“言ってるだけで始めない人”にこそ知ってほしい。『GROWモデル』を使った“動きだせる計画”の作り方

GROWモデル

新しい目標を決めた瞬間、次の大きな壁が待ち構えています。

「具体的に、何からはじめればいいんだろう?」
「まずは情報収集? でも何を調べれば……」
「この目標、本当に実現できるのかな」

目標は見えているのに、最初の一歩が踏み出せない。パソコンの前で検索しても、どの情報が自分に必要なのかわからない。手帳を開いても、何から書き始めていいのかわからない。そんな状態で時間だけが過ぎていくーー。

じつは、この「はじめ方」の悩みを解決する効果的な方法があります。今回は、目標達成を確実にする「GROWモデル」をご紹介しましょう。このフレームワークを使えば、どんな目標でも、具体的な行動計画に落とし込むことができます。

GROWモデルとは? 4ステップで目標を達成に導く世界標準ツール

目標達成には、シンプルで効果的な「型」があります。それが「GROWモデル」。

このモデルは、地図を持って目的地に向かうように、4つのステップで私たちを目標達成へと導いてくれます。それぞれのステップには明確な役割があり、順番に進めていくことで、自然と行動計画が見えてくるのが特徴です。

1. Goal(目標):行きたい目的地を決める

まずは達成したい目標を具体的にイメージします。「なんとなく英語力を上げたい」ではなく、「6か月後にTOEICで800点を取る」というように、具体的な状態を明確にします。このステップでは、曖昧な目標を測定可能な形に変えることが重要です。

2. Reality(現実):現在地を正確に把握する

目標が決まったら、いまの状況を正確に把握します。現在の実力、使える時間、リソース、これまでの経験など、現状をできるだけ詳しく分析します。目的地に向かうには、まず現在地を知る必要があるのです。ここで重要なのは、希望的観測ではなく、現実的な評価を行うことです。

3. Options(選択肢):取りうる道を探る

目的地(Goal)と現在地(Reality)が分かったら、そこに至るまでの可能な方法を考えます。この段階では、実現可能性は一旦置いて、できるだけ多くの選択肢を挙げることが重要です。「こんな方法もあるかも」というレベルのアイデアも、この段階では積極的に書き出していきます。

4. Will(意志):具体的な行動計画を立てる

最後に、挙げた選択肢の中から実際に取る行動を決め、具体的な計画を立てます。この段階では、「いつまでに」「何を」「どのように」するかを明確にします。実行可能性を考慮しながら、具体的なアクションプランに落とし込んでいきます。

ビジネスコーチのジョン・ウィットモアによって考案されたこのフレームワークは、コーチングの基本的な手法として知られています。その特徴は「シンプルさ」と「実効性」にあります。4つのステップに沿って考えるだけで、漠然とした目標を具体的な行動計画に落とし込むことができるのです。

どんな目標にも応用できる汎用性がこのモデルの大きな特長。資格取得、語学習得、業務改善、キャリアアップなど、目標の種類を問わず活用しやすいモデルです。「何から始めればいいかわからない」という状態に道筋を与えてくれるでしょう。

では次のセクションで、具体的な活用例を見ていきましょう。実際の目標達成のケースに沿って、それぞれのステップでどのように考え、どう行動につなげていくのかを詳しく解説します。

GROWSモデルのうちの目標を立てている様子

GROWモデルを実践しよう:TOEICスコアアップのケース

GROWモデルの使い方を、具体的な目標達成のケースで見ていきましょう。たとえば、多くの方が目標として掲げるTOEICスコアアップ。「半年でTOEICスコアを200点アップしたい」というケースで、実際のプロセスを見ていきます。

1. Goal:具体的な目標を立てる

最初のステップでは、「TOEICのスコアを上げたい」という漠然とした目標を、実現可能なかたちに具体化します。ここではSMART基準を使って、目標を明確にしていきましょう。

  • Specific(具体的):現在600点から800点へ
  • Measurable(測定可能):毎月の模擬テストでスコアをチェック
  • Achievable(達成可能):平日1日1時間の学習時間を確保
  • Relevant(関連性):昇進要件の800点という基準に合致
  • Time-bound(期限付き):6か月後の公式テストでの達成を目指す

2. Reality:現状を正確に把握する

次は現状分析です。スコアアップのために、自分の「今」を正確に理解しましょう。

  • 現在のスコア:600点(Reading 350点、Listening 250点)
  • 利用可能な時間:平日1時間、休日2時間
  • 強み:文法には自信がある・読解力が比較的良好
  • 弱み:語彙力・リーディングスピードが足りない・リスニング力が不足

3. Options:目標達成のための選択肢を考える

現状分析から見えてきた強みと弱みをふまえて、とれる行動を考えていきましょう。特に、弱点である「語彙力」「リーディングスピード」「リスニング力」の強化を意識します。

  • 語彙力強化:単語アプリで隙間時間学習(電車内や休憩時)
  • リーディング:ビジネス記事の音読(帰宅後30分)
  • リスニング:通勤時のシャドーイング(往復60分)
  • 総合力:TOEIC公式問題集(休日に2時間)

4. Will:具体的な行動計画を作る

選択肢の中から、実行可能性と効果が高いものを選び、日常生活に無理なく組み込めるスケジュールを作ります。

【平日の学習計画】

  • 通勤時(往復):TOEIC向け教材のリーディング部分を読む
  • 昼休み:単語アプリで15分
  • 帰宅後:通勤時に読んだものを素材にシャドーイング

【週末の学習計画】

  • 土曜午前:公式問題集で2時間学習
  • 日曜午後:週の復習と、文法の確認

継続的な改善のために:フォローアップの重要性

GROWモデルの真価は、継続的な改善サイクルにあります。計画を立てて実行するだけでなく、定期的な振り返りと軌道修正が目標達成への確実な道筋を作ります。

1. 目標達成度の確認

毎月の模擬テストでスコアの変化を確認します。目標ペースで進んでいるか、弱点分野はどこかを把握しましょう。

2. 学習時間の実態チェック

計画した学習時間が確保できているか、どの時間帯が効率的かを確認します。

3. 学習方法の効果測定

シャドーイング、単語学習、音読など、各学習方法の効果を評価します。効果が高いものと低いものを見極めましょう。

4. 学習計画の見直し

評価に基づいて必要な修正を加えます。効果の高い方法を増やし、続けにくい方法は見直します。

特に最初の1か月は週次でレビューを行ない、計画の実行可能性を確認します。無理のない学習習慣を確立することが、長期的な目標達成につながります。

このように、定期的なフォローアップと改善のサイクルがあってこそ、GROWモデルは効果を発揮します。

GROWモデルにのっとり、勉強計画を立てている

明日からできる!GROWモデル実践の第一歩

GROWモデルは、「どこから始めればいいかわからない」という状態を、具体的な行動へと導いてくれる強力なフレームワーク。具体的項目にそって記入すればあなたの「初期計画」がしっかりした形で完成します。

まずは今日、あなたの目標をノートに書き出してみましょう。そして、GROWモデルの4つのステップに沿って、あなたの考えを整理してみてください。目標は何か、いまの状況はどうか、どんな方法が考えられるか、まず何から始めるかーー。思いのままに書き出すだけでいいのです。

計画自体の見直しと改善が織り込まれているのもGROWモデルの大きな特長。最初から完璧な計画を立てる必要はありません。「具体的だけれど、固定的ではない」というこの特徴が、あなたの一歩を格段に進めやすくします。

***
目標達成の道のりは決して平坦ではありませんが、GROWモデルを活用すれば、最初の一歩を踏み出す「具体性」を持つことができます。踏み出した一歩目を、地面のどこに着けばいいのかわかるイメージです。

ぜひ試してみてくださいね!

(参考)
NLP-JAPANラーニングセンター|基本的なコーチング「GROWモデル」

【ライタープロフィール】
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