日ごろの疲れを解消すべく、休みの日に寝だめをするビジネスパーソンは多いことでしょう。しかし、たくさん寝たはずなのに、休み明けに変なだるさを感じたことはありませんか?
なぜ「寝だめは良くない」のか。その真相を探ってみると、真の一流たちが休日をアクティブに過ごすワケが見えてきました。
休日の寝だめが全然良くない理由
休日の寝だめが良くない理由のひとつとして指摘したいのが、体内時計のリズムが崩れてしまうということ。体温や脳内のホルモン分泌などに悪影響が与えられ、脳や身体が充分に働かなくなり、だるさを感じてしまうのです。日本を代表する寝具メーカー「昭和西川」の専務取締役・西川ユカコ氏は、次のように言います。
「月曜日は朝から体がダルくて、木曜、金曜日くらいにやっと本調子になる」とおっしゃいます。それもそのはず、「週末に寝だめ」をすると、月曜日からダルくなりやすいのです。
(引用元:東洋経済オンライン|「週末の寝だめ」でどんどん疲れていくワケ)
週明けのスタートダッシュに出遅れると、それだけで仕事の結果も出せなくなります。これでは出世が遠のくのも無理はありません。
また、睡眠研究の専門家・五十住和樹氏によると、休日の寝だめによるだるさは、海外旅行後の「時差ボケ」状態に似ているのだそう。時差ボケの原因は睡眠時間の「中央値」のずれにあり、このギャップが大きくなると、たとえ睡眠時間を増やしてもだるさがとれません。寝だめによる時差ボケに悩む人は珍しくなく、「社会的時差ボケ」という専門用語も存在します。明治薬科大准教授・駒田陽子氏は次のように言います。
「三時間のずれはインド、五・五時間はドバイとの時差に近い。週末に旅行して週明けに仕事をするのと同じ」
(引用元:東京新聞|寝だめは逆効果 体内時計乱れ疲労蓄積)
大塚製薬の睡眠不調に関するインターネット調査によれば、週末に1時間以上の寝だめをする成人は約4割いるのだそうです。そして、寝だめをする人のうち32.2%は「休日に寝だめをして無駄に過ごしたことを後悔」し、54%の人が「憂うつな気持ちで休み明けを迎えて」います。こうした後悔や憂うつ、あなたも身に覚えがあるのではないでしょうか?
社会的時差ぼけによる悪循環をなくし、休日を生産的なものに変えられたら、未来が大きく開けると思いませんか? 現に、一流として活躍している人たちは、社会的時差ぼけにかからず、アクティブに休日を過ごしているのです。
一流のアクティブな休日の過ごし方
『100円のコーラを1000円で売る方法』の著者・永井孝尚氏は、休日のタイムマネジメントについて、次のように言います。
仕事上手な人は、息抜きを非常に大事にしている。ライフネットの岩瀬大輔社長がリップルウッドにいた頃、午後2時か3時になるとプールに行ってひと泳ぎして、それから仕事に戻っていたという話を聞いた。息抜きだからといって、社長たちは休日、だらだら遅くまで寝ているわけではない。休日であっても早起きする人が多いのだ。
(引用元:プレジデント・オンライン|経営者も実践する「休日の朝時間」の有意義な過ごし方)
ここで、アクティブに過ごすというと、旅行やイベントなどを想像する人もいることでしょう。しかし必ずしも、「アクティブ=特別なことをして過ごす」という意味ではありません。大事なのは、ダラダラと休日を過ごすのではなく、能動的に何かをするということ。
例えば、吉田茂元首相は休日になると美術館へ行き、趣味の美術鑑賞を楽しんだのだそう。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、休日1人で読書をする時間を作ったことが、深い思考の礎になったとされています。20世紀で最も成功した投資家・バフェット氏が休日の楽しみにしていたのは、ウクレレの演奏。こちらもビジネス以外に没頭できる時間を作ったことがことが、プラスに働きました。
趣味や楽しみがある人は、彼らと同じように、寝だめを切り上げて “没頭できるもの” に打ち込むべきです。では、特に趣味がないという人はどんなことをして過ごせばいいのでしょうか。3つの例をご紹介しましょう。
1.「運動」でストレス解消&生活習慣予防
仕事がある日は運動する時間が取れないという人も、休日限定でアスリートに変身してみてはいかがでしょうか?
体を動かすことには、ストレスを解消する働きが期待できます。さらに、米国医師会報の内科専門誌(オンライン版)に掲載された論文によると、週末休み限定の運動にも効果があり、生活習慣病などの予防も期待できるそうです。
週末アスリートの死亡リスクは運動をしない人に比べて30%低いことが分かった。心臓血管系の病気による死亡リスクに限定すれば40%、癌関連死のリスクも18%低かったという。
(引用元:ニューズウィーク日本版|運動は週末だけでOK、健康効果は毎日の運動と遜色なし)
また、適度に体を動かした方が寝つきも良くなります。ウォーキングやサイクリングなど、軽めの運動から始めてみてはいかがでしょうか。家族や恋人、友人たちと楽しんでも良いですし、サークルに参加するのも良いでしょう。
2. キャリアアップのための「勉強」をする
パソコンのスキルを学んだり、読書を通して知識を増やしたりといった、キャリアアップのための勉強を始めるのもおすすめです。歯学博士で作家の井上裕之氏は次のように言います。
「ビジネス書を読むと、仕事へのやる気が高まるだけでなく、教養も身に付きます。仕事に疲れた人には自己啓発書がおすすめ。折れそうな自分を助けてくれます」
(引用元:NIKKEI STYLE|20代、30代、40代 年代別ひとり時間にやるべきこと)
資格取得のための勉強もおすすめです。資格は仕事に関係するものでも、仕事以外の分野のものでも構いません。ちなみに文部科学省は、教養を身につけることを「生涯の課題」としています。内面を磨くためには、何歳から勉強を始めても遅いことはありません。
3. 書く瞑想「ジャーナリング」で脳内をリセット
GoogleやFacebookといった企業が、ストレス軽減や集中力向上のために行っている瞑想。これをより手軽なスタイルにしたのが「ジャーナリング」です。
“書く瞑想” とも呼ばれるジャーナリングでは、今抱えている想いや考えをあるがままに書き起こします。毎日の習慣にできたら理想的ですが、休日のみ行う場合でも十分に効果は得られるとのこと。ジャーナリングのための手帳を考案した荻野淳也氏は、次のように提案します。
休日のカフェタイムでも、空いている時間ならいつでも構いません。もちろん毎日書けなくても、週1回5分間だけジャーナリングの時間を持つということでもいいと思います。3週間続けば、習慣化するのではないでしょうか。
(引用元:NIKKEI STYLE|書く瞑想、ジャーナリング 集中力高め仕事効率を改善)
心の中にモヤモヤしたものを抱えつつネットサーフィンしている時間を、自分と向き合う時間に変えられたら、休み明けの集中力がきっと変わることでしょう。
*** 現代人の多くが悩んでいる、社会的時差ボケ。この過ちに早く気づけたあなたは、ライバルより一足早く有意義な休日を手に入れられます。さっそく次の休日から、過ごし方を変えてみましょう。
文 / かのえかな
(参考) 東洋経済オンライン|「週末の寝だめ」でどんどん疲れていくワケ 東京新聞|寝だめは逆効果 体内時計乱れ疲労蓄積 大塚製薬|"スッキリ目覚め習慣"を提案 機能性表示食品 『賢者の快眠 睡眠リズムサポート』を全国展開へ プレジデント・オンライン|経営者も実践する「休日の朝時間」の有意義な過ごし方 プレジデント・オンライン|休日の過ごし方は、趣味に没頭派? ゴルフ・接待派? 日経ビジネスオンライン|休暇は仕事を離れ思考に専念 韓国経営者が明かす休暇の過ごし方 BUSINESS INSIDER JAPAN|バフェット氏はウクレレで気分転換 —— 10人の成功者が明かすストレス解消法 ニューズウィーク日本版|運動は週末だけでOK、健康効果は毎日の運動と遜色なし 朝日新聞デジタル|運動は「週末」だけ行えば十分か? NIKKEI STYLE|20代、30代、40代 年代別ひとり時間にやるべきこと NIKKEI STYLE|書く瞑想、ジャーナリング 集中力高め仕事効率を改善