あっという間に数字を覚えられる!? 世界記憶力グランドマスター提唱「数字イメージ変換法」がすごい。

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あなたは、数字を覚えるのが得意でしょうか、それとも苦手でしょうか? 

かく言う筆者は、とても苦手です。学生時代には歴史の年号などを覚えるのに苦労しましたし、友だちの誕生日もすぐ忘れてしまいます。ですから、テレビのコメンテーターなどが、「先月の訪日外国人数は227万人にものぼったのですが、これは前年より5.2%上回る数字で……」と、サラッと細かい数字を言っているのを見ると、つい羨望を抱かずにはいられません。

今回ご紹介する「数字イメージ変換法」は、筆者のように数字に対して苦手意識を持っている方にこそぜひ知っていただきたい記憶術です。「数字イメージ変換法」をマスターすれば、桁数が多い数字でもたった数分で覚えられるようになります。そして、何より「数字を覚える」という行為そのものを、まるでゲームのような楽しいものに変えることができるのです。

デキるビジネスパーソンは数字に強い

「数字に強い」ことは、デキるビジネスパーソンになるためには必須の条件と言われています。なぜなら、数字というものは、物事を客観的に伝えるためには欠かせないツールだからです。

たとえば、顧客相手に商品の魅力を説明する場面を考えてみましょう。「弊社の商品はとても人気なんですよ」と言うのと、「弊社の商品は、市場シェア72%とダントツで人気なんですよ」と言うのでは、“72%” と数字が明確に提示されている後者のほうが、説得力や信憑性が増しますよね

もしデキる人になりたいなら、自社の売上やシェアなどの基本情報はもちろん、商品のスペックや他社の情報など、仕事で使うであろう数字はなるべく頭に入れておきたいところです。

『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』の著者・石川和男氏によると、なるべく正確な数字を交えながら情報を伝えることで、表現が明確になり誤解やミスが生まれにくくなるそうです。また、売り上げ目標など、チームの共通認識を数字で設定することも有効だとか。

このように、連携・コミュニケーションが必要不可欠なビジネスパーソンにとって、数字は、互いの意思を正確に伝え合うための共通言語なのです。

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スティーブ・ジョブズの「数字テクニック」

数字を伝える技術に、非常に長けていた人物がいます。Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏です。ジョブズ氏は、あるプレゼンテーションで、今までに売れたiPhoneの数をアピールするために、以下のような言い方をしました。

今までに売れたiPhoneの数は400万台。これを200日で割ると、1日あたり2万台売れた計算になる

400万台という数字だけでも十分具体的ですが、「1日あたり2万台」とさらに詳しい数字が加わったことで、「iPhoneがいかに売れたか」がとても具体的に伝わってきます。相手を説得するうえで、数字というものがいかにパワーを持つか実感できるエピソードではないでしょうか。

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数字に強いと、日常生活も何かと便利

また、数字に強くなると、ビジネスだけでなく普段の生活でも何かと役に立ちます。

たとえば、自分のマイナンバーやクレジットカード番号を覚えておらず、毎回いちいちカードを見ながら写している方は多いでしょう。しかし、今回紹介する「数字イメージ変換法」で番号を覚えることができれば、次回からはそんな手間も要らなくなりますよね。

その他、家族や友人の電話番号、会社の住所や電話番号、マンションの管理会社の電話番号なども、インプットしておけばいざというときに備えになるはずです。

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数字イメージ変換法とは

数字イメージ変換法は “語呂合わせ” の改良版

では、いよいよ本題に入りましょう。「数字イメージ変換法」とは、いったいどのような記憶術なのでしょうか?

数字を覚える方法と言うと、真っ先に思いつくのが “鳴くよウグイス(794)” のような「語呂合わせ」。しかし、従来の語呂合わせでは、覚えられる数字には限界があります。

たとえば、「794」なら「鳴くよ」ときれいに語呂合わせができますが、「792」「799」など、語呂合わせが難しい数字は覚えにくい、という致命的な欠点があるのです。つまり、従来の語呂合わせは、数字の組み合わせがたまたまうまくハマったときにだけ効果を発揮する不完全なものでした。

それに対して、「数字イメージ変換法」は、上記のような従来の語呂合わせをさらに合理化し、理論上「どんな数字に対しても」適用できるようにアップデートした方法なのです。

数字イメージ変換法では、数字を「2桁ずつ」に区切る

数字イメージ変換法を使うと、たとえば「846893528」といったまったく無秩序な数列にも、何らかの語呂を合わせることができます。いったいなぜそんなことが可能なのか? その秘密は、数字を「2桁ずつ」に区切って語呂合わせをするという仕組みにあります。

846893528」を2桁ずつに区切ってみると、「84/68/93/52/8」となります。2桁程度なら、簡単に語呂合わせができそうですよね。この例では「橋(84)、老婆(68)、草(93)、骨壺(52)、蜂(8)」というような単語を当てはめることができます。

そして、この5つの語呂をもとにストーリーをつくりましょう。たとえば、「橋の上で老婆が草をむしり、骨壺に入れたら、蜂が飛び出してきた」という具合。すると、無機質な数字が視覚的イメージに変換され、そのまま覚えるより、はるかに記憶しやすくなります。

以上が、数字イメージ変換法のあらましです。

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数字イメージ変換法を行う3ステップ

では改めて、『世界記憶力グランドマスターが教える脳にまかせる勉強法』の著者・池田義博氏の方法を参考に、数字イメージ変換法のやり方を詳しく見ていきましょう。

STEP1.覚えたい数字を2桁ずつに区切る

まずは、覚えたい数字を2桁ずつに区切ります。先の例では、「846893528」は、「84/68/93/52/8」と分割されました。ちなみに、桁数が奇数の場合には、1桁しかないブロックが1つ生まれることになります(この例では「8」)。

STEP2.2桁ずつ語呂合わせをする

次は、STEP1で区切った2桁それぞれに対して語呂合わせをします。筆者は、「橋(84)、老婆(68)、草(93)、骨壺(52)、蜂(8)」としました。

注意点として、語呂合わせに使う単語は、映像を思い浮かべやすい単語を選んでください。そのほうが、あとでストーリー化するときに好都合だからです。

たとえば、「93=組」と語呂合わせするのはオススメできません。「組」というのは、映像が思い浮かべられない、抽象的な概念で、ストーリーとして記憶しづらいからです。

また、「52」のように語呂合わせが難しいものは、「コツ壺」「コツ盤」のように、単語の一部分として語呂合わせしてもかまいません。ただし「肋(ろっ)コツ」だと、元の数字が「52」なのか「65」なのかあとで判断できなくなってしまうので、単語の後ろではなく、前の音で語呂合わせをするようにしましょう。

STEP3.ストーリー化する

最後に、STEP2で語呂合わせした単語を組み合わせ、ストーリー化しましょう。例として、橋(84)、老婆(68)、草(93)、骨壺(52)、蜂(8)の5つの単語を組み合わせると、「橋の上で老婆が草をむしり、骨壺に入れたら、蜂が飛び出してきた」というストーリーができ上がりました。このストーリーを映像として覚えておき、必要なときに“解凍”すれば、いつでも数字を思い出すことができるというわけです。

何度かイメージトレーニングをし、「橋(84)→老婆(68)→草(93)→骨壺(52)→蜂(8)」という順番で正確に思い出せるようになったら、これでインプットは完了。試しに、お手元のクレジットカード番号やマイナンバーを記憶してみてください。ものの数分もあれば、簡単に記憶できるはずです。

***
数字イメージ変換法という記憶術をご紹介しました。日常生活の中にすぐ取り入れられるとても簡単な方法ですから、特に桁数の多い数字を覚えたいときにはぜひ試してみてくださいね。

(参考)
日本政府観光局|訪日外客数(2019 年 9 月推計値)
リクナビNEXTジャーナル|デキるリーダーはなぜ「数字」に強いのか
Googleブックス|入社1年目からの数字の使い方
ダイヤモンド・オンライン|12桁の数字をスラスラ覚えられる方法があった!

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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