なぜか「勝負に弱い」あなたに足りない3つの要素。「緊張しても勝てる人」になる秘策があった

「勝てる人」になるためにすべきこと01

「もっと勝負強くなりたい」と思ったことはありませんか?

アスリートではないのだから勝負なんて関係ない……と思ってはいけません。

「プレゼンを成功させたい」
「資格試験に合格したい」

といった願いを叶えるのにも、勝負強さは必要なもの。

大事な場面で自分らしく本来の実力を発揮できる「勝負強い人」になるための方法をご紹介します。いざ本番になると足がすくんでしまう……そんな人には、じつは3つの要素が欠けていたのです。

勝負に弱い人には「目的意識」が足りない

まず、勝負に強くなるための大前提として重要なのが目的意識。目的意識こそ、勝てる人の軸となります。

元陸上自衛官として極度の緊張状態を経験してきた荒谷卓氏によると、「緊張」する経験を通して強くなれる人と、ストレスが積み上がってつぶれてしまう人の違いは、「目的意識がはっきりしているか否か」なのだとか。

荒谷氏いわく、緊張には、以下の2通りあるのだそう。

  • 「ポジティブな緊張」……緊張しても動じることなく物事に取り組める
  • 「ネガティブな緊張」……その場にいること自体が大きなストレスになってしまう

この差を生むのが「目的意識」です。いまから挑もうとしている勝負は「自分の人生の目的」と一致している――そう納得できることがポイントなのだと、荒谷氏は言います。

「勝てる人」になるためにすべきこと02

たとえば、「気乗りしないけれど上司に言われたからプレゼンを行なう」「なんとなく必要そうだから資格をとっておく」というように、自分にとって大事だと思えない課題に取り組んでいるときは、負けやすい精神状態がつくられてしまいます。

逆に、「評価を上げて出世したいからプレゼンを行なう」「転職を成功させたいから資格をとる」など、「自分の人生の目標とどう結びつけられるか」という目的意識をはっきりさせれば、緊張しても勝てる人になれるのです。

勝負に勝ちたい気持ちはあるのに、いざ本番になると足がすくみがちな人は、必ず勝負に挑む前にこの勝負は、自分の人生の目的にどう一致しているのだろうかと考えましょう。そのうえで、目の前のミッションに納得して取り組むこと。これが、緊張に動じることなく力を発揮できる人になるために必要なことなのです。

「勝てる人」になるためにすべきこと03

勝負に弱い人には「習慣化」が足りない

「目的意識」をはっきりさせたら、次はそれを達成するための「習慣」を定着させることです。歯磨きや洗顔と同じように、勝負に勝つための行動も習慣化してしまえば、さほどエネルギーを使わなくても行動に移すことができるようになります。「今日はやる気が起きない」などのモチベーションの具合に左右されることもなくなるのです。

保有する個人資産が1,000億ドルを超える(※)投資家のウォーレン・バフェット氏が成功者になった要因も「日々の積み重ね」にあるようです。(※2021年3月の資料による)

バフェット氏は、「どうすれば賢くなれるのか」という問いに対して、分厚い紙の束を持ちながら「このように毎週500ページ読めば、知識が積み上がります。複利と一緒ですよ」と回答したそう。 

バフェット氏のような人を見ると「天才」とひとことで片づけたくなってしまいますが、実際は、日々の習慣が彼をつくり上げているということがわかりますね。

「勝てる人」になるためにすべきこと04

では、どうすれば習慣を定着させることができるのでしょう。米本国で400万部超のベストセラー『Atomic Habits(邦題:ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣)』の著者ジェームズ・クリアー氏は、「習慣をつくる方法」として以下の4つのポイントを紹介しています。「1日30分の勉強」を習慣化したい場合を例にとりながら、説明しましょう。

  1. わかりやすくする
    (例)必ず20時に始めると決め、毎日その時間にアラームをセットし、アラームが鳴ったら自動的に机に向かう
  2. 魅力的にする
    (例)お気に入りのノートとペンを買ってきて、それを使うのを楽しみにする
  3. 簡単にする
    (例)勉強を始めるエネルギーを最小限にするため、ノートは机の上に開きっぱなしにしてペンを挟んでおく
  4. 満足感のあるものにする
    (例)最後の5分は、今日学んだことについて小テストをつくり、翌日そのテストを解く。解けるようになることで、確実にステップアップしていることが実感できる

勝負強くなりたい目的に応じて必要な習慣を定め、上の4つのポイントを決めて、毎日のスケジュールに組み込んでみてください

勉強でも何かのトレーニングでも、費やせる時間がたとえ1日たった30分だったとしても、積み重ねれば何十時間にもなるでしょう。その時間は確実に実力を上げてくれますし、いざ勝負のときに「これだけ実力をつけたのだから大丈夫だ」という自信にもなるはずです。

「勝てる人」になるためにすべきこと05

勝負に弱い人には「当日の気楽さ」が足りない

「習慣」によって確実に実力をアップさせ、勝負当日に向けた準備ができたら、あとは力を発揮するだけです。十分な準備ができていれば、ある程度自信をもって挑むことができるはず。しかし、どんな実力者でも、いざ勝負のときになると力みすぎて力を発揮しきれない場合があります。

元陸上競技選手の為末大氏によると、実力があるのに勝負弱い人は「うまくやろうとしすぎる人」。そうなってしまう人の特性として、自分への期待値が高く、自分を意識しすぎてしまうことが挙げられると言います。為末氏自身も、勝負に負けるときは、これが原因で自滅することが多かったのだとか。

アスリートたちのサポートを行なうメンタルコーチの飯山晄朗氏も、「失敗してはいけない」という心理的プレッシャーは、緊張を膨張させ能力発揮を妨げると説明します。

こうしたことは、ビジネスパーソンにも起こりうることでしょう。何度も練習したプレゼンでも、いざ当日になるとうまくできなかったり、しっかり準備した面接でも、面接官を前にしたら頭が真っ白になったり……。勝ちたい勝負ほど空回りしてしまうことはありますよね。そんな人に足りないのは、「うまくやろうとしない」という「気楽さ」なのです。

飯山氏はこの問題を解決するために、呼吸を通して自律神経にアプローチする方法をすすめています。

飯山氏いわく、「緊張する→無意識に息をたくさん吸ってしまう→緊張を高める役割をもつ交感神経が活性化→さらに緊張を招く」という悪循環が、緊張時に生じるとのこと。息を吐けば、リラックスする副交感神経を活性化させられます。そのため、緊張したときは意識的に息を吐くことが効果的なのだそうです。

ポイントはゆっくりと長く息を吐くこと。そうすることで徐々に体がリラックス状態になっていきます。プレゼンや試験の前など、勝負を前にして緊張が止まらなくなったら、「落ち着け自分」などと唱えるよりもゆっくりと呼吸するほうが、緊張が鎮まるでしょう。

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ビジネスパーソンはさまざまな場面で勝負をしているもの。勝負に勝って成果を挙げる人もいれば、いつまでも勝てないで停滞してしまう人もいますね。負け癖がついてしまっている人は、ぜひ今回ご紹介した「勝てる人になる方法」を実践してください。

(参考)
Diamond Online|「本番に強い人」と「プレッシャーに負ける人」の決定的な違い
楽天証券|ウォーレン・バフェットは実は短期投資家!?バフェットのすごさは銘柄の買い時より売り時にある
Farnam Street|The Buffett Formula: Going to Bed Smarter Than When You Woke Up
Tamesue|勝負弱い心
東洋経済ONLINE|「勝負に強い人」が心得ている3つのこと
ジェームズ・クリアー 著, 牛原眞弓 訳(2019),『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』, パンローリング株式会社.

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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