土日しっかり休んだのに月曜がしんどい……それ、脳が “疲れ” に気づいてないからです

ベッドに横たわり手で顔を覆っている女性

月曜の朝、「また一週間が始まる……」とため息をついていませんか? 

土日はしっかり休んだはずなのに、なぜか疲れがとれないまま新しい週を迎える──そんな状態が当たり前になっているビジネスパーソンは多いもの。

「金曜の夜は開放感があったのに、日曜の夕方にはもう憂鬱」
「休日も気づいたら仕事のメールをチェックしている」
「ゆっくり寝たのに、なんだかスッキリしない」

もしこれらに心当たりがあるなら、あなたは「正しい休み方」が身についていない可能性があります。現代のビジネスパーソンの多くが、「自分の疲れ」に無自覚なまま日々を過ごしているのです。

ストレスホルモンの働きによって「まだ頑張れる」という錯覚に陥り、本当は休むべきタイミングを見逃してしまう——その結果、どんなに時間をかけて休んでも疲労回復できない悪循環に陥ってしまいます。

本当に心身をリセットするために必要なのは、疲れのサインに気づく力と、自分に合った疲労回復方法を知ること。この記事では、知らず知らずに蓄積された疲れを根本から解消する方法をお伝えします。

私たちは思った以上に「自分の疲れ」に気付かない!

「自分はちゃんと休みをとっているはず。なのに疲れが抜けないし、休んだ気がしない……」

このように感じるなら、まず「適切に自分の疲れを自覚できているか?」という点をチェックしてみてください。じつは、本来なら休みが必要な状態であるにもかかわらず、「そこまで疲れていない」「まだやれる」と感じてしまうケースが非常に多いのです。

心療内科医の鈴木裕介氏は、ビジネスパーソンがなかなか疲れを自覚できない理由について、以下のメカニズムを解説しています。

  • 「疲労につながる心身のストレス」を感じると、「アドレナリンやコルチゾールといった抗ストレスホルモン」が分泌され、ストレスに対抗できるようになる。
  • すると、本来なら休みが必要な状態にもかかわらず、活動を続けられてしまう。むしろ、「抗ストレスホルモンの働きによって普段よりもパフォーマンスが上がる」ことも。 *1

つまり、忙しければ忙しいほど、仕事がはかどっているように感じてしまうわけです。

特に、以下のような状況にある人は要注意。

 
 
  • 長時間労働が常態化している
  • プライベートでも資格取得や副業などに取り組んでいる
  • 「休むことは怠けること」という価値観を持っている

本当は休みが必要な状態なのにそのまま突き進んでしまえば、やがて心身のバランスが崩れ、パフォーマンスの大幅な低下や体調不良を招くことになります。そうなる前に、適切なタイミングで休みをとることが何より重要なのです。

「休みが必要な状態」を判断するポイント

ではどうすれば「自分が休みが必要である状態」だと判断できるのでしょうか? 鈴木氏は、「ストレス反応に自覚的になる」ことが重要だと述べています。*1

心理的なストレスは主観的で分かりにくいものですが、身体に現れる症状は客観的な指標として活用できます。具体的には、ストレスを感じたときにどんな身体的症状が出るかを日頃からチェックしておくのです。

 
 

【身体的なストレス反応の例】

頭痛・胃痛・肌荒れ・じんましん・持病の喘息・腰痛の悪化 *1

心のストレスには気づきにくくても、身体的症状なら「あ、これはいつものストレスサインだ」と客観的に判断できるはずです。

まずは、自分がストレスを感じたとき、身体にどんな症状が出るかを知っておくこと。そして、そのサインに気づいたらできるだけ早く休みをとることが大切です。

頭を抱えている女性

「しっかり休めた!」と実感できる休み方

「休みが必要だとわかったので、ゆっくり寝て過ごした。でも、なんだか休んだ気がしない……」

そんな「休んだつもり症候群」の方が「しっかり休めた!」と実感するには、身体だけでなく、心を回復させることも大切です。以下で、具体的な休み方をふたつ紹介します。

1. 心の活力を回復させる「攻めの休養」をとる

一般社団法人日本リカバリー協会代表理事の片野秀樹氏は、眠る・休むなどの従来の休養に加え、心の活力を回復させる「攻めの休養」を取り入れることをすすめています。*2

 
 

【攻めの休養の例】

  • 人や動物、自然と触れ合う
  • 趣味を楽しむ(長時間打ち込みすぎるのはNG)
  • 何かをつくる
  • 外的な環境を変える(旅行、買い物、部屋の模様替えなど) *2

「自分が楽しい・心地いい」と思える行動を積極的に行なうことが「攻めの休養」に当たるわけです。片野氏は、「攻めの休養」を組み合わせるとより効果的だと語ります。*2

たとえば——

  • スーパー銭湯に行って、温泉を楽しんだあと漫画を読んで過ごす
  • 好きなラジオを聴きながら、編み物をする
  • ツーリングして、ご当地ラーメンを食べる

ただ身体を休めるだけでは、現代人特有の精神的疲労は根本的に解消されません。自分のエネルギータンクを能動的に満たす活動を意識的に取り入れることで、真の意味で心の活力を回復させることができるのです。

ギターを弾いている手元

2. 徹底的にダラダラして、生産性を捨てる

「攻めの休養」を実践しても、「なんだか休んだ気がしない……」と感じる人におすすめなのは「徹底的にダラダラする」こと。

「休みだけど、仕事のメールをチェックしたい」「せっかくの時間だから何かスキルアップしたい」──こんな気持ちになることもあるでしょう。しかし、時には完全に生産性から離れることが必要な場合もあります。

公認心理師の片田智也氏は、「大切なのは、体の休養と心の休養を分けて考えること。体が休んでいるからといって、心まで休めているとは限りません」と指摘しています。*3 物理的に横になっていても、頭の中で「やるべきこと」について考え続けていれば、心は休まっていないということです。

片田氏は、心を休ませるためにも「休みの日は『何もしない』をして、義務感・生産性から離れ」ることをすすめています。*3 

とはいえ、ダラダラすることに罪悪感を覚える方もいるでしょう。順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏は、「ダラダラしたことを後悔すると、自律神経のバランスが崩れて、疲れが取れないまま月曜を迎えることになる。むしろダラダラすることを目的にしたほうがいい」と語っています。*4 前もって「この週末は、ダラダラするぞ!」と決めて過ごせば、後悔することなくダラダラできるというわけです。

それでも心配な場合は、「ゆるやかな計画性」をもつのがおすすめ。

たとえば——

「明日は昼前までゆっくり寝て、デリバリーでピザを頼んで、夜までゲームする」

こんなふうにダラダラのスケジュールをゆるく決めておくといいでしょう。

テレビゲームをしている人々。テーブルの上にはピザが置かれている

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身体や心の小さなサインを見逃さず、自分に合った休み方でエネルギーを回復しましょう。本記事を参考に、休み方を見直してみてくださいね。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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