絶対に守るべき「最高の復習」3つのルール。たった “これだけ” で学習の質が激変する

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「復習は大事だ」と思っていても、“科学的に正しい復習法” を意識したことがない人は多いかもしれません。正しいやり方で復習すれば、あなたの勉強の質は高まり、確実に成果が伸びることが期待できます。そのために大切なことは、ほんの少しのルールを押さえること。

今回の記事では、絶対守りたい「最高の復習ルール」を3つご紹介しましょう。

勉強の質は「復習」で決まる

みなさんは、自分の記憶力に自信がありますか? たとえ「記憶力がいい」と自負している人でも、1回の勉強で内容を完璧に覚えることは難しいでしょう。なぜなら、人間の脳は本来「忘れやすい」性質をもっているから。勉強に復習が欠かせない理由のひとつは、忘れがちな記憶を確実に定着させるためなのです。

なぜ、人の脳は「忘れやすい」のでしょう。それは、記憶の容量に限りがあるからです。東京大学薬学部教授で脳研究者の池谷裕二氏によると、記憶に関わる海馬という領域が、脳に入ってきた情報を「覚えておくべき必要な情報かどうか」仕分ける役割を担っているそう。海馬が「記憶する必要がある」と判断すれば、その情報は長期記憶として本格的に定着します。

しかし、長期記憶の容量も無限ではないため、海馬はそう簡単に情報の必要性を認めることはしません。池谷氏いわく、海馬が記憶すべきだと判断するのは「生存のために不可欠な情報」のみ。

では、勉強した内容を海馬に「生きるうえで必要な情報だ」と認識させるにはどうすればいいか。それには、繰り返し何度も復習することが唯一の方法だと池谷氏は述べます。つまり、「海馬をだます」ということです。

1回勉強したきりでそのままにしていては、脳はその内容をどんどん忘れていってしまいます。記憶を定着させるには、復習を重ね脳をだますことが最重要なのです。

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また、復習には理解を深める役割もあります。たとえば、「講義内容を理解していたはずなのに、成績がふるわなかった」という経験はありませんか。それは、「理解している」と「覚えている」を錯覚し、自分の理解力を過信してしまったせい。これを心理学では「流暢性の幻想」と呼びます。

『脳が認める勉強法』の著者ベネディクト・キャリー氏によれば、流暢性とは、情報をすばやく適切に処理する能力のこと。たとえば、講義終了後すぐに教科書を開いて確認したり参考書にマーカーを引いたりすると、学習内容をスムーズに思い出せて、「ちゃんとつかめているな」と感じやすいですよね。「これならテストでもきっと思い出せる」と思ってしまうことも。

これがまさに「流暢性の幻想」に陥っている状態。このように、浅い理解のままでも「わかっている」と満足してしまうと、私たちはそのあとの勉強を怠りやすくなるのです。

しかし、正しい復習をすればこれを防ぐことができます。ここからは、“わかったつもり” に陥ることなく深い理解につなげられる、「最高の復習法」を3つ説明していきましょう。

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【最高の復習法1】時間を置いて復習する

平日にコツコツと勉強をする人も、休日のまとまった時間に勉強する人も、復習のポイントとして押さえるべきなのが「間隔を置く」ということ。一気に行なう集中型の学習よりも、間隔を空けて行なう分散型の学習のほうが、記憶の定着率が上がることが数々の研究論文で証明されています。

1913年に心理学者のP・B・バラード博士と共同研究者ウィリアムズ氏が発表した、実験結果を紹介しましょう。被験者の小学生に3~4行の詩を覚えさせ、以下ふたつのグループに分けました。

  • A:授業が終わった直後に復習をするグループ
  • B:翌日になってから復習をするグループ

そして7日後にそれぞれのグループを調査したところ、すぐに復習をしたAのグループより、翌日に復習を行なったBのグループのほうが、より多くの内容を覚えていたことが判明。

この結果から示唆されるのは、忘れかけているタイミングで復習を行なうほうが、記憶定着に効果をもたらすということ。これは心理学で「バラード=ウィリアムズ現象」と呼ばれています。

日本女子大学教授・竹内龍人氏の考察によると、一度勉強してから間隔を空けると、そのあいだに、覚えた内容が脳内で整理されるそう。情報が未整理の状態より、少し時間を置いて脳内が整理された状態のタイミングで復習を行なうほうが、より記憶が定着しやすいのです。

では、具体的にどれくらいの間隔を置いて復習すればいいのでしょうか。参考にしてほしいのが、ポーランドの研究者ピョートル・ウォズニアック氏が考案した復習タイミングです。

  • 復習1回目……1~2日後に行なう
  • 復習2回目……7日後に行なう
  • 復習3回目……16日後に行なう
  • 復習4回目……35日後に行なう
  • 復習5回目……62日後に行なう

これは、人間の記憶が薄れていく時間の平均値をもとに組み立てられたものだそう。これを目安に、復習回数を重ねるたびに間隔を広げていくことを意識してみてくださいね。

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【最高の復習法2】必死に思い出す

復習をするとき、どんな勉強方法をとりますか? 教科書や参考書を繰り返し読む、ラインマーカーを引く、ノートにまとめてみる……それらよりも、もっと効果のある復習方法があります。それは必死に思い出すこと。研究により、「覚えた内容を思い出す」という行為が記憶定着に効くと示されているのです。

これは、心理学の分野で「テスト効果」と呼ばれるもの。認知心理学者でワシントン大学教授ヘンリー・ロディガー氏と、パデュー大学教授ジェフリー・カーピキ氏が行なった研究が、興味深い結果を明らかにしています。

研究では、アメリカの大学生を被験者とし、英文テキストを読んでもらいました。そして、被験者を以下3つのグループに分け、5分後と1週間後のテスト成績を比較したそうです。

  1. 20分間繰り返しテキストを読む
  2. 15分テキストを読み、10分間思い出した内容を紙に書き出す
  3. 5分テキストを読み、10分書き出す。これを3回繰り返す

その結果、5分後のテストで最も優れていたのは1のグループ(正答率83%)でしたが、1週間後のテストで最も成績が高かったのは3のグループ(正答率61%)。ただテキストを読んだだけの1のグループは最も低いという結果でした。

この結果からわかるように、「覚えた内容を思い出す」という勉強法をとることが、復習の質を上げる鍵。具体的には、問題集を解く、フラッシュカードを利用するなどの勉強法が挙げられますね。

また、実験で行なわれていたように内容を紙に書き出すことは、理解度合いの確認にも役立ちます。現役東大生作家で勉強法に関する著書を複数もつ西岡壱誠氏によると、紙に再現することで、覚えているかいないかが一目瞭然となるとのこと。重点的に復習すべき箇所を把握しやすくなるそうですよ。

なお、メンタリストDaiGo氏いわく、学んだ内容を「想起するだけ」でも、長期記憶に定着する確率が50~70%上がるのだとか。教科書や参考書などを読んだあとは、必ず「思い出す」習慣をつけるといいでしょう。

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【最高の復習法3】黄金比「3:7」を守る

最後に紹介するのは、「覚える」と「思い出す」の適切な配分を守ることです。

精神科医の樺沢紫苑氏によると、インプットとアウトプットの黄金比は「3:7」。これは、コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ博士が突き止めた、最も記憶定着のよい学習比率です。

たとえば、参考書を読むというインプットの勉強を30分間行なったとするなら、復習としては問題集を解く、ノートに覚えた内容を再現してチェックする、というアウトプット型の復習を70分間行なってみるといいかもしれませんね。

大切なのは、アウトプットに多めに時間を費やすことを前提に、勉強の計画を立てておくこと。「3:7」という黄金比を念頭に置き、復習までを見通したうえで勉強を進めれば、これまでよりいっそう効率よく覚えることができますよ。

***
ルールを意識するかしないかだけで、復習の質はぐっと変わってきます。今回の記事を参考に、実践して効果を感じてみてくださいね。

(参考)
PRESIDENT Online|「復習4回」で脳をダマすことができる
DIAMOND online|最善のテスト対策は、自分で自分をテストすること
DIAMOND online|覚える→忘れる→復習、記憶が最も定着する間隔は?
THE21ONLINE|実験心理学が示す3つの間違いと「本当に効果的な勉強法」
東洋経済 ONLINE|「忘れるのが早すぎる」自分を変える簡単なコツ
現代ビジネス|【研究結果】本当に何かを習得したいなら、学習ではなく〇〇が効果的
東洋経済 ONLINE|元偏差値35の東大生が教える「残念な勉強法」
STUDY HACKER|記憶効率を上げる黄金比は「3:7」だ。勉強に脳科学を取り入れるべし。
新R25|すぐ復習するのはNG!? 8つの「ダメな勉強法」とその解決策をベストセラー医師が解説!

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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