
「新年度、初対面の人との会話をどうしよう……」
「せっかく環境が新しくなるから、良好な人間関係を築けるように取り組みたい」
「会議前の緊張を和らげるテクニックを身につけたい」
新年度は新入社員だけでなく、転職や異動で環境が変わる人も多いもの。そのような状況で、少しでもメンバーの雰囲気を和ませたいと気にかけている方もいるでしょう。
そんなときは、ちょっとした雑談のプチテクニックを一つ持っておけば怖いものなしです。
本記事では、話しやすい空気をつくり、働きやすい職場をつくるための会話術をご紹介します。
最初は"どうでもいい会話"のつもりでも、話が弾んで気づいたら打ち解けていた、ということも少なくありません。
プチテクニック1:侮るなかれ「木戸に立てかけし衣食住」

会話の糸口に迷ったときに役立つ「木戸に立てかけし衣食住」は、相手への敬意と踏み込みすぎないマナーを両立させた絶妙なルールです。
米国NLP協会認定トレーナーの浦登記氏は「誰の目にも耳にも共感を生み、また、話の展開も容易くコミュニケーションの広がりには持ってこいの話のタネ」だとすすめます。*1
き:気候・季節 → 「花粉症、急にくるよとまわりから言われていたんですけど、本当に来ちゃって……。花粉症はありますか?」/「夏は冷感グッズが手放せなくなってしまいましたね。なにか対策されていますか?」
ど:道楽・趣味 → 「最近〇〇が気になっているのですが、推しとかいらっしゃいますか?」
に:ニュース・時事 → 「ChatGPTとかClaude、もう使ってますか?」
た:旅・旅行 → 「円安で海外旅行が厳しいぶん、国内ワーケーションが人気みたいですよね」
て:天気 → 「天気アプリはなにを使ってますか? 最近AIのやつ精度すごいですよね」
か:家族 → 「お子さん、もうタブレット使いこなしてたりしますか?」
け:健康 → 「スマートウォッチの睡眠スコア、気にしだすと止まらなくないですか?」
し:仕事 → 「お仕事でAI使ったりしてますか? 便利だけど怖いって声も聞きますよね」
衣食住 → 「そのイヤホン、空間オーディオ対応ですか?」/「最近Uber Eatsばかりで……」/「在宅勤務のデスク環境、みんなどうしてるんですかね」
エレベーターで二人きりになった気まずい空間、移動中の無言に耐えられないとき。「木戸に立ちかけし衣食住」を事前に頭に入れておけば、どんな状況でも慌てずに会話の糸口をつかめます。
プチテクニック2:沈黙が訪れたときの「魔法のフレーズ」

(1)「最近〇〇してますか?」
話題が思い浮かばないときは、「最近どうですか?」を少しだけ具体的にして質問してみましょう。*2
(例)
「最近お仕事は落ち着いてきましたか?/お忙しいですか?」
「以前お会いしたときは〇〇とおっしゃっていましたが、最近はどうですか?」
いきなり「最近どう?」と聞かれると「どうと聞かれても……仕事? プライベート? 答えようがないなあ」と困ることや、「いきなりどうしたの?」と戸惑ってしまうこともあります。
そんなときは……
「次の休みにどこか行こうと計画しているのですが、どこに行こうかなかなか思いつかなくて……。最近のお休みはどこかおでかけになりましたか?」
このように、「ちょっとした自己開示」+「最近〇〇してますか?」の形にすると、相手も安心して会話に参加しやすくなります。
(2)子供や動物の話
子供がいる人には子供の話、ペットを飼っている人にはペットの話は、お互いに安心して盛り上がれる最強の切り札です。*2
(例)
「最近シール交換が流行っているみたいですね。Aさんのお子さんもされていますか?」
「わんちゃんは元気にしてますか?」
筆者は最近犬を飼い始めたのですが「じつは最近犬を飼い始めて」と打ち明けると、「えー! うちも飼ってる!」「うちもうちも!」と輪が広がって、いい意味で驚いたものです。
写真を見せ合って可愛さを褒め合ったり、面白エピソードに笑い合ったり。踏み込みすぎずにちょうど良い距離感でお互いに会話を楽しめるので、おすすめですよ。
(3)「全然関係ないのですが……」
「もう少し打ち解けたいな」「雰囲気を和らげたい」というときに筆者がよく使うのが、「全然関係ないのですが……」と言って、本当に全く関係のないちょっとした話をし始めることです。
(例)
「全然関係ないのですが、じつは最近〇〇にハマっちゃって……〇〇ご存じですか?」
「全然関係ないのですが、ついに私も花粉症デビューしてしまいました」
ただし、初対面や関係性がほとんどない人には、いきなり話し始めるのではなく「聞いてもらえますか?」「話してもいいですか?」とワンクッションはさむのがおすすめです。
株式会社 俺 の代表取締役社長 中北朋宏氏によれば、「重要なのは『ちょっと話してもいいですか?』を添えること」で、相手に「会話する気がある」という意思を確認できるため、話しやすい雰囲気が生まれるといいます。*3
「全然関係ないのですが、聞いてもらえますか?」のように使ってみるといいでしょう。
プチテクニック3:もはや喋らない「究極のテクニック」

ここまでアイスブレイク中のプチテクニックをご紹介してきましたが、思いきって沈黙に身を委ねてみるのもひとつの手です。
特に会話中の急な沈黙は、相手にとって必要な "間(ま)" であるかもしれません。
沈黙について、テレビ東京キャスターの豊島晋作氏はこう述べています。
沈黙の瞬間を消すことは、相手の頭に浮かび始めた思考やアイデアの火を、吹き消してしまう行為です。あるいは、せっかく話そうと思った部下の気持ちを無視する行為でもあります。*4
考えをまとめている最中にいろいろ話されてしまえば、相手は「落ち着かないし、考えもまとまらないし、もういいや」と話すのを諦めてしまうかもしれません。
相手の表情など様子を見ながら、いまは発言を待つべきタイミングなのかどうかを判断してみましょう。
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初めましての会話も、苦手な沈黙も、話題を準備しておけば大丈夫。ぜひ本記事を参考に、アイスブレイクの話題を探してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. アイスブレイクで使える定番の話題は何ですか?
「木戸に立てかけし衣食住(き・ど・に・た・て・か・け・し+衣食住)」が定番です。気候・趣味・ニュース・旅行・天気・家族・健康・仕事・衣食住といったテーマは、誰でも答えやすく踏み込みすぎないため、自然に会話が広がります。
Q. 話題が思い浮かばず「最近どうですか?」と聞いても反応が薄いときは?
「最近どうですか?」だけでは範囲が広すぎて相手が答えにくいことがあります。「ちょっとした自己開示」+「最近〇〇してますか?」の形にすると、相手の警戒心が解けて答えやすくなります。たとえば「次の休みにどこか行こうと計画しているんですが、最近おでかけされましたか?」のように具体化しましょう。
Q. 雑談中の沈黙は、絶対に避けるべきですか?
いいえ、必ずしも避けるべきものではありません。沈黙は相手が思考やアイデアを整理するための大切な「間」である可能性もあります。無理に話しかけず、相手の表情を見ながら静かに待つことも、良好なコミュニケーションのひとつです。
Q. 初対面の人に「全然関係ないのですが……」と話しかけても大丈夫ですか?
「全然関係ないのですが、聞いてもらえますか?」とひと言添えることで、相手が「会話する気がある」と意思確認できます。いきなり本題に入るより受け入れられやすいので、ワンクッション置くことを意識してみましょう。
*1 ヒューアップテクノロジー|話題を選ぶコツ一つで敵にも味方にも
*2 マイナビウーマン|会話につまったときに使える魔法のことば「最近どう?」「休みは何してる?」
*3 東洋経済オンライン|「気まずい沈黙」困った時の"救世主"凄い一言3選
*4 PHPオンライン|沈黙を恐れて話し続けるのはNG? 相手の話を引き出す「聞く技術」
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。