質問センスは成長センス。学びと成長にもっとも重要なのは「質問力」である理由

上手な質問をするのは、難しいことですよね。

セミナーで講師の話を聞いた後に、「では質問はありますか?」と質疑応答の時間を設けられても、なにも思いつかない。 学生であれば就職活動の面接や、社会人なら上司との面談などで、「質問があればどうぞ」と言われたが、スマートな質問ができなかった。

このような経験のある方もいるのではないでしょうか。

純粋に分からないことを素直に聞くだけでいいなら楽なのですが、あまりに的外れな質問をして自分の評価を下げるようなことはしたくないもの。質問の内容によって、相手に「深いところまで考えていて感心だ」と思わせられるか、逆に「この人は何も考えていないな」と思わせてしまうかは大きく変わってきます。気の利いた質問ができるかどうかは、あなたに対する印象を左右するほど重要なことなのです。

18世紀フランスの代表的な哲学者であるヴォルテールは、

「答えではなく、むしろ問いによって人を判断すべきである」

と言いました。質問の大切さは、いつの時代も変わらないと言えるでしょう。

では、どうすればよい質問を作り出せるようになるのでしょうか? 今回は、なかなか質問が思いつかない人でも、センスのある良い質問を思いつけるようになる方法について考えます。

質問とは、最も簡単に学ぶ方法である

ヴォルテールはどうしてそれほど質問を大切にしたのでしょうか? それは、学ぶためには質問することが一番効率の良い方法だからです。

思考力を鍛える問題を紹介している作家のポール・スローン氏は、どんな人も質問によって勉強をすると述べています。

It (question) is the simplest and most effective way of learning.

(引用元:InnovationManagement.se|Ask questions: The Single Most Important Habit for Innovative Thinkers)(括弧内は筆者が補足した)

つまり、「質問することは、最も効率的で、シンプルな学習方法である」ということです。

皆さんは、何か知らないことがあれば、よくGoogleなどの検索エンジンで調べるでしょう。この行為は、Googleに私たちが質問していると捉えることができます。最近登場した音声検索をイメージすると、特にわかりやすいかもしれません。Google検索の代わりに、本や教科書、論文を使って調べる場合も同じです。私たちは、質問することによって知識などを学んでいるのです。

ただし、インターネットや本などのモノに対して質問するより、人に対して質問するほうがより幅広い学びにつながります。例えば、人の感情、体験、技術などは、本やサイトで読むよりも、人に尋ねたほうが多くのことを学べますよね。

したがって、上手な質問をすることは、相手に好印象を与えるということにとどまらず、質の高い学びを得るチャンスにもなるのです。

ではどうすれば、深い学びとすぐれた評価につながるような、良い質問をすることができるようになるのでしょうか?

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自分と相手を深く知ろう

孫子の兵法に次のような一文があります。

彼を知り己を知れば百戦殆うからず。彼を知らずして己を知るは一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。

(引用元:Wikiquote|孫子

この一節は、自分や相手のことをよく知って戦いに臨めば、どんな戦いもうまくやれるという意味。このことは、質問を考えるときについても当てはまります。

就職活動の面接における逆質問を例に考えてみましょう。

もし、自分のことも相手(会社)のこともよく知らないまま、ただ質問を考えたのでは、あまり質問は思いつかないでしょう。思い浮かんだとしても、「御社ではどのような仕事ができるのでしょうか?」くらいの質問になってしまいます。

しかし、自分のことについて、「英語が得意で、英語を使って活躍したいと思っている」ということをを知っていればどうでしょうか? 「私は英語を使って仕事をしたいと思っているのですが、御社では、英語を使った仕事ができるチャンスはありますでしょうか?」という、少し踏み込んだ質問をすることができます。

これに加え、就職したい会社について、「アメリカでプロジェクトを幾つか行っている」ということを知っていたらどうでしょう? 「私は英語を使って仕事をしたいと思っています。御社はアメリカでも様々な活動をされていますが、新人でもアメリカのプロジェクトに携わらせていただくことはできるでしょうか?」という、前向きかつかなり踏み込んだ質問をすることができます。

このように、自分と相手の両方についてよく理解していれば、それだけ多くの、そして深い質問を考えることができるのです。

質問をメモしておこう

また、良い質問をするためのちょっとしたテクニックとしては、質問が思い浮かんだら、すぐに書き留めておくことも大切です。

質問に限らず、ふと思いついたアイデアは、一瞬のうちに消えていくもの。みなさんも、「問題の解決方法が思いついたけど、まずは目の前の課題を片付けよう」と思ってほかのことを始めたら、完全にアイデアを忘れてしまった、という経験があるはずです。

面接や講演などでは、たいていの場合、質疑応答の時間は最後に設けられます。そのため、人の話を聞きながら何か疑問が浮かんできたとしても、そのまま話を聞き続けているうちについその質問を忘れてしまうことがあるでしょう。せっかくいい質問が思いついても、忘れてしまっては意味がありませんよね。

話の内容をメモするついでに質問のキーワードをメモしておくと、疑問点を忘れずに済むだけでなく、書いたメモによって自分の理解を深めながら質問を練ることにもつながるはずです。きっと良い質問ができるでしょう。

*** センスある質問をして評価を上げるためには、質問する前に自分や相手のことを詳しく知ること、そして、思いついた質問を忘れないようにすることが大切です。

質問をすることが苦手だという方は、ぜひ試してみてはいかがでしょう。

(参考) THE HUFFINGTON POST|「Why?」を声に出すことの重要性――日本人に徹底的に欠けている、「質問する力」 InnovationManagement.se|Ask questions: The Single Most Important Habit for Innovative Thinkers キャリアパーク!|会社説明会の基本マナー5つと好印象が狙える質問例 insource|【就職活動生向け】良い質問の仕方とは? ダイヤモンド社書籍オンライン|「良い質問」とはどのような質問か? Wikipedia|シチュエーションパズル

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