて、気持ちを整えるのです。

海馬が刺激されるから

勉強中に音楽を聞くメリットとしては、「音楽と記憶が連動する」こともあります。皆さんは、昔のヒットソングを聞くと当時の出来事を思い出す……といった経験はありませんか。同じことを、勉強にも活用してみましょう。

懐かしい音楽、聞いたことのある音楽を聞くと、脳の中の「海馬」が刺激されます。海馬とは、記憶を司る部位のこと。音楽によって海馬が刺激されると、脳は、その音楽を聞いていた時に起きた出来事や関連した情報を引き出そうと働くのです。

参考書をひたすら読んだり単語を一心不乱に覚え続けたりするよりも、音楽という刺激を与えれば、勉強中の記憶をより強固なものにすることができるでしょう。

音楽が勉強の邪魔になることも

上述したように、音楽は勉強への集中を助けてくれることがあります。しかし、場合によっては音楽が勉強の邪魔になってしまうことも……。勉強中に音楽を聞こうとするとき、気をつけるべき点をご説明します。

音楽に頼りすぎない

「音楽があれば勉強に集中できる」からといって、勉強中にいつも音楽をかけていると、音楽がなければ勉強できなくなってしまいます。すると、外出先で勉強しようと思って出かけたあと、イヤフォンを忘れたことに気づいたら、「もう勉強できない」という事態になりかねません。それに、資格試験の本番や学校のテスト中に音楽は聞けないので、勉強の成果を発揮する肝心の場面で集中できないということになってしまいます。

「音楽がないから集中できない」という事態を避けるため、勉強中に音楽を流すのはほどほどにしておきましょう。音楽がなくても勉強に集中できるのが理想です。

歌詞のある曲を避ける

勉強中に音楽を流すのであれば、歌詞つきの曲は避けるべきです。

一般社団法人・日本人間工学会が発行する学術誌『人間工学』上で2009年に発表された研究によると、「歌詞のある音楽」「歌詞を抜いた同じ音楽」「無音」という3つの条件下で被験者に文章課題を行わせたところ、それぞれの条件において「作業量」に有意な違いは見られなかったものの、「誤答率」は「歌詞のある音楽」の場合が最も高かったそうです。その理由は以下のように推察されました。

  • 歌詞のなかに興味のある単語が現れたとき、そちらに注意を向けてしまう。
  • 聴覚と視覚から異なる情報を受け取って同時に処理するため、負担が大きい。

そして、「歌詞などの言語情報を含む音楽を流しながら(言語的作業を)行うことは望ましくない」と結論づけられたのです。

勉強中に聞く音楽は、歌詞のないものにしましょう。

勉強におすすめの音楽ジャンル

勉強におすすめの音楽を紹介します。普段は聞かないジャンルでも、ぜひ試してみてください。

クラシック

クラシック音楽には、勉強に役立つものがあります。勉強に役立つクラシック音楽の特徴は、「1/fゆらぎ」を持っていることです。音楽療法などを研究する伊藤輝子氏によると、1/fゆらぎの定義は以下のとおり。

(音高および音圧の)周期性を表す各周波数(振動数)f成分の対数に対するパワースペクトルを求め,各々の対数値が逆比例関係(回帰直線の傾きが-1.0000)になるようなゆらぎ

(引用元:J-STAGE|音楽に含まれる言語情報が文章課題に与える影響に関する検討

別の言葉で表現すると、

期待性と意外性が拮抗した、適度な相関性と適度な変化のバランスがとれた音楽

(引用元:同上)

とのこと。1/fゆらぎは、音の強弱が適度で、「最も精神の安定が得られる状態」なのだそうです。

勉強に集中するには、精神の安定が不可欠です。では、気持ちを落ち着かせてくれるという1/fゆらぎは、どの曲に含まれているのでしょうか? 伊藤氏が「1/fゆらぎの強い」音楽として実験に使ったのは、以下の4つです。

  • グノー「アヴェ・マリア」
  • マスネ「タイスの瞑想曲」
  • リムスキー=コルサコフ「インドの歌」
  • パガニーニ「カンタービレ」

実験で使用されたのは、全てバイオリンの独奏によるものです。上記の4曲ならオーケストラでも1/fゆらぎが強いのか、バイオリンの独奏曲は1/fが強い傾向があるのかは断言できませんが、クラシック音楽に興味のある人は試してみてはいかがでしょうか?

ヘビーメタル

ヘビーメタルも勉強に役立つ可能性があります。ヘビーメタルとは、ハードロックと呼ばれることもある、ロック音楽の一種。『大辞林』によれば「電気的に極度にゆがめた金属的なサウンド」が特徴です。

脳科学者の中野信子氏は、ヘビーメタルと勉強との関係を以下のように推測しています。

あくまでわたしの推論ですが、語学や資格取得のための勉強をするとき、成績優秀者に限っていうと、メタルを聴いている人のほうがより「頭が良くなる」と考えられるからです。

(引用元:StudyHacker|頭が良くなる音楽はモーツァルトではなく「ヘヴィメタル」だった!? 脳科学からいえるこれだけの理由

中野氏によると、成績優秀者は自身に対して「なぜまちがったのだろう」「次は失敗してはいけない」というネガティブなフィードバックをしやすいため、不安傾向が高いのだそう。そこでヘビーメタルを聞くとストレス発散や欲求不満の解消ができ、パフォーマンスが向上すると考えられるのです。

一般的に「ヘビーメタル」として認識されているアーティストのうち、有名どころを以下に挙げました。激しい音楽は苦手という人でも、いちど聴いてみたら、意外に気持ちが落ち着くかもしれませんよ。

  • レッド・ツェッペリン
  • メタリカ
  • X JAPAN
  • BABYMETAL

アンビエント

アンビエント(ambient)は音楽のジャンルとして定着していますが、もとは「環境」という意味。つまり、アンビエント音楽とは「環境音楽」です。メロディを主張せず、自然と環境に溶け込むアンビエントには、リラックスや作業能率向上の効果があると考えられています。

アンビエントのなかで特に有名な楽曲が、英国のグループ「マルコーニ・ユニオン」による”Weightless”です。”Weigtless”は、英国音楽療法協会の創立者であるリズ・クーパー氏の依頼・協力のもとで制作されました。60BPMから始まり、約5分間かけて徐々に50BPM程度まで落ちるリズム、繰り返しのないメロディなどの特徴を持っています。そして、”Weigtless”を含むさまざまな曲を被験者に聴かせ、心拍・血圧・呼吸などを観察してストレスレベルを測定したところ、被験者のストレスが65%も減少したため、”Weigtless”は「世界一リラックスできる曲」だと結論づけられました。

”Weigtless”はもちろんのこと、アンビエント全般は、勉強中に聞くのにおすすめの音楽ジャンルです。

勉強におすすめの音楽アプリ

勉強にぴったりの音楽を流してくれるアプリケーションは数多くありますが、なかでも筆者イチオシの「Focus@Will」(iOSAndroidWeb)をご紹介しましょう。

「Focus@Will」を提供するのは、2011年に設立された米ロサンゼルスのFocus At Will社。同社によると、「Focus@Will」は神経科学の知見にもとづいて作られており、”working, studying, writing and reading”における集中力と生産性を高めてくれるのだそう。

「Focus@Will」は、「気が散ること(distraction)」と「慣れ(habituation)」の2つを回避することを重視しています。たとえば、勉强の最中に近くで工事をしていたり、ラジオ番組が流れたりしていたら、ついそちらに意識が向いてしまうはず。勉強中に音楽を流すときも、意識を引かれないような曲を選ばなければなりませんよね。

そして、集中力を保つには「慣れ」も大敵。周囲の環境にずっと変化がなかったり、ずっと同じ勉强を続けていたりすると、その状況に「慣れ」て「飽き」てしまい、何か刺激を得ようとSNSをチェックしたりネットサーフィンをしたくなったりするのです。

「Focus@Will」は、”distruction”と”habituation”を防げるよう設計されています。まず、ストリーミングによって次々と再生される音楽は、それぞれ関連性のある曲が選ばれており、自然に次の曲に移行するよう工夫が施されているため、「あ、今、曲が替わったぞ」とユーザーに意識させて注意を引くことがありません。そして同時に、似たような曲が続かないよう配慮されているため、「同じ曲ばかりで飽きた」という事態も起きないのです。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、「気を引きすぎない」と「飽きさせない」のバランスをうまく保っているのが「Focus@Will」なのです。

「Focus@Will」には、主な「チャンネル」として「アップテンポ」「アンビエント」「水」など12種類が用意されています。気に入ったジャンルを選べば、同じ系統の、しかもそれぞれ異なった楽曲が永遠に流れつづけるのです。さらに、それぞれのチャンネルでは「エナジー」の種類を低・中・高の3つから選択できるため、自分に最も合った組み合わせを試せるわけですね。ちなみに、筆者は「アルファ・チル」の「低」を愛用しています。

チャンネル選びに迷うという人は、「おすすめチャンネル」機能を利用してみましょう。「カフェインやチョコレートなどの刺激物を1日に何回摂取しますか」「内向的ですか、外向的ですか」などの質問に答えていくと、ユーザーにぴったりのチャンネルを提案してくれます。いつも同じチャンネルしか流さないという人も、いちど使ってみるとよいですね。

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勉強への集中モードに入ったり、創造性を高めたりするのには、音楽が大いに役立ちます。 音楽の聞き方、選び方次第で、勉強効率は大きく変わってきます。皆さんも、勉強中の音環境づくりにちょっとこだわってみてはいかがでしょうか。

(参考)
AFPBB News|好きな音楽にワクワクする原因はドーパミン、カナダ研究
StudyHacker|「やる気」なんか甘え。東大生が教える、やる気がなくても勉強をスタートする方法。
StudyHacker|“心地よさ” でパフォーマンス向上を。身近にある「1 / f ゆらぎ」で集中力をアップさせる。
StudyHacker|「脳の活性化」の方法を徹底的に考えてみた。効果的な食べ物は、みんな知っている〇〇だった。
StudyHacker|頭が良くなる音楽はモーツァルトではなく「ヘヴィメタル」だった!? 脳科学からいえるこれだけの理由
J-STAGE|オフィス環境における積極的環境効果について
J-STAGE|聴覚刺激による積極的休養が味覚嗜好および食物摂取に及ぼす影響
J-STAGE|音楽に含まれる言語情報が文章課題に与える影響に関する検討
WIRED.jp|「音楽の陶酔」研究:脳内では「快楽物質」
WIRED.jp|元ロックプロデューサーの神経科学者に聞く、音楽と脳の関係(2)
公益財団法人テルモ生命科学振興財団|うつ病から分かったセロトニンの働き
コトバンク|ヘビーメタル
コトバンク|アンビエントミュージック
コトバンク|環境音楽
The Telegraph|Band creates the 'most relaxing tune ever'
Focus@Will|How it Works

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