みなさんは、最近読んだ本の内容を思い出すことができるでしょうか?
何か有用な知識やスキルを身につけるためにたくさんの本を読んでいる、という人は多いと思います。ですが、読書はするけれど何が書いてあったか思い出せる本はあまりない、という人もまた多くいらっしゃるのではないでしょうか。いつもそんなふうでは、せっかく読書に使った時間がもったいなく感じることでしょう。
そこで今回は、読んだ本の内容がしっかり頭に入る、“3色ボールペンを使った読書術” をご紹介します。実際にこの方法で読書をしてみた結果とその効果についても、詳しくお伝えしようと思います。
「3色ボールペン情報活用術」とは何か
今回私が実践した読書法の正式名称は、「3色ボールペン情報活用術」というものです。
これは、明治大学文学部教授の齋藤孝氏が提唱している方法。読書の際、例えば
- 客観的に見て最も重要な部分:赤
- 客観的に見てそれなりに重要な部分:青
- 主観的に見ておもしろいと感じた部分:緑
といったように、本に書かれている内容を3色に色分けして線を引きながら読み進めていきます。
3色ボールペンを用いる目的は、単に言葉を目立たせるためだけではありません。本の内容について自分の考えを深めたりノウハウを実践したりするために、3色の線を引くのです。
文字を目で追うだけのいわゆる “普通” の読書をしているとき、私たちはただ情報を集めているだけに過ぎません。いくら読み進めても、ひたすら情報を取り込んでいるだけ。しかし、そのようにしてただ溜め込んだだけの情報は、本当の意味での情報とは言えない、と齋藤氏は言います。
ところが、3色に色分けして線を引きながら読み進めると、本に書かれている情報に意味を持たせることができます。読むと同時に情報を整理することもできるので、本の内容を思い出しやすくなったり、日々の生活やビジネスシーンで活用しやすくなったりするのです。
本に3色で線を引くということはすなわち、本の内容を3つの切り口で分析すること。齋藤氏は、情報に価値を見出すために、分析しながら本を読むことを勧めているのです。
実際に3色ボールペンを使って本を読んでみた
筆者も実際に、3色ボールペンを使って読書をしてみました。
筆者自身、学校の先生に言われて教科書にメモをしたりラインマーカーを引いたりした経験であれば何度かあります。しかし、教科書を含め、基本的には本をできるだけきれいなままで残したいという考えがあり、正直なところこれまでは、3色ボールペンを使った読書法にあまり魅力を感じることができていませんでした。ですが、それほどまでに有意義な読書法ならば一度試してみる価値はあるはずと思い、一念発起。今回は個人的にとてもチャレンジングな試みであったと思います。
実践するにあたり、準備したものはたった3つ。
- 赤・青・黒の3色ボールペン
- 自分が読みたい本
- B5のノート
3色ボールペンは、今時100円均一のお店でも買うことができますし、実際に筆者もそうして手に入れました。いつも使っているものがある場合は、それでいいと思います。ノートについては、本にある情報をしっかり活用するべく用意しました。今回は、普段使っているものを利用しました。
そして、今回3色ボールペンを使って読み進めていった本は『1からの流通システム』(崔相鐵・岸本徹也編集、碩学舎)です。初めて知る内容が書かれている方が、どの程度効果があるのかを実感しやすいのではないかと考えたため、試験勉強をする必要があったことも兼ねてこちらの本を選びました。
線を引く3色の内訳は次のように決めました。ここは、実践する人が自分なりにアレンジしていいポイントです。
- 重要だと感じたところ:赤
- 疑問に感じたところ:青
- 興味深いと感じたところ:黒
そして、読書の際は次の3ステップを踏みました。
- まず、全体にざっと目をとおす。
- 読み進めながら、3色で線を引く。
- 疑問に思った点は、同じ色(青)でノートにまとめる。
ステップの3つ目は、筆者なりに工夫して追加した試みです。単純に本へ線を引くだけでなく、疑問に思ったところをノートにリストアップし内容とともに整理しておけば、あとで見返した際に勉強し直しやすくなるのではないかと考えたのです。
このやり方で読書をした結果、このような形となりました。
本に線を引いたページはそのままの状態ではお見せできないためぼかしを入れていますが(本の中身が分かってしまうので)、赤・青・黒の線が目に飛び込んでくるような紙面となりました。
また、疑問点をノートにまとめてみると、ページ全体が青字で埋まりました。青字がぎっしり詰まってはいますが、あとで読んだときに見やすくなるようにまとめることを意識して、ノートを作りました。
3色の線を引きながら本を読んだ感想
3色ボールペンを使って読書をしてみた感想をまとめてみます。
■ ためらいが消え、さらさらと線を引けるようになった!
筆者はもともと本にはあまり書き込みをしないタイプだということは、先にお伝えしたとおりです。そのため、最初は線を引くことにやはりためらいがありましたし、線を引き忘れてしまうこともしばしばありました。
ただ、実際そのときは内容が頭に入っておらず、「色分けして線を引きながら読んだ方が、言葉が頭に残りやすいかもしれない」と感じるように。ある程度読み進めていくと慣れてきて、さらさらと線を引きつつ内容を理解しながら読めていることに気づきました。
色分けについても、最初はどの色が何を示していたか一瞬迷うこともあり逐一確認していましたが、慣れてくると感覚的に線を引けるようになり、それにつれて読むスピードも上がったように思います。
■ 自分の考えを持ちながら本を読むことができた!
3色の線を引くことにより、自分がその色を選んだ理由について考えながら読み進めることができました。ただなんとなく読むのではなく、主体的に考えながら読むことができたように思います。
線を引いたあとでざっと見返してみると、自分の理解の仕方が一目瞭然に。理解度が色によって見える化されているので、再度読むべき箇所はどこなのか・理解を深めるべき箇所はどこなのかがわかりやすかったですし、「以前の自分はこの部分が疑問だと感じていたのか、今はもう理解できたな」といった気づきにもつながりました。繰り返し本を読む際の効率もアップしたと思います。
また、引く線の色数も1、2色だと単調に感じられそうですが、3色だと退屈することなく読書が進めることができ、これも大きなメリットだと感じました。
■ 「青ペン書きなぐり勉強法」のメリットも享受できた!
今回筆者なりの試みとして、青線を引いた疑問点をノートに青字でまとめましたので、「青ペン書きなぐり勉強法」も部分的に実践することになりました。
「青ペン書きなぐり勉強法」とは、日本アクティブラーニング協会理事長である相川秀希氏が考案した、文字通り “青ペンでノートにひたすら書きなぐる” という方法。青色にはストレスを軽減し集中力を高める効果があるので、青ペンを使えばストレスのない状態で勉強に集中することができるのです。(※「青ペン書きなぐり勉強法」については、「どんどん脳に刻まれる! 「青ペン書きなぐり勉強法」が最強のインプット法であるワケ」に詳しく紹介されています。ぜひ読んでみてください。)
今回は、書きなぐるというよりも、より体系的に整理するという意味合いの方が強かったのですが、集中力を持続させつつ落ち着いてまとめ作業ができたと感じました。本には事前に色分けして線を引いているため内容のつながりがつかみやすく、ノートにまとめる際にはとても便利でした。そうしてまとめた内容は、ノートを閉じても思い出せるほどに記憶できたと思います。
***
みなさんも3色ボールペンを使えば、本から得た情報を大いに有効活用することが可能となるでしょう。きっと読書の効率が大いにアップするはずです。お伝えした方法をぜひ実践してみてください。
(参考)
STUDY HACKER|記憶定着に効果大! 「三色ボールペン」で勉強が一気に効率化する納得のワケ。
STUDY HACKER|“1分で説明” を繰り返す! 勉強しても忘れる人におすすめしたい「アウトプット勉強術」
STUDY HACKER|読書にも勉強にも効果あり! 齋藤孝氏おすすめ「三色ボールペン活用術」を京大生が試してみた。
STUDY HACKER|どんどん脳に刻まれる! 「青ペン書きなぐり勉強法」が最強のインプット法であるワケ
【ライタープロフィール】
三島春香
神戸大学経営学部所属。京都市立西京高等学校卒業。海、宇宙、音楽、レモンが好き。旅行も大好き。大学生のうちにいろいろな所へ出かけて見聞を広めたい。