みなさんは、最近読んだ本やまだ読んでいないけれど興味はある本について、なんらかの記録をアプリでつけていますか? 記録をつけたほうがいいとはなんとなくわかっていても、「読んだ本についてわざわざ記録するのは面倒くさい」というのが本音かもしれませんね。
しかし実際、スマートフォンやタブレットのアプリを使って本を管理してみると、とても便利だと感じるはず。そこで今回は、本をアプリで記録するメリットと、具体的な記録方法についてお伝えします。
本をアプリに記録するメリット
そもそも本をアプリで記録するメリットには、どのような点が考えられるのでしょうか。4つ挙げてみました。
1. 興味をもった本の情報を検索しやすい
1つめは、新たに興味をもった本の情報をアプリへ記録しておくことで、実際にその本を入手したいと思ったとき、書誌情報を検索しやすいという点。アプリによっては、お気に入りの著者を登録しておくと、新刊情報を入手できるものもあります。
またアプリなら、ユーザーどうしで本の感想を共有し合ったり、本に対する自分の意見をSNSで公開したりできます。そのため、「この本はまだ読んでいないけれど、評判はどうなんだろう」「自分と本の好みが似ている人は、ほかにどんな本を読んでいるのだろう」など、ほかの人の記録を参考にして自分が読む本の幅を広げられるはずです。
2. 読むペースを把握できる
次に、読んだ本をアプリで記録していると、「最近、あまり読めていないかも?」といったように気づきを得ることができます。
アプリによっては、本のタイトルや感想をただ記録するだけでなく、読んだ本の数を月ごとにグラフ化してくれる機能があります。そのため「今月は先月よりも本をたくさん読めた」「最近仕事が忙しくなってきて、読める本の数が減ってきている」など、自分のペースをつかむことが可能です。
忙しいビジネスパーソンであればあるほど、時間を確保するためペースを能動的に管理しなければなりませんよね。読んだ本の記録をノートへつけるのはなかなか大変ですが、アプリなら忙しい日々でもスキマ時間を使って無理なく記録をつけられるでしょう。
3. 傾向を把握できる
本をアプリで記録すれば、「いつの間にか同じジャンルの本ばかり読んでいる」など自分の傾向に気づけるかもしれません。
本をアプリで記録し続けていると、これまでに読んだ本が書影とともに一覧でわかります。自分が選ぶ本のジャンルに偏りがあると気づけば、「最近は小説ばかり読んでいるからビジネス書も読もう」「リーダーシップの本だけでなく一般教養の本も読もう」といった具合に、より多様な本を読めるようになるはずです。
4. 読んだ本の概要や感想を文章としてアウトプットできる
アプリならちょっとした待ち時間や移動中などでも利用できるため、ノートを使って本を記録するよりも気軽に、本からの情報や自分の感想・意見をアウトプットできます。
精神科医の和田秀樹氏によれば、知識を積極的にアウトプットすることで記憶が脳へ定着するのだそう。本からの情報をただインプットするだけでなく、アプリで記録する行為を通じてアウトプットする習慣を身につければ、本から学びを効率的に得られるでしょう。
本を記録するアプリの選び方
本を記録するアプリにはさまざまなものがあります。どうすれば、自分に合ったアプリを見つけることができるのでしょうか。自分に合ったアプリを選ぶ基準として、3点ご紹介します。
1. デザイン
アプリ自体のデザインは、人によって大きく好みが分かれるところでしょう。機能面をそれほど重視せず、とりあえずアプリを使ってみたいという方は、自分の好みのデザインで決めてしまってもよいかもしれません。たとえば色や雰囲気などから、直感でよさそうと思ったアプリを選んでみてください。
2. 機能
アプリの機能はどれも同じに見えるかもしれません。しかし、アプリによって微妙に違いがあります。本の記録を習慣化しやすくするため、まずは自分が欲しい機能を考えてリストアップしてみてください。
- 「カテゴリーを自由に設定できる」
- 「目標を詳細に設定できる」
- 「お気に入りの本をSNSで共有できる」
- 「新刊情報を通知してくれる」
上記のような基準をもとにアプリを探せば、自分の求めていたものがきっと見つかりますよ。
3. 操作性
自分に合ったアプリを選ぶための最後の基準が「操作性」です。ロード時間が長い、すぐにフリーズや強制終了をしてしまう、またどこになんの機能があるのかひとめでわからないものは使いづらいですよね。
実際に使ってみないとわからないこともありますが、操作性が悪すぎると感じるアプリで本を記録するのはストレスになってしまうため、避けたほうがよいでしょう。たとえアプリのデザインや機能は理想通りでも、本の記録を習慣化するのが難しくなってしまいます。
本を記録できるアプリ
では、実際にアプリを使う立場から、読んだ本を簡単に記録できるおすすめのアプリをご紹介します。
『ブクログ』
最初に取り上げるアプリは、カジュアルなデザインが特徴の『ブクログ』(iOS/Android)です。2021年3月現在で、会員登録数は140万人以上。名称自体はすでにご存じの方が多くいらっしゃるかもしれませんね。基本的な機能は5つあります。それぞれについて簡単にご説明しましょう。
- 本棚
自分のお気に入りの本を、「読みたい」「いま読んでいる」「積読」「読み終わった」の4つに分類してウェブ上の本棚に登録できる。カメラで本のバーコードを読み取って登録するバーコードスキャンも利用可能。 - レビュー
本の評価や感想を書くことができる。 - 読書管理
読んだ量をグラフ化したり目標を設定したりできる。 - タイムライン
自分がフォローしている人のレビューなどをチェックできる。 - 新刊情報
これから発売される本について情報をチェックできる。いま話題の本をランキング形式で確認することも可能。
ユーザー数が多いアプリをとりあえず試してみたい人、話題になっている本の情報や本のレビューが気になる人は『ブクログ』を使ってみてください。
『読書メーター』
目に優しいデザインが印象的な『読書メーター』(iOS/Android)も、感想・レビュー投稿数が2021年3月現在で2,500万件以上と人気のアプリです。主な機能を5つ、簡単にご紹介します。
- 本棚
バーコードスキャンで本の登録ができる。本を自分で決めたカテゴリーごとに分けたり、ひとつの本を複数のカテゴリーに登録したりすることも可能。また本を「読みたい本」「積読本」「読んでる本」「読んだ本」の4つに分類して登録することで、買い忘れや二重買いを防ぐことができる。 - レビュー
読んだ本のレビューをしたり、ほかのユーザーの情報を確認したりできる。 - 読書管理
読んだ量をグラフ化して記録できる。著者別にもグラフ化できるため、どの著者の本をよく読んでいるのか、また特定の著者が執筆した本の未読率もチェックできる。 - 相性
本を10冊以上登録していると、登録している本の情報をもとにほかのユーザーとの相性度を測ることができる。相性がよいと判断されたユーザーが最近読んだ本をチェックすることも可能。 - 新刊情報
著者名やタイトルに関するキーワードを登録するだけで、新刊情報の通知をリアルタイムで受け取ることができる。
『読書メーター』は、自分と似ているほかのユーザーがどんな本を読んでいるのか知りたい人におすすめです。本の好みが近い人の記録を参考にすれば、自分に合った本をきっと探しやすくなるでしょう。
『読書管理ビブリア』
『読書管理ビブリア』(iOS)はシンプルなデザインが特徴。スマートフォンの画面背景が暗く設定されるダークモードにも対応しています。主な5つの機能を簡単にご紹介しましょう。
- 本棚
バーコードスキャンで本を簡単に登録できる。 - メモ
本に関する意見や感想を記録できる。 - 読書管理
読んだ量をグラフ化して、目標管理を行なうことができる。 - シェア
お気に入りの本やメモをほかのユーザーと共有できる。 - ほかのアプリと連携
『ブクログ』『読書メーター』と連携させて、本のあらすじやレビューなどを確認できる。また『Dropbox』と連携させることで、記録をバックアップできる。
アプリの使い方を決めていない人やほかのアプリをすでに利用していて使い方を分けたい人、あるいはほかのユーザーによるレビューは特に必要がない人は『読書管理ビブリア』をぜひ使ってみてください。
『東大読書ノート』
『東大読書ノート』(iOS)は、巷で話題の「東大読書」が実践できるアプリ。アプリのデザインは先ほどの『読書管理ビブリア』同様とてもシンプルです。
そもそも「東大読書」とは、「装丁読みと仮説づくり」「取材読み」「整理読み」「検証読み」「議論読み」の5つのステップからなる読書術を指します。アプリで実践できるそれぞれのステップについて、簡単にご紹介しましょう。
- 装丁読みと仮説づくり
本のカバーや帯から内容のヒントを読み取り、「目標(なぜその本を読むのか)」「目標までの道筋(その本でどうやって目標を達成するのか)」「スタート地点(本を読む前の自分がおかれている現状)」の順に、仮説を設定できる。 - 取材読み
本を読み進めていくなかで見つけた著者の問いや気になった言葉、そして著者の主張が本当に正しいのかどうか疑問に思ったことについても記録できる。 - 整理読み
章・節ごとに、著者の主張とそれを補強する言説を分解しながら記録できる。 - 検証読み
複数の本から共通点や相違点を見つけ出し、「どこが議論の分かれ目なのか」「どこが議論の焦点になっているのか」を探し出すステップ。複数の本を扱うことになるため、アプリにはこのステップのみ実装がされていない。ひとつひとつの本についてステップ1からステップ3を進め、それぞれ見比べるかたちとなる。 - 議論読み
目標が達成できたかどうか、またこれまでのステップをふまえて、本の主張が正しいかどうかを判断し自分なりの結論を記録できる。
これらのステップを行なえば、本を読み自分の頭で考える力が着実に身につくことでしょう。アプリで本を登録すれば、それぞれのステップを開始できるようになります。単なる記録だけでなく、学びを効率よく深めたい人におすすめです。
『Bookly』
ポップなデザインが特徴の『Bookly』(iOS/Android)は、これまでにご紹介してきたものとは異なり英語対応のみのアプリですが、日本語で書かれた書籍も登録可能です。かわいらしいアシスタントキャラクターもいるので、きっとはかどるはず。6つの主な機能をご紹介します。
- 本棚
バーコードスキャンで本を簡単に登録できる。読みかけの本であっても、いますでに読み終わっている量をページ数やパーセンテージで記録して続きから始めることが可能。 - メモ
書籍内のテキストや画像を引用しながら、自分の意見や感想を記録できる。 - 読書管理
読んだ量やトータルの時間だけでなく、読書スピードもあわせて管理できる。グラフ化してチェックすることも可能。 - リアルタイム追跡
読む時間を測るストップウォッチ機能兼、指定した時間読み続けるタイマー機能が使える。雨の音などの環境音を流すことも可能。 - 目標
目標を月次および年次で設定し、達成度をチェックできる。 - 実績
目標達成度やアプリの利用度によって、アシスタントキャラクターやアプリアイコンの着せ替えができる。
ひとつだけ難点を挙げるなら、アプリ画面上の情報がやや多いため、操作性の観点からおすすめしづらいこと。読んだ本の管理にも慣れてきて、アプリでがっつり習慣化したいと考えている人や英語でカッコよく記録したいという人は、『Bookly』を使ってみてはいかがでしょうか。
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みなさんも、ぜひご紹介したアプリで読んだ本の記録を効率化してみてください。
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