手帳でスケジュール管理する基本のコツ7つ&発展テク4つ

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手帳とは、ビジネスパーソンのスケジュール管理に欠かせないツール。予定の時間やタスクの内容を手帳にメモする習慣があれば、うっかりミスなどを防げ、計画的・効率的に業務をこなせます。

とはいえ、手帳に何をどう記入すればいいのかわからない方は多いはず。手帳を使ったスケジュール管理の基本だけでなく、発展的な使い方も学んでいきましょう。

手帳以外でのスケジュール管理については「仕事のスケジュール管理、どうすれば? おすすめアプリ&ノート術」をご覧ください。

なぜ手帳でスケジュール管理するのか

まずは、手帳でスケジュール管理するべき理由を確認しておきましょう。

ビジネスやプライベートに関する膨大な予定を、すべて記憶しておくのは不可能ですよね。人間の記憶力には限界があるため、予定やタスクを手帳に記入しておかなければ、待ち合わせをすっぽかしたり、締切を破ったりと、重大なトラブルを引き起こしかねません。

失敗を防ぐだけでなく、業務の効率を高めて成果を上げるにも、スケジュール管理は大切です。合理的なスケジュールを組み、それに沿って業務をこなしていけば、短い時間で多くの成果を出せるでしょう。ほかにも、以下のようなメリットが期待できます。

  • 目の前の業務に集中できる
  • 業務に関する記録やノウハウを蓄積できる
  • 言った・言わないのトラブルを防げる

手帳への記録を習慣づけ、徹底したスケジュール管理を実践すれば、より大きな成果を上げられるのです。

手帳でスケジュール管理する方法2

手帳でスケジュール管理する基本のポイント

手帳でスケジュール管理するときは、まず以下の7点を徹底しましょう。

「週間バーティカル」を選ぶ

手帳にもいろいろな種類がありますが、時間管理コンサルタント・水口和彦氏のおすすめは「週間バーティカル」タイプ。見開き2ページで、1週間分のスケジュールを縦長に記入するデザインです。

週間バーティカルの手帳。左に3日分、右に4日分のスケジュールを書く。

「週間バーティカル」の強みは、1日のスケジュールを時系列で書き込めること。用事ごとに開始・終了の時刻を記入できるため、スケジュール管理に最適です。

「見開き2ページで1週間」というのもポイント。2ページで1ヵ月の「月間タイプ」では1日当たりの欄が小さすぎ、1ページで1~2日の「日間タイプ」だと長期スケジュールを一覧できません。その中間である「週間タイプ」なら、1週間の予定をひとめで把握することが可能であり、1日当たりの記入欄も十分にあるので、ちょうどいいのです。

もちろん、職種や好みによっては、「週間バーティカル」以外の手帳が合う人もいるでしょう。たとえば、日記のように長い文章を書いたり、白いページに自由に書き込んだりしたいなら、「日間タイプ」が快適なはず。また、「バーティカル」以外の「週間タイプ」もあります。

  • 週間ホリゾンタル:見開き2ページで1週間分。記入欄が横長
  • 週間レフト:見開き2ページの左側に1週間の予定を書く。右側はフリースペース

1冊に絞る

使う手帳は1冊に絞るのも原則です。「ビジネス用」「プライベート用」のように複数の手帳を使い分けず、すべてのスケジュールを1冊に集約しましょう。これを「一元管理の原則」といいます。

複数の手帳を使い分けては、どの予定をどの手帳に書いたかわからなくなってしまいます。勘違いやダブルブッキングのリスクも高まるでしょう。1冊の手帳で全スケジュールを整理すれば、ビジネスとプライベートの全体像が把握できます。

◆手帳を1冊にまとめるメリット

  • 情報が集約されるので、記入・参照しやすい
  • 記入ミスや勘違いのリスクが減る
  • スケジュールの全体像を把握できる
  • 持ち運びが楽

タスクを洗い出してからスケジュールを組む

スケジュールを組む前に、やるべきこと・やりたいことを箇条書きにしましょう。順番は気にせず、ふせん紙や手帳のメモ欄に、タスクをどんどん書き出してください。

次に、各タスクの優先順位を決め、所要時間を見積もります。詳しいやり方は、「あなたがスケジュール管理できない原因4つ。解消法は?」をご覧ください。

優先順位や所要時間をふまえたうえで、タスクをスケジュールに組み上げます。会議やアポイントメントなど、すでに時間の決まっている用事の合間に、タスクをはめ込んでいくイメージです。

◆スケジュールを組む手順

  1. タスクを洗い出す
    【例】顧客への電話、資料作成、企画書作成
  2. 優先順位を決め、所要時間を見積もる
    【例】資料作成(2h)→企画書作成(1h)→顧客への電話(1h)
  3. スケジュールに落とし込む
    【例】9~11時:資料作成→11~12時:企画書作成→14~15時:顧客への電話

時間の「量」を表現する

予定を記入する際は、要する時間の「量」がひとめでわかるようにしましょう。「直線」や「囲み線」を用い、時間のまとまりを明確にします。

手帳でスケジュール管理するには、予定に要する時間を線で量的に表現するとよい。

こうすれば、用事ごとにどれくらいの時間がかかるのか、用事と用事のあいだにどれだけ時間が空いているのか、わかりやすいですね。

移動時間・準備時間も書く

前出の水口氏は、各予定にともなう移動時間・準備時間などの記入もすすめています。他社を訪問する予定があるなら、移動に要する時間をあらかじめ調べ、「15時~16時 移動」という具合に書いておきましょう。会議があるなら、場所のセッティングに要する時間・資料を用意する時間なども見積もっておきます。

このような移動時間や準備時間をスケジュールに入れておかないと、直前になって「そろそろ動くべきかな?」「移動・準備にどれくらいかかるかな?」と迷うことになり、間に合わなくなってしまうかもしれません。

手帳には、「予定が始まる時刻」ではなく、「自分が行動を開始すべき時刻」を記入しましょう。

些細なタスクも書いておく

  • 上司に進捗を報告する
  • ストックが切れそうな備品を発注する
  • フォルダを整理する

……のようなちょっとしたタスクは、覚えるだけで十分だからと、手帳に書かない人も多いでしょう。しかし、書き留めておかないと、やり忘れのリスクが高まりますし、具体的な実行スケジュールを決めなければ、タスクをどんどん後回しにしてしまうかもしれません。

タスクの忘れ・遅れを防ぐためには、小さな用事でも油断せず、必ずスケジュールに組み入れましょう。

「すぐに書く」を徹底する

手帳でスケジュール管理するときの鉄則は、常に手帳とペンを手元に起き、何かあればすぐに予定を書き込むこと。「すぐ」というのは、以下のようなタイミングです。

  • 予定が決まった瞬間
  • 上司から指示を受けた瞬間
  • 何かをやろうと思い立った瞬間

「終業後にまとめて」「自分のデスクに戻ったら」と記入を後回しにすれば、うっかり忘れてしまう可能性があります。

その場で実行の日時も決められると理想的です。「時間があるときにやっておいてね」と指示を受けても、すぐ手帳を開き「○月×日の△時にやる」と日時を押さえれば、後回しにするリスクを下げられます。即断が難しければ、ひとまずToDoリストにメモし、なるべく早いうちにスケジュールを確定しましょう。

手帳でのスケジュール管理に不慣れな方は、まずは上記の7点を実践してみてください。

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手帳でスケジュール管理する発展テクニック

手帳でのスケジュール管理に慣れてきたら、さらなる効率化のため、発展的なテクニックも取り入れてみましょう。

スケジュールは3週間先まで埋める

今週分の予定はびっしり書き込んであるけれど、来週以降のページは真っ白――あなたの手帳は、そんなふうではありませんか?

長期的な業務を計画的に進めるには、数週間~数ヵ月先のスケジュールも考えておく必要があります。先の予定が決まっていないと、頼まれた業務を受け身でスケジュールに入れていくことになり、ほかの人の都合に振り回されるリスクも。

タイムマネジメントや営業などの研修を手がける株式会社らしさラボ代表取締役・伊庭正康氏は、「常に3週間先までのスケジュールを埋めておく」よう推奨しています。手帳が空白だらけの人は、3週間分だけでも見通しを立ててみましょう。

スケジュールを組む順番は、上述したとおり、「タスクを洗い出す→優先順位を決め、所要時間を見積もる→具体的な日時を決める」です。業務の締切などから逆算し、いつまでに何をやるべきかひとつひとつ書き出していくと、3週間程度のスケジュールなら埋められるでしょう。

「手帳タイム」を設ける

長期的なスケジュールを組むには、まとまった時間が必要です。手帳にじっくり向き合い、スケジュール整理に専念する時間を設けましょう。走り書きした情報をまとめたり、やるべきことを洗い出したり、実行日時を決めたりして、業務の進め方を熟考します。

「○年後にこうなりたい」「いつか~してみたい」といった夢を手帳に書き出すのも有意義ですね。キャリアや人生における最終ゴールを確認でき、モチベーションアップにつながります。夢を叶えるには「いつ」「何を」すべきか考え、具体的なプランに落とし込むことも忘れないでください。

手帳ライフコーディネーターの青木千草氏は、1~2時間の手帳タイムを週に1回もつことをすすめています。1~2時間は長いと感じるかもしれませんが、数週間~数ヵ月分のスケジュールを組むには、それくらいの時間が必要です。

時間がとれるなら、手帳タイムを毎日設けてもOK。始業前・終業後のように、タイミングを決めるといいでしょう。手帳を開くことをルール化すれば、「手帳を使う習慣が続かない」「せっかく書いても読み返さない」ということもありません。

◆「手帳タイム」の例

  • 毎週土曜日の朝2時間
  • 毎日、始業前の10~20分
  • 毎日、終業後の10~20分

実績を記録する

  • 作業時間
  • 成約件数
  • 売上

など、業務に関わる実績は、なるべく詳しく手帳に記録しましょう。

記録した実績は、次にスケジュールを組むとき役立ちます。「会議資料作成に2時間かかった」「スタジオを探して予約するのに1時間かかった」などのデータがあれば、似たような作業をするとき、どれくらいの時間を要するのか見積もりやすくなるのです。

「なぜ作業が遅れてしまったのか」「なぜ成約件数が減ってしまったのか」など、問題の原因を分析するのにも実績記録が使えます。「作業Aに1時間、作業Bに2時間、……」という記録があれば「作業Bに時間がかかりすぎている。その原因は……」と発見し、改善策を考えられるでしょう。

実績を記録する方法のひとつが、経営コンサルタントの村中剛志氏が考案した「プロアクティブ・タイムマネジメント」。「予定」の右側に「実績」を書き、「遅れ」は赤で、「予想外のトラブル」は緑で表現します。バーティカルの手帳なら簡単に実践できるので、ぜひ試してみてください。

手帳でプロアクティブ・タイムマネジメントを実践する例。

デジタルツールも使ってみる

「Google カレンダー」や「Outlook」、その他のアプリケーションを使い、必要に応じてデジタルでもスケジュール管理をしてみましょう。

デジタルでスケジュール管理をするメリットは、「共有」が容易なこと。Google カレンダーに自分の予定を入力すれば、瞬時に社内で情報共有され、同僚とスムーズな連携がとれます。紙の手帳にはない便利機能です。

アラームも、デジタルならではの機能。スケジュールの時刻になると通知してくれます。絶対に忘れてはいけない大事な予定は、手帳とデジタルツールの両方で記録し、アラームが鳴るようにしておくと安心ですね。

とはいえ、スケジュール管理は紙の手帳をメインにし、デジタルツールは補助程度に使うことをおすすめします。アプリケーションに予定を入力しようとすれば、「デバイス起動→ロック解除→アプリケーション起動→日時をタップ→入力」と、工程が煩雑ですが、紙の手帳なら「ページを開く→書き込む」だけですよね。

紙の手帳とデジタルツールには、それぞれのメリットがあります。違いを意識して活用してみてください。

◆紙の手帳のメリット

  • 手軽に、すばやく書き込める
  • 図形も自由に表現できる
  • 情報を一覧できる

◆デジタルツールのメリット

  • ほかの人とスケジュールを共有できる
  • 予定を通知してくれる
  • 膨大なデータを記録できる
  • 画像や音声も記録できる

デジタルツールを併用する場合も、「一元管理の原則」に注意してください。紙とデジタルで異なるスケジュールを記録しては、予定の把握漏れやダブルブッキングにつながります。スケジュール管理においては、「メインは紙の手帳。デジタルはサブ」と意識しましょう。

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手帳とスケジュール管理に関する本

最後に、手帳の活用アイデアや、詳しいスケジュール管理術に関する本をご紹介します。

『時間管理の基本とコツ』

前出の時間管理コンサルタント・水口和彦氏の著書です。スケジュール管理の基本的な考え方・具体的な手法を学べます。

図解が豊富で、スケジュール管理の流れをイメージしやすいのも特長のひとつ。手帳術・スケジュール管理術の入門書としておすすめです。

『CITTA式 未来を予約する手帳術』

CITTA式 未来を予約する手帳術

CITTA式 未来を予約する手帳術

  • 作者:青木 千草
  • かんき出版
Amazon

前出の手帳ライフコーディネーター・青木千草氏の著書。ビジネスの予定を管理するだけでなく、「夢や目標を叶え、充実した人生を送る」ことを重視しています。

「CITTA式手帳術」の特徴のひとつは、「ワクワクリスト」。心躍る未来のイメージを書き出し、そこから逆算して、いまやるべきことを考えます。ビジネスやプライベートで目標を達成したい方には、本書が役立つはずです。

『ほぼ日手帳公式ガイドブック2021』

「ほぼ日手帳」とは、コピーライター・糸井重里氏が考案した、デザイン性や機能性、便利なおまけページなどが魅力の人気手帳シリーズ。『ほぼ日手帳公式ガイドブック2021』には、ラグビー日本代表選手や漫画家など10名以上による、「ほぼ日手帳」を楽しむアイデアが満載です。「ほぼ日手帳」の愛用者はもちろん、一般的な手帳のユーザーにも参考になるでしょう。

各手帳シリーズの「公式ガイドブック」には、以下のようなものもあります。

CITTA手帳公式ガイドブック

CITTA手帳公式ガイドブック

  • 作者:青木 千草
  • かんき出版
Amazon

同じシリーズの手帳を使っている方や、手帳活用術・スケジュール管理術のお手本を見てみたい方は、ぜひこれらのガイドブックも手に取ってみてください。

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スケジュール管理では、予定をひとつ残らず手帳に書き留めることと、自発的にスケジュールを組むことが基本です。手帳の使い方がイマイチわからない方や、業務でうっかりミスが多い方は、ご紹介した基本&応用テクニックを実践してみてください。

(参考)
中川裕(2009),『「手帳・メモ」の基本&超活用がイチから身につく本』, すばる舎.
伊庭正康(2016),『会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン』, すばる舎.
水口和彦(2009),『時間管理の基本とコツ』, 学研プラス.
清宮まさよし(2010),『1分間シンプル手帳術』, 秀和システム.
舘神龍彦(2014),『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.
STUDY HACKER|“空き時間” を可視化せよ! 「スケジュール管理」を「時間管理」に変えるコツ——水口和彦『仕事も学びも効率化 目からウロコの時間管理術』第4回
日経doors|デキる人の手帳は3週間先まで埋まっている なぜ?
青木千草(2017),『CITTA式 未来を予約する手帳術』, かんき出版.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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