仕事が捗らないのは “息が止まっている” から。「スクリーン無呼吸症候群」はどう防ぐ?

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仕事には欠かせないメールチェックなどのパソコン作業ですが、間違った方法を続けていると、集中力低下や、不安やストレスの増加につながりかねません。「仕事が終わると、どっと疲れが出て何もする気が起きない」「パソコンの前に長時間いると、なぜか嫌な気分や不安感に襲われる」「頭がすっきりしない感じがして、仕事が捗らない」などという人は要注意。

「スクリーン無呼吸症候群」(またはメール無呼吸症候群)をご存じでしょうか? 私たちは、パソコンを前にすると、気づかない間に呼吸が浅くなっているそう。これが原因で、仕事が捗らなくなったり、精神的ストレスが溜まったりするリスクが高まるのだとか。

では、どうしたらこの症状を防げるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

スクリーン無呼吸症候群とは?

スクリーン無呼吸症候群(screen apnea)は、マイクロソフトのリサーチャーを務めた経験があり、現在はWiredやNew York Timesなどで記事を執筆するライター兼コンサルタントのリンダ・ストーン氏が提唱したもの。スマートフォンやパソコンの画面を見ている最中に、反射的に呼吸が浅くなったり、何秒か息を止めてしまったりする症状のことを指します。

呼吸が浅くなったり止まってしまう理由のひとつは、スクリーンをのぞく際、多くの人が猫背になっていること。これによって、息を吸って吐くことが、姿勢を正しているときよりも困難になります。

次に、長時間スクリーンを眺めることで、目が疲れ、緊張状態になるため、リラックスして呼吸することが難しくなるということも挙げられます。

また、デジタルの画面が発するブルーライトにも原因があると考えられています。ブルーライトは人間の脳を覚醒させる働きを持っているため、スクリーンを見つめていると脳が興奮状態になり、体が戦闘状態に入り、心拍数が上がり、呼吸が浅くなってしまうのです。

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呼吸が浅くなることの弊害とは?

気づかぬ間に無呼吸状態を続けていると、当然、体には悪影響が出てきます。呼吸が浅くなると、脳に酸素が行き渡らなくなり、不安の増加や記憶力の低下に陥るリスクが高まってしまうのだとか。

American Academy of Physical Medicine and Rehabilitationの研究によると、立っているときに比べて、猫背で座っているときは、肺活量が最大で30%ほど減ってしまうそう。酸素が足りなくなると、心臓にも負担がかかります。すると、体内にコルチゾールというホルモン物質が増え、不眠躁うつ状態肥満などを招く原因となるのだそう。さらに、思考力が衰え、集中力がなくなったり、大事な決断ができなくなったり……と、脳にも悪い影響を及ぼしてしまうのだとか。

日常の中で、呼吸を意識する機会はほとんどないことと思いますが、体が正常に機能するために、呼吸は非常に大切なものなのです。 

そうはいっても、パソコンやスマートフォンの操作をせずに1日を過ごすのは無理に等しいもの。日常生活でできるちょっとした工夫を、以下でご紹介しましょう。

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意識的に深呼吸をし、小まめに休憩をとる

自分がスクリーン無呼吸症候群になっていると自覚している人は、少ないでしょう。まずは、自覚するために、パソコンやスマートフォンを使って作業している際、呼吸の変化を定期的に意識してみましょう。

メールの返信をしているとき、調べ物をしているときなど、「今、ちゃんと呼吸しているだろうか?」「呼吸を止めていなかったか?」と自分に問いかけてみてください。

もし、気づきがあった場合は、スクリーン無呼吸症候群に陥りやすい場面をメモしておきます。そして、それらの場面で必ず深呼吸するように心がけてください。

たとえば、メールをチェックする前に深呼吸、1通送ったら深呼吸、など意識的に深呼吸する習慣をつけるとよいでしょう。職場にいる人がメールの送信先であれば、立ち上がって同僚の席まで行って話したり、電話をかけたりするのもひとつの手です。気分転換にもなりますし、コミュニケーションも円滑に進むかもしれません。

自宅にいる際は、定期的にデジタルデトックスをするのもオススメです。電子機器は、全て電源を切るか、違う部屋に置いておき「1時間は絶対にスクリーンを見ない」など、時間を決めてしっかり休憩してみてください。

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目を休めるコツは、20-20-20ルール

目が疲れて緊張状態になることも、呼吸を妨げてしまいます。日中はパソコンで仕事をし、仕事帰りの電車ではスマートフォンとにらめっこし、結果いつも目が疲れている……という方は多いのではないでしょうか?

眼科医たちはこれを「デジタル眼精疲労(digital eyestrain)」と呼んでいるようです。これを防ぐためには、目薬をさしたり、水を頻繁に飲んだりして、乾燥を防ぐことが重要なのだとか。

ほかにも、アメリカの研究者の間では、「20-20-20 rule(20-20-20ルール)」というものが提唱されています。米眼科学研究所の代表であるラウル・クラナ氏によると、20分ごとに20秒間、最低でも20フィート(約6メートル)先のものを見ることで、目は十分な休息をとれるのだとか。これなら仕事中も実践できますし、試してみる価値はありそうですね。

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集中力の低下や心身のストレスの原因は、パソコンやスマートフォンの使い方にあるかもしれません。毎日使うものだからこそ、上手に付き合いたいですね。

(参考)
Huffpost|The Connected Life: From Email Apnea To Conscious Computing
Wikipedia|Linda Stone
DaiGo(2018),『長時間術』, 実務教育出版.
Inc.|Science Says You've Been Breathing All Wrong. Here's How to Do It Right
Business Insider|The easiest ways to prevent the eyestrain caused by staring at screens, according to ophthalmologists

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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