HSS型HSPとは? 矛盾だらけの特徴と、気持ちが楽になるコツ。

矛盾だらけの「HSS型HSP」。刺激を求めるのに疲れやすくて傷つきやすい人が “ラク” になるコツ

アメリカの心理学者が見いだした、HSPと呼ばれる非常に敏感な人々のなかには、外向的な「HSS型HSP」が存在します。

「とても傷つきやすいのに、刺激を求めずにはいられない」という方は該当するかもしれません。じつはいつも不安なHSS型HSPの人の気持ちが少しラクになるコツを紹介します。

HSP全般については「もしかして自分かも? 5人に1人のHSP気質とは」をご覧ください。

HSS型HSPとは

HSP(Highly Sensitive Person)という概念は、アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン博士によって見いだされました。 生まれつき感覚情報を処理するプロセスが高度(深く細かい)な人々のことで、どの社会にも約2割は存在するとのこと。とても敏感で傷つきやすく、共感力や直観力、想像力に長けた人々を指します。

そして、そのなかの3割を占めているのが、冒頭で紹介した「HSS型HSP」なのだとか。HSSとはHigh Sensation Seeking(刺激探求型)のことで、どちらかというと外向的で好奇心が強いタイプ非常に敏感なのに刺激を求めてしまう人です。

日本では数少ないHSPの臨床医として知られる、十勝むつみのクリニック院長・長沼睦雄氏の著書には、以下のとおりHSSとHSPの分類が示されています。

HSS型HSP、HSP、HSS、HSSでもHSPでもない人の特徴

(※長沼睦雄氏著の『敏感すぎる心がスーッとラクになる本』(扶桑社)内の図を参考に筆者が作成)

HSS型HSPの特徴

ご自身も当事者であり、日本で初めてHSS型HSPに特化した心理カウンセラーとして活躍する時田ひさ子氏いわく、「HSS型HSPは矛盾を抱えている」とのこと。新しい経験や情報を求め、よく外に出ては人と関わりますが、非常に敏感なので結局いつも傷ついてばかり。刺激は欲しいけれど傷つきやすい――それがHSS型HSPなのだそうです。 いくつか特徴を挙げてみましょう。

  • 刺激は求めるが ⇔ 外に出ると疲れる
  • やらなきゃわからないと思うが ⇔ いろいろ想像すると踏み出せない
  • やる気満々で物事に取り組んでも ⇔ 飽きやすくゴールにたどり着けない
  • はたから見ると元気で外向的で社交的 ⇔ 本当は違う 
  • 冷静に見えるが ⇔ じつはイライラドキドキひやひやしている
  • 人とすぐに仲良くなるが ⇔ 少しすると距離ができる
  • ハイテンションなのに ⇔ 小さな発言にクヨクヨ悩む
  • 自虐ネタを披露するのに ⇔ いじられると傷つく
  • 大胆なくせに ⇔ 小さなミスを後悔する
  • 好奇心が強いけど ⇔ 警戒心も非常に強い
  • 自己肯定感は低いが ⇔ 心のどこかに自信もある

(※心理カウンセラーの時田氏が代表を務める「HSP/HSS LABO」サイトより抜粋し要約)

このように、対照的な特性をあわせもつことが、HSS型HSPの大きな特徴です。

HSS型HSPの特徴

HSS型HSPが苦しくなること

前出の長沼氏(十勝むつみのクリニック院長)によれば、HSS型HSPの傾向は、「本来のHSPが “安心な環境ではない現実” に適応するために身につけた」とも言えるそう。 とはいえ、ベースは間違いなく「非常に敏感な人」です。自ら刺激に飛び込んでは激しく反応し、心身を疲弊させてしまうのだとか。

そんなHSS型HSPは、次のことに頭を悩ませているそう。

気分のむらが激しい・ 自己肯定感が低い・プライドが高い・いつも緊張している・ 切り替えがヘタ・傷つくと途方に暮れる・仕事で評価されづらい・自分がいかに善良かわかってもらえない
(※心理カウンセラーの時田氏が代表を務める「HSP/HSS LABO」サイトより抜粋したものを要約)

前項の特徴や、上の内容が思い当たるなら、「HSS型HSPの気持ちが少しラクになるコツ」もお伝えしましょう。

HSS型HSPが苦しくなること

HSS型HSPが気持ちをラクにするには?

前出の時田氏は、HSS型HSPが生きづらさをやわらげ、自分の特性を生かしていけるよう、本来の自分が何を感じ、考えているのかを取り戻すようアドバイスしています。アーロン博士も奨励しているので、日記などに自分の気持ちを書いていくといいでしょう。アウトプットしたものを活用し、自分を客観的に見て、理解を深めるのです。

そうして自分自身を取り戻したら、その自分を認め、共感するといいのだそう。 なおかつ、いま感じている生きづらさは「自分の感じ方が間違っているからではない」と認めることが大切とのことです。

長沼氏も、HSS型HSPに生じた矛盾が「現実に適応するため」と述べました。つまり、敏感すぎるゆえ人と異なる自分を、一般的な枠にはめ込み、自分自身を手放してしまうことが「苦しさ」につながるわけです。

本当の自分を、しっかりと心のなかで認識できれば、不安や緊張も少しずつ収まっていくはず……。

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矛盾だらけのHSS型HSPの特徴と、ちょっぴり心がラクになるコツを紹介しました。本当の自分が安心していられる心のなかのスペースを、自分自身でつくってあげてくださいね。

(参考)
長沼睦雄著(2017),『敏感すぎる心がスーッとラクになる本』,扶桑社.
アットプレス|HSP/HSS LABOのプレスリリース|人口の6%が該当する「HSS型HSP」に特化して情報を発信 5月・6月は“季節性の心の不調「五月病」”の乗り越え方も公開
HSS型HSPの才能を生かす生き方を実現する「ブレーん塾」
STUDY HACKER|敏感すぎてしんどい人の自律神経は乱れやすい? 「3行日記」がおすすめなワケ
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Wikipedia|ハイリー・センシティブ・パーソン

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