文章を書くのが苦手。そうお悩みの方はいませんか? 読みづらい文章は、不快感をもたらすだけではありません。
ひとつやふたつのタイプミスなら仕方がないかもしれませんね。しかし、書くのが苦手で、言いたいことを明確に伝えられないとしたら、あなたの職場でのリーダーとしての資質や、仕事の生産性に大きな影響を及ぼしてしまうのです。
文章力と仕事の生産性の関係
『Groundswell and Writing Without Bullshit』の著者であるJosh Bernoffによると、ビジネスマンの81%が、文章力不足は無駄な時間の浪費につながると証言しているそうです。
週に40時間の勤務のうち、一般的なビジネスマンは25.5時間も文章を読むのに費やしています。メールや報告書、その他の資料が、読む対象に含まれるでしょう。不明確な記述やタイプミスがあるたび、読み直したり書き手に確認したりする手間がかかります。1年間あたりで考えると、何時間も損をしていることになるのです。
ある職場での例を見てみましょう。マイクは、ジェリーから送られてきた4段落構成のメールの内容を、パッと見ただけでは理解できません。実は2行でも済む内容なのですが、冗長に書いてありました。マイクはジェリーに電話をかけましたが、つながりません。そこで、エレベーターに乗ってジェリーのオフィスまで向かいます。15分ほど対面で話し、ようやくマイクはジェリーが最初にメールで伝えようとした意図がわかります。
ジェリーのメールの書き方がわかりづらかったために、マイクは15分間を無駄にしました。この傾向は、従業員が増えれば増えるほど大きくなります。生産性の低下は組織にとって大きな損失です。非効率な働き方をしている限り、少ない利益しか得られないのです。
文章力とリーダーシップの関係
Josh Bernoffは、「不明瞭なライティングは不明瞭な思考をもたらす」と述べています。人の上に立つポジションにいるならば、要点を伝えるために、受動態ではなく能動態を使いましょう。はっきりせず曖昧な文章を書くと、リーダーとしての力強さが足りない人物だと受け取られる可能性があります。
例えば、リーダーからプロジェクトメンバー宛のメールを受け取る場面を想像してください。メール内に、以下のどちらかの文が書かれていたとします。どちらの文が、力強いリーダーの印象を与えることができるでしょうか。
1.「このプロジェクトは期限内に予算以下で行われるべきです」 2.「私たちでこのプロジェクトを6ヶ月以内に必ず完成させましょう」
答えは後者ですね。前者は受け身で曖昧な表現であるのに対して、後者は具体的で明確な目標が示されています。
能動態で明快に記述できないと、リーダーとしての自信、明晰さ、指示能力の不足を露呈してしまいます。そうなると部下は、リーダーに全幅の信頼をおけなくなるでしょう。上司や重役のライティング能力の欠如は、部下や従業員の意欲と生産性を低下させます。ひいては離職率の増加につながることもあるのです。
文章力と昇給の関係
世界トップレベルの自動文章校正サービスのGrammarlyが、ビジネス特化型ソーシャルネットワーキングサービスであるLinkedInのプロフィール文を用いて、ある実験をしました。プロフィール紹介文のライティングの質とビジネスマンの昇進の関係を調べたのです。結果、紹介文が明確で文法ミスやスペルミスがない人は、ミスがある人に比べて、昇進が多いことがわかりました。
それだけではありません。キャリアの最初の10年間で重役のポジションを手に入れることができなかった人は、その地位の獲得に成功した人に比べて、LinkedInのプロフィール上でライティングのミスが2.5倍もあることが判明したのです。
文章力の欠如は、昇級や、ひいては一生涯の給与に影響します。メール、SNSのプロフィールや投稿、報告書などを書く際は、必ず見直しをし、ミスのないよう努めましょう。
(翻訳:Sandbox Advisors|Poor Writing Dilutes Productivity And Leadership)
生涯給与を高めるための文章術
見直しをすることで、その都度文章の基本的な間違いを修正できます。しかし、それではライティング能力の根本的な改善にはつながりません。文章術を高めて生産性を上げ、リーダーシップを発揮するために、StudyHackerのおすすめの記事を6つご紹介します。
【1】Study Hackerのライターが教える、“人に伝わる” 文章を書くための3つのポイント。
【2】文が下手だと評価が下がる! 正しく、読みやすい文章のための5つのコツ。
【3】ビジネスの基本スキル “文章力” はTwitterで鍛える! Twitterで文が上手くなる4つの理由。
【4】報告には “能力” が表れる! 1分で正確な報告をするための『報告の台本』
【5】「話が長い」は嫌われる! ひとことでまとめる『要約力』を鍛える3つのトレーニング
取り組みやすいものから、ぜひ実践してみてください。以下、上記の6つの記事に共通している、ビジネスで求められるライティングのコツをまとめました。この5点に気をつければ、あなたも今すぐ簡潔でわかりやすい文章を書けるようになりますよ。
1. 短く ・冗長な修飾語や不要な接続詞を避ける ・なくても通じる表現(例:「ような」「みたいな」)を避ける ・主述のねじれがないよう、主語と述語を近づける 2. 具体的に ・形容詞と副詞は、全て数字に置き換える ・動詞は、具体的な動作を表すものを選ぶ 3. 「要点」を明確に ・一文一義。簡潔に一言でまとめる ・報告をするときは、“結果”が要点になる 4. 「順序」を明確に ・ビジネスメールや報告書では【結論→説明→補足説明】が基本 ・全体の構成を考えてから書き出す 5. 「目的」を明確に ・書き出す前に文章の読み手と目的を考える ・読み手と目的に合わせて必要な情報を取捨選択する
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ビジネスに必要なライティング能力を高めるのは、そう難しいことではありません。ちょっとした心がけで、見違えるほど簡潔で明快な文章を書くことができるようになります。仕事の生産性を上げ、リーダーとしての資質を高めるために、今日から「書く」トレーニングを始めてみませんか。
(参考) Sandbox Advisors|Poor Writing Dilutes Productivity And Leadership