「日々のタスクを効率的にこなしたい」「より短い時間で成果を上げたい」そう考えることはありませんか?
生産性を高めるために、様々な工夫を取り入れている方もいるかと思います。特に、生産性を向上させる方法として有名な「やることリスト(Todoリスト)」は、かなり多くの方が活用しているでしょう。しかし、「やったことリスト」を使ったことがある人は、きっと多くはないですよね。今回は、ぐーんと生産性を高める「やったことリスト」のメリットと具体的な方法についてお送りしていきます。
「やったことリスト」とは?
「やったことリスト」とは、その名の通り、「やること」ではなくて「すでにやったこと」を書き込んでいくリストのこと。自分が成し遂げたことを可視化するために作るリストです。まずは「やったことリスト」のメリットを3つ、ご紹介しましょう。
1. 生産性を高めるサイクルが生まれる 「やったことリスト」によって成果を可視化すると、そのリストは自分がきちんとテキパキ仕事を進めた証拠になり、達成感を持つことができます。すると、より成果を上げようという気持ちになり、作業が進みますよね。そうしてどんどん先に進めていくと、目に見える成果が溜まっていきます。実際の結果が積み重なることで自信がつき、さらにパフォーマンスが上がる……。この一連のサイクルをつくれることが、「やったことリスト」の最大のメリットです。
「やったことリスト」の大きな特徴のひとつが、書き込んだものが決して消えない、という点。書くほどに自分の実績が積み上がっていくわけですから、自然と「さらに書きたい」という向上心が生まれます。この向上心が、様々なことにチャレンジするための土台となってくれるのです。
このように、成し遂げたことをリストによって可視化すると生産性と向上心を高めることができます。これは、特に仕事や勉強において非常に重要なメリットだと言えるでしょう。
2. 仕事に失敗したとき、気持ちを切り替えるきっかけになる 既に達成したことが書き連ねてあるのが、この「やったことリスト」。これは、仕事が上手くいかなかったときやいつもはやらないミスをしてしまったときなどにも役立ちます。
仕事に失敗した時には、それまで書いた「やったことリスト」を読み返してみてください。そうすることで、「これだけたくさんのことをやってきたんだ。少しくらい失敗したって大丈夫。また明日から頑張ろう」と切り替えることができます。このように気分が下向きになってしまった時に、「やったことリスト」は決してあなたを追い詰めることなく、気分を上向かせる助けになってくれるのです。
3. 自分の行動を顧みるときのヒントになる 「やったことを全部リストに書いていこう」と意識することで、以前は見えていなかった、細かい部分まで自分自身の行動を顧みることができます。「会議で○回発言をした」「洗濯をした」等、書く内容はちいさなことでもかまいません。
「やったことリスト」と「やることリスト」の比較
「やることリスト」でもよいのではないか、と思う方もいるかもしれませんね。では、「やることリスト」と「やったことリスト」を比較して考えてみましょう。
「やることリスト」は、その名の通り、やることをリストアップしていくものです。そしてこの「やること」とは、「まだやっていないこと」を意味しています。未達成のものに着目することで、自分のやらなければいけないことを明確化し、スケジュール管理などに役立てるのですね。
では、この「やることリスト」を取り入れている方は、自分のリストについて振り返ってみてください。「やることリスト」に書いたことのうち、どれだけのことを達成できているでしょうか?
もちろん達成したことも多いでしょうが、達成できていない項目も何かしらあるはずです。未達成のものを集めているわけですから当然のことですが、「やることリスト」に達成できていない項目が残りすぎると、努力不足感や劣等感を生み、自己評価の低下に繋がってしまいます。生産性向上のために「やることリスト」を取り入れたのに、かえって生産性を低下させてしまう、という元も子もない結果になってしまう危険性があるのです。
この点において、「達成できたもの」に注目する「やったことリスト」なら、常に自分のプラス要素を見ているのですから、生産性や自己評価を低下させてしまうことはありません。
また、「やることリスト」の場合は、「締め切りが無いもの」や「やったほうがよいけれどやらなくてもよいもの」がなかなか消化されていきません。それどころか、まだ締め切りまで時間があると考えてしまい、ギリギリまでやらなくなってしまうことも。なぜなら、人間は目標の達成方法がなんとなくでもわかると、「やり方はわかったから後でやれば大丈夫」と先延ばしにしてしまう生き物だからです。
そして極め付けは、最後に残るものは何かという点です。「やることリスト」では未達成のものを順々に消化していくため、書いた内容はどんどん消されていき最後に残るのは、達成できなかったこと。対して「やったことリスト」は達成したものを書いていくので、取り組めば取り組むほどに自分の実績が蓄積されていきます。数週間後に見返したとき、自分が達成できなかったものが残っているノートと、達成できたものが残っているノート、どちらの方が達成感を得られるかは、もう明確ですよね。
「やったことリスト」の作り方
では実際に「やったことリスト」を作ってみましょう。やり方は非常に簡単。
まず、新しいノートを用意します。そこに、日付を書き、その日にやったことを書く、それだけです。たとえば、
○月×日 ・ミーティングをした ・資料作りをした ・公共料金の支払いをした ・××を読み終えた
といった感じです。大切なのは、事細かに記すのではなく、簡単に一言で済ませること。詳細に書こうとすると時間も手間もかかってしまいますが、一言であれば、休憩時間や夜寝る前など、空き時間にさっと書き込むことができます。どんなにささいなことであっても、やり終えて達成感を感じたり、やらなければならないことを終わらせたりしたときは、必ず書いておきましょう。仕事や勉強に関することだけでなく日常の中で行ったことも合わせて書いておくと、より一層、充実感を得ることができます。
「やったことリスト」の勉強への活かし方
この「やったことリスト」は、普段やることや仕事においてだけではなく、試験勉強や資格の勉強にも活用できます。
勉強で大切なことも仕事と同様、結果の可視化。勉強における可視化とは、何をどれくらい勉強したのかを記録する、ということです。勉強は、モチベーションや気持ちによって取り組む気持ちが左右されやすいもの。勉強した量や時間を可視化すると、自信に直結し、やる気が向上します。勉強における可視化の重要性は、仕事などに比べ大きいと言えるでしょう。
また、目標まであとどのくらいかもすぐにわかるので、「今日は少しやり足りなかったから、明日はもっとやろう」などと自然に考えるようになるのです。筆者もテスト勉強の際に行ってみたのですが、「この範囲は終わったから、明日は別の範囲をやろう。ここも少し補強したいから重点的に取り組もう」と具体的に考えることができました。
勉強は頭の中に溜めていくことが主ですから、目に見えるデータが少なく、やる気を保ちにくいですよね。「やったことリスト」を上手に活用すれば、モチベーションを上げることができ、より積極的に取り組めるようになりますよ。
「やったことリスト」が作れるスマホアプリ2選
「やったことリスト」をつけるためのノートを準備するのも億劫に感じる方は、アプリを利用するのがオススメです。ここでは、2つのアプリをご紹介します。
・Donelist 1つ目は「Donelist」です。iOS版のみの配信ですが、「やったこと」をワンタップで確認できるため、記録したいときだけでなく見返したいときにも役立ちます。
未完了のものも書き込めますが、従来の「終わったら消していく」やり方ではなく「完了済に溜まっていく」やり方です。アプリ内のカレンダーに完了済みのタスクと未完了のタスクの数がそれぞれ出るので、未完了がゼロになったときにそれぞれの数を見比べれば、格別の達成感を味わえること間違いありません。書き込んだ時間も記録されるため、「このくらいの時間は集中力が切れているな」など、自分の一日のリズムを理解することにも役立ちそうですね。
・Evernote 次にご紹介するのは「Evernote」です。Evernoteはアプリはもちろん、Webサイトもあるので、パソコンとスマホ両方からアクセスすることが可能です。iOS版アプリはコチラ、Android版アプリはコチラよりダウンロードできます。
Evernoteの場合はノートに書き込んでいくような形式で、チェックボックスを利用して作っていきます。メールアドレスとパスワードの登録が必要となりますが、一度済ませてしまえば後はいつでもどこでも簡単にリストに書き加えることができます。ログインすれば違う端末であっても同じノートを利用できるので、仕事場ではパソコンから、家ではスマホでさくさく、などと使い分けてもいいですね。
*** 自分のやったことを目に見える形で残しておけば、自分にとっての大切な財産になるでしょう。仕事や勉強も含め、日常の中でうまく活用して、生産性を上げていってくださいね。
(参考) Newsweek|やることリストよりすごいやったことリストの効用 All about|子供の勉強、やることリストがやる気をなくす iTunes プレビュー|Donelist 無料版 - やったことリスト EVERENOTE|チェックリストを使う iTunes Preview|Evernote - stay organized Google Play|Evernote - あらゆる情報をまとめて記憶 松原一樹著(2010),『9割受かる勉強法』,ダイヤモンド社.