文章術の基礎の基礎。"書ける人" は必ず知っている「3つのマインドセット」

文章を書くのって、難しいですよね。

学生の方なら、レポートや論文に追われます。社会人だって、メールに報告書に企画書と、文章を書く作業だらけではないでしょうか。

文章を書く機会は多いのに、なかなか相手に認めてもらえるような文章が書けない。レポートはいつもC評価だし、報告書はやり直しをくらい、企画書は通らない……。もう文章を書くのなんて、嫌いだ!! そんな人も多いはずです。

もし、文章を書くことに苦手意識があるなら、「文章の書き方」や「ロジカルライティング」の本を買う前に、ちょっとこの記事を読んでみてください。

文章を書くときには、その文章の目的が何であるかに関わらず、気を付けるべきことがあります。表面的な語尾の丸め方や、言い回しのバリエーションだけでは、相手に伝わる文章は書けないのです。

今回は、書き手が持つべき3つのマインドセットについてお話しましょう。

1, 読み手の視点に立つ。

自分の考えたアイディア・企画を説明したり、ブログを更新したりするとき。「自分の書きたいこと」だけを考えて、文章を書いている人はいませんか?

そんなの、当然じゃないか! という反論が聞こえてきそうですが、ちょっと待ってください。

そもそも、あなたはどうして文章を書くのでしょうか。

単位をもらうため、上司に報告するため。細かい目的はいろいろあるかもしれませんが、根本にあるのは、相手に読んでもらうため、という理由であるはずです。自分が書くため、ではありません。なのに私たちは、「相手の読みたいもの」ではなく「自分の書きたいこと」を書いてしまいがち。

新商品を発売するには、マーケティングが必要です。30代男性には、こんなニーズがある、一方で女性はこんな風になっているらしい……。相手の欲しいものを調べるのがマーケティングの基本ですが、文章でもそれは同じこと。相手が何を読みたいのか、しっかりマーケティングしましょう。そうしないと、読んでもらえません。これは、良い評価をもらう以前の問題です。

トラブルの報告書なら、いつどこでどういうトラブルが起き、原因は何なのか、影響範囲はどれぐらいで、どう対処したのか、今後必要なことは何か。授業のレポートなら、授業の内容のまとめだけではなく、そこから何を学んだのか、何を感じたのか、さらに知りたいと思ったことは何なのか。相手が欲しいと思っているであろう情報を、文章には盛り込まなければなりません。

せっかく書いた文章が、読んでもらえないかもしれない。この悲劇の可能性は、書き手にいつもつきまといます。相手が読みたいものを書かなければ、読んでもらうことはできません。このことを肝に銘じましょう。

最初の数行を読んでつまらないと思ったら、もう読んでもらえない。小論文や課題作文であれば読者(教師や評者)にも読み通す責任があるが、一般的な日常文にはそれがない。読者はいつも「読まない」という最強のカードを手に、文章と対峙しているのである。

(引用元:古賀史健著(2012),『20歳の自分に受けさせたい文章講義』,星海社.)

2, 事実を細かく描写する。

文章がうまい人は、どんな人か? 筆者は以前、大学の同級生にこんな質問を投げかけたことがあります。

その時返ってきたのは「比喩表現がうまい人」「語彙が豊かな人」などでした。いずれも、文字を書く際のテクニックが優れている人、という声が多かったのです。

確かに、文章の技巧は表面に見えますし、文章の巧拙を分かりやすく表していると言えるでしょう。しかし筆者は、それだけで文章がうまいと言えるとは思いません。文章がうまい人は「事実を詳細に描写する能力が高い」のだと考えます。

例えば、小説家だって、比喩表現を多用するわけではありません。身近にある小説を開いてみてください。作家さんは、特別な表現ばかりを使っているわけではないはずです。目の前で起こっている物事を正確に、ありのままに伝える努力をしているのではないでしょうか。だからこそ、私たちは小説の中の世界が手に取るように感じられ、心を揺さぶられるのだと思います。

「ありのままに伝える。」これは、明治時代中期に正岡子規が提唱した「写生文」に通じるものがあります。

口語体を用いた写生文は、事実を飾りなく書き連ねるということによって、読者に書き手の体験を書き手と同じ目線で追体験させるという、これまでの日本語の文章ではできなかったことを可能にした。

(引用元:Wikipedia|写生文

当時は、まだ書き言葉と話し言葉が明確に分かれていた時代。その頃、正岡子規の広めた「写生文」は、夏目漱石などの著名な作家に受け継がれ、近代日本の文学の創出に大きな役割を担ったそうです。

みなさんも文章を書く時には、表面的なテクニックを駆使して「うまい」文章を書こうとするのではなく、事実をよく観察し、丁寧に、詳細に描写することを心がけてください。そうすれば、読み手の印象に強く残る文章が書けるはずです。

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3, とりあえず、書く。→後で直そう。

「伝わる文章の専門家」である山口拓朗氏は、文章は「情熱で書き、冷静で直す」ものだ、と著書の中で述べています。

文章を書くのに、時間がかかってしまう人はいませんか? それは、いきなり綺麗な文章を書こうとするからです。

まず初めは、文法や誤字脱字、細かい表現は気にせずに一気にガーッと書いてみてください。見直しをするのは、そのあと。文章の大枠が決まってから、直しを入れるようにしたほうが良い文章が書けます。

例えば夜中に、大好きな人を想ってラブレターをしたためたとき。書いているときは、溢れんばかりの思いをこれ以上ないと思えるほどの文章に込めたのに、翌朝読んでみたら「こんな文では恥ずかしすぎる」と感じた経験がないでしょうか。これになぞらえて、山口氏は、まずは勢いで文章を書き後から直すことを「ラブレター作戦」と呼んでいます。

情熱で書いた文章にはエネルギー(想い)が充満しています。ただし、あまりにエネルギーの強い文章は、ときに読む人の拒絶反応を招きます。そういう意味では、翌朝、クールな頭で、ラブレターを手直しするのは、理にかなった方法です。

(引用元:山口拓朗著(2014),『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』,明日香出版社.)

初めから、完璧な文章を書く必要はありません。まずはとにかく書いてみる。その後で、じっくり時間をかけて上手な文に育てあげていけばいいのです。

文章を書く時には、必ず見直しの時間を設けるようにしてみてください。

(参考) 古賀史健著(2012),『20歳の自分に受けさせたい文章講義』,星海社. Wikipedia|写生文 山口拓朗著(2014),『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』,明日香出版社.

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