“フレッシュスタート効果”で学習体質へ! 新年の「やる気」を継続するための、心理学的6つのステップ

やる気に満ちている新年のイメージ

新年を迎え、誰もが感じる特別な高揚感があります。

「新しい手帳を開くときのこの気持ち、今年は絶対に変われる!」
「じつは前から気になっていた資格、この機会に本気で取り組んでみよう」
「去年までの自分とはさようなら。今年からは朝活で英語学習だ!」

新年の瑞々しい空気を吸いながら、私たちは自然と新しい目標へと心が動きます。神棚に手を合わせ、初詣で清々しい気持ちになり、新しい手帳にびっしりと学習計画を書き込む。それは、まるで別人になれるような、人生の新しいページを開くような、特別な感覚

じつは、この「新しい自分になれる」という感覚には、心理学的な根拠があるのです。それが「フレッシュスタート効果(Fresh Start Effect)」。新年という区切りが、私たちに本物の「やり直しの機会」を与えてくれるのです。

しかし大切なのは、この貴重なフレッシュスタート効果を一時的な高揚感で終わらせないこと。この効果を理解し、上手に活用することで、目標達成への確かな一歩を踏み出すことができます。新年の「やる気」を、確実な「成果」へと変えるための方法を、これからご紹介していきましょう。

フレッシュスタート効果とは?

フレッシュスタート効果とは、新年や誕生日、月初めといった区切りの良い時期に、人は心理的なリセット感を得て、新しい行動を始めやすくなる現象のことを指します。

特に新年は、最も強力なフレッシュスタートのタイミング。多くの人が「今年こそは」と学習計画を立てるのも、このフレッシュスタート効果が働いているからなのです。

マンネリ化した日常のなかで、これらの時間的な区切りは私たちに「新しい始まり」を感じさせ、前向きな変化へのモチベーションを高めてくれます。過去の失敗や挫折を「昨年の自分」のこととして区切り、「新しい自分」として再スタートを切れる - それがフレッシュスタート効果の本質です。

実際の研究でも、新年や月初め、週の始まりには、ダイエットや運動、学習といった目標に向けた行動が増加することが確認されています。

やる気に満ちているイメージ

新年の目標を ”継続” するために

「また三日坊主になってしまった…」「忙しくて続かなかった…」
新年の目標設定の失敗経験を持つ方なら、誰もがこんな後悔をしたことがあるのではないでしょうか。多くの人は、その原因を時間不足や意志の弱さに求めがちです。しかし、研究によると、勉強習慣を確実に定着させるためには、まず「心の土台」を整えることが重要だと分かってきました。

心理学研究では、新しい習慣が定着するまでには平均66日かかることが明らかになっています。この約2ヶ月の期間を乗り切るためのカギは、じつは自己肯定感にあります。「今年こそは」と立てた学習計画も、自己肯定感という心の基盤があれば、一時的な挫折を乗り越えて継続できるようになるのです。

フレッシュスタート効果は、まさにこの自己肯定感を高めるチャンス。新年という区切りがもたらす「新しい始まり」の感覚を、自己肯定感を育む機会として活用することで、より確実に勉強習慣を確立できます。

ステップアップしているビジネスパーソン

6ステップで自己肯定感を育み、勉強習慣を確立する

それでは、自己肯定感を育みながら勉強習慣を確立する6つのステップをご紹介します。各ステップには目安となる期間を設定していますが、これはあくまでも目安です。焦らず、自分のペースで進めていきましょう。

ステップ1:自尊感情を育て、スタートを肯定(1週目)

最初の1週間は、「自分には学ぶ価値がある」という自尊感情を育てることに集中します。この時期によく出てくるネガティブな考えを、以下のようにポジティブな言葉に置き換えてみましょう。

  • 「また失敗するかも」→「今度は違うやり方で挑戦してみよう」
  • 「私には無理かも」→「まずは小さな目標から始めてみよう」
  • 「時間がない」→「毎日15分だけでも確保してみよう」

机に向かう前に、必ずポジティブな言葉で自分を励ますことを習慣にしましょう。

ステップ2:自己受容感で揺れる気持ちを受け止める(2週目)

2週目に入ると、「今日は疲れているから休みたい」「テレビを見たい」といった気持ちが出てくるかもしれません。ここで重要なのは、そういった気持ちを一旦受け入れることです。

自分を責めたり、完璧を求めたりせず、「そういう日もあるよね」と受容することで、かえって続けやすくなります。たとえば、その日は学習時間を半分に減らしたり、より気軽な教材を選んだりするなど、柔軟な対応を心がけましょう。

ステップ3:自己効力感を高め、小さな成功を積む(3~4週目)

3~4週目は、「できた!」という成功体験を積み重ねる時期です。そのために効果的なのが「if-thenプランニング」という方法です。

例えば:

  • 「夕食後にスマートフォンを手に取ったら、まず10分だけ勉強する」
  • 「通勤電車に乗ったら、スマートフォンで学習アプリを開く」
  • 「休日の朝食後、テレビをつける前に30分勉強する」

このように具体的な行動のきっかけを決めておくことで、無理なく習慣化を進められます。

勉強している人物

ステップ4:自己信頼感を根付かせ、続けられる自分に(5週目)

5週目は、モチベーションの浮き沈みが出やすい時期です。ここで大切なのは、適度なストレス解消と自己信頼感の醸成です。

  • 週末には好きな活動で気分転換する
  • 一週間の学習を終えたら、小さなご褒美を用意する
  • 勉強ノートを見返して、これまでの頑張りを確認する

こうした工夫で、「自分は続けられる」という信頼感を育てていきましょう。

ステップ5:自己決定感を持ち、主体的な学習へ(6~8週目)

6週目以降は、「自分で決めた」という感覚を強化する時期です。学習内容や方法を自分でカスタマイズしてみましょう。

  • 教材のなかから特に興味のある項目を先に学ぶ
  • 学習時間を柔軟に調整する
  • 自分に合った復習方法を見つける

こうして主体的に学習をデザインすることで、内側からのモチベーションが高まります。

ステップ6:自己有用感で成果を感じ、モチベを強化(9週目~)

最後のステップでは、学んだことを実践の場で活かすことを意識します。

  • 仕事で新しい知識を活用してみる
  • 同じ目標を持つ仲間と学びを共有する
  • SNSで学習記録をシェアする

周囲からの「ありがとう」や「参考になった」という反応が、さらなる学習意欲につながっていきます。

仲間と学びを共有しているイメージ

フレッシュスタート効果を持続させるコツ

フレッシュスタート効果を持続させるコツは、正しい活用方法を知ることにあります。まず、新年という大きな節目だけでなく、月初めや週の始まりといった小さな区切りも意識的に活用することが重要です。これらの「小さなフレッシュスタート」の積み重ねが、長期的な継続を支えるのです。

また、モチベーションの浮き沈みは誰にでもあるものです。行き詰まりを感じたときこそ、今一度6つのステップに立ち返りましょう。自己肯定感の土台となる要素のうち、どの部分が弱くなっているのかを見直し、適切に補強することで、再び前向きな気持ちを取り戻すことができます。

さらに、一つの習慣が定着したら、その成功体験をほかの目標にも応用していくことをお勧めします。例えば、朝の学習習慣が定着したら、その時間管理の方法を夜の運動習慣づけにも活用するといった具合です。このように、成功体験を別の目標に転用することで、新しい習慣化もスムーズに進めることができます。

【フレッシュスタート効果を活かすポイント】

  • 日々の小さな区切りを意識的に活用する
  • 定期的に自己肯定感の要素を見直し、補強する
  • 成功体験をほかの目標設定に応用する

***
新年の「フレッシュスタート効果」は、新しい習慣を始めるための強力な後押しとなります。しかし、それを確実な習慣として定着させるには、心の土台づくりが欠かせません。

ここでご紹介した6つのステップを意識しながら、自分のペースで着実に進んでいけば、必ず習慣化は実現できます。「今年こそは」という思いを、確かな行動と成果に変えていきましょう!

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

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