「サボってるわけじゃないんです」頑張らずに成果を出せる人の “省エネ仕事術” がすごい。

どんな仕事も高い完成度をめざし、丁寧に取り組んでいる。仕事はいつも全力投球。自分は、誰よりも頑張っているはず! だけど……成果はごく平凡で、評価も普通。自分よりも頑張っていないように見える人が成果を出して出世していく。いったいどうして!?

そんな頑張っても成果があがらない人」に向けて、「頑張らずに成果をあげる」仕事術を紹介します。仕事がデキる人は、ラクして成果を出しているものですよ。

1. 「5分間仕事術」

上司・顧客からの指示や新規プロジェクトの始動で、新しい仕事を引き受けることになった。でも、手元にはやりかけの仕事が山積み……。そんなとき、「まとまった時間ができてから、腰を据えてじっくり取り組もう」と考えるのは、頑張っても成果があがらない人のやり方です。

頑張らずに成果を出したいなら、新しい仕事は、その場で5分間だけ取り掛かりましょう

ゴールドマン・サックス、マッキンゼー・アンド・カンパニーといった世界トップ企業を経て、現在事業開発支援を手掛けるシーネクスト・パートナーズ代表取締役の戸塚隆将氏は、仕事のクオリティを高めるために、仕事を引き受けたら、その直後の5分間は必ずその仕事に取り掛かるべきだと言っています。なぜなら、新たな仕事が生じたまさにそのタイミングでの行動が、その後の手間と成果を左右するから。戸塚氏自身を含むエリートたちが、この「5分間仕事術」を実践しているのだそう。仕事は「最初が肝心」だということです。

戸塚氏は、5分間で押さえるべきポイントとして、

  1. 締め切り、目的、アウトプットイメージを再確認する
  2. 作業スケジュールを立てる
  3. 初動にとりかかる

の3点を挙げています。なぜこの3つが「頑張らずに成果をあげる」ことにつながるのか。詳しく見ていきましょう。

省エネ仕事術01

1 締め切り、目的、アウトプットイメージを再確認する

仕事の期限目的のほか、「○○の企画が市場のニーズと合致しているか調べるために、××や△△などのデータを分析し、結果をスライドにまとめればよろしいのですね?」といった具合に、仕事の依頼者が求めるもの(=アウトプットイメージ)を早い段階で明確化します。依頼者と自分の認識を早期に一致させることが大事です。

もしこれを怠れば、仕事の要点を忘れ、後で確認しなければならなくなったり、認識がずれたまま仕事を進めてしまい後で修正が必要になったりします。手間が増えるばかりか、あなたの評価は間違いなく下がるでしょう。

2 作業スケジュールを立てる

最終の締め切り日から逆算して、仕事の完成までにやるべきタスクを細かく分け、タスクごとに締め切りを設定します。トラブルや突発的な仕事を考慮し、スケジュールには余裕を持たせましょう。コツは、締め切り日だけを決めておくのではなく、作業時間を先にブロックしておくこと。

時間管理コンサルタントの水口和彦氏も、有効なタスク管理の方法は「タスクを『実行できそうな日』のスケジュール欄に入れておくことだ」と言っています。タスクを実行する日を決めておけば、タスクをやるべきタイミングを逃しません。逆に、「期限までにやればいい」という考えでは失敗してしまう可能性があるのです。

3 初動にとりかかる

関係者とのアポイント調整、資料収集の依頼、必要物品の発注など、時間のかかることや後になってからでは手遅れになることに着手します。ギリギリでの日程交渉は自分にとっても関係者にとっても負荷のかかることですし、焦りながら仕事を進めていては質も上がらないもの。最悪の場合締め切りに間に合わない、という事態にもなりかねません。

「5分間仕事術」を実践すれば、確認不足による無駄な作業がなくせますし、余裕をもって仕事に取り組めるのでクオリティ向上に専念できます。仕掛中の別の仕事と同時進行でも、スマートに成果を出すことができるでしょう。

省エネ仕事術02

2. 資料づくりは「全体構想」から

会議の資料に企画書、さまざまな報告書。内容が多い資料こそ充実した資料だと信じ、つい大盛りな内容の資料を作ってしまってはいませんか? (詳細な資料が求められている場合を除き)資料作成に時間をかけすぎるのは、頑張っても成果があがらない人のやり方です。

頑張らずに成果を出すための資料づくりの鉄則は、全体構想から始め、ここに最も注力すること。資料作成のプロセスで一番重要なのは、この全体構想です。マッキンゼーをはじめとする有名コンサルティングファームで働く人たちの間では常識となっているのだそうですよ。

全体構想の方法として、ボストン コンサルティング グループを経て現在はコーン・フェリー・ヘイグループでコンサルタント(シニア クライアント パートナー)として活躍する山口周氏は、スライドの流れを手書きのメモ用紙で考えることを勧めています。グラフやチャートの見せ方、順序などを、下の例のように考えながら整理してから、パソコン上での作業に移るのです。

省エネ仕事術03 (画像引用元:まいにちdoda|【資料作成術】少ない労力で相手に理解してもらう!スライド資料作成時に使える5つの心得(山口周)

全体構想が出来上がったら、上司や顧客、あるいは同僚などに一度見せて、意見を求めます。資料のイメージはこれで合っているか、欲しい内容はこれで網羅できているか、逆に不要なページはないか、といったことを、全体構想の段階で確認しておきましょう。そうすれば、無駄な作り直しを防げるだけでなく、資料のクオリティを上げることができます。山口氏によれば、資料作成にかけられる期間が仮に2週間あったとしたら、実際にパソコン上で資料作成をするのは最後の3日間だけでいいのだそう。それほどまでに、全体構想は大事なところです。

デキる人は、構想に力を注いでいるからこそ、無駄な頑張りをすることなくスマートに資料作成をやってのけます。普通のビジネスパーソンの資料づくりにありがちな「大変だったのにイメージと違うからやり直せと言われた」「せっかく作ったスライドを削らなければならなくなった」といった失敗とは、まるで縁遠いのです。

省エネ仕事術04

3. 自分に向いている仕事に「だけ」注力する

仕事を引き受けたら、1から10まで自分でやるべきだ。苦手でも一生懸命頑張るのがカッコいい。それは、頑張っても成果があげられない人の考え方です。

頑張らずに成果をあげている人は、自分に向いている仕事にのみ力を注ぎ、苦手な仕事は他人に手伝ってもらっているものですよ。

『ラクして速いが一番すごい』の著者で人事・戦略コンサルタントの松本利明氏は、「どんなに優秀でも『なにもかも完璧という人はいない』」と言います。仕事で高く評価されている人は、必ずしもスーパーマンなわけではなく、得意な仕事に力を注いで成果を出しているもの。苦手な仕事はそれが得意な人にお願いすることが「ラクして速く」仕事をするための秘訣なのだそうです。

これについては、多くの識者たちが同様の意見を持っています。例えば、コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀氏は以下のように述べています。

大きな結果を出している人ほど、次のようなことをおっしゃいます。 「いや~、私なんて何もできないですから。周りのみんながよくやってくれて、この大きな成果を出せたんです。ほんとに、みんなに感謝です」 このように、結果を出す人ほど、「自分はできないけど周りに恵まれた」とおっしゃいます。成果を出す人ほど、お願い上手です。 だから、たくさんの協力者に囲まれているのです。

(引用元:リクナビNEXTジャーナル|“大きな成果”を出す人は、やっぱり「お願い上手」

また、人材育成・組織開発支援を手掛けるFeelWorks代表取締役の前川孝雄氏に至っては、

出世する人の特徴は、まず「仕事ができない」ということだ。若い頃、仕事ができる有能な人材がたくさんいたが、こういう人は以外にも出世しない。むしろ「大丈夫かな」と心配になった人たちのほうが次々と要職に就いていたりする。 あらためて彼らの立ち居振る舞いを考察してみると、「仕事ができない」というより、「できない」ことをさらけ出しているようである。自分はできないので、人にやってもらうしかなく、それを自覚するゆえか愛想がよく、まわりも思わず手を貸したくなるのである。

(引用元:前川孝雄の”はたらく論”|■出世するのは「できない人」、出世しないのは「できる人」

とまで言っています。自分を有能だと過信し、仕事を何でも自分ひとりで抱えてしまう人は、頑張っているようではあっても成果が出せず、当然出世することだってできないのです。

文章を書くのが苦手な人が、いくらウンウン唸って商品のセールスコピーを書いても、上司に書き直されるのがオチです。細かい数字のチェックが苦手な人が大量の請求書の処理をやろうものなら、時間がかかる割にはミスが多く、他の仕事にまで悪影響を及ぼすでしょう。仕事の効率をアップさせるには、苦手なことは得意な人に頼むに限ります。

他の人の協力によって自分の仕事で成果を出せたときには、その人に感謝するのはもちろんのこと、「自分の成果はこの人のおかげ」と周囲にも伝えましょう。そうすれば、協力者をさらに増やすことができ、自分一人だけで頑張らなくても、ラクして成果と出世が実現できるのです。

***
頑張っても成果があがらない経験を一度でもしたことがあるなら、ぜひ頑張らずに成果をあげる仕事術を試してみてください。「こんなにラクにうまくいくなんて!」と、病みつきになるかもしれませんよ。

あなたの仕事から取り除くべき「3つの無駄」。“頑張りすぎな人” が成果に恵まれない致命的理由とは?」でも、頑張り過ぎな人が正すべき仕事の悪癖を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

(参考)
戸塚隆将(2013),『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』, 朝日新聞出版.
戸塚隆将(2014),『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?【実践編】』, 朝日新聞出版.
StudyHacker|タスクは「実行日」に書け! “本当に使える” タスク管理の方法とは?——水口和彦『仕事も学びも効率化 目からウロコの時間管理術』第3回
まいにちdoda|【資料作成術】少ない労力で相手に理解してもらう!スライド資料作成時に使える5つの心得(山口周) リクナビNEXTジャーナル|“大きな成果”を出す人は、やっぱり「お願い上手」
前川孝雄の”はたらく論”|■出世するのは「できない人」、出世しないのは「できる人」

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