「文字で伝えるのがうまい人」がいつも当たり前に守っている “5つのルール”

文字で伝えるのがうまい人が守っている5つのルール01

新型コロナウイルスの影響で、ビジネスシーンにおいては直接会って話すことが減り、文字でコミュニケーションをとることが多くなりました。そんななか、

「文字で伝えると何度もやり取りが必要で、電話したほうが早い……」
「会って話せばうまく伝わることも、文章だとなかなか伝わらない……」

と、文字だけで伝えることの難しさに直面している人もいるのではないでしょうか。

デジタルシフトが急加速するいまの時代、ビジネスパーソンとしてはやはり、文字で伝えるスキルを向上させるのが得策。今回は、テレワークにおける文字コミュニケーションを円滑に行なうための5つのヒントをご紹介します。

【1】一瞬で内容がわかるタイトルにする

ビジネスメールやビジネスチャットで「件名つき」メッセージを送る際、本文よりも重要なのはタイトル。一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事の平野友朗氏は著書のなかで、タイトルに盛り込むべき情報は、「いつ」「何が(誰が)」「どうなったか(どうしてほしいか)」の3つだと説明しています。

これらの情報をタイトルに入れないと、「ただのリマインドかな」と勘違いされて開封してもらえなかったり、「なんのこと?」と思わせて相手にストレスを与えたりすることになるのだとか。

【×】お打ち合わせについて/お打ち合わせの件
【○】打ち合わせ日の変更のご相談(1/15→1/20)

【×】今後の担当者に関するお知らせ
【○】来年度の担当者変更のお知らせ

【×】のタイトル例はどちらも、具体的な情報が足りなくて、何について伝えようとするメールなのかがわかりません。一方で【○】の例は、「いつ」「何が(誰が)」「どうなったか(どうしてほしいか)」を伝えているため、受け手は一瞬で内容をつかめます。すぐに読んでもらえて、すぐ返信してもらえる可能性が高くなるでしょう。このように、タイトルにひと工夫加えることは、非常に重要なのです。

  • 文字で伝えるのが下手な人は、本文で、用件をすべて説明しようとする。
  • 文字で伝えるのがうまい人は、タイトルで、用件をすべて説明しようとする

【2】重要な情報から順番に書く

伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏は、伝えたいことは「重要な情報」から書くのが原則だと言います。なぜなら、重要な情報を後回しにすると、相手の誤解や読み逃しを招きやすくなるため。たとえば、相手がメールを読んでいる最中に突然電話がかかってきたり、相手が忙しかったりしたら、メールの最初のほうしか読んでもらえないということもありえるでしょう。

【×】
12月5日10時に、お得意様のA社さんがお見えになります。
対応するのは部長で、重要な商談を行なうそうです。
そのため、10~12時にて、第一会議室の予約をお願いします。

【○】
12月5日の10~12時で、第一会議室の予約をお願いします。
お得意様のA社さんがお見えになります。
対応するのは部長で、重要な商談を行なうそうです。

【○】の例では、「会議室の予約」→「重要顧客の訪問」→「部長対応」というように、重要な情報から順に伝えています。こうしてキーワード化して並べ替えてみると、重要度を見極めやすいでしょう。タイトル同様、メール本文の冒頭も手を抜かないでくださいね。

  • 文字で伝えるのが下手な人は、最後に、一番重要な情報を書く。
  • 文字で伝えるのがうまい人は、最初に、一番重要な情報を書く

文字で伝えるのがうまい人が守っている5つのルール02

【3】質問にちゃんと答える

一般社団法人日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2020」によると、仕事のメールで不快に感じるものの第1位は「質問に答えていないメール」なのだそうです。相手の質問に対して要領を得ない返信をしてしまうと、相手はもう一度同じ質問をする羽目になります。これでは、相手に煩わしい思いをさせて当然。だからこそ、相手の質問にはきちんと答えるのが鉄則です

たとえば「そろそろ3月発売予定の商品Aを卸売業者に納品しなければならないのですが、いつ納品を開始できそうですか?」と質問された場合の、NG返答例・OK返答例はこちら。

【×】生産管理部のほうに、急ぐように伝えておきます。
【○】生産管理部は、「早くて1月中旬、遅くても2月下旬」と言っております。

もちろん、質問の内容を一部見逃してしまったり、質問の意味を勘違いしてしまったりすることも、時にはあるでしょう。しかし、相手を不快にさせないためにも、そうしたことは極力避けるべき。もし長文のメールが届いて、何が質問かわからなくなってしまった場合は、相手のメールを印刷して質問の箇所に赤丸をつけるといいそうですよ。

  • 文字で伝えるのが下手な人は、聞かれたことにちゃんと答えない。
  • 文字で伝えるのがうまい人は、聞かれたことに的確に答える

【4】数字と固有名詞で具体的に書く

前出の山口氏は、曖昧な表現は誤解やトラブルのもとになりかねないので、注意が必要だと指摘します。具体的に書くポイントは、曖昧な表現を「数字」や「固有名詞」に置き換えることだとか。ふたつ例を挙げましょう。

<1>
【×】(送信時間が深夜0時以降の状態で)明日までに、よろしくお願いします。
【○】12月23日の13時までに、就業時間報告書の入力をお願いします。

<2>
【×】近くの駅で、なるべく早めに待機していてください。
【○】12時45分には、麹町駅で待機していてください。

<1>の【×】の例では、今日とも明日とも解釈できるうえ、何時までなのかも不明です。また、何が「よろしくお願いします」なのかわかりません。<2>の【×】の例では、周囲に駅がたくさんある場合、どの駅なのか迷ってしまいますし、「なるべく早め」ではどの程度早めなのかわかりませんよね。どちらの場合も、【○】の例のように数字と固有名詞を使うと、具体的で明確に伝わります。

山口氏によると、「具体的に書く=リスクマネジメント」なのだとか。トラブルを防ぐために、意識的に数字や固有名詞を使いたいものです。

  • 文字で伝えるのが下手な人は、曖昧な表現を使って、抽象的に伝える。
  • 文字で伝えるのがうまい人は、数字や固有名詞を使って、具体的に伝える

文字で伝えるのがうまい人が守っている5つのルール03

【5】同一情報はまとめて書く

山口氏は、情報が整理されていない文章は、読み手に混乱を与えると言います。特に、同一情報が散らばった文章は、読み手の理解度の低下をもたらしてしまうのです。長い文章になればなるほど、その傾向は強くなります。

テレワーク導入に関する率直な意見を文章で伝えるケースを例に、見ていきましょう。

【×】
自己管理の難しさを実感しています。一方で、通勤時間がなくなり、家族と一緒にいる時間が増え、毎日が充実しています。しかし、外に出なくなったぶん、運動不足になりがちです。

【○】
自己管理の難しさを実感しています。外に出なくなったぶん、運動不足になりがちです。しかし、通勤時間がなくなり、家族と一緒にいる時間が増え、毎日が充実しています。

【×】の例では、「デメリット→メリット→デメリット」の順で話が進んでいます。デメリット情報がふたつに分断されているため、わかりにくいでしょう。それに対し【○】の例では「デメリット→メリット」の順で書かれています。デメリット情報が先にまとめて書かれていますし、「一方で」という逆接の接続詞によって異なる情報の境目を明確に示しているので、整理された印象を与えることができます。このように、同じ情報は、なるべく集約するようにしましょう。

  • 文字で伝えるのが下手な人は、情報を整理せずに、頭に浮かんだままに書く。
  • 文字で伝えるのがうまい人は、同一情報はまとめて、整理して書く

***
5つの文章テクニックを身につけて、新しい時代の流れに乗りましょう!

(参考)
平野友朗(2019),『伝わるメール術 だれも教えてくれなかったビジネスメールの正しい書き方』, 技術評論社.
山口拓朗(2017),『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』, 明日香出版社.
平野友朗(2020),『テレワーク時代のメール術 評価される人は1通のメールで仕事が終わる』, WAVE出版.
一般社団法人 日本ビジネスメール協会|ビジネスメール実態調査2020

【ライタープロフィール】
SHOICHI
大学院修了後、一般企業に就職。現在は会社を辞め、執筆活動をしている。読書、音楽、YouTubeが好き。

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