シングルタスクで生産性が飛躍的にアップ! ひとつのことに集中するための、4つのテクニック

オフィスで忙しく働くビジネスパーソン

目の前のタスクがどんどん増えていくと、不安や焦りを感じるのは誰だって同じこと。 しかし、どんなに忙しくても常に冷静で、「できる人」と評価されるビジネスパーソンがいます。彼らの秘密は何なのでしょうか?

じつは、その答えのひとつにシングルタスクの徹底があります。ひとつのことに集中し、そのクオリティを最大限に引き上げることで、仕事の効率と質を飛躍的に向上させるのです。

本記事では、シングルタスクを徹底するためのコツを紹介し、「できる人」になるための手助けをいたします。

仕事がうまくいかない原因はマルチタスクだった

いくつもの仕事が一度に押し寄せてきたとき、思わずパニックに陥ってしまうことはありませんか。

たとえば、複数のプロジェクトの締め切りが重なり、同時に急な会議が入る。どのタスクに手をつけるべきかわからなくなって、頭が真っ白になる――そんな状況です。

明治大学と北海道大学大学院は共同で、高齢者を対象に「二つのことを同時に行おうとしてうまくいかなくなる状態」を研究していました。ところが、この状態は高齢者だけでなく若く健康な人にも起こりうると示されました。*1

つまり、マルチタスクで能力が低下してしまうような状況は、誰にでも起こる可能性があるのです。逆に言えば、シングルタスクを徹底している人が、仕事で高いパフォーマンスを維持していると考えられるのではないでしょうか。

次項では、シングルタスク徹底のためのコツを紹介していきます。

シングルタスクを徹底しているできる人

パーキングロットの活用

シングルタスクを徹底するために効果的な方法のひとつが、パーキングロットの活用です。 パーキングロットとは、現在のタスクに集中するために、ほかの気になる問題やアイデアを書き留めておく保留リストのこと。*2

「あ、そうだ。あの会社に電話しなきゃ」など、急にやらなければいけないことを思い出し、目の前のことに集中できなくなることってありますよね。

そんなとき、パーキングロット(一時的に駐車しておく=いったんメモに書き留めておくこと)が役立つわけです。

たとえばこんな感じ――

パーキングロットの実践

筆者が「メモWEB」というサービスを利用して書いたもの

『SINGLE TASK 一点集中術』(ダイヤモンド社,2017)を著したデボラ・ザック氏いわく、レシートの裏側や付箋などは紛失しやすいため、パーキングロットに使わないのが賢明とのこと。*2

その点、PCやスマートフォンのメモ機能や、筆者が実践したようなWebブラウザで使えるメモ帳サービスは、手軽かつ紛失しにくいのでおすすめです。

MITメソッドの活用

次にMITメソッドを紹介しましょう。MITとは、Most Important Taskの頭文字をとったもの。毎日最も重要なタスクを1〜3つ設定して、それらを優先的に完了させるやり方です。

カリフォルニア大学バークレー校教員で認知神経科学者の Sahar Yousef 博士ら研究室のメンバーは、組織全体で毎日 MIT の設定に取り組む、3週間のチャレンジを実施したそうです。すると――

Slackで日々の MIT 設定に専念することで、CEOから新しいインターンに至るまで、個人の生産性が28%向上したのだとか。*3

筆者自身、特に忙しい日には MIT を設定すると、1日の仕事のはかどり方が全然違うと感じています。

“最低限これさえやれたら、今日目指したい水準はおよそ超えられる” といったことをあらかじめ見定めるので、気持ちに余裕をもって目の前のことに取り組めるのが大きいかもしれません。

最も重要なタスクを絞り込んでいる様子

詩人ゲーテも「最も重要なことを、他の些末なことの犠牲にするな」
という名言を残したとか……?

ポモドーロ法の活用

ポモドーロ法とは、25分間の集中時間+5分間休憩時間を交互に繰り返す時間管理テクニックのこと。ご存知の方は多いと思いますが、こちらもシングルタスクの徹底には欠かせません。

東北大学教授、スマート・エイジング学際重点研究センター・センター長の瀧靖之氏いわく、

集中する時間には個人差がありますが、人が集中できる時間は20~30分という場合が多く、そのあとは低下する傾向にあるので、長くやり続けるよりも、いったん25分と時間を区切ってやったほうが、結果的に効率がよいと思います。

とのこと。また、集中と短い休憩の繰り返しは記憶の定着にもいいそうです。瀧氏も、ポモドーロ法に近いやり方で受験勉強をしていたのだとか。*4

25分間でいったん中断するとなれば、いろいろやることなどできないので、自ずとシングルタスクになるというもの。筆者も、この記事を書きながらポモドーロ法を実践していますが、時間が短く区切られることで、目の前のタスクに対する集中力が、絞り出されるような感覚があります。5分間の休憩でメリハリがつくのも気分的にいいですよ。

ちなみに、筆者はスマートフォンのアラーム機能ではなく、キッチンタイマーのふたつ使いです。なぜならば、スマートフォンを使うと通知などが気になり、どうしても気が散ってしまうから。また、タイマーがひとつだと、いちいち時間を25分と5分に設定し直さないとならないからです。

タイマーをふたつにするだけで、作業と休憩の切り替えがとてもスムーズになります。 キッチンタイマーは100円ショップにも売っているので、ぜひ試してみてください。

2つ並んだキッチンタイマー

イタリア人の考案者がトマト型のキッチンタイマーを使っていたことからポモドーロ法という名がついたのは有名。ポモドーロはイタリア語でトマトのこと。*4

「1×10×1」システムの活用

「1×10×1」システムも、シングルタスク徹底に役立つはず。 1タスク1分・1タスク10分・1タスク1時間でタスクを分類し、短時間で片づけられるものから処理していく方法です。

組織コンサルティングが専門の中小企業診断士・平井彩子氏の説明を参考に、その手順をまとめてみました。*5

  1. まず1分間程度のタスクを定めます。すでに答えが出ている・すぐ判断できる返答や承認などです。
  2. 次に10分以内で片づけられるタスクを定めます。たとえば短い電話、書類の確認、短いメモやアイデア出しなどです。
  3. 最後に、1時間以上かかるタスクを定めます。たとえばプレゼンテーションの作成や、データ分析などです。

このように作業を仕分けておけば、迷わずできて気が散ることも少なくなり、シングルタスクを無理なく徹底できるでしょう。

しかし、目についたものからなんとなく取り掛かっていると、作業が山積みのときほど全体像が見えなくなるのではないでしょうか。それだと、マルチタスクの危険性が増すだけでなく、疲れを感じやすくなってしまいます。どうせ同じ作業をするなら、より疲れを感じにくい方法がいいですよね。

気が散って作業がはかどらない、仕事がどんどん溜まっていくと悩みがちな方は、ぜひ試してみてください。

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今回は、「できる人」をつくるシングルタスク徹底のコツを4つご紹介いたしました。何かひとつでも、今日から取り入れたいと思えるアイデアがありましたら幸いです。

【ライタープロフィール】
Shinya

大学では経済学を専攻。集中力があり、長時間、長期間にわたって勉強し続けることが得意。現在は、資格試験に向けて効率的な勉強法の情報を収集中。心理学にも関心があり、コミュニケーション力の向上を目指してさまざまなメソッドを学び、実践している。

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