勉強机を部屋のどこに置くべきか、卓上には何を用意するべきか……など、東大生から学べることは多いもの。受験生だけでなく、社会人や大学生にも役立つコツがあります。
今回は、やる気が出やすくなる机まわりの整え方、必要なグッズなどを、理由とともにご紹介しましょう。東大生おすすめの方法で、あなたの勉強机を整えてみませんか?
東大生の勉強机はどうなってるの?
東大生や東大出身者の意見を参考に、集中しやすい勉強机の特徴をご紹介します。
余計な物がない
東大出身の教育コンテンツ開発者・岩波邦明氏によると、集中力は視覚情報に大きく影響されるそう。たとえば、机のすみにゲーム機やマンガが置かれていると、勉強中につい気になってしまいますよね。
勉強部屋には、勉強に関係ない物をいっさい置かないのが理想ですが、実際は難しいでしょう。少なくとも、机に向かうとき視界に入る範囲からは、集中を乱す物を排除するのがいいですね。
【視界から排除すべき物の例】
- ゲーム機
- 小説やマンガなど、勉強に関係ない本
- スマートフォン
- PC(勉強に使わない場合)
- テレビ
「やる気を出してくれる物」はある
余計な物を視界に入れるべきではないとはいえ、「勉強のやる気を高めてくれるアイテム」をあえて置くのは有効です。見ると元気が湧いたり、「もうひと踏ん張りしよう!」という気持ちになったりできる物なら、なんでもOKですよ。
【やる気を高めてくれる物の例】
- ペットの写真
- 好きな芸能人の写真
- 気に入っている置物
- 観葉植物
岩波氏は、自分を鼓舞してくれる「標語」を貼ることもすすめています。「絶対合格!」のような目標でも、「千里の道も一歩から」などのことわざや名言でもいいでしょう。自分に “刺さる” ような言葉が常に視界にあると、くじけそうなときに初心を思い出せます。
ベッドの近くにある
東大を首席で卒業した弁護士・山口真由氏は、勉強机とベッドを近づけて配置したそう。机がベッドのすぐ近くにあると、朝起きてすぐ机に向かえるからです。
勉強机に向かうのは気が進まないかもしれませんが、いったん勉強を始めさえすれば、それほど苦痛には感じないはず。勉強を始めるハードルを下げるため、ベッドの隣に机を置いてみてはいかがでしょうか。
窓の近くにある
東大の勉強計画研究サークル(BKK)のWebサイトでは、窓の近くに勉強机を置くことが推奨されています。窓の近くなら、日差しをたっぷり浴びられるためです。
精神科医・樺沢紫苑氏によると、太陽光を浴びることで、神経伝達物質「セロトニン」の分泌が促され、身体の活動スイッチが入るのだそう。また、セロトニンには精神状態を整える働きもあるため、窓の近くで日光を浴びながら勉強すれば、すがすがしい気持ちが続くはずです。
ただし、外の景色が気になって集中力が落ちないよう、机に向かったとき窓が横に来るような配置にするのがいいでしょう。
照明は寒色
電球・蛍光灯の色には、以下のようにさまざまなバリエーションがあります。
- 電球色:最も赤っぽい(暖色)
- 温白色:少し赤っぽい
- 白色:中間
- 昼白色:少し青っぽい
- 昼光色:最も青っぽい(寒色)
勉強に適しているのは、最も青っぽい「昼光色」です。昼光色は、部屋をシャキッとした青白い色で照らすため、オフィスや学校でよく使われるものです。BKKのWebサイトでも、勉強に集中したいときは「オレンジ系」ではなく「ホワイト系」の照明がいいと述べられています。
あなたの卓上ライトが暖色系なら、なるべく昼光色に替えましょう。
リビング学習も可
東大生の勉強机が自分の部屋にあるとは限りません。医学研究者の瀧靖之氏が監修した『東大脳の育て方』(主婦の友社、2017年)によると、東大生の8割がリビングで勉強していたそうです。
リビングで勉強すること(リビング学習)は、自室にこもるのに比べ、「さあ、勉強するぞ」と意気込まずに勉強を始められるメリットがあります。リビング学習が合わない人もいるでしょうが、いつもの勉強部屋ではやる気が出ないときや、気分転換に学習環境を変えたくなったときは、リビング学習を試してみてはいかがでしょう。
【リビング学習のメリット】
- 勉強を始めるハードルが下がる
- リラックスして勉強できる
- 休憩がてら、家族と話せる
自室の勉強机を整えるだけでなく、ほかの場所も柔軟に活用するのが、東大生流の勉強スタイルのようです。
東大生の勉強机には何があるの?
勉強机やカバンに常備すべきものとして、東大生が推薦している勉強アイテムをご紹介しましょう。
お絵描き帳
最初に紹介する勉強アイテムは、子ども用のお絵描き帳。普通のノートより面積が広いうえに無地なので、多くの情報をまとめたり、図表を書き込んだりするのに便利です。
マーケティングコーチの横田伊佐男氏は、「ノートの大きさは思考の広さ」だとして、なるべく大きいノートを推奨しています。ノートが大きいほど、見開きの2ページに多くの内容をまとめられ、情報どうしのつながりがわかりやすくなるのです。
もちろん、大きいノートは売られているものの、あまり店頭に置かれなかったり高価だったり。その点、お絵描き帳であれば、たいていの文房具店や100均ショップに売られていますし、安価です。
セキセイのルーズリーフバインダー
ルーズリーフを使う方におすすめなのが、セキセイ株式会社のルーズリーフバインダー。バインダー用に穴の開いた赤シートが付属しているため、復習の際に便利です。
重要な単語や問題の解答を赤系のペンで書いておけば、赤シートで覆うと消えるため、暗記や理解の程度を確認することができます。セキセイのバインダーに付属している赤シートは、ルーズリーフと同じサイズなので、赤シートで隠す前に答えが見えてしまった……という心配もありません。
色つきルーズリーフ
モチベーションの維持に使えるのが、色つきのルーズリーフ。あまり知られていませんが、薄い青や黄色など、紙に色がついているルーズリーフが市販されています。
色つきルーズリーフにはさまざまな使い道がありますが、東大発のWebメディア「QuizKnock」では、勉強における「記念碑」としての用途が紹介されています。「章の終わりのまとめ」や「1,000個目の英単語」などで使うといいのだとか。
白いルーズリーフのなかにぽつぽつと挟まっている色つきルーズリーフは、長い勉強の過程におけるマイルストーンです。色つきルーズリーフが増えていくのを見ることで、自分が確実に成長している実感がもてるでしょう。
ミニサイズのルーズリーフ
ミニサイズのルーズリーフも便利です。マルマン株式会社の「ルーズリーフミニ」は、横幅はB6と同じですが、縦幅は半分程度。通常のルーズリーフ用の穴が開いているため、A4やB5のバインダーでも使えます。
ちょっとした補足を追加したいときなど、通常のルーズリーフに「ルーズリーフミニ」を加えると便利でしょう。ほかにも、「ルーズリーフミニ」に問題を、その下に隠れる通常ルーズリーフに答えと解説を書くなど、アイデア次第でさまざまな活用が可能です。
極太の赤ペン
シンプルながら意外に使えるのが、極太の線で書ける赤ペン。近年は細字のペンが人気ですが、ノートで重要な部分を目立たせるため、太いペンももっておくといいでしょう。
一般的なボールペンの太さは0.3~0.7mm程度ですが、パイロットの「レックスグリップ(超極太)」は1.6mmと破格の太さ。一般的なペンの倍以上の太さなので、「レックスグリップ(超極太)」で書けば、大事な部分をかなり目立たせることができます。普通の赤ペンに満足できない方は、ぜひ試してみてください。
ふせん
身近な文房具・ふせんは、アイデア次第でさまざまに応用できます。
たとえば、本やテキストに使うとき、重要な文と同じ行にふせんを貼ってみましょう。そのページの最も重要な部分がひとめで把握できます。重要な理由などもふせんにメモしておけば、より復習がはかどるでしょう。
ふせんは、学習計画の管理にも役立ちます。ふせんの利点は、貼ったりはがしたりできること。その性質を利用し、「やるべきことをふせんに書く→完了したらふせんをはがす」と、ToDoリストのように使うのです。はがしたふせんは捨てるか、別の場所に移します。
東大出身の著述家・西岡壱誠氏によると、この「ふせん計画術」では、目標を達成したときに「ふせんを捨てる」という直感的なアクションを起こすため、明確な快感が得られ、普通のToDoリストよりモチベーションを維持しやすいそう。ふせん計画術についてもっと知りたい方は、「現役東大生が提案『ふせんを使った学習計画術』がおすすめ! 達成感とモチベーションのアップに効く」もご覧ください。
タイマー
勉強時間の管理に欠かせないのが、タイマーです。タイマーで時間を区切りながら勉強すると、常に時間を意識するため、ぼうっと過ごしにくくなります。また、「30分以内にここまでやる」と目標を定めれば、タイムアタックのような感覚で楽しめるでしょう。
勉強時間の管理法としておすすめなのが、これまでSTUDY HACKERで何度も紹介してきた「ポモドーロ・テクニック」です。「25分集中+5分休憩」というサイクルを繰り返し、生産性を高めます。
ポモドーロ・テクニック専用のタイマーもありますが、もちろん普通のタイマーでOKです。ポモドーロ・テクニックについて詳しく知りたい方は、「時短にも効果あり! 25分間の超集中法『ポモドーロ・テクニック』を実際にやってみた。」をご参照ください。
以上、東大生が勉強机に常備しているグッズと活用アイデアをご紹介しました。
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東大生は努力を欠かさないだけでなく、勉強机を整えたり文房具を活用したりと工夫しているのですね。みなさんも本記事を参考に、「より効率的な」「より楽しい」勉強法を考えてみてください。
岩波邦明(2014),『合格判定0%から1年で東大医学部に合格した人の秘密の勉強法』, PHP研究所.
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樺沢紫苑(2018),『いい緊張は能力を2倍にする』, 文響社.
瀧靖之 監, 主婦の友社 知育・教育取材班 編(2017),『東大脳の育て方』, 主婦の友社.
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佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。