たった5分のスキマ時間から始める “時短型” 読書術。忙しくても本を読める人は何をしているのか?

仕事で忙しくて、本を読む時間なんてない。本を読みたいけれど、まとまった時間が取れない。そんな悩みをお持ちの方に向けて、どんなに忙しい人でも読書の習慣が身につく、「最強の “時短型” 読書術」をご紹介します。必要な時間は、5分、10分、あるいは15分。たったこれだけです。

本を読まないビジネスパーソンはこうなる!

成功者ほど本を読んでいる、とはよく聞く話でしょう。StudyHackerでもこれまでたびたび、一流の人の習慣のひとつとして読書を取り上げてきました。

【関連コラム】
今すぐ変えたい。一生「二流」の人の危険な読書習慣。
明日からマネしたい。一流と二流の差を生む「4つの朝の習慣」

「Business Management Degree」がまとめたところによれば、1日30分以上の読書をしている人の割合は、年収16万ドル以上の富裕層では88%に対し、年収3万ドル以下の層ではたったの2%。例えば、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は年に50冊、1週間に1冊本を読んでいるそうですし、世界一の投資家と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は1日に500ページも本を読むのだとか。

また、雑誌『PRESIDENT』の調査(2016年)によると、1ヶ月に本を3冊以上読む人の割合は、年収2,000万円以上が約半数(46.2%)であるのに対し、年収500万円台はおよそ5人に1人(22.2%)

これらのデータから分かるように、仕事で成果を挙げ、富を築いてきた人たちの多くは、そうでない人に比べ圧倒的に読書をしているのです。

読書と収入の関係について、行動読書コンサルタントで『年収を上げる読書術』の著者、大岩俊之氏は次のように解説しています。

一生勉強し続けること。 そしてそれを元に自分で考え、自分から提案するような、仕事を作り出していく能力を身につけると、将来高収入を稼ぐ人になりやすいのです。

(引用元:タウンワークマガジン|高収入を稼ぐには「読書」?!若いうちから読書すべき理由とオススメ本は?)太字・下線は編集部にて施した

例えばマーケティングの仕事をしている人が、仕事にまつわる本を読んだとしたら……理論を学べるのはもちろん、名のあるマーケターの成功法則を学び自らの仕事に活かしたり、現状の仕事に新たな知見を取り入れたりすることができるでしょう。それが売上や顧客数のアップにつながれば、その仕事ぶりが評価され、昇進・昇給の道が開けるのです。

読書をすればこうした成功の道筋が見えるのに、読書をせず目の前の仕事に忙殺されるだけの日々を過ごしていたらどうなるでしょう。先ほどの大岩氏の言葉をすべて逆にしてみると、

一生勉強しないままでいること。 知識を得ることがないので自分の考えは当然深まらず、自ら新たな提案をすることも、仕事を作り出すこともないから、評価は得られず収入アップなどするわけもない

ということになります。先のデータに照らせば、本を読まないビジネスパーソンは、本を読むビジネスパーソンに比べて、年収が1,000万円以上開くといっても過言ではないのです。

時間がない人のための読書術1:「“5分間”読書術」

「そうは言っても、実際忙しくて時間がない!」そんな声が聞こえてきそうです。その声に対し「“読む時間がない”と言う人は、本を読むのに時間をかけすぎている」と述べるのは、ビジネス関連の著作を多く持つ中谷彰宏氏。中谷氏は、次のように言います。

「読む時間がない」と言う人は、まとまった時間にじっくり読もうとしています。
まとまった時間を読書のために使うのはもったいないです。
本は、1分あれば読めるものです。その感覚を持つことです。
それが読書の習慣につながるのです。
習慣のある人とない人とでは境目があります。
「まとまった時間がなければできない」と言うのは、習慣のない人です。

(引用元:中谷彰宏(2015),『なぜランチタイムに本を読む人は、成功するのか。』, PHP研究所.)太字は編集部にて施した

つまり、たった1分程度のスキマ時間があれば、本を読む時間は作れるということ。信号待ち、エレベーター待ち、電車の乗り換え待ちなどのスキマ時間に、ついスマホをチェックする代わりに本を開けばよいのです。

でも実際には、1分のスキマ時間に本を開いてまた閉じるのは慌ただしいもの。そこで、中谷氏が推奨する5分間読書を実践してみてはいかがでしょう。例えばランチタイム、お店で料理を注文してから提供されるまでの5分間を読書にあてるのです。中谷氏は朝食時にもこれを実践していて、料理が出てくるまでの5分と、食後にひといきつく5分の計約10分間に本を1冊読むのだそう。

このやり方で「5分間だけ読書する」なら、どんなに忙しいビジネスパーソンでもできそうですよね。これと似たエピソードとして、東大首席卒・NY州弁護士の山口真由氏は、「本は6分あれば1単元が読める」と言い、どんなスキマ時間でも読書をするのだと言います。

ただ、「5分じゃほんの2,3ページしか読めない」そう考える人もいるでしょう。5分しかないのですから、当然本は「速く」読まなくてはなりません。ではどのようにすれば本を速く効率よく読めるのか。その方法は、次の項目でお伝えすることとします。

時間がない人のための読書術2:「“10分間”読書術」

次にお伝えするのは、10分間読書。書評家で年間700冊以上もの本を読む読書家、印南敦史氏がすすめる方法です。多くの小中学校で「朝の10分間読書」運動が行なわれているように、ビジネスパーソンも本を読む習慣をつけるには、毎日同じ時間帯に読むことが大切。そこで、読書時間の枠を「10分間だけ」おさえてしまおうというのです。

コツは、あくまでも10分で時間を区切ること、そして読書の時間帯とシーンを決めること。印南氏によれば、10分という時間は「また明日も読みたい」という気持ちを高めるのに丁度よいのだとか。また、脳科学者の篠原菊紀氏によれば、集中力は10分くらいで揺らぎ始めるのだそうで、10分間は集中力を無理なく維持するのに適しています。

さらに、「仕事を始める前に、席で10分間」「就寝前に、ソファで10分間」といったように時間帯とシーンを決めれば、読書が生活の一部になりやすいでしょう。習慣化コンサルタントの古川武士氏も、「いつ、どこで、なにをするのか」をはっきり決めると、行動を起こしやすくなり、習慣として頭が認識してくれやすくなると言います。

そうして確保した10分間を使い、印南氏は本を「速く」読むことを提案しています。ただし、特殊な訓練が必要なイメージのある、いわゆる「速読」をせよと言うのではありません。ところどころ読み飛ばしながら、流し読みするのです。

印南氏いわく、そもそもビジネス書や新書は、短時間で読めるように作られているもの。読む必要性が高くないところは読み飛ばし、必要なところだけ読むようにしていけば、本の内容はじゅうぶん押さえられるのだそうです。

「読み飛ばしポイントを見つけるための3つの目印」についてまとめると、以下の通りとなります。

目印1:商品差別化のために挿入された「著者の自分語り」
→類書とどこが違うのかを読書にアピールするための、いわば「買わせるための情報」でしかないから。

目印2:理論や主張を裏づける「個別の事例・体験談」
→事例部分は、主張のための説得材料として用意されたもの。ここを飛ばして「まとめ」の部分を読むだけでも、話は理解できるから。

目印3:期待・危機を煽る「過剰すぎる表現」
→「本書を読み終えたとき、あなたの人生は劇的に変化するでしょう」といったことが書かれている本の大半は、人生を劇的に変化させてはくれないから。

これら3点を目安に本を読み進めていけば、読書スピードの向上につながるそうですよ。ただしこれは、あくまでビジネス書や新書に限った話。小説やエッセイなどには当てはまりませんので注意してください。

時間がない人のための読書術3:「“15分間”読書術」

10分よりももう少し長めに本を読めそうだ。そう感じた方は、ぜひ15分間読書を試してみてはいかがでしょう。これは、脳科学に詳しい精神科医で、毎月30冊読む読書家でもある樺沢紫苑氏が勧めるもの。樺沢氏によると、脳が高い集中力を維持できる限界は15分。上でお伝えしたことも合わせて考えると、私たちが集中できるのは10分からせいぜい15分までだということになります。

また、樺沢氏は次のように述べています。

例えば、スキマ時間5分で本が10ページ読めるとします。その5分のスキマ時間が3回あれば、30ページが読めます。しかし、連続した「15分」があれば、30ページではなく40ページは読めるのです。

(引用元:樺沢紫苑(2015),『読んだら忘れない読書術』, サンマーク出版.)

5分や10分もよいですが、“短時間の集中力”を最大限活用したいなら、15分確保するのがベストなのです。

この15分といえば、通勤中に確保しやすい時間ではないでしょうか。乗り換えをする人なら、乗り換え前と後の乗車時間で、15分×2回、さらに往復で×2回の、合計4回は確保できる計算になりますよね。樺沢氏によると、制限時間を決めると集中力がアップし、脳が高いパフォーマンスを発揮しやすいのだとか。電車に乗れば必然的に下車時間(制限時間)も決まるので、「降りるまでの15分間で○ページまで読もう!」と決めて読むと良いそうですよ。

日々の生活の中で、15分間のスキマ時間をぜひ最大限活用してください。

***
習慣を作りたいなら、まずは小さな行動の積み重ねから。「忙しくて時間がない」が口癖の方でも、「5分」「10分」「15分」と段階を追って時間を増やしていけば、無理なく読書習慣が身につくはず。スキマ時間を見つけたら、ぜひ1日に何回でも本を開いてみましょう。

スキマ時間を活用した読書術については、「スキマ時間だけで「月30冊」の本を読む方法がすごかった。」でもご紹介しています。よろしければぜひお読みください。

(参考)
中谷彰宏(2015),『なぜランチタイムに本を読む人は、成功するのか。』, PHP研究所.
印南敦史(2016),『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』, ダイヤモンド社.
樺沢紫苑(2015),『読んだら忘れない読書術』, サンマーク出版.
Business Management Degree|HABITS OF THE WORLD’S WEALTHIEST PEOPLE
cafeglobe|お金持ちの共通点は熱中と読書。たとえばバフェットとゲイツ
プレジデントオンライン|年収2000万vs500万学習法比較
タウンワークマガジン|高収入を稼ぐには「読書」?!若いうちから読書すべき理由とオススメ本は?
StudyHacker|学力向上は生活習慣の確立と時間の使い方で勝負が決まる——東大首席卒・NY州弁護士 山口真由さんインタビュー【第2回】
StudyHacker|スキマ時間だけで「月30冊」の本を読む方法がすごかった。
StudyHacker|集中脳は “切り替え” で実現! 『ポモドーロ・テクニック × 報酬効果』で集中モードを手に入れる。
StudyHacker|勉強・読書……インプット行動を習慣化するテクニック——習慣化コンサルタント・古川武士さんインタビュー【第3回】
StudyHacker|気合いなんて必要ナシ! 脳科学者も注目する “新しい習慣” の身につけ方。
StudyHacker|東大首席・山口真由さんが「4分」あればどこでも本を読む深い理由。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト