たった5分の〇〇で集中力回復! 忙しい時ほど取り入れたい生産性ハック。

オフィスで伸びをしている女性

「もう3時か……なんだか全然集中できない」

デスクに向かいながらため息をつく。締め切りの迫る企画書を前に、メラメラと燃えていたはずの仕事への集中力が、気づけばどこかへ消えてしまっている。

オフィスにいても、打ち合わせや急な依頼に追われているうちに、休憩のタイミングを逃してしまいがち。「休憩をとる暇なんてない」と我慢して仕事を続けても、結局、午後になると極端にパフォーマンスが落ちてしまう……。

そんなあなたにおすすめしたいのが「マイクロブレイク」。じつは、忙しさのピーク時こそ、効果的な「マイクロブレイク」が必要なんです。本記事では、「マイクロブレイク」の効果的なとり方をご紹介します。

「マイクロブレイク」とは

多くの仕事を抱えるビジネスパーソンにとって、仕事のパフォーマンスを維持することは大きな課題です。「締め切り直前なのに集中力が切れる」「午後3時になると急激に仕事のペースが落ちる」……という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。特に近年はリモートワークの浸透により、オフィスでの自然な気分転換の機会が減少したことで、意識的に休憩をとる必要性が高まっています。

ここで注目したいのが「マイクロブレイク」という概念です。マイクロブレイクとは、5分から15分程度の短い休憩のこと。

仕事の合間にトイレに行く、飲み物を買いに行くなどもマイクロブレイクのひとつです。知らず知らずのうちに、日頃から実践しているという方も多いのではないでしょうか。

最近の研究で、このマイクロブレイクには生産性を向上させる効果があることがわかりました。心理学者のSeonghee (Sophia) Cho氏らの研究により、朝から倦怠感を感じている人たちは、頻繁にマイクロブレイクをとることで、一日中精力的に働くことができたという結果が得られています。*1 マイクロブレイクをとることで、仕事のパフォーマンスが向上したわけです。

仕事中、「疲れて集中力が落ちているな」と感じたら、無理に続けずに短い休憩をとってみましょう。精神科医の西多昌規氏は、個人の集中力やコンディションによるので科学的な回答はないと述べたうえで、「どんなに気持ちが乗っても続けていいのは2時間が限界」だと言い、「それ以上作業を続けると、脳の疲労を感知する機能が働かなく」なる危険があると指摘しています。*2 つまり、マイクロブレイクは、自分が「集中力が切れた」「少し疲れた」と感じたタイミングでとればいいのですが、最低でも2時間に1回はとる必要があるのです。

窓際に座って休憩している女性

効果的なマイクロブレイクの過ごし方

ストレッチをする

マイクロブレイクの過ごし方としてもっとも手軽な方法は、ストレッチをすることです。早稲田大学スポーツ科学学術院教授の宮地元彦氏は、ストレッチのリラクゼーション効果について、以下のように述べています。

30分程度にわたり全身の筋を順番に伸ばしていくようなストレッチングの前後で脳波や自律神経活動を調べてみると、前頭葉でのアルファ(α)波を増加させ、心拍変動を増加させ心拍数を低下させること、すなわち自律神経の活動が副交感神経活動を有意に変化させることが明らかとなっています。 *3

手軽にできるストレッチですが、副交感神経が優位になりリラックスしやすくなることが科学的にわかっているのです。

デスクワークなどで常に同じ姿勢でいると、筋肉が緊張しストレスにつながります。肩回しや首のストレッチ、体側を伸ばすなど、簡単なストレッチを取り入れてみましょう。

デスクで伸びをしている女性

席を立って歩く

給湯室までお茶を入れに行く、階段を使って1フロア上下する、オフィスを1周歩くなど、積極的に歩くのも効果的な過ごし方です。たとえば、デスクで何時間もプレゼン資料や企画書を作成していて行き詰まり、一旦席を立ってコーヒーを入れに行ったときに、突然いいアイデアが浮かんだ——こんな経験がある方は多いのではないでしょうか。

西多氏は「動いたり歩いたりすることで、資料を読んだりアイデアを考えたりすること以外の(非言語的)刺激を脳に与える」ことができると述べています。*2 

席を立ってリフレッシュすることで、硬直していた思考パターンがリセットされ、異なる視点から問題を見ることができるようになります。物理的な移動がもたらす脳への新しい刺激が、思わぬ発想の転換につながることも少なくないでしょう。

オフィス内で歩いている人

目を閉じて呼吸をする(瞑想)

「瞑想」がリフレッシュに効果的であることは、STUDY HACKERでも何度かご紹介しています。瞑想といっても、目を閉じ、腹式呼吸を意識しながらゆっくり深呼吸を繰り返すだけ。デスクでも休憩室でも、簡単に実践することができます。

「スクリーン無呼吸症候群」をご存知でしょうか? パソコンに向かって作業をしている際に、呼吸が浅くなる症状を指します。長時間のデスクワークでは知らず知らずのうちに呼吸が浅くなり、それが脳への酸素供給不足につながって集中力低下を引き起こしていることも少なくありません。忙しいときこそ、マイクロブレイクを活用して姿勢を正し、意識的に呼吸を整えることが大切なのです。

オフィスでも簡単にできる瞑想の方法は、こちらの記事でご紹介しています。

studyhacker.net

デスクで瞑想している女性

雑談をする

マイクロブレイクでは、人と会話することも効果的です。公認心理師で産業カウンセラーの大美賀直子氏は「会話の内容を業務に限定せず、仕事をする上での「本音」を分かち合う機会があると、仕事のストレスは解消しやすくなる」と語っています。*4

「雑談は時間の無駄」と思う人もいるかもしれませんが、効果的なリフレッシュ方法のひとつなのです。

もちろん「職場の人と雑談をするのは苦手」という場合はかえってストレスになるため、無理にする必要はありません。人と話すのが好きな方にはおすすめのマイクロブレイク方法です。

オフィスで会話している女性

マイクロブレイクを習慣化するためのコツ

この記事を読んで「マイクロブレイクをとってみよう」と思っても、実際には仕事が忙しくすっかり忘れていた……ということになってしまうかもしれません。

マイクロブレイクを習慣化するためのコツを2つ紹介します。

事前にカレンダーへ組み込む

カレンダーに予定が詰まっていると、「休んでいる暇があるなら、ひとつでもタスクを片づけないと」と、休憩をとることに罪悪感を覚えてしまうことがあるかもしれません。そこで、Googleカレンダーなどにあらかじめ「集中力回復タイム」として休憩を設定しておくことをおすすめします。

たとえば、1時間経ったら「5分間マイクロブレイク」と通知が来るように設定しておくのです。こうすることで、忙しくてもこまめに休憩をとることができ、仕事のパフォーマンスが向上するでしょう。

同僚と一緒にマイクロブレイクをとる

同僚とコミュニケーションをとりやすい環境なら、「○○さん、ちょっと給湯室まで行ってきませんか?」と声をかけ合うことで、休憩をとりやすい雰囲気をつくることができます。また、チーム全体で「14時と16時は必ずマイクロブレイクタイム」といったルールを設定するのも一案です。

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「こんな短い休憩で意味があるのか」と感じるかもしれません。しかし、1日に3~4回のマイクロブレイクを1週間試してみると、驚くほど集中力が持続するようになることを実感できるはずです。大切なのは、自分に合った休憩方法を見つけ、無理なく継続できる仕組みをつくることです。マイクロブレイクを通じて、より効率的で持続可能な働き方を目指してみましょう。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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