
※記事内の実践画像はすべて筆者が作成した
「やることが多すぎて、何から手をつければいいのかわからない」
「頭のなかがごちゃごちゃしていて、結局ひとつも進まない」
そんな状況に心当たりはありませんか?
思考整理にはフローチャートが効果的とよく言われますが、実際に取り組もうとすると、何をどの順番で書けばよいのか、どのように矢印でつなげればよいのか、意外と迷ってしまうものです。
筆者も長らく「フローチャートは便利そうだ」と思いながらも、具体的な進め方がわからずに敬遠していました。
しかし先日実際に手を動かしてみたところ、15分程度で驚くほど頭が整理され、次に取り組むべきことが明確になりました。
本記事では、筆者が実際に行った手順を、ノートの写真とともにご紹介します。
特別な技術ではありませんが、「どのように始めればよいのか」という部分を具体的にお見せできればと思います。
なぜ人は「考えがまとまらない」のか?
まずはなぜ考えがまとまらないのかを考えてみましょう。
「あれこれ悩んでいるのに、なかなか考えがまとまらない」
それは、「どう進めるか」「どのような姿になるべきなのか」がイメージできていないからかもしれません。
進むべき道筋や、目指すべきゴールが見えないと、思考はすぐに迷子になってしまいます。
株式会社メンタルサポート研究所代表で臨床心理士の倉成央氏も、仕事においてあれこれ考えすぎて行動に移せないのは「不安があるから」で、それは「進め方や結果が明確でない業務でより強くなる」と話します。*1
これは業務に限った話ではありません。たとえば、将来のキャリアの方向性に悩んだり、人間関係に行き詰まったり……このようなときに、私たちはつい頭のなかだけでグルグルと悩みがちです。
しかし、この「考えがまとまらない」状態は、考えているようで「悩んでいる」だけの可能性があります。
グロービス経営大学院で教鞭を執る田久保善彦氏によると、「悩んでいる」状態は「『ぼやっとしている』状態」なのだとか。具体的には、次のように区別できると話します。
「悩んでいる」:思考が堂々巡りしているだけで具体化されておらず、解決に向けて進んでいない状態
「考えている」:抱えている課題に対して、自分なりの答えを導き出そうと頭を使っている状態 *2よりまとめた
この問題を解決するのがフローチャートです。頭のなかにあることを紙に書き出して「思考の可視化」をすることで、客観的な視点をもちながら思考を整理できるようになります。
効果や狙いが整理できたところで、具体的な方法を見ていきましょう。

“フローチャート思考術” とは?──言葉を「矢印」でつなぐだけ
考えがまとまらないときにまず必要なのは、「頭のなかにあるものをすべて書き出す」こと。
そこから思考の整理を始め、行動につなげる道筋をつくっていきます。
そんなときに使えるのが、超シンプルな方法「フローチャート思考術」です。
マインドマップのように「思考を広げる」のではなく、「思考の終着点を見つける」ことを目的とするため、フローチャートを用います。
手順はとても簡単で、思考を書き出して、まとめて、つなぐだけ。
次の3ステップで、頭のなかで散らかった思考を整理していきます。
- 【思考の可視化】とにかく思考を全部書き出す
→(身近な例でイメージ1)買い物袋の中身をテーブルの上に全部出す - 【矢印でつなぐ土台づくり】関係あるものをまとめてグルーピングする
→(身近な例でイメージ2)野菜・肉・調味料などにグループ分けをする - 【思考の収束】矢印でつなぎ、行動までの道筋を明確にする
→(身近な例でイメージ3)料理のレシピ順に並べて整理する
それでは実際にやってみましょう。
今回筆者は、“やりたいことがたくさんあるのにできてない状況” に対するもやもやを整理してみることにしました。
1. 思考の可視化
ノートにやりたいことや思考を書き出します。

普段考えていることをそのまま書き出すだけなので、かかった時間は3分前後でした。
2. 内容を関係性ごとに色分け
書き出した内容と、関係性ごとに色分けした様子をご紹介します。

今回は、次のように書き出して色分けしました。
緑:仕事の方向性
- 中医学の資格を活かした仕事をつくりたい→中医学ジャンルのライティング/講座の開催
- これまでの経験や知識×ライティングで、その分野に興味がある人とつながりたい→ブログ・SNSなど
まとめる時間の確保が課題……
紫:スキルアップ
- ライティングスキルを上げていきたい
→ SEOの勉強
→ 著作権の勉強
→ 英語の勉強(英語の文献を読めるようにするため)
→ 要約力(情報収集に活かす) - 参考資料となる本を読み込みたい
リズム良く続けたいが、忙しくなるとあいだが空いてしまう
【仕事の幅を広げていく】
ピンク:仕事とは関係ない個人目標
台湾旅行に向けて中国語の勉強も進めたい
まとめ:☆ 優先順位・時間の確保について整理が必要
1〜2分でサクサクと進めることができました。
3. フローチャートを書く準備
ノートを横に置いて、フローチャートを書く準備をします。
「○」は目標やゴール、「◽︎」は行動を表す図とし、ほかはあまり形式にこだわらずに進めることにしました。
紙はノートより大きめのA4サイズのルーズリーフです。

4. フローチャートを書く
実際にフローチャートを書いた様子がこちら。
書きながら得た気づきなどもメモしています。



まずはグルーピングしたものでチャート化し、チャート化したものどうしを矢印で関連させるようにしました。
今回で言うと、仕事の方向性とスキルアップのそれぞれでフローチャートを書き、スキルアップのチャートから仕事の方向性に向けて矢印を伸ばしていくといった具合です。
ここは思考を巡らせながら書き出していくので、10分前後かかりました。
5. 優先順位を書き出す
チャート化すると優先順位が見えてくるので、下の余白にメモしました。
メモした内容は以下のとおり。
☆まずはブログを軸に進めていこう
→週一公開を習慣化
→ネタ出し・執筆の時間を固定化
勉強の優先順位
①参考資料・本の読み込み+要約…情報収集・知識の肉づけ(毎日)
②SEO(定期)
③著作権(定期)


メモに加え、次にする行動をチェックリストとして記入しました。
□ 一週間の過ごし方を見直してスケジュールを組む
□ 英語・中国語については、上記で組んだスケジュールを実践してから追って検討する

実例:この “思考整理法” でこんなにクリアになった!
思考の書き出し+グルーピングで課題が明確になる
フローチャートの準備段階である「思考の書き出し」や「グルーピング」だけでも、自分がしたいことや抱える課題が明確になり、頭のなかが整理されました。
今回で言うと、以下のふたつが明確になりました。
- いまできることに肉づけをして仕事を広げていきたいという目標
- 目標に向かって取り組むときの優先順位と時間の確保が課題
デジタルデバイスに比べて手書きのほうが脳に深く入りやすく、記憶の定着やアイディアのひらめきに役立つので、今回はあえて紙に書いています。*3を参考にした
生成AIを使うのもおすすめ
グループ分けで悩んだ際は、生成AIを活用するのもおすすめです。
たとえば筆者はChatGPTに次のように相談しました。
以下の流れで実際に私もやってみるよ。
「(1)【思考の可視化】とにかく思考を全部書き出す →(身近な例でイメージ1)買い物袋の中身をデーブルの上に全部出す
(2)【矢印でつなぐ土台づくり】関係あるものをまとめてグルーピングする →(身近な例でイメージ2)野菜・肉・調味料などにグループ分けをする
(3)【思考の収束】矢印でつなぎ、行動までの道筋を明確にする →(身近な例でイメージ3)料理のレシピ順に並べて整理する」
頭のなかのことを書き出したんだけど、(2)のグルーピングをどうやろうか悩んでるの。 手伝ってくれる?
(ChatGPTからの回答)
もちろん、喜んでお手伝いします!
まずは、ステップ(2)のグルーピング=「意味のあるかたまり」に整理することが目標です。
そのためには、ステップ(1)で書き出した「頭の中のこと(思考・悩み・やりたいことなど)」を見せていただけると、いっしょに分類できます!
何度かやり取りをし、以下のようにグルーピングの提案をしてくれました。
🔹グルーピング案(3〜4カテゴリに整理)
🟩1.【仕事の方向性・つながり】
- 中医学の資格を活かした仕事をつくりたい
- これまでの経験や知識をブログなどにまとめて、その分野に興味がある人とつながりたい
- ライティングの仕事の幅を広げていきたい
→ ✨ゴールやビジョンに関する思考のかたまり
(仕事としてどう展開したいか/どんな人とつながりたいか)
🟦2.【スキルアップ(ライティング・リサーチ)】
- ライティングスキルを上げたい
- リサーチで必要な「正確に把握する力」を身につけるために、要約力をつけていきたい
- 著作権の知識を身につけたい
- 英語の文献も読めるようになりたい
→ ✨具体的なスキル強化に関する思考のかたまり
(手段・必要な力の育成)
🟨3.【勉強習慣・時間確保の課題】
- ブログをまとめる時間の確保が課題
- 著作権・英語・SEOなど、仕事に関わる勉強をリズム良く続けていきたいが、忙しくなると後回しになってしまい、あいだが空いてしまう
- 参考資料となる本を読み込みたい
→ ✨習慣づくり・実行の壁に関する思考のかたまり
(課題/リズム/学習時間)
🟥4.【趣味・プライベート】
- 台湾旅行に向けて、中国語の勉強も進めたい
→ ✨仕事と直接は結びつかないが、意欲がある個人目標
✳️ 補足:このグルーピングの意義(=ステップ2の役割)
このように分類しておくと、次のステップで
- 【3】矢印でつなぐ(フローチャート化)
- たとえば「①仕事ビジョン」→「②必要なスキル」→「③勉強計画」など
と意味のある流れや順番を設計しやすくなります。
このChatGPTの提案を参考にグルーピングして、悩む時間を減らしました。

次の行動が明確になる
書き出しとグルーピングだけでもかなり思考が整理されるのを実感しましたが、「それで、どうする?」といった行動につなげる方法については考えがまとまりませんでした。
しかしフローチャートを書いていくうちに、やりたいことどうしの関連性や優先順位が自然と見えてくるように。
たとえば、「要約力をつけたい」「参考資料となる本を読み込みたい」というふたつのやりたいことを挙げていましたが、「本を読みながら要約をする」のようにふたつの事柄を関連づけられるといった具合です。
また、最初に「やりたいこと」を明確にして書き始めたので、軸からブレずに思考を整理していけたと感じます。
筆者からアドバイス
筆者は「やりたいこと」から書き始めましたが、ゴールが見えない状況だと、書き始めの段階から行き詰まりを感じるかもしれません。
その場合は「悩んでいること」から書き出してみてもいいと思います。
たとえば、
人間関係について悩んでいる→〜〜がつらい→自分はどうしたい?→そのためにできることは?
のようなイメージです。もやもやしている状態から行動に移すまでの流れが可視化されるでしょう。
さらに、「思考の書き出し」の内容をいきなり全部つなげようとすると、書き始めるのに時間がかかってしまいます。
あまりウンウンと考え込まずに、書けるところから書き始めたほうが思考を整理しやすいでしょう。
書いているうちにつながりが見えてくるからです。

***
「考えすぎて前に進めない」と悩んでいるならば、フローチャート思考術で散らかった思考を整理し、目標を達成するための道筋を整え、行動につなげてみませんか?
※引用の太字は編集部が施した
*1 メンタルサポート研究所|あれこれ考えすぎて“動けない人”のための問題解決術part1
*2 グロービスキャリアノート|「悩む」から「考える」へ切り替えよう!上手な悩みの解消方法とは?
*3 JOURNAL|手書きの体験と時間が、脳を働かせる|酒井邦嘉
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。