仕事のスケジュール管理、どうすれば? おすすめアプリ&ノート術

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みなさんは、仕事のスケジュール管理をどのようにしていますか? 試行錯誤した結果、自分に合う方法を見つけた人もいれば、スケジュール管理に関する本をいくら読んでもピンとこない……という人もいるでしょう。

今回は、「スケジュール管理を完璧にして仕事をスムーズに進めたい」「仕事のスケジュールをしっかり管理することでプライベートの時間を充実させたい」と願う人に向けて、仕事のスケジュール管理のコツとアイデアをご紹介します。

仕事のスケジュール管理が大切な理由

仕事のスケジュール管理ができる人は、自分がしなければならない業務=タスクの管理がしっかりとできている人と言えるでしょう。タスク管理ができて最後まできっちりと実行できる人は、いわゆる「段取りが良い人」とも言われます。

株式会社らしさラボ代表取締役であり、「徹底的な効率化と圧倒的な成果を両立する時短術」をテーマに、書籍の執筆や企業研修を行なっている伊庭正康氏は、「『段取り』とは先を読んだ行動ができることを指す」と述べています。

段取りの良い人は、どんなときでも「最適な案」が選べるように、複数の選択肢を用意しており、目的を確実に達成できるように先読みしているのです。つまり、スケジュール管理ができる人は、正確かつ期限内にタスクを遂行する『段取り力』が優れている人だと言えるでしょう。

反対に、スケジュール管理ができない人は、「先読みする力」が不足しています。目の前の案件に気を取られて、ほかの仕事がおろそかになってしまった、複数の案件を同時に進行していて相手先を間違えたメールを送信してしまった……など、段取りを考えずにあれこれと複数のタスクに手をつけて失敗してしまいがちなのが特徴です。

「いつまでに何をやらなければいけないのか」を考えてタスクを整理せずに、ただ目の前にあるタスクだけを見てスケジュールを組むと、後から時間が足りなくなって慌てて取り組むことになりかねません。

スケジュール管理ができていないと、締め切りを守れない・ミスが多くなる・仕事での信頼が失われる・残業が増える・プライベートの時間が確保できなくなる、と多くのデメリットが生じます。これらのことからも、段取りを考えながらタスクを整理したうえで、順序立ててスケジュールを組むことがいかに大事かわかるはずです。

仕事のスケジュール管理をするにあたっては、さまざまなツールを用いて自分に合った方法を見つけ出すといいでしょう。仕事のスケジュール管理方法について、以下で詳しく説明していきます。

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仕事のスケジュール管理方法:ノート編

仕事のスケジュール管理方法として、最近ではデジタルツールが台頭してきているものの、スケジュール帳やノートに手書きで管理する人も変わらず多いようです。今回は、一歩進んで、ただ書き込むだけではないプラスのテクニックをご紹介しましょう。

長期計画管理ノート

仕事とは、課題が与えられてすぐに取り掛かって遂行するものばかりではありません。むしろ、長期に渡って段取り良く進めていかなければならないものの方が多いはず。しかし、「目先の仕事に追われて、長期的に進めていくべき課題がおろそかになっている……」という悩みは尽きません。

時間管理コンサルタントの水口和彦氏は、「長期計画の管理がうまくいかないのには理由がある」と言います。

こういうお悩みをお持ちの人に共通するのは、長期的な課題や計画を持っていても、毎日使うスケジュールにその内容が反映されていないという問題です。毎日見たり書いたりするスケジュールに載っていないものは、どうしても忘れがちになりますし、なかなか実現できないのも当然です。

(引用元:STUDY HACKER|長期計画は“立てただけ”では実現できない。確実に達成するための「長期計画」の作り方ーー水口和彦『仕事も遊びも効率化 目からウロコの時間管理術』第10回

つまり、日々のスケジュールに組み込まれていないことが長期計画の管理を難しくしているのです。逆に言えば、毎日使うスケジュールに反映させやすい長期計画を立てれば、それだけ実現しやすくなるとも考えられます。

ポイントは、“週単位で計画を立てる”こと。月単位だと時間に余裕がありすぎて油断してしまうことが多く、1日単位だと計画を立てる時点で大変ですよね。間をとって週単位にすることで、普段のスケジュールに合わせて長期計画を立てやすいだけではなく、長期計画の内容を毎週のスケジュールに落とし込みやすくなり、実行しやすくなるというわけです。

長期計画管理ノートの作り方は、以下の通り。まず、週で区切って計画していくためには表の形式にしておくのが便利です。ノートに線を引いて日付を書きましょう。

<9/23~9/28>のように週単位で日付を記入し、それぞれの週に何を行えばいいかを考えていきます。重要なのは、「自分が何を行なうべきか」をある程度具体的にしておくこと。例えば、大きな会議がある場合、会議は1日で終わるにしても、その準備には何日もかかりますよね。この準備段階として“何をするべきか”を書いておくことが大事です。
もしも長期的な課題が複数重なっていたら、列で区切ってひとつの表にまとめるようにしましょう。同時進行の仕事がどのように重なり、どの時点でタスクが集中するのかを可視化すれば、より効率的に仕事を進められるはずです。

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(画像引用元:STUDY HACKER|長期計画は“立てただけ”では実現できない。確実に達成するための「長期計画」の作り方ーー水口和彦『仕事も遊びも効率化 目からウロコの時間管理術』第10回

長期的な課題は、「まだまだ時間がある」と放っておいたらいつのまにか締め切りが迫っていた……なんてことになりがち。まずは、週単位で区切り、日々のタスクとして取り入れると、仕事のスケジュール管理を実行しやすくなるのでおすすめです。

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付箋ノート

仕事のスケジュール管理には、ノートに直接書き込まないノート術として話題の「付箋ノート」という手法もおすすめです。この「付箋ノート」では、ノートはあくまでも台紙代わり。付箋にメモをとって、それをノートにペタペタと貼るというスタイルなので、貼り直しができて情報を臨機応変に編集することができます。

具体的な方法をご紹介しましょう。まずノートを「ToDo」「Doing」「Done」の3領域に分割します。そして、タスクを書き込んだ付箋をそれぞれのステータスに移動させましょう。そうすることで、抱えているタスクや完了したタスクの量が一目瞭然になり、仕事の進捗を視覚的に把握できるのです。

また、何度でも張り替えができる付箋の特徴を活かし、優先度に応じて並び替えられる自由度の高さも魅力ですね。さらに「メイン業務」「会議・打ち合わせ」「ルーティン業務」など、タスクの種類に応じて付箋の色を変えると、より管理しやすくなります。

ほとんどのビジネスパーソンは、いくつかの業務を並行しながら進めることが多いはず。その結果、ひとつの業務に集中するあまり、ほかの仕事の締め切りをすっかり忘れてしまった、という経験もあるでしょう。

『SINGLE TASK』の著者であるデヴォラ・ザック氏によれば、そもそも私たちの脳は、「同時に2つのことを考えることができない」のだそう。

「みなさんがマルチタスクと呼んでいるものは、神経科学者の言うところのタスク・スイッチングです。(2つを同時に考えているのではなく)複数のタスクを短時間で行き来しているのです」

(キャリコネニュース|脳はひとつのことしか考えられない! 「シングルタスク」で生産的に仕事をする4つの方法

タスクスイッチングは、脳に過剰な負担をかけるため、脳が収縮する原因にもなるそう。加えて、生産性を4割も低下させることもわかっています。だからこそ、上手にスケジュール管理をして脳の負担を減らす必要があるのです。

「付箋ノート」を使い、ひとつのタスクをひとつの付箋で管理していけば、「どんどん新しい仕事が入ってくる」「タスクの優先順位が刻々と変わる」といった状況でも、業務全体を俯瞰しやすくなり、上手に仕事のスケジュール管理ができようになりますよ。

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仕事のスケジュール管理方法:アプリ編

仕事のスケジュール管理にスマートフォンを活用している方には、便利なアプリの使用をおすすめします。

aTimeLogger

自分が何にどのくらいの時間を使っているのかを把握したいときに最適なのが、時間管理アプリ『aTimeLogger』iOSAndroid)です。

『aTimeLogger』は、作業をいつからいつまで行ない、トータルでどのくらいになったか確認することができるアプリです。「仕事」「移動」「勉強」など、各ボタンをタップするだけで時間の計測が始まるというシンプルな仕様になっており、ボタンを編集して「企画案を練る」「ビジネス書を読む」「単純な入力作業」など、「仕事」の項目をさらに細分化することも可能です。

たとえば、午前11時に「単純な入力作業」ボタンをタップし、12時20分に計測を止めたとしましょう。すると、1時間20分を入力作業に充てたことがアプリの中に記録されるのです。

毎日の行動を記録し、日・週・月ごとの行動の統計をグラフやダイアグラムで見ることもできます。活用すれば毎日の時間の使い方が把握できるため、『aTimeLogger』は、スケジュール管理に適した便利なツールであると言えるでしょう。

Wunderlist

クラウド型タスク管理アプリとして世界中で支持されているのが、『Wunderlist』iOSAndroid)です。スマートフォンやタブレット、パソコンなど複数のツールでタスク管理することができるので、どこにいてもすぐにスケジュールの確認ができます。

また、他のユーザーとToDoリストを共有できるのも魅力です。たとえば、開発プロジェクトに関するタスクを複数人で割り振るとしましょう。「開発プロジェクト」というリストを作り、その中に「やるべきこと=ToDo」をどんどん追加していくと、各項目に担当する人を割り振ることができ、担当になったメンバーには通知が届くので、気づかずにスルーされる心配もありません。さらに、メッセージやファイルのやりとりもできるため、共同作業をスムーズに進められます。

期限やリマインダー設定といった機能に加え、Googleカレンダー、Gmail、Slack、Alexaなどと連携できる使い勝手の良さも、仕事のスケジュール管理がしやすいポイントです。

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仕事のスケジュール管理方法:その他

ノートやアプリ以外にも、仕事のスケジュール管理に役立つアイデアをご紹介します。

「Doingリスト」を作成する

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)所属の理学博士である堀正岳氏によると、タスク管理の目的は「より多くの仕事を片付けること」ではなく、「いまこの瞬間に集中しなければいけないたったひとつのことをはっきりとさせること」にあるそうです。

今すべきことに集中するためのもっとも簡単な方法は、一枚の紙に「Doingリスト」を作ること。まず、縦に一本線を引き、左側に「取りかからなくてはならない作業」を上から順序だてて書きます。その際に、守るべき2つのルールがあるそうです。

  1. 絶対に順序を変えずに、必ず上からひとつずつ実行する。同時に2つの仕事をしたり、順番を飛ばしたりしてはいけない。

  2. 途中で電話やメールがきて、仕事の「割り込み」があった場合、すぐには始めずに、紙の右側に「割り込み」の作業を記入してためていく。

例として作成したものがこちらです。

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複数の作業を同時に行なうことは非効率的であるとお伝えしましたよね。「Doingリスト」は、集中力を常に本筋の仕事からそらさないようにするための方法なのです。電話やメールでちょっと気がそれると、集中力は「いまやっていること」から離れてしまいます。ひとつの作業に集中し、いつでも軌道修正できる環境を整えることで、仕事のスケジュール管理を成功に導きます。

整理整頓を徹底して探し物を防ぐ

仕事のスケジュール管理に、間接的に役立つテクニックとして、「整理整頓」も欠かせません。大塚商会の実施した調査によると、ビジネスパーソンが勤務中に探し物をする時間は年間150時間にも及ぶそう。その時間をタスク処理に充てることができれば、もっと効率良く仕事を進められると思いませんか?

徹底的に無駄を排除して効率化を図る取り組み「カイゼン」でおなじみのトヨタでは、物の収納場所を決める基準として定位置(どこに)」「定品(何を)」「定量(どのくらい)」の「3定」を取り入れているそう。また、放っておくとどんどん溜まっていく書類は、「読んで破棄する」「読んで保存する(決めたファイルに整理)」「すぐに処理できない(未解決箱へ)」と瞬時に分類し、書類が滞留することを防いでいます。

コクヨでは、頻繁に使うものは常に卓上に出しておくそう。そうすることで、毎回引き出しやファイルボックスから取り出す時間が短縮できるというわけです。また、デスク備え付けの引き出しも、1段目には“ときどき使うもの”、2段目には“私物”、3段目は“ファイル”というように、明確に役割を定めることで、無駄なく必要な物の出し入れができるよう心がけているそう。

探し物をするちょっとした時間も、積もり積もれば莫大な「無駄な時間」になります。仕事のスケジュール管理を徹底し、毎日予定通りにタスクをこなすためにも、整理整頓を徹底して、効率良く仕事ができる環境を作る努力も必要です。

***
仕事のスケジュール管理は、一度コツをつかんで慣れてしまえばラクにこなせるようになります。余裕のある時間の使い方ができるように、無駄を省いて効率的なスケジュール管理をすることを心がけましょう。

(参考)
伊庭正康(2017),『残業ゼロの人の段取りのキホン』,すばる社.
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