「嫉妬に押しつぶされる人」と「そうでない人」の決定的な差。

嫉妬心を活かすための具体的アクションとは01

どんなかたちであれ、人間は嫉妬してしまう生き物です。自分にないものを持っていたり、自分よりも能力が優れていたりする人を目の当たりにしたとき、つい「うらやましい」「悔しい」などと感じてしまいますよね。

一般的に、こういった嫉妬心は良くないといわれることが多いものです。でも見方を変えれば、私たちのスキルやモチベーションを高めてくれるきっかけとして、充分に活用できますよ。今回は、嫉妬心を上手に生かす方法をご紹介します。

嫉妬が起きるのは「獲得可能性と親近性の差」が原因

みなさんは、テレビに出ている美しい女優や、大豪邸に住む芸能人などを見て、激しく嫉妬しますか。もちろん、少しぐらいは「うらやましいな」と思うかもしれません。でも、「悔しい!」「なぜ自分ではないんだ!」などと本気で嫉妬する人はあまりいないのではないでしょうか。

一方で、身近な友人や同僚の活躍を目の当たりにしたらどうでしょう。普段仲の良い同僚が、仕事で大活躍して先に昇進してしまった。昔からの友人が、会社を立ち上げて高額な年収を得ている。そんなとき私たちは、「いいなあ」という羨望の感情を超えて、「なんであいつが……」「ずるすぎる……」などと激しく嫉妬してしまうものです。

では、なぜこのような違いが生じるのでしょうか。脳科学者の中野信子氏によれば、これは「獲得可能性と親近性の差」という言葉で説明できるのだといいます。

相手が女優や芸能人であれば、自分とは立場があまりにも異なる人の話であるため、「自分には無理だ」「違う世界の話だ」と、明確に認識して納得できますよね。しかし、これが身近な人となるとそうはいきません。心のどこかで「自分にもできたのではないか……?」と感じてしまうはず。それが嫉妬の火種になるのです。

要は、手に入りそうなのに獲得することができない。それなのに、身近な者がそれを獲得している。そんなところから、強い「妬み」の感情が生まれるわけです。

(引用元:StudyHacker|嫉妬の感情がキケンな理由

嫉妬心を活かすための具体的アクションとは02

それでも嫉妬は意外と役に立つ

一般的に嫉妬は良くないものと思われがちですが、思考を少し変えれば、自らの成長のための足がかりにすることも可能です。

メンタルコーチで、女性経営者など2,300人以上の問題解決に携わった “問題解決の専門家” でもある大平朝子氏は、嫉妬について次のように述べています。

「嫉妬したこと・落ち込んだこと=自分が本当にやりたい(欲しい)こと」

嫉妬を、自分の興味や才能に気付くきっかけにしてしまえばいいのです。

(引用元:日経doors|嫉妬したらチャンス それがあなたの「欲しいもの」-ネガティブ要素の嫉妬は、発想を変えるとポジティブになる

人は、相手の自分より勝っている部分すべてに嫉妬するわけではありません。同僚の手作り弁当がすばらしかったり、毎日髪型がいい具合にきまっているからといって、それに嫉妬する人としない人がいます。手製のお昼ごはんや料理のスキル、がっちりきまった髪型などに憧れがない人は、おそらく嫉妬という感情は抱かないはず。嫉妬をする人は、それらに興味があり、憧れ、手に入れたい気持ちがあるからなのです。

みなさんは、自分が嫉妬心を抱きがちな人が身近にいるでしょうか。その人のどこに嫉妬をしているのかを見つめ直せば、理想の自分に近づくためには何を磨けばよいのかがわかります。その人はある種、自分の理想像のひとつなのです。

嫉妬心を活かすための具体的アクションとは03

「嫉妬の生かし方」はとてもシンプル

先に述べたとおり、嫉妬が起こるのは「獲得可能性と親近性の差」が原因です。「身近な人物が○○を手に入れている……妬ましい!」となったら、ぜひ今後の自分のためになるアクションをとりましょう。

かつて女性最年少上場を果たしたこともある実業家の経沢香保子氏は、「自分が嫉妬を感じたときは?」という問いに、次のように答えています。

嫉妬は成長のチャンスです。マイナスとして終わらせずに、「ステキですね! (自分が嫉妬を感じた対象となるものを)どうやって手に入れたのですか?」とノウハウを教えてもらうと、嫉妬を健全な成長のたねに変換し、自分が欲しかったものに気づき手に入れるチャンスになると思います。

(引用元:note|嫉妬される・してしまう時の対処法は? ※太字は筆者が施した)

テレビの向こうの有名人などが、自分が手に入れたい物や能力を持っていたとしても、親近性があまりにも低すぎるため、それらを手に入れる方法を知るためには、結局自分で何かをリサーチして調べるしかありません。

しかし、身近な人間が手に入れているとしたら、そのためにどんな努力や工夫をしたのか、そもそもどうすれば成功できるのかを直接聞けるうえに、その情報は信憑性の高い有益なものです。

たとえば、「非常に難易度の高い、けれども取得できれば自分の夢であった職業に就くことに大きく近づける資格を取得したい」という状況であったとしましょう。仕事が忙しいこともあり、何回も試験に落ちていたとき、同い年の大学時代からの友人が、仕事をしながらその試験に合格したと耳にしました。

それを聞いて、冷静にならずにただ負けた気分になってしまうと、「なんで自分が合格できないのに、あいつが合格できるんだ」と、強い妬みがこみ上げてくるでしょう。しかし、一度冷静になり「なんで合格できたのだろう?」「これは合格のための秘訣を聞ける良い機会かも」と考えることができれば、むしろチャンスになり得ます

自分がそれなりに性格や人となりを知っている人物で、しかも直接話を聞いてアドバイスをもらえるわけです。嫉妬して妬みの言葉をかけるのではなく、むしろ賛辞を送りながら、少しでも試験合格に関する情報を聞き出すくらいの姿勢で行くのはいかがでしょうか?

「こんなに欲しくても手に入らないものを、こいつが手に入れているのはおかしい」ではなく、「こんなに欲しくても手に入らないものを、手に入れた人が身近に現れた。話を聞ける大チャンスだ」。こう考えられれば、嫉妬心は嬉しい誤算といえるでしょう。

***
嫉妬心自体をモチベーションに変える、という考え方もありますが、それではただモチベーションが上がるだけです。方法論として確実にプラスにするには、嫉妬をするのではなく「ラッキーだ」とガッツポーズできる余裕を持ちましょう!

(参考)
StudyHacker|嫉妬の感情がキケンな理由
日経doors|嫉妬したらチャンス それがあなたの「欲しいもの」-ネガティブ要素の嫉妬は、発想を変えるとポジティブになる
note|嫉妬される・してしまう時の対処法は?
井上裕珠 村田光二(2014),「獲得可能性が妬み感情に及ぼす影響」一橋大学, Vol.,85 No.1, pp.1-8.

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

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