リーダーと聞いて、どんな人のことを想像しますか?
戦国武将のような、勇猛果敢な強者? スティーブ・ジョブズのような、強いこだわりとビジョンをもったCEO? はたまたヒトラーのような、狂人的カリスマ性をもったちょっとアブナイ人?
いろいろな”リーダー像”がありますが、それらに共通するものは一体なんなのでしょう。どんな人がリーダーに向いているのか、求められる資質とは一体何なのか。 今回は、そんなことを調べる「リーダーシップ研究」についてご紹介します。
「リーダーシップ」=「信頼される能力」のことだった!
そもそもリーダーシップって一体何なのでしょう。リーダーが持つ能力…それは当然なのですが、具体的にはどんな能力のことを言っているのでしょうか。
社会学者であるChemers氏によれば、
リーダーシップとは、ある共通の課題の達成に関して、ある人が他者の援助と支持を得ることを可能にする社会的影響過程とされる
(引用元:本多ハワード素子. "[資 料] リーダーシップの両価性と新しいリーダーシップ研究." 學苑 892 (2015): 112-118.)
とのこと。ちょっと難しいですね。 要するに、「何かしたい!!」と自分が考えたときに、それを他人に手伝ってもらえる。協力してもらえる。その一連の流れのことを指すそうです。
奇抜なアイデアを出せる。楽観的でどんな困難にもめげない。 それも大事ですが、一番リーダーとして大切なのは「周りが手伝ってくれること」なんですね。
頼りないけど、なんだか放っておけなくなっちゃう… 実は、そんな人がリーダーに向いていたりするのかもしれませんね。
リーダーが絶対にやってはいけない「侮辱的管理」とは
そんな、「周りを動かす」なんて、すぐにできるわけないじゃないか!
…なんて声が聞こえてきました。 ごもっとも。そうすぐにはできません。
では逆に、リーダーとして「絶対にやってはいけないこと」とはなんでしょうか。いろいろあるけど、これだけはダメ!という項目。
それがわかっていれば、部下に失望されたり、周りから「ついていけない…」と思われることもありません。今度も、リーダーシップ研究を覗いてみましょう。
Tepper氏が提唱したのが、「侮辱的管理」と呼ばれるリーダーシップ。 正確には、
これは、「部下により知覚される,上司の持続的な(職場における)敵意のある言語的、非言語 的行動(身体的接触は除く)の程度」である
(引用元:本多ハワード素子. "[資 料] リーダーシップの両価性と新しいリーダーシップ研究." 學苑 892 (2015): 112-118.)
とのこと。要するに、どなったり、嫌味を言ったりすることですね。
Tepper氏は具体的に、「(部下を)馬 鹿にする」「無視する」「人前で部下をやりこめる」「部下の過去の失敗を蒸し返す」「部下との約束を破る」「八つ当たりをする」「失礼なことを言う」「『おまえは無能だ』と言う」 「情報を与えない」などの行為をあげています。
こうした行為は部下のモチベーションを下げるだけでなく、グループ全体の作業効率を下げる、との結果が出ているんだとか。リーダーとして、絶対に避けなければいけません。
ちょっとした気分の変化や疲労によって、こうした行動はしてしまうもの。 部下に言葉を投げかける前に、少し立ち止まってみてください。
自分のすることが、「侮辱的管理」に該当していないでしょうか。少し時間をとるだけでも、かなり効果があるはずです。
また、部下からのフィードバックをもらうことも重要だ、と同じ論文の中では述べられています。実際のケースで、部下が上司の評価をする会社の例をあげており、それにより大きく状況が改善されたとの報告がされています。
嫌なやつ、そんなリーダーにならないために、ぜひとも気をつけたいところですね。
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リーダーシップ。なんだか生まれ持った才能のような感じしますよね。でも科学的なアプローチがなされ、理想のリーダー像が解明されてきました。
あなたもぜひ、目指してみては?
参考 本多ハワード素子. "[資 料] リーダーシップの両価性と新しいリーダーシップ研究." 學苑 892 (2015): 112-118.