HSP気質とは? 特徴と付き合い方まとめ

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HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、心理学者のエレイン・アーロン博士によって提唱された概念。刺激に対して非常に敏感で、繊細な気質をもって生まれた人、という意味です。感受性が強いため、他人の感情が気になりやすく、ストレスを感じやすい傾向があります。

今回は、「HSPってなんだろう?」「自分にはHSPの傾向があるかもしれない」という人に向け、HSPについてご説明しましょう。HSPの特性を理解する手助けになれば幸いです。

HSPとは

HSPの研究者であるアーロン博士によると、HSPとは、感受性が極めて強い、繊細な人のこと。HSP気質は、人口の15~20%もの割合に当てはまる生まれつきの特性であり、障害や病気ではないそうです。

HSPは、細かいことに気がつくため、生活において精神的なストレスを抱えやすい傾向にあります。動きや表情から他者の感情を敏感に察知したり、物音など周囲の環境が気になったりするため、不安感を覚えやすく疲れやすいようです。また、HSPでない人(非HSP)から「怖がり」「神経質」などと思われてしまうことも。

アーロン博士によると、いわゆる「内向型」とHSPは別物だそう。もちろん、内向的な性格のHSPもいますが、HSPの30%は外向的なタイプとのことです。

この外向的なHSPには、HSS(High Sensation Seeking:刺激追求型)という名前があります。HSS型HSPに特化した心理カウンセラー・時田ひさ子氏によると、HSS型HSPは、刺激を求めて外界に向かうけれども、外界で得た刺激によって疲れてしまう……という「矛盾した特性」をもっているのだそう。HSPにはふたつの種類があるのですね。

ちなみに、HSCという言葉もあります。HSPとの違いは以下のとおりです。

  • HSC(Highly Sensitive Child):非常に感受性の強い子ども
  • HSP(Highly Sensitive Person):非常に感受性の強い大人

2019年、さまざまなマイノリティーを扱うNHKの番組『バリバラ』で特集されたことをきっかけに、HSCならびにHSPを知った人もいるかもしれませんね。

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HSPの原因

HSP専門カウンセラーである武田友紀氏によると、HSPが刺激を感じやすい原因は、脳の「扁桃体(へんとうたい)」の働きが生まれつき強いから。扁桃体は、不安や恐怖を感じたときに活動する部位です。

独立行政法人・放射線医学総合研究所が2010年に発表した研究によると、扁桃体の活動には個人差があるのだそう。そのため、扁桃体が活発に働くHSPは、刺激に対して非HSPよりストレスを感じやすいのです。

さらに、HSPの過敏さには、神経伝達物質「セロトニン」も関係している模様。精神科医の岡田尊司氏によると、セロトニンには扁桃体の興奮を鎮める役割があります。しかし、「セロトニンを運ぶポンプの働き」が生まれつき弱い人がいるため、結果として扁桃体が過敏な状態になってしまうのだそう。

HSPがなぜ敏感なのかは、脳科学的に説明できるのですね。

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HSPの特徴

HSPの特徴を具体的に見ていきましょう。なお、すべてのHSPに当てはまるわけではありません。また、HSPは病気ではないため、「症状」とも異なります。あくまで、HSPに共通しやすい「傾向」です。

共感しやすい

武田友紀氏によると、HSPは「ミラーニューロン」という神経細胞の働きが強いため、他人に共感しやすいのだそう。近くで誰かが怒られていると、まるで自分が怒られているようなつらさを感じ、悲しんでいる人がいれば、自分のことのように悲しくなります。

人混みが苦手

人混みが苦手なのも、HSPの特徴です。『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家~』(ぶんか社、2020年)において自身の体験を描いた漫画家・おがたちえ氏は、東京の駅で「人酔い」をし、気持ち悪くなってしまったことがあるそう。HSPは周囲からの刺激を敏感に受け取るため、大勢の人が一斉に動き、しゃべり、感情を表現している人混みでは、頭が情報でいっぱいになってパニックを起こすそうです。

ひとりの時間が必要

特にHSPにとって、ひとりで過ごす時間をもつことは重要。上記のように、周囲にほかの人がいると、どうしても感情が影響され、不安感や疲労、緊張を感じてしまうからです。アーロン博士は、HSPのセルフチェックリストの項目に、「忙しい日が続くと、刺激から離れてプライバシーを確保できる場所に引っ込みたくなる」を挙げています。

騒音が苦手

騒音が好き、という人はなかなかいないでしょうが、HSPは大きな音が人一倍苦手。外からの刺激を強く受け止めるため、サイレンをはじめとする大きい音に驚いたり、不快感を覚えたりします。

眩しい光が苦手

HSPは、刺激を人一倍強く感じるため、眩しい光も苦手。元アイドルでノンフィクション作家の大木亜希子氏は、HSPだそう。子どもの頃から光の明るさが気になっており、大人になってからも、人と会って疲れたあとは「音も光も入れたくない」と感じ、暗い部屋で過ごしていたと言います。

痛みに敏感

痛いのは誰だって嫌なもの。しかし、HSPは痛みに特に敏感です。アーロン博士によるHSPチェックリストには、「痛みに対して非常に敏感になりがちだ」があります。

ニュース番組が苦手

HSPは、ニュース番組で流れる災害や事件の報道が苦手です。大雨で流された家、地震で崩壊した街、大規模火災で逃げ惑う人々……。このような映像は、HSPにとって刺激が強すぎるものです。共感しやすいこともあり、テレビの向こうにいる人々の苦しみを想像し、自分もつらくなってしまいます。同じ理由で、暴力的な映画やドラマも苦手です。

心が傷つきやすい

HSPに関する多数の著書をもつ精神科医・長沼睦雄氏によると、敏感さゆえにHSPは傷つきやすく、「生きづらさ」を感じているのだそう。非HSPならそこまで気にしないような言葉に、何日も悩み続けてしまうそうです。

コーヒーが苦手

医学博士のスーザン・ビアリ=ハース氏によると、HSPはカフェインに対しても敏感。自身もHSPだというビアリ=ハース氏は、デカフェコーヒー(カフェインを取り除いたコーヒー)に残ったわずかなカフェインも気になってしまうそうです。

カフェインには中枢神経を刺激する作用があり、刺激が過剰になると、心拍数の増加や不安感、不眠をもたらします。HSPは刺激に敏感なため、カフェインの作用を人一倍感じやすいのかもしれませんね。

自己肯定感が低い

アーロン博士によると、多くのHSPは自己肯定感(self-esteem)が低いのだそう。理由としては、感受性の強さを非HSPと比較され、「人見知り」「すぐ泣く」「繊細すぎる」などと言われた経験から、劣等感を覚えるようになったことが挙げられます。

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HSPの長所

ここまで読んで、「HSPは苦手なことばかりじゃないか」と思ったかもしれませんね。しかし、感受性の高さはHSPの強みでもあります。HSPの長所や、HSPであることのメリットを見ていきましょう。

優しい

HSPは細かいことに気がつきやすく、場の雰囲気や周囲の人の感情を敏感に察知するため、困っている人がいたら助けたくなる「優しい人」だと言えます。武田氏によると、「声をかけよう」「話を聞いてあげよう」と気を回し続けるうち、自分のことが後回しになる傾向すらあるのだそう。「優しすぎる」ことで自分が疲れるとはいえ、親切さはHSPのいいところだと言えるでしょう。

大勢の人に囲まれていると疲れやすい傾向があるというだけで、HSPは決して「人嫌い」というわけではないのです。

遅刻しにくい

長沼氏によると、遅刻することへの不安が強いため、待ち合わせの30分も前に到着するHSPが多いそうです。「もし電車が遅れたら」といった可能性を想像したり、「もし遅刻したら相手はどう思うだろう」と考えたりするとのこと。プライベートでさえ「絶対に遅刻してはならない」というプレッシャーを感じるのは、本人にとってはつらいでしょうが、約束の時間を守れること自体はまぎれもない長所です。

細かいことに気がつく

HSPは、非HSPが見逃してしまうような細かいことに気がつけます。細かいことが気になるため、本人は「しんどい」と感じるかもしれませんが、注意力や観察力の高さは才能だとも言えるでしょう。文章の校正やお金の計算など、特に慎重さ・正確さが求められる業務において、HSPは能力を発揮できるはず。

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HSPの有名人

HSPは特別な存在ではありません。5人に1人の割合なのですから、あなたのまわりにHSPがいるはずですし、あなた自身がHSPかもしれません。

日本人のなかにも、HSPであることを告白した有名人が何人もいます。

田村淳

2019年、タレントの田村淳氏は、カウンセリングでHSPだと告げられたことをTwitterに投稿しました。「なぜ自分だけがこんなに気になるんだろう」と幼少時から不思議に思っていたところ、HSPだとわかり、「自分に対する理解」が深まって楽になれたそうです。

田村氏は、周囲にいるひとりひとりの表情や「声の温度」が非常に気になるのだそう。しかし、その特性をMCの仕事で活かすことができているとのことです。

芸能人という立場上、一般人よりさらに気苦労が多かったはず。けれど、HSPを「宝」と表現する田村氏は、自身の「繊細さ」を前向きにとらえているのですね。

最上もが

モデル・俳優の最上もが氏は、2020年5月にYouTubeでの配信を通し、自身がHSPであると話しました。以前から「考えすぎ」「気にしすぎ」と言われることが多かったほか、ニュース番組は刺激が強いため、あまり見ないようにしているそうです。

最上氏は、HSPという概念を知ったことにより、HSPだからこそ他者の痛みに対し敏感になれ、「考えられる才能」もあるのだと気づけたのだそう。「こういう傾向がある、と知るだけで自分自身との折り合いをつけやすいんじゃないかな」と話しています。

大木亜希子

すでに登場しましたが、元アイドルでノンフィクション作家の大木亜希子氏も、HSPであることを2020年6月に公表しました。子どもの頃から、「光の明るさや空調の音の大きさ、他人の感情の起伏やわずかなにおいなど、ちょっとした物事の変化」に敏感だったそうです。

大木氏は、「繊細な自分」を仕事で活かせていないと感じていたものの、小説を書き始めたところ、「繊細でよかった」と思えたのだそう。繊細だからこそ得られた感情や関連する出来事を、物語に変換できたとのことです。

「コンプレックスが武器になることもある」と大木氏は語っています。HSPがもつ「感受性の強さ」を長所として解釈し、仕事で活かし始めたのですね。

自身がHSPだと公表した著名人を3名ご紹介しました。共通しているのが、人より多くのことに気がついてしまうために悩んできた経験と、HSPならではの長所に気づけたこと。著名人がメッセージを発信してくれたことで、「自分はHSPだったんだ」「HSPは悪いものじゃないんだ」と気づける人が増えるかもしれませんね。

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HSP診断テスト

HSPのイメージが、かなりつかめてきたのではないでしょうか。自分はHSPに当てはまるのかどうか、気になる人もいるはず。

ここで、HSP研究の第一人者であるアーロン博士がつくった無料の診断テスト(英語版日本語版)をやってみましょう。点数が27点中15点以上なら、HSPだろうとのことです。

しかし、HSPは病気や障害ではなく、あくまで「気質」です。厳密な「診断基準」が定められているわけではありません。上記の診断テストで該当項目が少なかった場合でも、非常に強く当てはまるのであれば、HSPかもしれないそうですよ。

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HSP気質との付き合い方

HSP診断テストの結果はいかがでしたか? 「HSPだった」という人も、「HSPとまでは言いきれないけれど、軽度に当てはまる」という人も、まずは自分のなかの「敏感さ」を受け入れることが大事です。そして、HSPでない人のほうが多い世界で楽に生きるため、HSP気質との「付き合い方」を知っておきましょう。

自分の感情を受け止める

HSP専門カウンセラー・武田友紀氏は、HSPが楽になるコツとして、「自分の感情を受け止める」を挙げています。仕事がうまくいかないと感じたり、他人からの言葉で傷ついたりしたとき、HSPは「自分が悪い」と思い、何日も落ち込みがちだそうです。

しかし、自分を責め始める前に、「悲しかった」「ショックだった」など、自分のなかで生まれた感情を受け止めてあげるべきなのだそう。自分の気持ちを否定しないことで、落ち込んだ状態から回復しやすいとのことです。

自分の気持ちを受け止めるための具体的な方法としては、「エクスプレッシブ・ライティング」が挙げられます。心理カウンセラー・中島輝氏によると、エクスプレッシブ・ライティングとは、1980年代に考案された心理療法。ネガティブな感情と、そのきっかけとなった出来事を、正直に紙に書き出すというものです。

中島氏によると、「忘れたい」「こだわりたくない」と意識していることほど、ますます忘れられなくなっていくのだそう。反対に、嫌な出来事・感情を明確に意識し、紙に書いて可視化することで、忘れやすくなるとのことです。

「嫌な出来事なんて、わざわざ思い出したくない」と感じるかもしれませんが、一度やってみてはいかがでしょうか。嫌な思い出を克服できるかもしれませんよ。詳しいやり方は、「自己肯定感は『書いて』高める! 自分に価値があると気づける、3つのノート習慣」をご覧ください。

意識的にアウトプットする

エクスプレッシブ・ライティングに限らず、自分の感情や思考をこまめにアウトプットすることは重要です。武田氏によると、HSPは非HSPに比べて多くの刺激をインプットするため、こまめにアウトプットすることで心が整うのだそう。

コミュニケーション論などを専門とする齋藤孝教授(明治大学)も、アウトプットがストレス解消になると話しています。たとえば、スポーツバーなどで試合の中継を見ていると、「やった!」「何やってるんだよ!」などと感情を逐次アウトプットすることになるため、ストレスを解消できたり快感を得られたりするとのことです。

誰にも話を聞いてもらえず、自分の感じたことをアウトプットできないままだと、HSPでなくともストレスがたまってしまいます。話せる相手が近くにいない場合は、Twitterに投稿するなどして「インプットと同時にアウトプット」するのがよいのだそう。

一人暮らしなどの理由で、人に話を聞いてもらう機会が少ない人は、ブログやTwitterでアウトプットすることが癒やしにつながるはず。日常生活で感じたことだけでなく、本や映画の感想を文章にまとめるのもいいですね。

趣味に没頭する

次に、テレビやSNSで絶え間なく流れ続けるニュースとの向き合い方について。

HSPは、災害や事件の報道が苦手な傾向にあります。特にテレビやSNSの場合、映像と音で現場の様子が伝わってくるため、被害を受けた人のつらさを自分のことのように感じやすいでしょう。

メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子氏によると、ニュースを見て心が不安定になってしまったら、「情報断食」が必要なのだそう。スマートフォンに触らず、テレビではニュース番組を見ないことです。

そして、料理をつくったりヨガをしたりといった動作や、絵画や手芸などの趣味に没頭するのがおすすめなのだそう。ひとつのことに没頭し、そのとき自分の心が感じている「楽しさ」や「心地よさ」を味わうことで、心の安定が取り戻せるのだそうです。

マインドフルネスを感じる

目の前のことに没頭して心を落ち着かせるという上記の考えは、「マインドフルネス」に近いと言えます。マインドフルネスとは、「いま、ここ」に意識を向けている状態。つまり、別の場所で起こっていることや、過去の嫌な記憶・未来への不安を遠ざけ、目の前のことだけに集中するのです。

マインドフルネス研修などを提供する一般社団法人・マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事の荻野淳也氏によると、マインドフルネスは、リラックスすることや、「無の境地」を得る瞑想などとは異なるのだそう。「いま、ここ」に注意が向いてさえいれば、運動中も仕事中もマインドフルになれるとのことです。

荻野氏によれば、マインドフルネスを習得するコツは、呼吸を意識すること。「いま息を吸っている」「いま息を吐いている」と意識するのが、マインドフルネスへの第一歩なのです。

萩野氏は、「最も簡単な練習法」として、以下のやり方をすすめています。

  1. 姿勢を正して椅子に座る
  2. 5~10分間、鼻呼吸だけに集中する

毎日続ければ、早い人だと数日、遅くても8週間で効果を感じられるそうですよ。

騒音をシャットアウトする

HSPは、感覚が過敏なため、「音」に疲れやすい傾向があります。そこでおすすめの対処法が、ノイズキャンセリング機能つきのイヤフォンやヘッドフォン。周囲の騒音を打ち消し、静かな環境で音楽を聴ける優れ物で、聴覚過敏の人たちにも使われています。

筆者も、聴覚過敏の症状に悩み、ノイズキャンセリングヘッドフォンを購入しました。周囲の騒音に苦痛を感じたときに装着すると、驚くほど楽になります。HSPが周囲の音で感じているストレスも改善されるはずですよ。武田氏も、HSPにノイズキャンセリングイヤフォンをすすめています。

十分な睡眠時間を確保する

自身もHSPだという心理学者のジュライ・フラガ博士は、「HSPとして成功を収めるための生き方」のひとつに、よく寝ることによるストレス管理を挙げています。

睡眠は、精神を健康に保つため欠かせません。国立精神・神経医療研究センターが2013年に発表したところによると、14名の被験者に以下2つの「セッション」を5日間ずつ経験させたそう。

  • 充足睡眠セッション:平均で約8時間の睡眠
  • 睡眠不足セッション:平均で約4時間半の睡眠

各セッションの5日めに被験者の脳活動を測定したところ、「睡眠不足セッション」では、「ネガティブな刺激」に対して扁桃体が過剰に反応したとのこと。扁桃体は、情動と記憶をつかさどる部分。つまり、睡眠不足だと、不安を感じやすくなってしまうのです。

実験を主導した、睡眠研究を専門とする三島和夫教授(秋田大学大学院)によると、睡眠不足時は「喜怒哀楽が暴走しないようにするブレーキが効きにくい」のだそう。眠いのに十分眠れない状態が続くと、イライラしたり怒りっぽくなったりするわけです。

精神科専門医の長谷川大輔氏によると、最適な睡眠時間は7~8時間。必要な睡眠時間には個人差があるとはいえ、一日の睡眠時間が6時間を切っているのであれば、HSPでもHSPでなくても、時間の使い方を改善しましょう。

マイペースを意識する

HSP専門のキャリアコンサルタント・みさきじゅり氏によると、「自分らしく生きる」ことができているHSPには、「マイペースを大切にしている」という特徴があるのだそう。自分にとっての「マイペース」がどのようなものか具体的に把握したうえで、マイペースに過ごすことを何よりも大切にしているとのことです。

HSPには、周囲の人々の感情に影響される傾向があります。細かいことに気がつきやすいため、相手の表情やしぐさ、声音などから感情を察知し、相手の気分を害さないよう配慮するのです。

もちろん、HSPのこのような特性は優しさにつながります。しかし、配慮のあまり、自分の言いたいことややりたいことを押し殺し、相手に合わせてばかりいると、ストレスを感じますよね。そこで、HSPにとってのストレスの少ない過ごし方として、「マイペースであること」を意識するのが重要なのです。

精神科医の名越康文氏によると、他人に合わせすぎて疲れてしまう人には、「他人との関わりを断ってひとりで過ごす時間」が必要なのだそう。週に1日、以下のように過ごすとよいそうです。

  • ひとりで出かける
  • 喫茶店や公園など、自分が落ち着ける場所を見つける
  • できれば、スマートフォンは家に置いてくる
  • SNSを朝見たら、夜まで開かない

休日は、上記のように過ごしてみてはいかがでしょうか。自分にとっての「マイペース」がどんな状態か把握し、その状態を維持しようと意識することで、HSPでも他人の感情に振り回されにくくなるはずです。

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HSPの人間関係

HSPにとって難しく感じやすいのが、人間関係。周囲の人々の感情によく気がつくため、人付き合いにおいて疲れがちな傾向があります。コミュニケーションに関するHSPの悩みには、どのような対処が可能なのでしょうか?

「距離感」を自分で決める

みさきじゅり氏によると、人間関係に疲れたら、他人との距離感を見直すべきなのだそう。つまり、ある相手に関して「疲れる」と感じているなら、その人との距離感が近すぎる/遠すぎるということなので、いまよりも遠ざかるか近づくかするべきだ、というわけです。

距離感を変える際は、「他人との距離感は私が決めるものだ」と意識するのが重要なのだそう。「距離を置いたら/縮めたら、相手を不快にさせるのでは……」と不安になるかもしれませんが、不快になるかどうかは相手が決めることであり、こちらは関与できないのです。

そのため、相手とどれくらいの距離感を維持するのか決めるにあたっては、「自分がどうしたいか」だけを考えましょう。「極力近づかない」を1、「すごく親しい」を10として、10段階で考えるとよいそうですよ。

「境界線」を意識する

「不快になるかどうかは相手が決めることであり、こちらは関与できない」という考え方は、距離感以外にも当てはまるものです。

オーストリアの心理学者アルフレート・アードラーに由来する「アドラー心理学」には、「課題の分離」という用語があります。「自分の課題」と「他者の課題」を明確に分け、他者の課題には介入しない、ということです。

たとえば、近くの席に座っている同僚が、イライラしているように見えるとします。「どうしてイライラしているんだろう」「私のせいだろうか」「何かしてあげなくては」……と気になるかもしれませんが、以下のように課題を分離してみましょう。

  • 同僚がイライラしていて気になる→自分の課題
  • 同僚がイライラしている→同僚の課題

この場合、自分の課題は「イライラしている人がいて気になる」ことなので、自分の精神をケアすることに専念します。一方、「イライラしている」というのは、同僚自身にしか解決できない課題なので、介入するべきではないのです。

他者の課題に介入しようと思うと、いくら時間があっても足りません。他者の課題に手いっぱいで、自分の課題を解決できなくなってしまいます。「課題の分離」をキーワードとし、自他のあいだに明確な境界線を引くことを意識しましょう。

SNSで仲間を探す

HSPでない人たちに囲まれていると、「自分をなかなか理解してもらえない」と孤独を感じるかもしれません。そんなときは、TwitterをはじめとしたSNSを利用し、価値観の近い仲間を探しましょう。SNS内を「HSP」で検索してみると、プロフィールに「HSP」と記載している人のアカウントがヒットします。

もしくは、武田友紀氏によると、自分と気が合いそうな相手とSNS上でやり取りしているアカウントに着目するのがよいのだそう。自分が好感を覚えた相手と親しくしているなら、きっとその人とも気が合うはずです。

武田氏によると、「一度会っただけではなかなか話せない心の深部まで発信できる」ため、SNSはHSPと相性がよいのだそう。SNSで気持ちを分かち合えば、なかなか共感してもらえず寂しい気持ちも払拭できますね。

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HSPに関するおすすめ本

最後に、HSPに関して日本語で読めるおすすめの本を紹介します。

『ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本』

HSP専門のキャリアコンサルタント・みさきじゅり氏による、HSPが働くにあたっての具体的・実践的なアドバイスがまとめられた書籍。HSPに関する基本的な知識や、HSPおよびHSSのチェックリストも載っているので、HSPについてまったく知らないという初心者にも最適です。自分の「特性」を認識し、それを長所として発揮できる職場を見つけるためのワークを実践すれば、「HSPの社会人としてどう生きていくべきか」という展望が開けるのではないでしょうか。 

『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』

デンマークの心理療法士であるイルセ・サン氏の著書。デンマークでの経験をもとに書かれているため、HSPの気質は万国共通なのだと納得のいく内容です。「憂うつになりやすい」「怒りをうまく放出できない」など、HSPが抱えやすい問題ひとつひとつに対し、複数の具体的な解決法を提示してくれています。日常生活におけるHSPならではの困り事があれば、必ず役に立つことでしょう。 

鈍感な世界に生きる 敏感な人たち

鈍感な世界に生きる 敏感な人たち

 

***
HSP気質の特徴や、HSP気質との付き合い方についてご紹介しました。自身がHSPだと確信がもてた人にも、HSPの要素が部分的にあると感じている方にとっても、なんらかの気づきがあれば幸いです。

(参考)
The Highly Sensitive Person
ブレーん塾
The Highly Sensitive Person|How Do You Recognize an HSP?
日本テレビ|5人に1人?「繊細」すぎて疲れてしまうHSPって何?
国立研究開発法人 科学技術振興機構|感情の中枢である扁桃体におけるドーパミンの役割を解明
幻冬舎plus|過敏状態のスイッチが入る仕組みとは
NHK|敏感くんのゆううつ ~HSCの子どもたち~
東洋経済オンライン|人一倍繊細なHSPが自分を知って楽になる方法
note|人混みが苦手「HSPひとコマあるある!」#26
東洋経済オンライン|HSPの人が繊細さと上手に付き合っていく心得
The Highly Sensitive Person|Are You Highly Sensitive?
長沼睦雄(2018),『大人になっても敏感で傷つきやすいあなたへの19の処方箋』, SBクリエイティブ.
Psychology Today|Top 10 Survival Tips for the Highly Sensitive Person (HSP)
農林水産省|カフェインの過剰摂取について
The Highly Sensitive Person|Are highly sensitive people more creative and intelligent than other people?
長沼睦雄(2019),『「敏感すぎていつも不安」なのは「HSP」かもしれません』, PHP研究所.
ダ・ヴィンチニュース|ロンブー田村淳さんのHSP処世術「周りと意見が合わない時は、HSPのせいにしてます(笑)」
Twitter|田村亮
最上もが 公式ブログ|うつ病と繊細さん
note|自分の性質に「名前」がついた瞬間、ホッとした【HSP】
タウンワークマガジン|気が付きすぎて疲れてしまう“繊細さん”がラクに過ごせる方法4つ
新R25|“1日3つ書く”習慣で思考が置き換わる。「ノート」で自己肯定感を高める3つの方法
All About|怖いニュースを見るのが辛い……不安が強いときの対処法
THE21オンライン|呼吸に集中することで「今、ここ」の状態を作り出すマインドフルネスの方法
NHK|聴覚が過敏「音」で極端に疲れる:困りごとのトリセツ
日本テレビ|5人に1人?「繊細」すぎて疲れてしまうHSPって何?
Healthline|Scientific Personality Trait. Here’s What It Feels Like.
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター|国立精神・神経医療研究センター・三島和夫部長らの研究グループが、睡眠不足で不安・抑うつが強まる神経基盤を解明
医療法人社団 平成医会|最適な睡眠時間と良質な睡眠
ナショナルジオグラフィック日本版サイト|第92回 寝不足でキレる! その「脳内変化」が分かってきた
ダイヤモンド・オンライン|HSP専門カウンセラーが教える「刺激過多のサイン」と「アウトプット」
ダイヤモンド・オンライン|ストレス発散しながらアウトプットが上達する方法
HSP専門キャリア&ライフコンサルティング|HSPを活かし自分らしく生きている人の在り方・9つ
タウンワークマガジン|人に合わせることに気を使い過ぎて疲れています│【精神科医・名越先生のカウンセリングルーム】
HSP専門キャリア&ライフコンサルティング|HSPが苦手な「人間関係」 ~人との距離感、付き合い方のコツ~
岸見一郎・古賀史健(2013), 『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』, ダイヤモンド社.
現代ビジネス|繊細なあなたが、ツイッターを「情報疲れ」せず上手に活用する方法
みさきじゅり(2018),『ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本』, 秀和システム.
イルセ・サン 著, 枇谷玲子 訳(2016),『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.

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