勉強する習慣がなかなかつかない。勉強のやる気が出ない。忙しくて勉強時間が確保できない……。思うように勉強が進まないことでお困りではありませんか?
これらの悩みを解消できる意外な方法があります。それは、「勉強記録をつけること」。
「そもそも勉強が進まなくて困っているのに、記録などできるわけがない」と思う人もいるでしょう。また、記録なんて面倒くさそうと思う人もいるかもしれませんね。
実は、勉強記録はとても簡単に始められるもの。それだけでなく、勉強記録には勉強の効率向上につながるたくさんのメリットがあるのです。今回は、やる気も実力もアップする勉強記録のつけ方について解説します。
勉強記録の意義とは
勉強記録とは、主に勉強した時間や内容を、何日にもわたって記録することです。定期テストに向けた勉強や、受験勉強、スキルアップのための英語の勉強、資格試験の勉強など、勉強の種類は問いません。アプリを使ってデジタルで記録したり、ノートや手帳に手書きで記録したりします。では、勉強したことを記録するとどのような効果があるのか、説明しましょう。
勉強記録の効果1:やる気がアップする
勉強記録を続けると、勉強した日数、勉強した時間、勉強した問題の数、勉強したページ数……などが、目に見える形でどんどん蓄積していきますよね。このようにして記録が溜まっていくと、ポイントカードのポイントが溜まるのと同じように、喜びが感じられます。そうすると、「もっと記録をつけたい、もっと勉強したい!」という気持ちになり、勉強のやる気アップが期待できるのです。
勉強記録の効果2:習慣化に役立つ
習慣化コンサルタントの古川武士氏が調べたところによると、習慣化が成功するか否かには「その行動について記録しているかどうか」が関係しているのだそうです。これを勉強にあてはめて考えてみましょう。
勉強記録をつけていると、何のために勉強しているのかを自然と意識することになります。なぜなら、ただ漫然と記録するというよりは、目標に向けて「今日は順調に進んだな」「今日はうまくいかなかったな」ということを考えながら記録をするはずだからです。また、思うように勉強が進まなかった時でも、そのことを記録しておけば「同じ失敗はしないぞ」という意識が働くので、その先の勉強プロセスの改善が見込めるでしょう。さらには、上でも述べたように、勉強を続けていることが目で見て分かるようになるのでやる気アップにつながります。
このようなことから、勉強記録をつけると、挫折することなく勉強を習慣化することができるのです。
勉強記録の効果3:進み具合、課題の認識に役立つ
勉強記録をつけると、目標に向けた勉強の進み具合が目で見て分かるようになります。目標達成までに、自分はどの程度勉強を終え、あとどれぐらい勉強しなければならないかが明らかになるのです。
例えば、「資格試験に合格するために、教科書の内容を1ヶ月で覚える」という目標を立てているとしましょう。目標達成から逆算すれば、いつまでにどの単元を終えればいいか、1日で何ページ分勉強を進めればいいのかがわかりますね。最終的なゴールに至るまでの小さな目標を日ごとに立て、それをクリアするような感覚で勉強を進めていきながら記録をつけてみてください。そうすると、自分の勉強の進み具合が把握できるだけでなく、間違えた問題や覚えにくかった単元などからその先優先的に勉強すべきポイントも見えてきます。
試験間際になって、頑張って勉強していたつもりだったのに実はあまり進んでいなかったことに気付いて愕然とする、というのはよくあること。勉強の記録をつけると、こうした失敗を防ぐことができますよ。
勉強記録の効果4:時間の捻出に役立つ
勉強したいけれど、忙しくてまとまった勉強時間がとれないという人もいるでしょう。そんな場合にも記録は役に立ちます。この場合は、勉強時間だけでなく1日の行動すべてを記録するのです。
6:00に起きて、15分くらいボーっとテレビを見て、そのあと朝食を食べて……といったひとつひとつの行動とそれにかかった時間をつぶさに記録してみてください。すると、スマートフォンをいじりながら特に何をしているわけでもない時間があることに気づいたり、20分で終わることに1時間もかけているなど効率の悪い時間の過ごし方をしていることが分かったりします。
「勉強時間なんて1日30分しか確保できない!」と思っていた人でも、こういったスキマ時間を合計すれば、もしかしたら2時間くらいまで勉強時間を伸ばせる可能性があります。勉強時間の確保にも、記録は有効だというわけです。
勉強記録の効果5:成長を実感できる
勉強時間を記録し続けると、自分の成長を数値化して実感することもできます。
「勉強した分だけ頭脳は進化している」。こう語るのは、薬学博士の木村美紀さん。木村さんは、東京大学および同大学院で学び、現在はタレント活動や書籍の執筆をするほか、明治大学などで講師も務めています。
木村さんは東大合格を目指した受験勉強中、ストップウォッチを肌身離さず持ち歩き勉強記録をつけていました。勉強した内容と時間だけでなく、睡眠時間やその他の時間も、毎日ストップウォッチで計って記録し続け、日々の勉強時間を比べて達成感を得ていたそうです。木村さんは、次のように述べています。
中高生になると勉強も他人と比較してしまいがち。偏差値やテストの結果などで、友人と比べて、劣等感にさいなまれることも少なくありません。しかし勉強時間を計っていれば、ライバルは「過去」の自分になります。今日1時間勉強したので、昨日の自分より1時間分レベルアップしたはずと思えるわけです。
(引用元:PRESIDENT Online|ストップウオッチが、ある東大生の人生を変えた!)
特に受験勉強のような息の長い勉強では、途中で心折れそうになることもあるでしょう。そんなときも、自分が勉強してきた記録を見れば、過去の自分と比べ確実に成長していることが実感できるのですね。
アプリを利用した勉強記録のつけ方
勉強の記録をつける方法には、スマートフォンを使ってアプリで記録するか、ノートに手書きで記録するかの2通りあります。まずはアプリを使った勉強記録の仕方について紹介しましょう。
アプリで勉強記録をつけるメリットは、なんといっても手軽で簡単なこと。スマートフォン1つあればよいので、記録なんて面倒くさそうだなと感じる人におすすめです。人間だれでも、嫌なことや面倒なことは長続きしません。勉強の記録は続けることに意味がありますから、楽に記録を付けたい人はアプリを使ってみましょう。
コソ勉
「コソ勉」は、科目別に勉強時間を可視化できるアプリです。国語は赤、数学は黄、英語は緑……などと科目ごとに自分の好きな色を設定し、15分勉強したら画面上の方眼マス目を1マス塗ります。1時間勉強したなら4マスですね。たったこれだけのシンプルな操作で、自分がどれだけ勉強したかを記録することができ、塗り続けていけば自分だけのカラフルな勉強記録が出来上がるのです。科目別の累計時間を比較することもでき、勉強バランスもチェックできます。
ちなみに、コソ勉は、「こっそり&しっかり」勉強したい人のための、勉強記録ツールです(SNS機能はありません)。周囲に知られぬ間に記録を積み上げて、勉強で成果を出しましょう。また、もしアナログのほうがお好みであれば、同じことを紙とペンで行うこともできますよ。→勉強嫌いの私が1年で3000時間勉強して京大に合格した「ぬり絵勉強法」
継続する技術
「継続する技術」は、勉強の習慣化に失敗しがちな人にぴったりのアプリです。例えば、「英語を勉強しようとは思うが、いつも三日坊主で終わってしまう」人は、このアプリを使って勉強の習慣化にチャレンジしてはいかがでしょう。
アプリに、集中的に取り組みたい一つの目標と継続期間(30日か90日)を設定したら、あとは実行するたびアプリの「Done!」ボタンを押して記録するだけ。「Done!」が入力されない日が2日続くと記録はリセットされてしまうため、ちょっとした強制力を味わえる一方、途中で励ましのメッセージが表示されるので習慣化に挫折しがちな人でも頑張れそうです。
このアプリでは目標を一つしか設定できませんので、複数科目の勉強には向きませんが、「この問題集を30日でやりきる!」とか「毎日必ず英語のニュースを読むぞ!」といったシンプルな勉強を習慣づけたい人におすすめです。
aTimeLogger
「aTimeLogger」は、忙しい毎日のなか勉強時間を捻出したい人におすすめの記録アプリ。勉強、仕事、食事、睡眠など1日の行動にかかった時間を記録し、日別、週別、月別に集計することができます。
使い方は簡単で、例えば勉強時間を記録するなら、勉強の始まりと終わりにアプリ内のボタンにタッチするだけ。他の行動も同じように記録していくと、1日(あるいは1週間、1ヶ月)の生活のなかでどれぐらい勉強時間を確保できたかがグラフで一目瞭然になります。勉強時間を増やそうと、他の時間をうまくやりくりする癖がつくので、勉強時間の捻出に役立つでしょう。自分で時計をみて時間を計らなくて済むので、便利ですね。
ノートを使った勉強記録のつけ方
次にご紹介するのは、ノートや手帳に手書きで勉強記録をつける方法です。アプリを使うのに比べ少し手間暇が増えますが、手書きならではのメリットがあります。それは、「手書きすると記憶に残りやすくなる」ということ。
私たちは、手書きをする際、漢字やひらがな、英数字など様々な文字を書くために、指先を繊細に使います。特に指先は脳と直結していて、指先の刺激は脳に鋭く伝わりやすいのだそう。文字を手書きするとき、脳は書いている文字に対し積極的に注意を向けます。その結果、手書きした内容が記憶として定着しやすくなるのです。実際にある研究で、知らない漢字や記号などを覚えるには、一度手書きすることが効果的だということが報告されています。
このような脳の働きを利用し、勉強記録を手書きで行ってみましょう。
- その日に勉強したこと
- 重点的に覚えるべき内容
- つまづいたので後でしっかり復習したほうがよさそうな内容
などを、ノートや手帳に書いておきます。そうすると、記憶の定着が期待できるだけでなく、その記録ノートを見るだけで勉強の進み具合や理解の程度、復習の要否が簡単に分かり、振り返りがしやすくなるのです。
また、こうした勉強記録は夜寝る前に行うのがベストです。なぜなら寝る前に勉強したことは記憶に残りやすいから。睡眠と記憶には密接なかかわりがあり、脳では、寝る前までに得た情報が睡眠中に整理され記憶として定着します。夜寝る前に、その日の勉強内容を振り返りながら、手書きの記録ノートを作成してみてください。
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習慣形成にもやる気アップにも、実力向上にも効果がある勉強記録。アプリを利用した勉強記録には「続けられる手軽さ」というメリットがあり、手書きの勉強記録には「記憶に残る」というメリットがあります。どちらか一方を選ぶだけでなく、組み合わせてオリジナルの勉強記録を作ってもいいでしょう。自分が続けやすい方法で、勉強記録をつけてみてくださいね。
「社会人・大学生におすすめの勉強アプリ15選。英語勉強やスケジュール管理に使える!」では、ほかにも勉強に役立つアプリを多数紹介しています。ぜひご覧ください。
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