記憶力が抜群に上がる「東大式ノート術」。蛍光ペンの使い方が普通とは全然ちがった。

将来のステップアップのため、普段の仕事のほかになんらかの勉強をしている社会人はたくさんいます。その勉強に欠かせない作業といえば、「暗記」です。そして、暗記に長けた人というと、東大合格生を思い浮かべる人も多いことでしょう。

東大合格生は暗記のためにどんなノートの使い方をするのか――。2008年に上梓した著書『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)で注目を集めた、フリーライターの太田あやさんにお話を聞きました。

構成/岩川悟(slipstream) 取材・文/清家茂樹(ESS) 写真/石塚雅人

「五感を使う」暗記法は東大生には不人気

暗記法というと、「五感を使う」手法を思い浮かべる人も多いかもしれません。覚えたいことを「手で書いて、目で見て、口で発して、耳で聞く」というものです。ある脳科学の先生によると、情報を入れる窓口が多いほど記憶は定着しやすいそうですから、これは確かに効果的な暗記法だと見ることができます。

でも、「手で書き殴る」暗記法を使っていたという東大生は意外なことに少数派でした。仮に書き殴るタイプの子がいたとしても、一般的に思い浮かべる「書き殴る」とはちがっていて、「細かく綺麗に書き殴る」という印象を受けたのです。もともと、自分がどうすれば覚えられるのかということがわかっている子が多いので、「細かく綺麗に書き殴る」ことがその子にとっての暗記法だったのだと推測できます。

もちろん、他にもノートを使った独特の暗記法を編み出していた子たちが何人もいました。そのなかから、特にわたしの印象に残っている東大生の暗記法をいくつか紹介しましょう。

東大生のオリジナル暗記術

  1. ページごとに紙面構成を変える
  2. 大事なことは黄色の蛍光ペンで書く
  3. その日の先生の特徴を書く
  4. 覚えるべきことをノートの表紙に書く

先生がパーマをかけると記憶の手助けになる!?

では、この1~4に関して順を追って説明していきましょう。

まず「ページごとに紙面構成を変える」というものから説明します。これは世界史のノートでした。ふつうは科目が同じであれば、どんな要素がページのどこに入るかという紙面構成はだいたい決まってくるものです。でも、そのノートはページをめくるたびに紙面構成がちがっていたのです。

その理由を聞いてみると、「自分は紙面を絵のように覚えるから、あえて構成を全部変えることで記憶を呼び起こしやすくする」と言うのです。カメラで「カシャッ」と撮影するように記憶ができるというわけです。その記憶の仕方自体はふつうの人間にはできるものではありません。でも、ページごとに印象を変えることがちがう項目を暗記する際に手助けになると考えれば、参考にできるかもしれませんね。

ふたつ目は「大事なことは黄色の蛍光ペンで書く」。黄色の蛍光ペンは、ふつうはマーカーとして使います。でも、あえて覚えたいことそのものを黄色の蛍光ペンで書くというのです。黄色は、蛍光ペンのなかでも色がいちばん薄いので、読みづらいですよね? 一生懸命に見ないと読めない。だからこそ、覚えられるという原理です

3つ目は、「その日の先生の特徴を書く」というものでした。このノートをつくっていたのは女の子で、ノートの隅に「先生がパーマをかけた」とか「赤いチェックのシャツを着ていた」とか、その日の先生の特徴を書いていました。じつは、最初は暗記のためにはじめたのではなかったのだとか。でも、そのメモを見ると、先生が話していたことが頭のなかに流れはじめたというのです。脳科学では、記憶に関連付けられるものが多ければ多いほど、その記憶は定着しやすくなるといわれています。先生の特徴がその「関連付けられるもの」となり、記憶をよみがえらせるトリガーになったのでしょう。先生の特徴でなくても、その日の天気や風景など、なにか印象に残っていたことを書き留めることで同じ効果が期待できるのではないでしょうか。

普段の勉強で完全に理解することが最高の暗記法

最後は、「覚えるべきことをノートの表紙に書く」。テスト前などに覚えられていないことを洗い出し、ノートの表紙に書いておきます。そうすれば、すでに覚えている部分を見てしまうという無駄を省き、自分にとって本当に重要なものだけを、ノートを取り出すたびに見返すことができるというわけです

この例にもいえますが、東大生たちにはとにかく「抽出する」という作業が上手だという印象があります。それは、授業ノートとは別のノートにも表れています。東大の受験生の多くは、受験会場に持っていくノートをつくります。そこに、自分の苦手な部分や弱点だけを書き込んで、試験開始直前までひたすら見続けるのです。この手法は、資格試験勉強など、ビジネスマンの勉強にも大いに生かせるものだと見ています。

東大生の多くは「無駄を嫌う」傾向にあります。受験会場に持参するノートの作成も、いまの自分に必要なものだけ、つまり合格するために克服しなくてはいけない弱点のみを抽出し、無駄を排除しているわけです。そういう意味では、暗記作業自体を最小限に抑えることが無駄を最大限になくすことだといえます。

一般的な高校生の多くは、定期テスト前に必死に勉強しますよね。でも、東大生の場合は「授業ノートさえしっかりつくっていれば、定期テストの勉強なんて必要なかった」と言うのです。授業中にすべてを理解するつもりで授業ノートをつくるので、定期テスト前にはその授業ノートを見返すだけ。無駄な勉強をしなくて済むだけでなく、自由な時間を使って友だちと遊ぶこともできるし、部活だってできるというわけです。

資格試験の学校に通っている人にとってもこれは同様のことです。資格試験直前になって必死に暗記作業に打ち込むよりも、学校の授業中の勉強できちんと理解して覚えようとすることが、最高の暗記法なのかもしれませんね。

【太田あやさん ほかのインタビュー記事はこちら】
「東大生のノート」は普通のノートと何が違うのか? ただ “美しい” だけではなかった。
外資系エリートが「手書きノート」をとても大事にするワケ。

『マンガでわかる! 頭を鍛える東大ノート術』

太田あや 著

宝島社(2018)

『外資系コンサルはなぜ、あえて「手書きノート」を使うのか?』

太田あや 著

KADOKAWA(2018)

【プロフィール】
太田あや(おおた・あや)
1976年生まれ、石川県出身。フリーライター。株式会社ベネッセコーポレーションにおいて通信教材『進研ゼミ』の編集を担当した後、2006年に退社し、フリーライターに転身。初の著書『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)で注目を集め、以降、教育分野を中心に執筆活動をおこなう。2018年にはビジネス書の分野にも進出。『外資系コンサルはなぜ、あえて「手書きノート」を使うのか?』(KADOKAWA)を上梓した。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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