「手書き勉強」と「デジタル勉強」。効果の違いは? どんな学習に最適? わかりやすくまとめました

「手書き勉強」vs「デジタル勉強」01

「紙やノートへ書いて勉強するのは、いまどき非効率ではないだろうか?」
「スマートフォンのアプリで勉強するなんて、本当に効果があるのだろうか?」

紙を使った手書きの勉強スマートフォンなどデジタルツールを使った勉強、どちらが自分に合っているのかいまいちわからず悩んでいる方はいませんか? この記事ではそれぞれの勉強のメリットや学習効果の違いについて解説し、上手な使い分け方を提案します。

「手書き勉強」のいいところ

まず、紙とペンを使う「手書き勉強」のメリットや学習効果を、ふたつご紹介します。

【手書きのメリット1】記憶に残りやすい

ひとつめのメリットは、勉強した内容を記憶しやすくなるという点。プリンストン大学のパム・A・ミューラー氏らによる研究で、講義のメモをパソコンでとるよりも手書きでとるほうが、概念の理解度を確かめるテストにおいて成績が高くなったと示されました。手で文字を書くという複雑な運動によって脳が刺激され、情報をより長期的に記憶できたのです。

タスク管理術「バレットジャーナル」の発案者であるライダー・キャロル氏も、手書きによるメモでは、時間がかかるという効率の悪さが逆に認知能力に作用して、情報が脳に蓄積されやすくなると言います。メモの内容を自分自身で推敲しながら文字化していくため、記憶に残りやすくなるのです。一方、キーボードで文字を打ち込む行為は機械的な作業になりがちで、情報は記憶に残りづらいとのこと。

【手書きのメリット2】「前頭前野」を活発化させ脳機能を向上させる

ふたつめは、脳の「前頭前野」という部位が働きやすくなるという点です。東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏によれば、前頭前野は「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「判断する」「集中する」「感情と行動をコントロールする」など、人間にとって重要な働きを多く担う部位。スマートフォンなどのデジタルツールは前頭前野の働きを抑制してしまう一方で、手書きでは前頭前野の働きが活性化し、日々の学習によい影響を及ぼすと述べています。

また脳神経内科医の長谷川嘉哉氏いわく、前頭前野を含む前頭葉のほか海馬など、手書きの際は脳の広い範囲を使うため、神経ネットワークが高度な状態に維持されるとのこと。デジタルツールを利用するよりも手書きで勉強するほうが格段に「脳にいい」と、長谷川氏は断言しています。

「手書き勉強」vs「デジタル勉強」02

「デジタル勉強」のいいところ

次に、パソコン・スマートフォンのアプリや機能を使う「デジタル勉強」のメリットや学習効果についてご紹介します。

【デジタルのメリット1】勉強への抵抗をなくせる

デジタル勉強のメリットは、なんと言っても勉強の効率を上げられること。『東大式スマホ勉強術』著者の西岡壱誠氏によると、実際に東大生たちもスマートフォンを活用して勉強効率を高めているそう。たとえば、問題集で解けなかった問題を写真に撮ってアルバムに入れておき、時間のあるときに振り返るなどしているとか。これなら、電車に乗っているときや外出先で誰かを待っているときなどのスキマ時間にも勉強できますよね。

あわせて、机に向かって勉強するより抵抗感がなく始められるというメリットも。中高生向けに学習指導を行なう田中正徳氏は、机に教科書やノートをわざわざ広げずとも、暇つぶしにスマートフォンをいじる感覚で勉強へ手をつけることができるのは、スマートフォン学習の大きな利点だと言います。学習時間を積み重ねやすく、勉強をおっくうに感じる人にはちょうどいいかもしれません。

【デジタルのメリット2】わからないことをすぐに解消できる

わからないことを検索エンジンですぐに調べられるというのも、見逃せないメリット。

現役東大生で『東大式節約勉強法』著者の布施川天馬氏は、効率的に勉強するためには「考えても仕方がないことはすぐに調べる」ことが重要だと言います。たとえば論文を読んでいて知らない用語が出てきたとき、スマートフォンやパソコンを利用すれば意味をすぐ調べられるでしょう。よくわからない単元があったときも、YouTubeなどで解説動画を見れば理解を深めることができます。

また前出の西岡氏によると、覚えにくい単語や熟語は「画像検索」すると、本質的な意味を理解でき覚えやすくなるそう。たとえば、ことわざ「背水の陣」について画像検索をすると、兵隊が敵に囲まれているイラストや崖を背にして追いつめられた武士の画像が出てきます。「切羽詰まっていて、もう一歩もあとには引けないギリギリの状況」という本来の意味を、必死に戦っているイメージとともに記憶できるのです。これはデジタル勉強ならではの利点だと言えますね。

「手書き勉強」vs「デジタル勉強」03

“復習・間違い直し” の勉強には「手書き」が向いてる!

以上のことをふまえながら、「手書き勉強」と「デジタル勉強」の上手な使い分け方を提案します。

まず、苦手な科目を勉強するときや復習に重点を当てたいときには手書き勉強がおすすめ。たとえば問題復習ノートを作成してはいかがでしょう。

問題復習ノートとは、問題集やテストなどで間違えた問題の文章を写し、誤答の内容と正しい解答を両方書くノートのこと。東大生が書いたものなど数多くのノートを取材してきた太田あや氏が推奨しています。脳が活性化するだけでなく、自分専用の参考書として試験前に見直すのにとても役立つのだそう。

太田氏が挙げるノート作成時のコツは次の2点。

  • ノートで使う色は3色以内
    書くことに集中するのに加えて、重要な部分だけを目立たせるため。
  • 間違えた答えはそのまま書き、正しい答えを横に書く
    間違えた理由を分析して、弱点をクリアにするため。「ケアレスミス」「きちんと覚えていなかった」など間違えた原因も一緒にメモする。

以下は、 筆者が法律の勉強時に実際に作成した問題復習ノートです。ベースに黒色、解答や最重要なポイントを赤色、最重要ポイントにつながる箇所は青色とルールを決めて色分けをしています。自分の間違いにしっかり向き合ったことで、次は絶対に間違えないという自信になりましたよ。ぜひ試してみてください。

「手書き勉強」vs「デジタル勉強」04

“スキマ時間” の勉強には「デジタル」が向いてる!

「デジタル勉強」が向いているのは、まとまった時間がなくスキマ時間を活用したいとき

西岡氏は、スキマ時間の暗記勉強の効率を上げるデジタルツールとして、モノグサ(Monoxer)iOSAndroid)というアプリを推奨しています。これは、覚えたい単語や項目をあらかじめ入力しておけば、入力した情報をもとにAIが多種多様な問題を自動的に作成してくれるというもの。たとえば「1582年に起きた本能寺の変では、織田信長が明智光秀に討たれた」と入力すると、年号・出来事・人名の部分を空欄にした選択問題をAIが作成し、間違えやすい選択肢を混ぜつつ出題してくれるのです。

資格用語などの暗記資料を、自分でつくるのはなかなか大変ですよね。また記憶するのに手書きが向いているとは言え、勉強時間は限られているもの。同氏は、AIが作成した問題をただ解いていくだけで、無理な努力をせずとも簡単に覚えられると述べています。ほかにも、ポッドキャストを利用するなどデジタルツールをスキマ時間に使えば、無駄を省いて効率的に勉強できますよ。

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紙とペンを使う手書き勉強と、スマートフォンやパソコンを使うデジタル勉強。あなたにとって学習効果を最大限に高められる勉強法は見つかったでしょうか。どちらかに絞れなくても、その時々に合ったやり方で勉強してみてくださいね。

【ライタープロフィール】
YOTA

大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

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