「嫌われているかも」は思い違い。自分を過小評価しがちな人が、もっと自信を持っていい理由。

過小評価せず自信をもっていい理由01

新しい職場や学校で、あるいは初めて参加した活動の場で、もしくは、いつも接している目の前の相手が「わたしに興味がないのかも……」「あまり好かれていないかも……」と感じたことはありますか?

あると答えた方は、「それは自信が持てないからだ」と考えるかもしれません。そして、自信に満ちあふれているように見える他者を見て、「あの人なら、会話をしながらそんな不安を感じることはないだろう」と思うのではないでしょうか。

ところが実は、多くの人が会話の際に、そんな不安を抱えてしまうようです。それを示した新しい研究と、わたしたちがもっと自信を持っていい理由を説明します。

自分で思うより、わたしたちは人に好かれている?

コーネル大学ハーバード大学エセックス大学イェール大学における心理学科の研究チームが5つの研究を行った結果、人は「相手がどのくらい自分を好いてくれているか」について過小評価する傾向があると分かったそうです。自分が考えているよりも、相手は自分を好いている可能性があるのだとか(Psychological Science誌・2018年9月5日に公開)。

研究のひとつは、初対面の参加者をペアにして、出身や趣味を質問しあうなど典型的な会話をしてもらったのち、相手への感情と、相手が自分に対して持った感情を評価してもらうというもの。その結果、過小評価をともなう「認知の錯覚」が起こっていたそうです。研究者らは、会話の相手が楽しんでいても、それに気づかないことを「認知の錯覚」と読んでいます。

こうした認知の錯覚は、追加の研究である「大学のルームメイト同士の調査」でも観測され、その錯覚は数ヶ月にわたって持続していたそう。初対面の関係だけに起こるわけではないということです。研究者は、「(好かれていると思い込んで、そうではなかった場合、大いに傷つくので)自己保護のため、確信できるまで人は悲観的になる」という見解を述べています。

「嫌われる自分」と「好かれる自分」

人には認知の錯覚があると分かりました。これを把握していれば、会話の際に生まれる不安がだいぶ和らぎますね。

しかし、相手に対して意図的に何かひどいことをしたというなら分かりますが、そうでなければ、そもそも「好かれる自分」と「好かれれない自分」の差は、相手が持った感情の違いでしかありません。たとえば同時期にAさんから好かれ、Bさんに嫌われても、あなた自身は全く同じです

ところが、わたしたちは、相手が自分に好意を持つと「いい自分」と感じ、好意を持たれないと「ダメな自分」と決め込んでしまいます。「もっとこうしたら、相手は自分を好いてくれるかも」と考え、Bさんにも好かれようと相手が望みそうな行動をとってしまうかもしれません。それでも期待どおりに相手が好意を示してくれなかった場合、「もうダメだ。自分なんて。何をやってもダメなんだ」とますますネガティブになってしまいます。

ここでハッキリしておかなければならないのは、「わたしたちは、他者の期待を満たすために生きているわけではない」ということ。

相手が持つ感情は「相手の課題」であり、「自分の課題」ではないのです。どうすることもできないし、それによって気を病む必要もありません。そう教えてくれるのは、心理学の三大巨頭としてフロイト、ユングと並ぶ、オーストリア生まれの精神科医・心理学者のアルフレッド・アドラーです。

自己肯定ではなく「自己受容」

哲学者・心理学者の岸見一郎氏と古賀史健氏の共著で、2013年にダイヤモンド社より出版されベストセラーになった『嫌われる勇気』には、心理学者アドラーの教えとして、他者の課題(感情・思考・行動)に介入する必要はないと説かれています。そして重要なのは、「頑張れば好かれるはず」といった「自己肯定」ではなく「自己受容」することなのだそう。

つまりそれは、「自分はもっとできる」「自分はもっとこうなるはず」と無理強いするのではなく、ありのままの「できない自分」を受け入れるということ(自己肯定は、ときに自己受容と同じ捉えられかたをしますが、ここでは『嫌われる勇気』の内容にのっとり解釈します)。かといって「できないから仕方がない」と停滞するようすすめているわけではありません。

同書の表現を参考にすれば、「自分は100点をとれる」と思い込んでしまうと、できない自分とのギャップに苦しみますが、「自分は60点しかとれない」と受容することにより、「では100点をとるにはどうしたらいいか」と次に進めるという考えです。

ありのままの自分を受け入れ、できること・できないことを見極め、他者の評価関係なく一歩一歩進むことが大切です。そして、ありのままの自分を受け止めるということは、自分を信頼する=「自信にほかならないのです。

わたしたちがもっと自信を持っていい理由

したがって、「わたしたちがもっと自信を持っていい理由」は、次の3つになります。会話をしていて相手の感情が気になったり、職場や学校で上司や同僚、クラスメートや先輩に「嫌われているかもしれない」と感じたり、あらゆるコミュニケーションの場において自信が持てなかったりする場合は、ぜひこのことを思いだしてください。

  1. 自分が考えるよりも自分は相手から好かれている可能性がある
  2. 他者から好かれる自分も、嫌われる自分も、結局は同じ自分
  3. 自分を受け入れ信頼する自信を持つ)と、できることが見えてくる

***
「この人はわたしのことが嫌いかもしれない」といった感情に振り回されることがなくなれば、その相手との会話がぐんと楽しくなるはずです!

(参考)
岸見一郎著,古賀史健著(2013),『嫌われる勇気』,ダイヤモンド社.
SAGE Journals|Psychological Science|The Liking Gap in Conversations: Do People Like Us More Than We Think?

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