人前で話すことが苦手なあなたは、今日も会議を前に胃をキリキリさせているかもしれません……。
そんな皆さまの、「どんなタイミングで、どう発言したらいいのかわからない」「自信が持てない」といった悩みに答えつつ、苦しさを少しでも和らげられるよう、会議が苦手なあなたでも効果的に発言できるコツを5つ紹介します。
会議で発言するコツ1:効果的なタイミングを狙え!
会議での発言が苦手な人ほど、発言のタイミングをうまくつかめないもの。Core Infinity代表、日本コーチ協会・京都チャプター運営メンバーの若狭喜弘氏は、会議で好まれる発言のタイミングとして、次の3つを挙げています。
【皆が警戒しあっているとき】――会議開始後の一番はじめに発言
この勇気を評価する出席者は、決して少なくありません。また、誰もが会議に意識を向けたばかりなので、多少の不出来は見逃されます。早々に緊張感を高めることで、会議への恐怖心も半減するでしょう。
【議論が停滞したとき】――新しい視点から攻める
議論が停滞したときを見計らい、「じつは、少し違う観点からも情報を集めてみたのですが……」などと切り出してみてください。聞き手に期待感が生まれます。
【他者の話が脱線しているとき】――上手にまとめて本線に戻す
「たしかに、そうですよね」などと同調しながら、「そういえば――」といった具合にジワジワ戻していきましょう。
いずれも “会議の出席者に感謝される発言のタイミング” なので、発言下手を自負するあなたでも、好印象を残せる可能性大です。うまく活用してください。
会議で発言するコツ2:自問して目的意識を高めよ!
ハーバード・ケネディ・スクールでコミュニケーション術を担当するアリソン・シャピラ氏は、会議で効果的に発言するための戦略として、「なぜ、この会議で発言するのが自分なのか?」と自問することをすすめています。
自分に問いかけることにより、たとえば、
- (自分は)画期的なアイデアを持っているから
- (自分は)問題を解決できる糸口をつかんでいるから
- (自分は)業務の流れを一番把握しているから
とさまざまな答えが自分自身から返ってくるので、目的意識を自覚することができ、自信を構築する助けにもなるとのことです。
会議の資料を準備するタイミングでも、会議の直前でも、会議中でもかまいません。
スーパーヒーローの映画では、「あなたしかこの地球を救えない」といったセリフが出てきますよね。そこまで大げさではなくとも、「いまこそ自分がやらなければ」と使命感が生まれ、気持ちを強くしてくれるでしょう。
会議で発言するコツ3:ポイントは3つにまとめよ!
企業研修中心に活動を行い、早稲田大学オープンカレッジ講師なども務めるコミュニケーション研究家の藤田尚弓氏は、発言のポイントを3つ以内にまとめておくようアドバイスしています。 情報が多すぎるとわかりにくく、記憶に残りづらいからです。
アイデアを連想ゲームのように拡散させ、たくさん書き出しておいてから、聞き手にとってベネフィットがあるかどうか想像しながら3つに絞り込んでいくといいそう。
たとえば美容関係の会社がオウンドメディアのリニューアルを行なう際に、
- WEBサイトでおもてなしの実現
- 〇〇〇航空会社が「価値のあるWEBサイト」に選出された
- 対面式に劣らないパーソナルなコミュニケーション
- WEBサイトでホスピタリティの実現
- おもてなしマーケティングにおける離脱率の改善データ
- 帰りたくない心地よいストレスフリーなデザイン
といったアイデアをどんどん書き出した場合。
到達点が同じだとしても、マネジメントする立場の人が聞き手に多ければ、根拠となるデータを中心に絞り込み、ターゲット層でもある女性が多ければ、感情に訴えるようなアイデアを中心に絞り込んでみましょう。
ただし、アイデアを絞り込むのは、書き出したあと少し時間を置いてから。『思考の整理学』で外山滋比古氏も述べていますが、ほどよく煮込まれたり、考えが凝固したりするので、アイデアは “寝かせる” に限るのです。
会議で発言するコツ4:ひと呼吸とゆっくりが重要だ!
ビジネスコーチの若狭喜弘氏は、発言のコツとして、自分が話したいスピードよりも、「少しゆっくり話す」ようすすめています。言葉が聞きとりにくいと、伝えたいことや気持ちが届きにくく、印象を軽くしてしまうからです。一語一語しっかりと発音することが重要とのこと。
また、『Speak with Impact』の著者でもあるアリソン・シャピラ氏は、発言中に間を置いて深呼吸することが役に立つと伝えています。深呼吸が精神を集中させ、声に力を入れやすくして、信念を込めた話し方にしてくれる、とのことです。
呼吸は、リラックスモードの副交感神経の働きを良くして、気分を落ち着かせるといいます。情動をつかさどる脳の扁桃体にも働きかけるので、緊張や不安も和らげてくれるはずです。
ひと呼吸とゆっくり速度で、落ち着いて堂々と、印象強く発言しましょう。
会議で発言するコツ5:他者を巻き込むべし!
他者を巻き込んでパワーアップすることも可能です。
ビジネスコーチの若狭喜弘氏は、会議の参加者とアイコンタクトを行なうことも発言のコツだと説明します。相手の表情や動作を観察し、反応を拾えたら、手ごたえを感じることができ、発言を調整することもできます。たとえば、
「最近、〇〇〇航空会社が動物をイメージした飛行機をハワイ線で導入しましたよね」アイコンタクト「もう乗られた方もいらっしゃるかもしれませんが――」アイコンタクト「あの遊び心と背景のマッチが――」
といった具合です。
聞き手とアイコンタクトをとると反射的な動作が生じ、ほんの少しだけうなずいてくれるはずなので、安心感や勇気につながります。
あるいは「〇〇さんが言われたように」と、先に発言した人の名前を挙げて話すことも効果的です。名前を出された人は支持されていると感じて、あなたの味方になるでしょう。
その人物の発言が皆に支持されているものであれば、ポジティブなハロー効果も生んでくれます。ハロー効果とは、特徴的な評価に影響を受ける現象を指します。
「〇〇の第一人者である△△教授によると――」と前置きすると、信憑性が高まるのもポジティブ・ハロー効果です。影響力がある人の言葉や名前を示しながら同効果を活用しましょう。
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会議が苦手なあなたが発言するコツ5つを紹介しました。
- 効果バツグンなタイミングを狙え!
- 自問して目的意識を高めよ!
- ポイントは3つにまとめよ!
- ひと呼吸とゆっくり速度が重要だ!
- 他者を巻き込むべし!
ぜひお試しください。
(参考)
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|会議でインパクトある効果的な発言をする3つの方法 意見を控えるべきタイミングも見極めなさい
All About|会議での発表・話し方のコツとは?刺さるプレゼンの極意! [話し方・伝え方]
@DIME|なぜうまく話せないのか?会議で評価が上がる発言をするコツ
STUDY HACKER|やる気を出したければ “あの色” を見ればいい。医師も推薦「色の呼吸法」が心身に効く。
MBAのグロービス経営大学院|ハロー効果とは・意味
外山滋比古(1986),『思考の整理学 』, 筑摩書房.
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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