脳疲労回復の方法3選。簡単マッサージでパフォーマンス向上!

脳疲労回復の方法1

情報社会に生きる私たちにとって、脳疲労回復方法は、ぜひ覚えておきたい知識です。スマートフォンやPCの普及により、膨大な情報に日々さらされつづけた結果、多くの人が慢性的な脳の疲労感に悩まされるようになりました。

生活用品などの販売・流通会社であるネイチャーラボが2018年に実施した調査によると、59.7%もの人が「脳疲労レベル中~高」と判定されています。「頭がボンヤリする」「睡眠の質がよくない気がする」といった悩みは、脳の疲れが原因かもしれません。

脳のストレスは自律神経の乱れにつながります。運動のあとは筋肉を休ませるのと同様、使いつづけた脳にも休息を与える必要があるのです。

本稿では、そもそも脳疲労とはどんな状態なのか、脳疲労回復の方法にはどのようなものがあるのか、詳しく解説していきます。

脳疲労のシステム

脳疲労回復の方法について学ぶ前に、脳疲労について詳しく知っておきましょう。

脳疲労とは、脳が処理能力を超える無理をしたために、パンクしたような状態を指します。詳しくは後述しますが、脳疲労になると思考力が落ちるのはもちろん、体調にも悪影響が及ぶので、「たかが脳の疲れ」と油断してはいけません。

もう少し科学的に解説していきましょう。「脳疲労」という言葉の提唱者でもある内科医・藤野武彦氏によると、脳疲労は「大脳新皮質と大脳辺縁系の不調和」と定義できるのだそう。

  • 大脳新皮質:思考・学習などの理性的な活動を担う部分
  • 大脳辺縁系:食欲・性欲などの本能的・情動的活動を担う部分

ざっくりといえば、「理性」が「本能」を抑えすぎたため、脳機能や自律神経に狂いが生じてしまうことが、脳疲労の正体なのです。

脳疲労が起こるメカニズムを、藤野氏は「家族」という例えで説明しています。

  • 夫:理性を司る大脳新皮質
  • 妻:本能を司る大脳辺縁系
  • 子:大脳のあいだにある「間脳」。自律神経の中枢

健康な状態では、夫と妻は互いに支え合いながら、円満な家庭を維持しています。しかし、脳が酷使されると、妻(大脳辺縁系)が「もう休みたい」と言っているのに、夫が「もっと頑張れ」と命令を出しつづけているような状態に。やがて、妻は疲れ果て、意見が対立する両親に挟まれた子ども(間脳)の働きも悪くなってしまうのです。

このような状態になったら、脳疲労回復が必要です。

脳疲労回復の方法2

脳疲労の症状

脳疲労になると、主に以下のような症状が現れます。いずれも仕事や勉強のパフォーマンスを大きく低下させてしまうので、これらの症状が見られたら、脳疲労回復に努めることが必要です。

パフォーマンスの低下

脳疲労は、文字どおり「脳が疲れている状態」。頭がボンヤリとしたり、作業効率が落ちたりなど、知的パフォーマンスの低下が起こります。いつもより仕事がはかどらないときは、脳に疲労が蓄積しているのかもしれません。

大阪市立大学の特認教授で医学博士の梶本修身氏によると、脳疲労のバロメータとなるのが「飽き」の感情なのだそう。デスクワークなどを長時間していると、作業に飽きを感じ、「もうやりたくない」と思うはず。「飽き」は、「もう限界だから休ませてくれ」という脳の悲鳴です。とっくに限界を迎えている脳にムチを打ち、無理に作業を続行していると、脳疲労がさらに悪化してしまう恐れがあります。

仕事や勉強中に「飽きてきたな」と感じたときは、無理をせずに休憩をとったり、別の作業に切り替えるなどして、こまめに脳を休ませましょう。

五感の異常

脳疲労は、五感に異常をもたらすことも。

藤野氏によると、脳疲労によって味覚がマヒすることがあるのだそう。すると、食事の満足感が減るために過食になり、最悪の場合、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病につながるのだとか。

ものの感じ方がふだんと違う、と思ったら、脳に疲労が蓄積しはじめているのかもしれません。

身体症状

生理学研究所教授の柿木隆介氏によると、脳疲労は、慢性的な肩こりや腰痛、目の疲れなどの身体的症状を引き起こすこともあるのだそう。なかなか治らない身体の痛みや異常がある場合、過度なストレスにより脳疲労が起きている可能性を踏まえ、専門医などに相談することをオススメします。

以上、脳疲労がもたらす困った症状を説明しました。脳疲労回復の必要性がおわかりいただけたでしょうか。

脳疲労回復の方法3

脳疲労の原因

脳疲労回復の方法と同じくらい、脳疲労をもたらす原因を知ることも重要です。神経内科医の米山公啓氏は、脳疲労の原因として、以下の4つを挙げています。

デスクワークのしすぎ

長時間のデスクワークや大量の情報を浴びることによって脳を酷使しすぎると、大脳新皮質と大脳辺縁系のバランスが崩れ、脳疲労が起こってしまいます。

仕事や勉強に取り組んでいると、多少の疲れを感じても、無理をして作業を続けてしまうことが多いでのではないでしょうか。1時間ごとに小休憩を入れたり、疲れや飽きを感じたらすぐにブレイクタイムを入れたりと、なるべく脳に負荷がかかりすぎないような工夫を心がけてください。

米山氏によると、同じ作業を長時間連続で行なっていると、脳疲労が起こりやすくなるのだそう。同じ作業を繰り返していると、その作業を処理する専用の神経回路が脳内に作られます。より効率的に情報を処理できるようになると同時に、情報処理から得られる刺激が減ってしまうため、脳が苦痛を感じてしまうのです。

慣れと退屈は表裏一体。同じ作業の繰り返しは楽そうですが、脳の健康にとって、あまり好ましいことではないのです。

報酬のない行動

報酬の伴わない行動も、脳疲労の原因。報酬とは、金銭や「ごほうび」のような物質的報酬とは限りません。仕事を通じて得られるやりがいや他人からの感謝は「精神的報酬」です。

行動の先に報酬が何も期待できないとき、苦痛や飽きを感じやすくなり、脳に疲れがたまります。報酬が期待できない行動の例は、以下のとおり。

  • やりがいを感じられない書類の処理
  • 会社に指示されてしぶしぶやっている資格試験の勉強
  • 義務感しかない飲み会への参加

義務感でいやいや取りかかるような「やらされ感」のある行動は、楽しい気持ちになれないどころか、脳に負担をかける代物です。現在の仕事を退屈に感じているのなら、自分なりの目標を見つけたり、作業に楽しみを見つけるなどして、何らかの報酬を用意するといいでしょう。

仕事のやりがいを創出するには、本サイトでもたびたび取り上げている「ジョブ・クラフティング」という方法を参考にしてみてください。

ネガティブな出来事

勝負に負けたりお金を失ったりなどのネガティブな出来事も、脳を疲れさせる原因。たとえば、スポーツやテレビゲームなどで負けたとき、がっくりと気分がヘコみ、一気に疲れが押し寄せてくる感覚を覚えたことはありませんか?

成功した場合、ドーパミンという神経伝達物質が分泌されるので快感を感じられますが、失敗した場合はドーパミンが分泌されないので、脳が一気に疲労を感じてしまうのです。

脳疲労がたまっていると感じるときは、負けて落ち込むリスクのある勝負ごとは、なるべく避けるのがベターでしょう。

強い達成感

じつは、大仕事をやり遂げたり目標を達成したりして、強い達成感を味わったあとも、脳疲労がたまりやすくなります。米山氏によると、何かをやり遂げたときはドーパミンが分泌されて達成感を覚えるのですが、ひとしきり達成感を味わったあと、反動でドーパミンが枯渇し、どっと疲労が押し寄せてきやすいのだそうです。

大きなプロジェクトや資格試験などが終わったあとは、目標がなくなり、いわゆる「燃え尽き症候群」に陥りやすいタイミング。ひとまず、ゆっくり脳を休めて疲れを癒やすとともに、次の目標を見つけ、脳に新たな刺激を供給しましょう。

脳に疲労がたまりやすい行動や状況をご説明しました。上記の出来事が起こったら、脳疲労回復に努めましょう。

脳疲労回復の方法4

脳疲労度チェックリスト

脳疲労回復の必要があるかチェックするため、前出の米山公啓氏が紹介している10の質問項目を見てみましょう。

  • 6つ以上該当→かなり疲労している
  • 4~5つ該当→少し疲労している
  • 該当が3つ以下→ほとんど疲労していない
  1. 電車に乗ると、すぐに空席を探す。
  2. 小銭を使わず、お札で支払うことが多い。
  3. 同じ携帯電話を1年以上使っている。
  4. 最近、新しいレストランに行っていない。
  5. 文字の多い本より、写真の多い週刊誌をよく買う。
  6. ランチはいつも同じ場所で食べる。
  7. 「遊びたい」より「眠りたい」気持ちのほうが強い。
  8. 計算が遅くなった。
  9. すでにもっているものと同じものを買ってきてしまう。
  10. 人にぶつかりやすい。

多くの項目に該当してしまった方は、ゆっくりできる時間を設け、脳疲労回復に努めましょう。

脳疲労回復の方法5

脳疲労回復の方法1:睡眠の質を上げる

脳疲労回復の方法を3つご紹介します。

まず、脳疲労を回復させるのに最も重要なのが、睡眠です。睡眠は、脳の休息時間。睡眠の質を改善すれば、脳疲労の回復が期待できます。

快眠のコツとして梶本氏が薦めているのは、半身浴です。寝る前に半身浴をし、下半身を温めることで、寝つきがよくなるのだそう。

ベッドに入ったあとは、体内の熱を放出させましょう。体温を下げることで、眠気を感じられるからです。特に足の裏は、体温を外に逃がすうえで重要な場所なので、くつ下を重ねばきして足を温めすぎるなんてことがないように気をつけましょう。

また、寝ているあいだにいびきをかく人はいませんか? いびきは、気道が狭くなることで起こるもの。気道が狭いと、睡眠中に吸い込む酸素の量が減り、睡眠の質が低下してしまいます。

仰向きに寝るといびきをかきやすい人は、横向きで寝るようにしましょう。梶本氏によると、横向きに寝れば気道が確保されやすくなり、いびきの数が半分ほどに減るそうです。

梶本氏は、睡眠の質を高めるため、3つのストレッチを紹介しています。寝る直前、ゆっくり深く呼吸しながら、ベッドの上でやってみてください。

太ももゆるゆる伸ばし

股関節を伸ばし、血管やリンパ管の詰まりを解消するストレッチです。

  1. 仰向けに横たわり、両ひざを立てる。
  2. 両脚を開き、左右の足の裏をぴったりとくっつける。15秒キープ。
  3. ゆっくり脚を閉じ、元の体勢に戻る。

膝ばたばたストレッチ

寝返りのクセをつけ、いびきを予防するストレッチです。

  1. 仰向けに横たわり、両ひざを立てる。
  2. 上半身は動かさないまま、両脚を左に倒す。
  3. 右腕と一緒に、上半身も左に倒す。
  4. 仰向けの姿勢に戻る。
  5. 2と3を反対向きで行なう。
  6. 左右交互に、計10回繰り返す。

全身ゆったり伸ばし

全身の関節を伸ばし、血流を改善するストレッチです。

  1. 仰向けに横たわる。
  2. 両腕を上に伸ばす。
  3. 力が入りすぎない程度に、両ひざ・両足首もまっすぐに伸ばす。
  4. 全身の関節が無理なくまっすぐ伸びていることを意識しながら、10秒キープ。

ストレッチによってスムーズに入眠できれば、睡眠の質が高まり、脳疲労回復に効果的です。

脳疲労回復の方法6

脳疲労回復の方法2:鶏ムネ肉を食べる

脳疲労回復のためには、食事も大切です。

脳の疲れをとる食材として梶本氏が推奨しているのは、鶏(トリ)ムネ肉。鶏ムネ肉に多く含まれている「イミダゾールペプチド」には高い抗酸化作用があり、自律神経の「サビ」である酸化ストレスを防いでくれるため、疲労が軽減するのだそうです。梶本氏によれば、一日100gの鶏ムネ肉を2週間以上食べつづけることで、脳の疲労回復効果を得られるのだそう。

イミダゾールペプチドは、鶏ムネ肉だけでなく、イマグロやカツオなどの回遊魚にも多く含まれています。食事からとるのが難しい場合、市販のサプリメントでも代用可能です。

脳疲労回復という観点から、牛肉や豚肉の代わりに、鶏ムネ肉を料理に使ってみてはいかがでしょうか?

脳疲労回復の方法7

脳疲労回復の方法3:眼精疲労を解消する

脳疲労回復には、目の疲れを取り除くのも有効です。睡眠セラピストの松本美栄氏によると、目は「露出した脳」と呼ばれるほど、脳の疲れに直結する器官なのだそう。デスクワークの多いビジネスパーソンにとって、目の酷使は避けられないもの。ぜひ、眼精疲労の解消方法を覚えておきましょう。

眼精疲労の解消に効果的なのは、目を温めること。蒸しタオルや市販のホットアイマスクで目を温め、神経をリラックスさせることで、目や脳の疲れを癒やす効果が期待できます。

松本氏がオススメしているのは、タオルを水で濡らしてよく絞り、電子レンジで加熱する方法。これなら、仕事が終わって疲れているときでも、手軽に蒸しタオルを作れます。

蒸しタオルを作ったら、後頭部の生え際から温めていきましょう。後頭部の生え際のあたりには、「風池」という目の疲れに効くツボと、「安眠」という寝つきをよくするツボがあるので、全身をリラックスさせられるのです。

後頭部が十分温まったら、両目に蒸しタオルを乗せ、目の周りも温めていきます。松本氏によると、蒸しタオルで後頭部や目を温めることで、血流がよくなるばかりでなく、副交感神経を優位にし、身体をリラックスモードに切り替える効果もあるのだとか。

目の周りが温まってリラックスしたら、目の周りのツボをマッサージしましょう。松本氏は、眼精疲労に効く3つのツボを紹介しています。

  • 眼球の上の骨と眼球のあいだ:親指を横向きにし、優しく押す。
  • 眼球の下の骨:人差し指・中指・薬指を引っかけるように、優しく指圧。「3秒押す+3秒力を抜く」を3セット繰り返す。
  • こめかみ:人差し指・中指・薬指で、6~10回ほど回すように指圧。

以上、3つのツボを刺激することで、眼精疲労を効果的に取り除けます。デスクでも手軽に指圧できる場所ばかりなので、仕事中に眼精疲労・脳疲労回復をしたいときのためにも、ぜひ覚えておきましょう。

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手軽にできる、3つの脳疲労回復方法をご紹介しました。仕事で何時間もPCを使っている方、暇さえあればついスマホをチェックしてしまう方、のんびり脳を休める時間が取れないほど忙しい方などは、特に脳疲労がたまっている可能性が高いですから、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
佐藤舜

大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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