上司がサイコパスか判断できる5つのチェックポイント。“気分屋上司” とうまく関わるには?

上司がサイコパスか判断できる5つのチェックポイント01

あなたの近くに、トークがうまくて自信に満ちあふれた上司はいますか? しかも、発言がコロコロ変わり真実ではないことを、あたかも本当のことのように平気で話します。また、弱みを見つけられたら最後、その部分を徹底的に攻撃してくるのです。

それでいて、周囲からは明るくて人当たりのいい、仕事ができる魅力的な人間だと評価されていたら、もしかして、あなたの上司は「サイコパス」かもしれません。

すっかり辟易しているにもかかわらず、上司なので関わらないわけにもいかないとお悩みの方に、サイコパスを判断するチェックポイントと、サイコパス上司と関わる方法をご紹介します。

あなたの上司はいくつ当てはまる? 「サイコパス」チェックポイント

社会に棲息するサイコパスにはいくつか特徴的な部分あります。1つでも当てはまればサイコパスの可能性があるといえるでしょう。

1.まったくためらわず平気でウソをつく

FBIの犯罪捜査リソースセンターなどで活躍する犯罪心理学者、Robert D. Hare氏のサイコパシーチェックリストには、「平然とウソをつく」という項目があります。矢幡心理カウンセリング研究所所長の矢幡洋氏にいたっては、サイコパスの「ウソがばれても動じない」という特徴を挙げています。

また、2018年7月19日発表の、京都大学による囚人を対象にした研究では、サイコパス傾向が高いほど、ウソを発する意思決定までの時間が速いと示されました。葛藤など心理プロセスにかかわる「(脳の)前部帯状回」の活動が低下しているため、ウソに対する葛藤も低いのだとか。

もしも、プレゼンや会議で真実とは違う説明を平気で行ったり、電話の着信も入っていなければ、チャットやメール受信の痕跡もないのに、平気で「電話したんだけどなあ」「あ、昨日昼ぐらいにメール入れといたはずだけど」とウソをいったり、決定的なウソの証拠を見せても「そんなわけないよ」と動じなかったりするようであれば、「サイコパス」の可能性ありです。

2.発言内容が日ごとコロコロわかる

Robert D. Hare氏によるサイコパスのチェックリストを見ると、サイコパスが後先考えず、衝動的に行動する特徴があることが分かります。

精神科医の名越康文氏は、この衝動性がビジネスシーンにおいて、「言動に一貫性がなく、発言内容がコロコロ変わる」という特徴となって表れることを、同氏監修の『あなたの近くの危険な人物! 【図解】サイコパスの話』に示しています。

昨日はA案といっていたのに、今日はB案といい、しかも「誰がA案なんて勝手に決めたの?」などと、思わず開いた口が塞がらないような発言が続いたら、「サイコパス」の可能性ありです。

3.とにかくプレゼンテーションがうまい

新商品のプレゼンを行う場合、情報を正確に分かりやすく提示することも大切ですが、理解と納得を得るために、相手が求めるもの、喜ぶことを的確に察知することも重要です。実はその部分こそが、サイコパスの得意とするところ。脳科学者の中野信子氏は、こういいます。

サイコパスは、人が考えていることを見抜きそれに合わせた演技をし、相手を自分の手のひらで転がすことができます。だから、プレゼンはかなり上手なはずです。

(引用元:Study hacker|最初の印象だけで決めてはいけない! 「サイコパス」な仕事相手を見分ける手段【中野信子『カリスマの言葉』第14回】)

そのため、上手なプレゼンを行った人間がサイコパスの場合、商品の中身がともなっていないことがあるそう。

もしも、あなたの上司が飛びぬけてプレゼンや営業トークがうまく、そして、たとえば「優れた商材だが、原価率ほか10~20%くらいの欠点はある。でも上司がプレゼンすると、100%完璧な商材だと信じてしまう」と感じたら、あなたの上司は「サイコパス」の可能性ありです。

4.リスクを恐れず刺激を求め、退屈を嫌う

名越康文監修の本には、サイコパスの特徴として、「リスクよりも成功のリターンを意識する」「不安や恐怖を感じにくい」といった特徴が挙げられています。

fMRI(核磁気共鳴機能画像法)によってサイコパスの脳を測定すると、一般人に比べて恐怖という情動をつかさどる脳の「扁桃体」という領域の活動が低いそう。Robert D. Hare氏のサイコパスチェックリストにも、「彼らは刺激を欲する傾向にあるため、リスクを伴うことや、危険なことを行う」とあります。

心理学者のマーサ・スタウト氏は、「刺激に対する欲求が強いサイコパスは、社会的、肉体的、経済的、あるいは法的にリスクを冒すことが多い」とし、「人を惑わせて危険な冒険に引きずりこむ」と述べています。

その反面サイコパスは、退屈な作業や、時間がかかる仕事には耐えられません。中野信子氏も「サイコパスは、事務的な仕事や協調性を必要とされるチームワークは苦手」だと説明しています。

もしもあなたの上司が、成功した際の見かえりは大きいが、失敗したらあまりにもリスクが大きいプロジェクトに挑もうとしたり、あるいは契約を結ぼうとしたり、危険な遊び(たとえば命綱なしで高いところに登るなど)を好んだりする傾向がある一方、地味で退屈な情報収集や調査、事務的な仕事を嫌うようであれば、サイコパスの可能性ありです。

5.他者に冷淡で、良心の呵責や罪悪感にとらわれない

オックスフォード大学感情神経科学センター教授のエレーヌ・フォックス 氏と、その同僚でパートナーでもあるオックスフォード感情神経科学センターの研究員、ケヴィン・ダットン氏は、サイコパス気質について「良心の呵責や罪悪感にとらわれずに行動できる」と伝えています。

また、矢幡洋氏やRobert D. Hare氏も、サイコパスは良心が欠如しており、とにかく相手の痛みに鈍感であることを伝えています。たとえ目の前の相手が傷ついていても、利用価値がなくなれば冷酷に切り捨ててしまうサイコパスは、他人の金銭や私益を利用しようとする特性もあるのだとか。中野信子氏によれば、サイコパスに悲惨な状況にある人の画像を見せても、感情と関連する部分の脳が活性化しないそうです。

そうしたことからサイコパスは、他者のお金などをだまし取ることに罪悪感がなく、それによって相手がひどく困っていても意に介しません。

もしも、よく「手持ちがないから貸しておいて」とランチ代やお茶代などを払わせ返さなかったり、あなたが得た権利や情報を自分のものにしてしまったり、ちょっと貸したものを返さず使っていたり、あるいは平気で手柄を奪ったりすることがあれば、その上司がサイコパスである可能性は大きいでしょう。

サイコパス上司と関わるとき、これだけはするな!

ここまで「サイコパス」のチェックポイントについて説明しました。次に、名越氏監修の『あなたの近くの危険な人物! 【図解】サイコパスの話』を参考に、サイコパス上司と関わるときに「決してやってはいけないこと」を3つ挙げます。

1.指摘・反論してはいけない

ただでさえ怖いもの知らずで攻撃的なサイコパスは、指摘・反論されると、よりいっそう攻撃的になるそう。他者に対する優越感が原動力サイコパスは、他者を負かし、他者より上に立ち、他者を制するために日々行動しています。そのため、文句をいわれると逆上する恐れもあるのだとか。たとえ発言の内容がコロコロ変わっても聞き流しましょう

また、機嫌が悪くなると、仕事とはまったく関係ないことで言いがかりをつけてくることがあります。そんなときでも、グッと我慢してくださいね。ウソつきで攻撃的で、しゃべりがうまいサイコパスを怒らせたら厄介です。とにかく聞き流すしかありません

2.挑発にのってはいけない

サイコパスはわざと相手が不愉快になるような発言をするといいます。しかし、そこで挑発に乗ってしまってはいけません。他人の考えを見抜き、操ることに長けているサイコパスのゲームにのったら最後、到底勝ち目はないでしょう。

サイコパスの目的は、相手をコントロールして支配下に置くこと。そうして優越感を味わい、利用し、挙句の果てには搾取しようと考えているのです。

たとえば「この書類の内容まったく違うんだけど」「あ、それ、わたしが作ったものじゃないのですが……」「すぐ、そうやって逃げるよね」「いえ……、そんなことは」「そんなことってどんなこと? やり直してほしいんだけど」と、不条理なゲームに巻き込まれそうになったら、感情は一切見せず、礼儀正しく穏やかな声で、しかし淡々と、「では、(その書類をつくった)Aさんに、その旨を伝えます」と伝え、丁寧にお辞儀をして速やかにその場を離れてください

ただし、慇懃無礼(不自然に丁寧すぎて、かえって無礼になってしまうこと)にはならないよう、適度な丁寧さで!

3.お金や物を貸して(預けて)はいけない

できるだけ自分のものを使わず、他人の金銭や私益を利用しようとするサイコパスには、決してお金や物を貸してはいけません。たとえば携帯電話を貸してその場を離れようものなら、平気で中を覗いたり、課金を気にせず長い時間通話したりする可能性があります。そうするのは決して卑しいわけではなく、罪悪感が欠如しているから。あなたの困った顔も見たいのかもしれません。

希代のウソつきでもあるので、大切な資料をポンと預けてしまったら、戻してもらえないだけではなく、その紛失をあなたのせいにするなんてことも。

そうしたことから、資料など預ける際は、第三者がいる前で渡すよう心がけてください。また、状況に応じ、職場の皆が確認できるビジネスチャットやCCを入れたメールで、「先日お渡しした資料は〇日にご返却いただくと助かります。お忙しいところすみません」などと入れておくといいかもしれません。

また、「ちょっと貸しといて」が多い上司には、「すみません、わたしも手持ちがなくて」「振り込むお金なんです」「実はこれ預かっているものなので」などと適当な理由を告げ、できるだけ貸すのを避けましょう

こちら「仕事相手が「サイコパス」だったときの5つの対処法。“口達者な嘘つき” とどう関わればいいのか?」にもサイコパスの詳細を記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。

***
サイコパスを近づけない最善の策は、聞き流す、相手にしないこと。どうしても応答が必要な場合は、冷静かつ穏やかに受け答え、すぐにその場を離れましょう!

(参考)
Study hacker|最初の印象だけで決めてはいけない! 「サイコパス」な仕事相手を見分ける手段【中野信子『カリスマの言葉』第14回】
東洋経済オンライン | 企業経営者には強いサイコパス気質がある
草思社|書籍案内 | 立ち読みコーナー
名越康文監修(2017),『あなたの近くの危険な人物! 【図解】サイコパスの話』,日本文芸社.
中野信子著(2016),『サイコパス 』,文藝春秋.

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト